資格名

行政書士

資格の種類

国家資格(業務独占)

主催者

総務省・行政書士試験研究センター

資格の概要

【資格の概要】
◆どんな資格?
行政書士は、官公署に提出する書類の作成や代理を行う国家資格です。業務は、主に書類作成代行ですが書類作成に関する相談や、行政法に関する業務も行います。
行政書士法に規定されている行政書士の業務の具体的な内容は主に以下の3つです。
 1.許認可申請書などの作成・代理
 2.契約書などの作成・代理
 3.遺言書や離婚協議書などの相談
平成20年1月9日の「行政書士法の一部を改正する法律」成立により、行政書士の業務も拡大しました。今までの業務以外に未開拓の分野も多く、その数は数千~数万種類あると言われいます。
◆資格を取得するには。
行政書士になるためには、主に3つの方法があります。
①行政書士試験を受験して合格することで行政書士資格が取得できます。これが最も一般的な方法です。
②公務員の特認制度を利用する方法で、国家公務員又は地方公務員として行政事務を経験した期間が通算して20年以上(高卒者については17年以上)になる人には、行政書士資格が与えられます。
③弁護士や弁理士、税理士や公認会計士などの資格を取得すると、自動的に行政書士資格も取得できます。
◆資格の将来性は?
近年、行政書士を取り巻く環境は大きく変化しています。特に、各種申請や手続き方法のインターネットによる簡略化は、行政書士の仕事内容に大きな影響を与えていますが、しかし、複雑な手続きは依然として存在するため、行政書士の仕事が完全になくなることはありません。例えば、許認可申請や相続手続など、高度な専門知識が求められる申請などは専門的な知識がないと現状では対応が難しいものです。
将来的に行政書士として活躍していくためには、
①特定の分野に特化するなど、さらに高度な専門性を身につけること
②反対に、広い業務をこなせるよう知識を広げることで、より多くの顧客に対応できるようになること
③行政書士と他の資格を組み合わせ、ダブルライセンスの取得で提供できるサービスの幅を広げること
等々、専門性を高め、顧客のニーズに合わせたサービスを提供することで、今後も十分に活躍できる将来性のある資格になるでしょう。




試験の合格率・難易度

【合格率】
◆合格ラインはどれくらい?
試験に合格するためには、以下の3つの条件をクリアしなければなりません。
①法令等科目で、244点満点中122点(50%)以上を取ること
②基礎知識科目で56点満点中24点(45%)以上を取ること
③さらに、全体で300点満点中180点(60%)以上を取ること
国家試験によっては合格基準をクリアした上で成績上位に入らねば合格できない試験もありますが、行政書士試験は条件を満たせば合格できます。
◆合格率の推移
令和4年度行政書士試験結果  合格率12.1% 
 受験者数47,850名 合格者数5,802名
令和3年度試験結果  合格率11.2% 
 受験者数47,870名 合格者数5,353名
 合格者平均得点 198点(前年度 195点)
令和2年度試験結果  合格率10.7% 
 受験者数41,681名 合格者数4,470名
 合格者平均得点 195点(前年度 196点)
令和元年度試験結果  合格率11.5% 
 受験者数39,821名 合格者数4,571名
平成30年度試験結果  合格率12.7% 
 受験者数30,105名 合格者数4,968名
平成29年度試験結果  合格率15.7%
 受験者数40,449名 合格者数6,360名
平成28年度試験結果  合格率9.95%
 受験者数41,053名 合格者数4,084名

【難易度】
◆難易度レベルは? 
  「A」  難関 
  行政書士の資格難易度ランキング

◆試験はどこが難しいか。
行政書士試験は合格率が例年10%前後と低く、その理由としては、次の3つが挙げられます。
  1.試験範囲が広い
  2.出題形式が多様
  3.科目合格制度がない
行政書士試験の試験範囲は広く、受験科目は全部で12科目あります。いずれも法律の専門知識を必要とするものであり、幅広い知識を身につけなければなりません。また、試験の出題形式は5肢択一式がメインですが、多岐選択式や記述式問題もあり、それぞれの出題形式に合わせた学習が必要になります。さらに、行政書士試験には科目合格制度がないため、毎年一発勝負で合格しなければならない難しさもあります。
試験内容以外で難しいのが出題形式による難しさです。2者択一式ではなく5択で順番に選択する形式になっていることが正解することを非常に難しくしています。
◆他の国家資格との難易度比較
 司法書士税理士社会保険労務士中小企業診断士>行政書士>宅地建物取引士FP2級

試験の内容・勉強法

【試験の内容】
◆どんな問題が出題されますか。
基本的には行政法、民法、商法、租税法、社会保険法、その他行政書士の業務に必要な知識を問う問題になりますが、法令等科目と一般知識等の科目の2つに分けると、法令等科目は、民法・行政法・憲法、行政書士に必要な法律知識。一般知識等科目は、政治・経済・社会などが出題されます。
◆どの科目が重要ですか。
試験の中で特に重要な科目としては、「行政法」と「民法」が挙げられます。行政法は、行政書士の業務において最も頻繁に扱う法律であり、配点も全体の3分の1以上と高いため、合格には必須の科目です。具体的には、行政手続法、情報公開法、個人情報保護法、行政不服審査法などの知識が問われます。また配点も全体の3分の1以上あり、行政法が出来なければ合格は無理でしょう。 民法も、行政書士の業務において非常に重要であり、配点も20点と高くなっています。具体的には、債権法、物権法、親族法、担保法などの知識が問われます。それ以外では、商法、租税法、社会保険法などの科目が挙げられます。

【勉強方法】
◆効率的な勉強法とは。
試験はここ数年の間に急速に難しくなりました、そのため甘い考えでは合格できません。難易度は高いですが、しっかりとした学習と対策をすれば合格は可能ですので、合格を目指す方は、以下の基本的な勉強法を効率的に進めることが大切であることを認識することです。
 (1)早めにスケジュールを立てて対策を始めること
 (2)自分に合った学習方法を選ぶこと
  ・基礎知識をしっかりと身につける
  ・過去問を解いて傾向を把握する
  ・実践的な演習を繰り返し、実力を積みあげる。
基礎知識をしっかりと身につけることで、試験問題を理解しやすくなります。次に過去問を解いて傾向を把握することで、試験によく出る問題や、出題形式を把握することができます。そして実践的な演習を積むことで、本番の試験で実力を発揮できるようになります。
 (3)モチベーションを維持すること
早めに対策を始めることで、余裕を持って学習を進めることができます。また、自分に合った学習方法を選ぶことで、効率よく学習を進めることができます。さらに、モチベーションを維持することで、継続して学習することができます。また、初学者でチャレンジされる方は、まずは過去問に触れてみて、本試験のレベルを知ることからはじめるのがいいでしょう。試験内容は非常に専門的なのに加えて、幅広い知識が求められるので、膨大な時間をかけて試験対策しなければならないことを知りましょう。

◆独学での突破は?
行政書士は以前は国家資格としては比較的取得しやすいものとして、法律や、行政、コンサルタント系では登竜門のような位置づけになっていました。しかし、最近は試験の難易度が一転、難化傾向を示しています。
今も独学での合格者はいますが、難易度が高く合格率も低いこともあって資格スクールを利用する人が多い試験でもあります。勉強する人が通学講座と通信講座、独学の3通りに分かれている典型的な試験例だと言われていますが、それぞれのメリット・デメリットがありますので、それをよく確認の上、どのやり方が自分に合った継続できる方法なのかを選ぶことが大切です。
・各勉強方法(通学、通信、独学)のメリットとデメリット
 通学講座
  メリット:専任講師による直接指導を受けられる。モチベーションを維持しやすい
  デメリット:時間と費用がかかる
 通信講座
  メリット:自分のペースで勉強できる、費用が通学講座より安い
  デメリット:モチベーションの維持が難しい
 独学
  メリット:費用が安い。自分の時間とぺースで勉強できる
  デメリット:モチベーションの維持が難しい、独自の学習計画を立てる必要がある
結局、通学講座や通信講座の場合は、合格のためのノウハウが詰まった勉強法であるため、特に予習する必要はなく、しっかりと十分復習することで力はつきますが、教材代が高く、期間1年くらいの講座で受講料が20万円くらいは必要になります。独学の場合は自分のペースで勉強ができますが「ポイント」をつかんだ勉強ができません。
しかし、それでも「独学で」という人は、試験が初めてに近い人の場合は、できるだけ試験合格だけに特化した教材を購入して勉強することが独学で突破する近道だと思います。ただ、科目合格制度がない試験なので、毎年一発勝負で合格しなければならないことも考えておかねばなりません。市販の適当な参考図書を使って独学で受かるほど甘い世界ではありません。全く初めての試験チャレンジャーが独学での場合は、おそらく数年の勉強は覚悟しなければならないでしょう。

◆勉強に必要な時間数は。
必要な学習時間の目安は700時間前後(500~1,000時間)です。少し知識がある人なら、毎日3時間勉強すれば4~5ヵ月程度です。どの勉強方法を選択しようとも、勉強の進め方は行政法と民法を中心に勉強する必要があります。さらに記述式問題の練習を数多くこなしておかねばなりません。試験範囲が広く出題形式が多様で対策が困難なことがこの試験の特徴で、出題は5肢択一式の問題がメインですが、多岐選択式や記述式問題もあり、それぞれの出題形式に合わせた学習も必要です。

◆ダブルライセンス取得には。
行政書士試験に合格した人には、次ににつなげる意味でも、ここで休まずにもう一息チャレンジしてほしい資格試験があります。行政書士試験に合格した人が開業を考える場合には、必須の「簿記」の習得です。できれば2級が欲しいところです。
また、行政書士とのダブルライセンスを狙いたい人には、司法書士や社会保険労務士、又は海事代理士、土地家屋調査士、宅建などが相性もよく、役立ちます。

試験日程

【試験の実施計画】
・試験日:毎年11月第2日曜日
・申込み期間:7月第2週に公示されます。
WEBによる申込みは顔写真の画像データと受験料支払いのための、本人名義のクレジットカードが必要です。
・申込方法:郵送(簡易書留)又はインターネット
・試験結果発表:例年1月(合格者の受験番号を当センター事務所の掲示板に掲示されます)
 公示後、受験者には全員に合否通知書が郵送されます。合格者には2月末日までに合格証が発送されます。

【次回の試験日程・申込期限】 
 令和6年度行政書士試験日程
(予定) 
試験日時:令和6年11月10日(日)午後1時~午後4時 
申込受付:郵送:令和6年7月29日(月)~8月30日(金)消印有効
     Web:令和6年7月29日(月)午前9時~8月27日(火)午後5時
合格発表:令和7年1月29日(水)   

受験資格

受験資格に制限はありません。誰でも受験できます。
・弁護士、弁理士、公認会計士、税理士の資格がある人は登録のみで行政書士になれます。
・また、国または地方公共団体の公務員として通算20年以上(高卒以上の場合は17年以上)行政事務に従事した人は無試験で資格が得られます。

試験会場

令和6年度試験会場:未定
(参考)
令和5年度試験会場(全国47都道府県)

受験費用

10,400円

試験方式

●「行政書士の業務に関し必要な法令等」
  出題数 :46問
  試験方式 :択一式と記述式(法令科目のみ)の組み合わせ
 ・記述式は、40字程度で記述するものが出題されます。
 ・法令は試験実施年の4月1日現在施行されている法令に準拠して出題されます。
●「行政書士の業務に関連する一般知識等」
  出題数 :14問
  試験方式 :択一式

●合格基準:下記の要件を全て満たした者が合格となります。 
 行政書士の業務に関し必要な法令等科目の得点が、満点の50%以上である者。
 行政書士の業務に関連する一般知識等科目の得点が、満点の40%以上である者。
 試験全体の得点が、満点の60%以上である者。
・合格基準については、問題の難易度を評価し、補正的措置が加えられることもあります。合格基準点は行政書士試験研究センターのホームページで公表されます。

試験科目

試験科目は2つです。
●「行政書士の業務に関し必要な法令等」
 (1)憲法
 (2)行政法
(行政法の一般的な法理論、行政手続法、行政不服審査法、行政事件訴訟法、国家賠償法及び地方自治法が中心)
 (3)民法
 (4)商法
 (5)基礎法学
●「行政書士の業務に関連する一般知識等」
 (1)政治・経済・社会
 (2)情報通信・個人情報保護、文章理解
他に、行政書士法、戸籍法、住民基本台帳法、労働法、税法等も一般知識として出題されうる、としています。
※身体機能に著しい障害がある人は、障害の状態により必要な措置(点字試験など)がとれる特例があります。

試験関連情報

・資格試験関連情報
◆平成26年12月行政書士法改正により「特定行政書士」が誕生しました。 ⇒「特定行政書士」
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問い合わせ先

行政書士試験研究センター http://gyosei-shiken.or.jp/
〒102-0082 東京都千代田区一番町25全国町村議員会館3F
TEL 03(3263)7000 (試験専用紹介ダイヤル)

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