資格の概要 | 人生における目標について、トータル的な資金計画を提案し実現のサポートすることをファイナンシャルプランニングといいます。そして、金融商品や保険に関する知識が豊富なお金のスペシャリストのことを「ファイナンシャルプランナー(FP)」と言います。家計のホームドクターとしてニーズが高いファイナンシャルプランナーは、金融機関や会計事務所、コンサルタント会社などで必要とされる注目の資格です。ファイナンシャルプランナーに似た名称の一つに国家資格の「ファイナンシャル・プランニング技能士」があります。ファイナンシャル・プランニング技能士の資格は1〜3級の種類に分かれ、一度合格すれば更新する必要はありません。
ファイナンシャル・プランニング技能士の詳細 ➡ FP技能検定
一方、ファイナンシャルプランナーの資格には民間資格の「AFP資格」と「CFP資格(上級)」があります。CFPは、ファイナンシャル・プランニング技能検定1級と同程度の難易度レベルの資格です。しかし民間資格の場合は、2年間の有効期限が設けられています。
このページでは「AFP」と「CFP」のファイナンシャルプランナーについて試験内容や資格取得について詳しく解説していきます。
民間資格のCFPとAFPはFP技能士と違って2年ごとの資格の更新が必要です。
【AFP】
ファイナンシャルプランナーとしての知識を実践的に活用できる人に対して与えられる資格。相談者に対して寄り添う高い倫理観が求められます。
【CFP】
AFPの上位資格で世界25ヶ国・地域で採用されている国際的なFP資格。FP業務に関する知識と高い倫理観が求められ、「4Eと6ステップ」を満たした人に対して与えられる仕組みとなっています。
※「4Eと6ステップ」:教育(Education)試験(Examination)経験(Experience)倫理(Ethics)と、相談者へのアドバイスで求められる6つのステップをいう。
◆「日本ファイナンシャルプランナー協会」が実施している試験は下記の4種類。
・AFP
・CFP
・FP技能士1級(実技のみ)
・FP技能士2級(AFP資格審査も兼ねる)
◆「金融財政事情研究会」が実施している試験は下記の3種類。
・FP技能士1級
・FP技能士2級(AFP資格審査も兼ねている)
・FP技能士3級
※もともとは民間資格だったものが国家資格に移行した際に、日本FP協会と金融財政事情研究会の二種類の団体が認定されたため、民間資格と国家資格が入り交じって資格制度が複雑になってしまったという事情があります。
➡ 複数指定試験機関方式について
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【民間資格「AFP」,「CFP」と国家資格「FP技能士」の関係について】
日本FP協会が認定する民間資格ファイナンシャルプランナー資格の「AFP」とその上位資格「CFP」について、国家資格の「FP技能士」の関係を説明しておきます。
ファイナンシャル・プランナー資格には、国家資格として1~3級の「ファイナンシャルプランニング技能士(FP技能士)」と、民間資格として日本FP協会が扱う世界標準資格の「CFP」と、その基礎で下位にあたる「AFP」があります。
●AFPになるためには、協会が認定する「AFP認定研修の修了」と、「AFP資格審査試験」の合格を経て、協会に資格登録をする必要があります。なおAFP資格審査試験は、国家資格であるFP技能士2級の検定試験がこれを兼ねています。これはAFPと同等のレベルの資格とされるのが「FP技能士2級」だからです。FP技能士2級の受験資格で受けた人は、あとからAFP認定研修を修了すれば「AFP認定者」になることができます。未経験者の場合は、研修を受けてAFPに、またすでに業務を経験している人やFP3級技能士の資格を取っている人は、先に2級FP技能士の資格をとってからAFP認定を目指すこともできます。
※「AFP資格審査試験」は、AFP認定者として会員登録するための方法の1つであり、日本FP協会が独自に行う試験で、FP技能検定やFP技能士に関連するものではありません。
●CFPになるためには、「CFP資格審査試験(CFP試験)」を受験し、合格した後、実務研修である「CFPエントリー研修修了」と3年以上の実務経験を経て、日本FP協会に資格登録をすることでCFP資格が与えられます。AFP,CFPともに所定の継続教育で規定単位を取得することによって、2年毎に資格が更新されます。
CFP試験は、協会が認定するAFP認定者、及び協会が認定した大学院での所定課程の修了者を対象として実施され、合格者はより高度な知識と技能、十分な経験と倫理観を身につけているFP技能者と認められ、CFP認定者には「CFP認定証」と「CFPライセンスカード」が協会から発行されます。
【ファインナンシャル・プランナー資格】
・国家資格:FP技能士(1級・2級・3級)
・民間資格:CFP(1級FP技能士相当) AFP(2級FP技能士相当) |
試験の合格率・難易度 | ●難易度
AFP 「C-上」 やや易の上位
CFP 「B-上」 普通の上位
【資格の難易度レベル】
FP技能士とAFP,CFPとの難易度比較では、合格率はどちらも各科目30~60%位で受験級や時期によってかなり差がありますが、目安としてはAFPがFP技能士2級、CFPがFP技能士1級レベルと考えてよいでしょう。総合的には民間資格で日本FP協会のAFP・CFPの方が難易度が難しく、業界の評価も高いといわれたこともありましたが、FP技能士が国家資格になって以降は、FP技能士資格取得の方が取得の価値が高いという意見が多いようです。
最近のFP2級技能検定の合格率(2023年1月試験)が学科:56.1% 実技:59.5%です。このことから、AFPと同じ程度の難易度とされるFP技能士2級の合格率が学科、実技ともに約50~60%と比較的高い状況にあることからAFPも十分対策してチャレンジすれば十分合格できるレベルの資格であることが判断できます。
【難易度レベルの比較】
FP1級≒CFP>FP2級≒AFP>FP3級
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・合格率
◆AFP(AFPの認定に必要な2級FP技能士の近年の合格率)
2023年1月試験(学科) 受験29,466 合格16,537 合格率56.12%
(実技) 受験23,994 合格14,283 合格率59.53%
2023年5月試験(学科) 受験24,727 合格12,072 合格率48.82%
(実技) 受験22,167 合格12,991 合格率58.61%
※合格率は平均的には、学科:47.6% 実技:58.6%(日本FP協会)
◆CFP
2023年第1回試験
・金融資産運用設計:受験3,615 合格1,111 合格率30.7%
・不動産運用設計:受験2,575 合格921 合格率35.8%
・ライフプランニング:受験2,722 合格970 合格率35.6%
・リスクと保険:受験3,216 合格1,024 合格率31.8%
・タックスプランニング:受験2,923 合格1,141 合格率39.0%
・相続・事業承継設計:受験3,329 合格1,045 合格率31.4%
※参考情報
◆AFP
FP2級技能検定合格率(2022年)
1月試験 学科:41.51%/実技:56.33%
5月試験 学科:49.20%/実技:62.11%
9月試験 学科:42.16%/実技:56.55%
◆CFP
2022年第2回試験
・金融資産運用設計:受験3,188 合格1,000 合格率31.4%
・不動産運用設計:受験2,522 合格972 合格率38.5%
・ライフプランニング:受験2,630 合格968 合格率36.8%
・リスクと保険:受験3,301 合格1,194 合格率36.2%
・タックスプランニング:受験2,729 合格1,001 合格率36.7%
・相続・事業承継設計:受験2,817 合格1,083 合格率38.4% |
試験の内容・勉強法 | ◆AFP資格取得のための勉強方法と勉強時間
AFPの試験に独学で合格するためには、過去問題を繰り返し解き、自分の弱い部分をつぶしておくことが大切です。また、テキストと過去問題を併用して勉強することも有効です。AFP資格の取得に必要な勉強時間は、1日平均2時間の学習とした場合、1.5~5ヵ月程度かかります。短期集中して1日3時間ほど勉強すれば1ヶ月程度で取得できます。
◆CFP資格取得のための勉強方法と勉強時間
CFP資格取得のための勉強方法は、過去問を徹底的に解き、不明点をテキストや参考書で確認する方法がいいでしょう。CFP資格審査試験は、過去に出題された問題が繰り返される傾向があり、類似問題が5問から6問ほど出題されることが多いのが特徴です。必要な勉強時間は、FP関連の基礎知識がない人は、独学なら400~500時間程度は必要になります。
国家資格のFP技能士と、民間資格のAFP・CFP、どちらの資格が有利だとか、優遇されるといったことはなく、資格価値は同程度と考えてよいでしょう。ただ、民間資格のAFP・CFPは2年毎に資格を更新する必要がありますが、国家資格のFP技能士は取得すれば永久にその資格が失われることはありません。
一般に評価されるレベルとしてはAFP、CFP、FP技能士2級からですが、ただこの資格は資格を取得してからの方が大事です。資格より職務経験の方が大事といわれることがあるくらいなので、仕事面では、この資格だけで独立開業できるほど甘くありませんが、特に金融関係者は持っていても損はありません。FPの持つ幅広い知識は、銀行・証券・生保・損保をはじめ、不動産や建設、ハウスメーカー、サービス業とあらゆる業界で通用します。学んだ内容は仕事に直結し、着実に信頼が高まる実用的なライセンスの1つでもあるため、弁護士、税理士などの受講者も多い資格です。ファイナンシャルプランナーの年収は約300万円~2,000万円前後です。
ファイナンシャルプランナー資格取得者の働き方は主に2通りです。ひとつは自ら事務所を立ち上げて、顧客の相談にのったり、イベントやセミナーの講師を行ったりする「独立系FP」、もうひとつは銀行や保険会社、不動産仲介業者などに勤務する「企業系FP」です。現在、日本では有資格者の7割が企業内FPです。生命保険会社の代理店などでは、保険外交員がFPの知識をもとに保険のプランを提案しながら営業することが多くなっています。独立系FPは少数派で、おもにセミナーの講師や執筆活動など、人にファイナンシャル・プランニングのきっかけや立案を勧めるような仕事が主になります。今は、自分の資産は自らで管理するという風潮になってきていますが、普通の会社員が自分の判断で資産を効率的に運用するのは非常に困難を伴い、リスクもあります。このような状況の中では、FPの需要は今後ますます高まっていくと考えられます。 |
受験費用 | ◆AFP
【AFP認定研修】
認定教育機関によって費用は異なります。(数万円~数十万円) ➡参考
【FP技能士2級受験料】
学科試験 5,700円、実技試験 6,000円の計11,700円
【AFP登録審査試験】
受験料 8,800円(税込)
【AFP登録手続料】
AFPの認定者となるには日本FP協会に入会し年会費を支払う必要があります。
入会金 10,000円(初年度のみ) 年会費 12,000円(毎年発生/課税対象外)
◆CFP
【CFP資格審査試験】
2024年6月実施の CFP資格審査試験から 1 課目の出願は 6,600 円(税込)、2 課目以上の出願時は 1 課目につき 3,300 円(税込)が加算されます。
1課目6,600円
2課目以上の場合は、1科目ごとに3,300円を加算(各税込)
※CFP資格審査試験をクリアした後に受講する「CFPエントリー研修」の受講料は無料です。
【CFP登録手続料】CFP認定者にかかる費用
新規登録料金 5,000円(初年度のみ)
年会費:20,000円(年会費12,000円+CFP会費8,000円)(毎年発生) |
試験方式 | ◆AFP
【AFP認定研修】
AFP認定研修を受講・修了することで「FP技能検定2級」の受検資格を得ることができます。以下の4つのコース(課程)から自分のニーズに合う研修を選択します。
※AFP認定研修最低履修単位:各課目合計68単位以上(期間1~6ヵ月程度)
①基本課程:一般の方向け
②技能士課程:1級・2級のFP技能検定に合格している方向け
③税理士課程:税理士や会計士登録をしている方向け
④3級課程:3級FP技能検定向け講座を修了した方向け
【2級FP技能士(兼AFP資格審査試験)】
・学科試験:筆記試験 出題60問/120分
・実技試験:筆記試験 出題40問/90分
合格基準:学科 60点満点中、36点以上で合格
実技 100点満点中、60点以上で合格
※2級FP技能検定試験は学科試験と実技試験が行われます。学科試験では4肢択一問題が、実技試験では記述式の事例問題が出題されます。なお実技試験は5つの業務領域から1つを選択受験します。また、学科・実技どちらか一方のみが合格(一部合格)の場合は、その試験日の翌々年度までは合格した方の試験は免除されます。
◆CFP
【CFP資格審査試験(CFP試験)】
・試験方式:マルチプルチョイス方式(四肢択一式)
・出題数:各課目(6課目)とも50問。配点は1問2点の均一配点(100点満点)
・試験時間:各2時間(120分)
・合格基準:各課目とも概ね60%以上の得点
※CFP資格審査試験は、全6課目の4肢択一問題で、6課目すべて合格する必要があります。但し課目合格制が採用されており、合格課目は原則として無期限に有効ですので、1課目ずつ合格を積み上げていくことも可能です。
尚、CFP試験全科目合格者はファイナンシャルプランニング技能士1級の学科試験が免除されます。
◇参考
【AFP登録審査試験/CFP登録審査試験】
CFP認定者、またはAFP認定者としての資格を喪失した方や、所定の登録期限内に登録申請を行わなかった方がAFP認定者として会員登録するための方法の1つで、日本FP協会が独自に行う審査で、FP技能検定やFP技能士との関連はありません。
(AFP登録審査試験)
・出題方式:マルチプルチョイス方式(四肢択一式)
・出題数:50問
・試験時間:90分
・合格基準:設問50問に対し、60%以上の正答をもって合格となります。
試験終了後、その場で合否が分かります。
※登録後
継続教育研修:登録後15単位(2年毎)
(CFP登録審査試験)
・出題方式:マルチプルチョイス方式(四肢択一式)
・出題数:各課目50問 配点は1問2点の均一配点(100点満点)
・試験時間:各2時間(120分)
※登録後
継続教育研修:30単位(2年毎) |
試験科目 | ◆AFP
【AFP認定研修】
学習科目は全部で8科目
・FP基礎
・金融資産運用設計
・不動産運用設計
・ライフプランニング/リタイアメントプランニング
・リスクと保険
・タックスプランニング
・相続/事業承継設計
・提案書の作成
参照 ➡FP学習ガイドのダウンロード
※FP技能検定の取得状況によって研修課程(基本課程と技能課程)が異なります。
◆CFP
【CFP資格審査試験(CFP試験)】
・金融資産運用設計
①実際のコンサルティング
②各国の経済指標や金融政策
③個別商品の内容や損益計算
④各種金融商品の税制 など
・不動産運用設計
①不動産の売買や、賃貸借ならびに有効活用に関する相談
②助言等を行うための調査、法令、価格
③税制等に関する基本的な知識 など
・ライフプランニング・リタイアメントプランニング
①社会保険の取扱い
②キャッシュフロー表の作成
③教育・住宅資金設計など基本的な知識や計算能力 など
・リスクと保険
①保険税務知識
②商品パンフレット
③保険証券や約款
④確定申告の書類
⑤必要保障額算出表
⑥統計データ
⑦コンサルティングスキル など
・タックスプランニング
①法人税
②所得税
③消費税
④その他の地方税の税額計算
⑤各種税務手続き
⑥財務諸表
⑦法人および個人の基本的な税金の仕組み など
・相続/事業承継設計
①相続税や贈与税の仕組み
②計算並びに申告と納税にあたっての知識
③相続財産の評価
④民法における相続の考え方
⑤事業承継 など
参照 ➡FP学習ガイドのダウンロード
(参考)
◇登録審査試験
【AFP登録審査試験】➡試験科目の細目
・学科試験
A:ライフプランニングと資金計画
B:リスク管理
C:金融資産運用
D:タックスプランニング
E:不動産
F:相続・事業承継
・実技試験
V:資産設計提案業務
【CFP登録審査試験】
・学科試験(試験課目は以下の6課目)
1.金融資産運用設計
2.不動産運用設計
3.ライフプランニング・リタイアメントプランニング
4.リスクと保険
5.タックスプランニング
6.相続・事業承継設計
※CFP資格取得のためには、CFP試験のすべての課目に合格しなければなりませんが、1課目ずつの受験及び合格が認められています。 |