「語学系資格」には超難関の「難易度S」に該当する資格はありません。現在、語学系資格の中で最難関資格は「国連公用語英語検定試験(国連英検)特A級」です。この試験の合格者の90%以上が英検1級、TOEICスコア平均960点以上を取得しています。
この次に難易度が高いのが「JTA公認翻訳専門職資格試験」です。JTA公認の資格試験は他にも難易度の高い試験がありますが、この試験は、特に高いバイリンガルコミュニケーション力が必要な試験であることと、90分で200問に回答しなければならないことが難易度を高くしています。3番目の「中国語検定試験 1級」は大学専攻科卒業レベルの試験です。
語学系の資格で唯一の国家資格が「通訳案内士」です。通訳案内士は改正通訳案内士法が施行され、名称も「全国通訳案内士」となり通訳案内士の業務独占規制が廃止されるなど、制度が大きく変わりましたが、TOEICで900点レベルの難易度は変わっていませんが、今後のインバウンドでも全国通訳案内士は大いに期待される仕事になるでしょう。「実用英語技能検定(英検)」や「日商ビジネス英語検定」、「工業英検」、「日本語能力試験」などは公的資格に分類され、他は大半が民間資格です。この中での難易度最上位は「実用英語技能検定(英検)1級」です。
語学別では英語が一番資格の種類も多く、その中でも人気があるのは何と言っても「TOEIC」が一番でしょう。TOEICは英語でのコミュニケーションを幅広く評価する世界共通テストです。企業によっては、社員採用時の英語能力判断としてTOEICのスコアを600点以上、700点以上などスコア設定して募集をしたり、海外出張や駐在の基準・昇進、昇格の要件にもTOEICのスコアが必須になっている企業もあります。海外赴任700点以上~、海外出張600点以上~など、基準を設けている企業もたくさんあります。従って、TOEICのハイスコア(700点以上)をもっていると就職対策などでは絶対有利になります。TOEICの試験の種類は4種類で、TOEIC Listening & Reading Test/TOEIC Speaking & Writing Tests/TOEIC Bridge Listening & Reading Tests/TOEIC Bridge Speaking & Writing Tests です。2020年度の総受験者数は合計で約169万人になりました。
英語以外の語学系資格で注目されるのは中国語系、韓国語系です。特に中国語系は需要もこれからも増すはずです。中国語なら一般財団法人日本中国語検定協会が主催する「中国語検定試験」が人気です。略して「中検」と呼ばれ、年間志願者数4万人を数える国内最大の中国語試験です。中国語の検定試験には中検の他に「HSK(漢語水平考試)」があります。HSKは中国政府認定の中国語の運用能力を問う試験で、翻訳能力は問われません。それ以外の語学で人気があるのはフランス語でしょう。フランス語は世界で英語の次に多くの国・地域で使用されている言語で、国際連合、欧州連合などの公用語のひとつにもなっています。フランス、スイス、ベルギーの他、公用語になっている29カ国に関連する外資系企業や商社などでは、フランス語スキルは必須です。当然「実用フランス語技能検定」の資格を持っていると就職の際には有利になります。
また一方で、2021年の東京オリンピック・パラリンピックを見据え、新たな英語教育が本格展開できるように、文部科学省を中心にグローバル化に対応した体制整備等の改革が推進されていますが、「英検」、「TOEIC」、「TOEFL」、「IELTS」、「ケンブリッジ英検」、「児童英語教師」などが、グローバル化の目となりそうな気配です。また語学系の試験に関しては、2020年度から始まる大学入学共通テスト(共通テスト)で予定されていた英語民間試験の活用が見送られることになり、政府は新たな制度を検討することになりました。
語学資格の試験には、リスニングやスピーキングの試験があるため、難易度が上がると独学では難しくなりますが、最近はDVDやCDが付いた教材や、スマホを活用する教材など、いろいろ販売されていますので、独学では無理ということはなくなりました。
最近では、語学試験を比較するとき、「CEFR」の表で比較することが多くなりました。CEFRは「ヨーロッパ言語共通参照枠」と略される、異なる試験を相互に比較することが出来る国際標準のことで、本来は試験の難易度などを比較するためのものではないのですが、初めて語学試験にチャレンジされるかたや、試験のレベルをアップしようとされる方には役立つ一覧表ではないかと思います。語学試験を受験する人の目的も様々です。目的が就職対策なら、上でも書いているように人気がある試験は「TOEIC」や「英検」、「中国語検定試験」、「仏検」、「ハングル能力検定」などです。一方で、延期になりましたが大学入試の共通テストで、参加要件を満たすと認められ「合格」になった試験は、英検、GTEC、ケンブリッジ英語検定、TEAP、TEAP CBT、IELTS、TOEFL iBTの7試験でした。これらの試験は「読む・聞く・話す・書く」の4技能を評価するために活用される予定だった試験であることには変わりはないことから、今後、民間語学試験としては評価が高くなることが想定されます。
【「語学系」のおすすめ資格】
●就職・転職を目標にしたとき
1.TOEIC(最低600点以上、できれば650点以上がほしい。特に大学生や大学院留学を検討の方におすすめ)
2.実用英語技能検定(英検) (2級以上なら履歴書に書ける。高校生や大学生におすすめ)
3.日商ビジネス英語 (2級以上なら履歴書に書ける)
●海外への留学を目標にするとき
1.IELTS(できればスコア5.0以上ほしい。TOEFLで伸び悩んでる方などにおすすめ。イギリス英語が中心)
2.TOEFL (TOEFL iBTで90点以上)
●翻訳関係
1.TEP TEST (一般翻訳)
2.翻訳実務検定TQE (専門分野翻訳)
※TOEIC、TOEFL iBTなどの試験は、「試験慣れ」してしまうことが大切なので、就職や転職、留学などの期限までに複数回の受験予約を取って、費用は掛かりますが複数回受けた中でのベストスコアを使うという方法、またIELTSや英検を受験に方は、コンピュータでの受験を積極的に活用して、トライの回数を増やす方法も効果的です。
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