資格試験の概要 | 「宅地建物取引士(宅建士)」は、宅地や建物の売買・交換・貸借などの不動産取引に関する法律や知識を有し、公正な不動産取引を担う国家資格です。
宅地建物の取引において、売主・買主・貸主・借主などの双方が安心して取引できるよう、重要事項の説明や契約書の作成など、公正な取引を担うことを目的として創設されました。
宅建士は不動産取引に関する以下の3つの業務が「独占業務」に定められています。
1.物件に関する重要事項の説明
2.重要事項説明書への記名・押印
3.契約書への記名・押印
また不動産事務所を開設・営業する場合、従業員5人に対して1人以上はこの資格を持っていないと営業できないことが法で定められています。
また、宅建士資格を取得することで、以下のようなメリットがあります。
・不動産会社への就職・転職に有利
・不動産業界での給与や待遇がアップする可能性がある
・不動産に関する知識やスキルが身につく
この資格は、不動産業界で活躍するための第一歩となる資格です。不動産業界への就職・転職や、不動産に関する知識やスキルを身につけたい方におすすめです。
不動産適正取引推進機構のまとめによると、令和4年3月末時点における宅建士資格登録者数は1,144,567人で、前年比3.3%増加しています。
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宅建士試験に合格しても取引主任者(宅地建物取引士)としての業務(事務)を行うことはできません。宅建士試験の合格者が宅建取引主任者として登録されるには、本来は2年以上の実務経験が必要となりますが、「登録実務講習」を修了すれば、この2年以上の実務経験を有するものと認められ、実務経験なしに主任者登録が可能となります。この登録実務講習は、通信学習と2日間のスクーリング、そしてその最終日に行われる修了試験で構成されています。
宅建士資格は、資格としての有効期限はありませんが、業務を行う上での取引主任者証の有効期限は5年間です。5年ごとに法定講習(都道府県知事の指定した講習で、有効期限の満了の日の前6か月以内に行われるもの)及び取引主任者証の更新が必要です。 |
合格率・資格難易度 | ●難易度
「B-上」 普通の最上位
・宅地建物取引士 資格難易度ランキング
【資格の難易度レベル】
宅建試験では過去問に類似した問題が出題されることが多いことから効果的な受験対策が取りやすい、と言われますように、試験で頻出の基本事項を確実に押さえて、そこから知識を確実に習得するための学習を目指すことが効果的な受験対策になります。資格試験の合格率は、令和4年度は17.0%でした。過去10年間の合格率は、13.1~17.9%となっており、一般的には難易度のやや高い資格と言えます。宅建士試験の難易度は、以下の要素によって左右されます。
1.受験者の学習レベル
2.試験の出題傾向
3.試験問題の難易度レベル
受験者の学習レベルが低ければ、合格率は低くなります。また、試験の出題傾向や試験問題の難易度レベルによっても、合格率は変動します。
宅建士試験に合格するためには、200~300時間程度の学習が必要です。基礎知識のある人であれば、3~4ヵ月程度で合格を目指すことが可能です。基礎知識がない人でも、6ヵ月程度の学習で合格を目指すことが可能です。
宅地建物取引士は、難易度の高い資格ですが、独学でも予備校に通ってでも、どちらでも合格を目指すことは可能です。自分の学習レベルや時間、費用を考慮して、最適な学習方法を選択するのがいいと思います。
ただ、勉強する時間のない人や効率的に勉強をしたい方にはやはり予備校がお奨めです。特に初学者の場合は、試験に出ないところまで学習してしまうなど、勉強が非効率的になるきらいがありますので資格予備校の宅建講座の受講がほぼ必須と思ったほうがいいでしょう。
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●合格率
令和4年度宅建士試験結果
申込者数283,856名
(10月試験)
合格率17.0%(受験者数 226,048名 合格者数 38,525名)
※合格基準:50問中36問以上正解した者
(登録講習修了者は45問中31問以上正解した者)
・令和3年度宅建士試験結果 (10月と12月の合計)申込者数241,502名
(10月試験)
合格率17.9%(受験者数 209,749名 合格者数 37,579名)
※合格基準:50問中34問以上正解した者
(登録講習修了者は45問中29問以上正解した者)
(12月試験)
合格率15.6%(受験者数 24,965名 合格者数 3,892名)
※合格基準:50問中34問以上正解した者
(登録講習修了者の受験者はなし)
(10月+12月試験)合計
合格率17.7%(受験者数 234,714名 合格者数 41,471名)
・令和2年度宅建士試験結果 (10月と12月実施分の合計)
申込者数259,284名
合格率16.8%(受験者数 204,247名 合格者数 34,337名)
合格基準 50問中36問以上正解(登録講習修了者 45問中31問正解)
・令和元年度宅建士試験結果 申込者数265,444名
合格率17.0%(受験者数 220,797名 合格者数 37,481名)
・平成30年度宅建士試験結果 申込者数265,444名
合格率15.6%(受験者数 213,993名 合格者数 33,360名)
・平成29年度宅建士試験結果 申込者数258,511名
合格率15.6%( 受験者数 209,354名 合格者数 32,644名)
・平成28年度宅建士試験結果 申込者数245,742名
合格率 15.4%( 受験者数198,463名 合格者数30,589名) |
受験対策・学習法ほか | (1)宅建士試験に合格するためには、以下の5項目に関する知識が必要です。
1.不動産取引に関する法律
2.宅地建物取引業法
3.民法
4.宅地建物取引の専門用語
5.問題を解くための解法力
(2)宅建士試験の出題には、以下のような傾向があります。
出題科目は、「宅地建物取引関係法規」、「法令上の制限」、「宅地建物取引業法」の3つで、全50問のうち40問前後が出題されます。
出題形式は、マークシート方式で、4択問題がほとんどです。
出題範囲は、不動産取引に関する法律や知識が中心になっています。
(3) 上記(1),(2)の状況の中で、試験に合格するために必要な事は、
・出題傾向や試験問題の難易度を把握する
・必要な知識をしっかりと身につける
・過去問を繰り返し解いておく
・暗記科目が多いため、短期集中で効率的に勉強すること
宅建士試験の受験対策としては、
①独学の場合
独学で宅建士試験に合格することは可能ですが、かなりの時間と労力がかかるだけでなく、試験の出題傾向や試験問題の難易度を把握するのが難しいというデメリットがあります。どうしても独学で、という場合の注意点は、
・信頼のおける参考書と問題集を選ぶ
・過去問を繰り返し解いて出題傾向を把握する
・定期的に学習計画を立てて、計画的に勉強する
ということが必ず必要です。
②通信講座
通信講座を利用すれば、プロの講師からわかりやすい解説を受けることができます。また、過去問や模擬試験も充実しており、効率的に学習を進めることができます。通信講座で宅建士試験に合格を目指す場合の注意点は、
・講義をしっかりと理解すること
・過去問や模擬試験を繰り返し解いて、実践力を身につける
・わからないことはすぐに質問する
③通学スクール
スクールに通えば、プロの講師から直接指導を受けることができます。また、実践的な授業や模擬試験を受けることで、本番の試験に備えることができます。通学スクールで宅建士試験に合格を目指す場合の注意点は、
・授業に積極的に参加し、講師の指導をしっかりと受け止める
・過去問や模擬試験を繰り返し解いて、実践力を身につける
・わからないことはすぐに質問する
宅建士試験は民法が中心の試験内容であり、「宅地建物取引関係法規」、「法令上の制限」、「宅地建物取引業法」の 3つから全体の8割程度が出題されることがはっきりしていますので、この分野をしっかりと押さえることが重要です。試験の合格ラインはおよそ正解率7割以上なので、この3科目をマスターできればかなり合格に近づくことになります。ただ宅建の問題はとにかく量が多く、その中でも「民法」はとにかく覚えなければならない暗記問題と言えます。暗記問題の基本は「できるだけ試験直前に覚える」ことと「短期集中」が鉄則です。
宅建士資格を取得することで建築、不動産などの業界に転職する場合や就職する際には、有利になることは間違いありません。また、キャリアアップや給与アップが期待できることや不動産に関する専門知識を身につけることができることも大きなメリットになります。
さらに宅建士資格を有効に生かすために、上位の難関資格の司法書士や行政書士、マンション管理士、土地家屋調査士資格などと合わせて取得しておけば仕事の幅が大きく広がり、独立も夢ではなくなる可能性も出てきます。
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受験料 | ・受験料:8,200円(非課税)
※合格後手続き
・登録手数料:37,000円(受験した都道府県で登録)
本籍地の市町村発行の「身分証明書」と法務局で取得する「登記されていないことの証明書」
・登録実務講習:おおむね20,000円(宅建業の実務経験が2年未満の方)
登録実務講習を修了すれば資格登録が可能になります。
・宅地建物取引士証の交付申請手数料:4,500円 |