資格名

宅地建物取引士(略称:宅建士)

資格の種類

国家資格

主催

財団法人不動産適正取引推進機構

資格の概要

宅地建物取引業を営もうとする場合、国土交通大臣又は都道府県知事の免許を受ける必要があります。免許を受けるに当たり、その事務所その他国土交通省令で定める場所ごとに、事務所の規模、業務内容等を考慮して、国土交通省令で定める数の成年者である専任の取引主任者を置かなければならないとされています。また、宅地建物取引主任者は、宅地又は建物の売買、交換又は貸借の契約が成立するまでの間に、宅地建物取引業者の相手方に対して、重要事項の説明を行うなど、宅地建物の公正な取引が行うを目的として創設された資格です。業務は宅建主任者にしかできない独占業務です。すなわち、この資格を持った人には、「物件に関する重要事項の説明」、「重要事項説明書への記名と押印」、「契約書への記名と押印」という3つの業務が「独占業務」に定められています。

不動産事務所を開設・営業する場合、従業員5人に対して1人以上はこの資格を持っていないと営業できないことが法で定められています。民法が中心の試験内容であり、また受験資格も年齢、性別、学歴など特に定めがなく誰でも受験できることもあり、不動産業界の職種の人にだけでなく、異業種全般、または一般の主婦層などにも人気がある資格です。合格率がおおよそ15%強で、一般的には難易度の高い資格と言えます。この資格を取得することで建築、不動産などの業界に転職する場合や就職する際には、持っていると有利になるのは間違いない資格です。
不動産適正取引推進機構のまとめによると、令和2年度末時点における宅建主任者資格登録者数は1,099,632人で、前年比2.2%増加しています。

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宅建主任者試験の合格者が発表されると、それを受けて、毎年登録実務講習実施機関による登録実務講習が一斉に始まります。試験に合格しても、取引主任者(宅地建物取引士)としての業務(事務)を行うことはできません。宅建試験の合格者が宅建取引主任者として登録するには、2年以上の実務経験が必要となりますが、登録実務講習の修了者はこの2年以上の実務経験を有するものと認められ、実務経験なしに主任者登録が可能となります。
この登録実務講習は、通信学習と2日間のスクーリング、そしてその最終日に行われる修了試験でなっています。

◆宅建士関連ニュース 
●宅地建物取引士資格登録者で「公認 不動産コンサルティングマスター」 「ビル経営管理士」 「不動産証券化協会認定マスター」のいずれかに認定された者は、下記(1)~(3)の資格を有することになります。
(1)「不動産特定共同事業法」における「業務管理者」となる資格。
(2)「不動産投資顧問業登録規程」における「登録申請者」及び「重要な使用人」の知識についての審査基準を満たす資格。
(3)「金融商品取引法」における「不動産関連特定投資運用業」を行う場合の人的要件を満たす資格。
上記の3つの資格は、不動産特定共同事業法施行規則に基いて国土交通大臣に登録して実施する「登録証明事業」として運営されています。

試験方式

●解答: マークシート方式
●出題: 四肢択一式50問/試験時間 2時間。但し、登録講習修了者は45問。
(登録講習修了者は四肢択一式問題45問/1時間50分 科目の1.と5.が免除されます)
●合格基準:
年度により異なりますが、おおよそ50問中32問~37問以上正解した者(登録講習修了者はおおよそ45問中26問~32問以上正解した者)実施回により多少の変動があります。

登録講習
登録講習を受講するには宅地建物取引業に従事している方で、講習受講修了日まで有効な従業者証明書(勤務先発行)が必要です。受講の申込み時に従業者証明書のコピー又は証明書の提示が必要になります。
登録講習の登録講習機関一覧はこちら

受験資格

年齢・性別・学歴等の制限はありません。

試験科目

●宅地建物取引業に関する実用的な知識を有するかどうかを判定することに基準が置かれています。
 1.土地の形質、地積、地目及び種別並びに建物の形質、構造及び種別に関すること。
 2.土地及び建物についての権利及び権利の変動に関する法令に関すること。
 3.土地及び建物についての法令上の制限に関すること。
 4.宅地及び建物についての税に関する法令に関すること。
 5.宅地及び建物の需給に関する法令及び実務に関すること。
 6.宅地及び建物の価格の評定に関すること。
 7.宅地建物取引業法及び同法の関係法令に関すること。

●出題について
・試験問題は、大きく次の4項目より構成されています。
 1.権利関係  2.法令上の制限  3.宅地建物取引業法  4.その他法令
・出題法令の傾向(科目と出題法令)
 1.権利関係
  民法:11問/借地借家法:2問/区分所有法:1問/不動産登記法:1問
 2.法冷上の制限
  都市計画法:3問/建築基準法:3問/国土利用計画法:1問/農地法:1問
  土地区画整理法:1問/宅地造成等規則法:1問
 3.宅地建物取引業法
  宅地建物取引業法:16問
 4.その他法令
  税法/不当景品類及び不当表示防止法/住宅金融支援機構法/地価公示法 など

スケジュール

●願書配布:7月上旬から7月下旬(各都道府県の試験協力機関等で無料配布)
●願書受付:7月上旬から7月下旬(郵送) 7月上旬から7月中旬(インターネット)
●本試験: 10月第3日曜日 午後1時~3時
●合格発表:12月上旬

 
令和4年度宅地建物取引士試験日程
  試験は終了しました。

試験会場

・原則として居住している都道府県の指定された試験会場(受付時に指定) 
  全国の約200会場

受験料

・受験料:8,200円(非課税)

※合格後手続き
・登録手数料:37,000円(受験した都道府県で登録)
 本籍地の市町村発行の「身分証明書」と法務局で取得する「登記されていないことの証明書」
・登録実務講習:おおむね20,000円(宅建業の実務経験が2年未満の方)
 登録実務講習を修了すれば資格登録が可能になります。
・宅地建物取引士証の交付申請手数料:4,500円

資格難易度

難易度
  「B-上」    普通の最上位   

【資格の難易度レベル】
近年は合格率も16~17%台であまり変わりませんので、確実な知識を習得するための学習が必要となってきています。宅建試験では過去問に類似した問題が出題されることが多いことから、効果的な受験対策が取りやすい、と言われますが、試験で頻出の基本事項を確実に押さえて、そこから知識を確実に習得するための学習を目指すことが効果的な受験対策になるはずです。
試験突破には独学でも可能な難易度レベルですが、独学では特に初学者の場合、試験に出ないところまでも学習してしまうことになり、非効率になるきらいがあります。また、宅建の勉強には専門用語が多いため、専門知識がない人には、その専門用語の意味を理解することだけでも難易度が高くなり、時間を取られてしまいます。予備校に通うとプロの講師陣が揃っていますので、独学よりも時間をかけず、勉強のイメージ作りを手伝ってもらえます。勉強する時間のない人や効率的に勉強をしたい方にはやはり予備校がお奨めです。特に初学者の場合は資格予備校の宅建講座の受講がほぼ必須と思うべきでしょう。必要な学習時間は、200~300時間位です。
ただ、どうしても「独学」でなければならない人の勉強法は、参考書を読んで問題集(過去問や予想問題)を解く。そして、これを最低3回繰り返すこと。これを基本パターンとした勉強法がおすすめです。独学では「基本となる参考書を読む→問題を解く」という地味な作業を繰り返す以外にありません。また、その場合には、信頼のおける1冊の参考書と1冊の問題集を集中して隅々まで読んで覚えるくらいまで学習するという方法が良いと思います。時間がある人は、最初に過去問集で出題傾向をきちっと調べてから取り掛かると、さらに効果的な受験対策が組めます。決まった学習方法で繰り返し勉強が動き出すと、試験の難易度のハードルが下がってくるのを感じられるようになれば、合格が確実に近づいている証拠です。

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●合格率 
 令和4年度宅建取引士試験結果
    申込者数283,856名
   10月試験
  合格率17.0%(受験者数 226,048名  合格者数 38,525名)
  ※合格基準:50問中36問以上正解した者
       (登録講習修了者は45問中31問以上正解した者)

※参考データ
・令和3年度宅建取引士試験結果 (10月と12月の合計)申込者数241,502名
   10月試験
  合格率17.9%(受験者数 209,749名  合格者数 37,579名)
  ※合格基準:50問中34問以上正解した者
       (登録講習修了者は45問中29問以上正解した者)
   12月試験
  合格率15.6%(受験者数 24,965名  合格者数 3,892名)
    ※合格基準:50問中34問以上正解した者
       (登録講習修了者の受験者はなし)
  (10月+12月)合計
  合格率17.7%(受験者数 234,714名  合格者数 41,471名)
・令和2年度宅建取引士試験結果 (10月と12月実施分の合計)
    申込者数259,284名
  合格率16.8%(受験者数 204,247名  合格者数 34,337名)
  合格基準 50問中36問以上正解(登録講習修了者 45問中31問以上正解)
・令和元年度宅建取引士試験結果   申込者数265,444名
   合格率17.0%(受験者数 220,797名  合格者数 37,481名)
・平成30年度宅建取引士試験結果   申込者数265,444名
   合格率15.6%(受験者数 213,993名  合格者数 33,360名)
・平成29年度宅建取引士試験結果  申込者数258,511名
   合格率15.6%( 受験者数 209,354名  合格者数 32,644名)
・平成28年度宅建取引士試験結果  申込者数245,742名
   合格率 15.4%( 受験者数198,463名 合格者数30,589名)   

受験対策・資格の将来性

「宅建士」は不動産業業界に転職を考える人には人気の資格です。最近3年の宅建の合格率は16%~17%前後で安定していて、受験用参考書類も充実しているので独学でも対応可能です。早い人は1~2ヶ月の学習期間で合格しますが、平均的には学習期間5~8ヶ月位です。学習費用は8~15万円です。試験は50問を2時間で解かなければいけないため、難易度が高いと思った問題は飛ばし、先に進むのがコツです。宅地建物取引関係法規、法令上の制限、宅地建物取引業法の 3つから全50問のうち40問以上が出題されることがはっきりしていますので、この分野をしっかりと押さえることが大切です。試験の合格ラインはおよそ正解率7割以上です。つまり、この3科目をマスターできればかなり合格に近づいたといえます。ただ、この試験は決して難易度が低い資格試験ではありません。独学でもテキストと過去問や模擬問題集などで繰り返し学習することによって合格することは不可能ではありませんが、確実に一発合格を目指すのであれば計画的な勉強が必要です。
また宅建業で実務経験がある場合、登録を受けた教育機関が実施する登録講習を受講し、修了試験に合格することで、5問の免除を受けることができる制度があります。登録講習の内容は3ヶ月間の通信教育と2日間のスクーリングと修了試験だけなので、宅建業の方は可能であれば是非とも利用したい制度です。




個々の試験対策では、宅建の問題はとにかく量が多く、その中でも「民法」はとにかく覚えなければならない暗記問題と言えます。暗記問題の基本は「できるだけ直前に覚える」ことと「短期集中」が鉄則です。また「宅建業法」の問題は、法律が変わらない限り過去の問題が繰り返し出てくるため、ここは「過去問」に集中することで対策できます。

宅建は汎用性の高い知識を学習していくだけでなく、不動産鑑定士、マンション管理士、司法書士、行政書士、土地家屋調査士、ファイナンシャルプランナーなどの資格試験と、民法など試験科目が一部重なっていることもあって、宅建受験で勉強したことが活かせるため、宅建取得後にこれらの資格にチャレンジする方も多いようです。また同様に行政書士やFP、管理業務主任者などへステップアップしていく上での橋渡し的な試験としても役立ちます。上位の難関資格とのダブルライセンスを目指せば、さらに宅建資格を有効に生かせることも十分可能になります。ただ、その分受験生人気も根強く、合格への倍率も高めですが、ステップアップを図って他のライバルに1歩でも差をつけられれば確実に有利になります。ただ、この資格だけで独立する事はかなり厳しく、他の行政書士資格や税理士資格、土地家屋調査士資格などと合わせて取得し、仕事の幅を広げなければ独立はお奨めではありません。

宅建合格者の職業別割合は、不動産業24.6%、金融関係8.6%、建設関係13.4%、他業種22.3%、学生11.5%、主婦5.2%、その他14.4%。年齢も12歳から90歳まで幅広い層に渡っていますが、平均年齢は33歳前後。資格登録者数は約112.6万人です。高校生以上なら、学生でも取得できるので学生のうちに取得しておくとよいでしょう。人気、知名度共に高い資格なので就職には有利です。

【関連性が深い資格とダブルライセンスを目指せる理由】
・司法書士:不動産登記業務など、不動産の取引に精通していなければならないことなど。
・行政書士:宅建の受験で学習する「民法」の知識が生かせることや、実務で仕事の幅が広がる。 
・マンション管理士:管理業務主任者試験も同様に、民法など多くの試験科目が共通している。
・不動産鑑定士:短答式試験の行政法規の問題の約6割が宅建の知識で解答できる。

通信講座

2022年オリコン顧客満足度調査結果(宅建士 通信講座総合ランキング)
1位:宅建講座【資格の大原】
2位:東京リーガルマインドLECの宅建士講座
3位:資格の学校TAC<宅建>各種コース
4位:スタディングの宅建士講座
5位:フォーサイトの宅建通信講座

宅建士通信講座一覧

スクール

TACの「宅建士独学道場」
宅建 社会人講座【資格の大原】

宅建士通学講座一覧

過去問

直近3か年の宅建試験問題及び正解番号表
宅建士過去問集一覧

教材

宅建士試験対策教材一覧

【宅建士資格試験 おすすめ教材】
TAC出版の宅地建物取引士試験対策教材
LECの宅地建物取引士試験対策教材

関連情報ページ

【資格の難易度情報】
資格の難易度とランキング
ジャンル別資格の難易度ランキング

●試験関連情報
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●関連資格
司法書士
行政書士
マンション管理士
不動産鑑定士

問い合わせ先

(財)不動産適性取引推進機構  http://www.retio.or.jp/
 〒105-0001 東京都港区虎ノ門3-8-21 第33森ビル3F   TEL03(3435)8181
※都道府県ごとの問い合わせ先
    http://www.retio.or.jp/exam/summary01.html