資格試験の概要 | 「ファイナンシャル・プランニング技能士(FP技能士)」は、金融財政事情研究会(きんざい)と日本ファイナンシャル・プランナーズ協会(日本FP協会)が実施する国家資格です。
FP技能士の職務は、主に個人を対象に家計の収支や資産の状況、将来の収入の見通し、年齢や家族構成などのさまざまな要素を考慮して、効率的な資産運用プランの設計や相談を行うことで、個人の資産運用に関するスペシャリストです。そのため、金融関係や保険関係の仕事をしている人はもちろん、個人の資産運用について相談したい人にも役立つ資格です。
またFP技能士資格には、1級、2級、3級の3つの等級があります。1級は、資産運用の提案ができるスペシャリストとして、平成15年に国家資格化されました。
FP技能士の取得方法は、大きく分けて2つあります。1つはFP技能検定を受験して合格する方法と、もう1つは、日本FP協会が実施するAFP資格認定研修を修了して、AFP資格審査試験に合格する方法です。AFP資格審査試験は、2級FP技能検定と内容が同じなので、2級FP技能検定の受験資格で受験することができます。
FP技能士の資格を取得することで、個人の資産運用に関する知識とスキルを身につけることができます。試験の受験者には銀行や証券会社、保険会社などで働く人が肩書を付けたいがために受験している場合が多いようです。
スポンサーリンク
◆国家資格のFP技能士と民間資格のAFP・CFP
「ファイナンシャルプランナー(FP)」には、国家資格のFP技能士と民間資格の「AFP」と、その上位資格の「CFP」があります。
●国家資格のFP技能士
・金融財政事情研究会と日本FP協会が実施
・1級、2級、3級の3つの等級
・顧客の資産に応じた貯蓄・投資等のプランの立案・相談に必要な技能を有する
●民間資格のAFP
・日本FP協会が認定
・2級FP技能士と同等の資格
・金融・税制・不動産・保険・年金など、家計に関する幅広い知識を有する
●民間資格のCFP
・日本FP協会が認定
・世界標準のファイナンシャルプランナー資格
・AFPの資格取得後、さらに5年間の継続学習と実務経験を積み、AFP認定者審査に合格することで取得できる
◆FP技能士とAFPの取得方法
FP技能士とAFPの取得方法は、大きく分けて2つあります。
・FP技能検定を受験して合格する
・AFP認定研修を修了して、AFP資格審査試験に合格する
AFP資格審査試験は、2級FP技能検定と内容が同じなので、2級FP技能検定の受験資格で受験することができます。
◆FP技能士とAFPの役割の違い
FP技能士は個人の資産運用に関する相談やアドバイスを行うスペシャリストですが、AFPはFP技能士の資格を取得した後、さらに知識やスキルを身につけたFPです。またCFPは世界標準のFPとして、個人の資産運用に関する幅広い相談やアドバイスを行うことができます。
内容についてはこちらを参照して下さい。➡ファイナンシャルプランナー
【ファインナンシャル・プランナー資格】
・国家資格:FP技能士(1級・2級・3級)
・民間資格:CFP(1級FP技能士相当) AFP(2級FP技能士相当)
【主催者と試験種類】
◆「日本ファイナンシャルプランナー協会」が実施している試験は下記の4種類。
・AFP
・CFP(取得すればFP技能士1級の学科試験が免除される)
・FP技能士1級(実技のみ)
・FP技能士2級(AFP資格審査も兼ねる)
◆「金融財政事情研究会」が実施している試験は下記の3種類。
・FP技能士1級
・FP技能士2級(AFP資格審査も兼ねる)
・FP技能士3級 |
合格率・資格難易度 | ●難易度
3級 「D」 易しい
2級 「C」 やや易
1級 「B」 普通
・FP技能士 難易度ランキング
【資格の難易度レベル】
ファイナンシャルプランニング技能士(FP技能士)の難易度は、等級によって異なります。
3級の試験では、基礎的な知識が求められ試験形式は○×形式と3答択一。合格率は例年70~80%です。学習必要時間は、毎日2~3時間の独学で80~150時間(1~2か月)程度が必要です。2級では、試験形式が4答択一になり難易度が上がります。合格率は例年40~50%です。学習必要時間が独学では150~300時間(3~5か月)程度かかります。
1級では、2級よりさらに学科と技能の難易度が高く、特に学科の難易度が上がります。合格率は例年20~30%です。勉強時間は500~600時間、2級の倍程度の時間が必要です。またFP1級の試験では、法改正に関する問題も含めて毎年新しい問題が提出される傾向があります。勉強には毎日、新聞を読んで世の中の情勢を把握しておくことも大切です。
試験の合格基準は、学科試験は60点満点で60%の36点以上、実技試験は運営者によって合格基準点が異なります。日本FP協会では100点満点中60点以上、金融財政事情研究会が50点満点中30点以上です。
ファイナンシャルプランニング技能士は、平均的にどの級でも学科試験の方が難易度が高いのが特徴です。独学で取得する場合でも、ある程度の学習時間を確保すれば、比較的取得しやすい試験と言えるでしょう。
【FP技能士とファイナンシャルプランナー難易度比較】(目安)
FP1級≒CFP>FP2級≒AFP>FP3級
--------------------------------------------
●合格率
金融財政事情研究会(きんざい)と、日本ファイナンシャル・プランナーズ協会(日本FP協会)の2つの団体によって実施されているFP技能士1級~3級試験の「合格率の比較と推移」を参照ください。
【金融財政事情研究会】FP技能士
・2022年9月試験
1級試験結果
(学科)合格率12.3%(受験者数5347名 合格者数657名)
2級・3級試験結果
(2級学科)合格率15.8%(受験者数34,872名 合格者数5,495名)
(2級実技)合格率38.1%(受験者数23,392名 合格者数8,901名)
(3級学科)合格率43.4%(受験者数21,018名 合格者数9,125名)
(3級実技)合格率49.5%(受験者数21,819名 合格者数10,792名)
【日本FP協会】FP技能士
・2020年9月実施 FP技能検定1級試験結果 (資産設計提案業務)
(実技)合格率97.7%(受験者数523名 合格者数511名)
・2020年9月実施 FP技能検定2級・3級試験結果
(学科)合格率49.2%(受験者数25,117名 合格者数12,355名)
(実技)合格率57.4%(受験者数20,163名 合格者数11,567名)
(学科)合格率89.6%(受験者数31,247名 合格者数28,011名)
(実技)合格率88.0%(受験者数31,319名 合格者数27,574名)
・2019年9月実施 FP技能検定1級試験結果 (資産設計提案業務)
(実技)合格率93.0%(受験者数1,009名 合格者数938名)
・2019年9月実施 FP技能検定2級・3級試験結果
(学科)合格率43.4%(受験者数20,935名 合格者数9,090名)
(実技)合格率62.6%(受験者数17,258名 合格者数10.809名)
(学科)合格率78.1%(受験者数22,266名 合格者数17,388名)
(実技)合格率79.5%(受験者数20,332名 合格者数16,159名) |
受験対策・学習法ほか | FP技能士の効果的な資格取得方法は、過去問による勉強を早い時期から徹底的に繰り返して取り組むことです。学科試験問題は広く浅く出題されますが、基本的なことが主になっています。実技試験は特定の状況下で学科試験の知識を正しく使えるかを問う問題が主になります。また試験に多くの人が3級に合格してから2級に挑戦します。3級の試験勉強で学ぶ基礎知識は2級で出題される応用問題を解く際の重要な要素になるため2級は3級と並行して勉強できれば非常に効率的です。
FP資格にチャレンジを検討している方は、以下の点に留意すると良いと思います。①独学で十分合格が可能なので、過去問に早い時期から徹底的に繰り返して取り組むこと。
②2級と3級では出題範囲が異なるため、テキストや過去問題で理解を深めておく。③3級の試験勉強で学ぶ基礎知識は2級で出題される応用問題を解く際の重要な要素になりますので、できれば2級は3級と並行して勉強すると効率的です。
④銀行・証券・保険会社など仕事の現場では、資格の有無に関わらず最低でも2級レベルの知識は必要になります。一定の知識水準がある証として2級もしくは1級の取得を目標にする。
最近は自分の資産は自らで管理するという風潮になってきていますが、自分の判断で資産を効率的に運用するのは非常に難しくリスクも伴います。こういった状況の中では、FPの需要は今後ますます高まっていくと考えられます。
FP技能士は国家資格で取得すれば永久にその資格が失われることはありませんので、金融関係や保険業界の人はほとんどがFP資格の取得者です。金融系の業界に就職希望する人は取っておいても損はありませんが、宅建士などの資格を合わせて取得しておくと尚一層いいと思います。
スポンサーリンク
|
試験方式 | 【FP技能検定1級・2級・3級】
各級とも学科試験と実技試験で行われ、それぞれ合否判定が行われます。
2級・3級試験は試験日の午前に学科試験、午後に実技試験が行なわれ、同じ日に学科試験と実技試験を受検することができます。
※主催者によって実技試験の方式が異なるため、実技試験を決めて、それに合わせて「日本FP協会」又は「きんざい(金融財政事情研究会)」のどちらの試験を受けるかの選択をすることになります。
●1級
・学科試験
筆記試験(マークシート方式)四答択一式 50問
(記述式)5題 試験時間120分
・実技試験:(きんざい:面接形式)資産設計相談業務から口頭試問方式で2問出題
(FP協会:筆記試験)資産設計相談業務に関する記述式
※200点満点で120点以上が合格
●2級
・学科試験
筆記試験:マークシート方式 四答択一式60問
試験時間 学科試験120分
※60点満点で36点以上が合格
実技試験:筆記試験(記述式40問)
(FP協会:資産設計提案業務に関する出題)
(きんざい:個人資産相談業務、生保顧客資産相談業務、中小事業主資産相談業務、損保顧客資産相談業務から1つ選択)
試験時間 実技試験90分
※50点満点で30点以上が合格
●3級
・筆記試験:マークシート方式 三答択一式 60問
試験時間 学科試験120分
※60点満点で36点以上が合格
・実技試験:筆記試験(三答択一式20問)
(FP協会:資産設計提案業務に関する出題)
(きんざい:個人資産相談業務又は保険顧客資産相談業務からの選択方式)
試験時間 実技試験60分
※50点満点で30点以上が合格
◆免除制度:CFPの資格試験に合格している人は、1級FP技能士の学科試験が免除されます。 |
試験科目 | 国家検定のFP技能士の職種は7種類あり、「資産設計提案業務」の試験のみ日本ファイナンシャル・プランナーズ協会が実施し、他は金融財政事情研究会が実施します。
●学科 (1,2,3各級共通)
・ライフプランニングと資金計画 ・金融資産運用設計 ・タックスプランニング
・リスク管理 ・不動産 ・相続/事業承継設計
●実技(各級とも実技試験は選択科目方式になっており、申請の際に試験科目(業務)を選択します。
・1級
(日本FP協会)資産設計提案業務
(金財)資産相談業務
・2級
関連業法との関係及び職業上の倫理を踏まえたファイナンシャル・プランニング
ファイナンシャル・プランニングのプロセス
顧客のファイナンス状況の分析と評価
プランの検討・作成と提示業務
・3級
関連業法との関係及び職業上の倫理を踏まえたファイナンシャル・プランニング
顧客のニーズおよび問題点の把握
問題解決策の検討・分析 |
受験料 | きんざい(金融財政事情研究会)(非課税)
・3級FP技能士 学科試験4,000円 実技試験4,000円
・2級FP技能士 学科試験5,700円 実技試験6,000円
・1級FP技能士 学科試験8,900円 実技試験28,000円
日本FP協会(非課税)
・3級FP技能士 学科試験4,000円 実技試験4,000円
・2級FP技能士 学科試験5,700円 実技試験6,000円
・1級FP技能士 実技試験のみ20,000円 |