試験の合格率・難易度 | 【合格率】
◆合格ラインはどれくらい?
試験に合格するためには、以下の3つの条件をクリアしなければなりません。
①法令等科目で、244点満点中122点(50%)以上を取ること
②基礎知識科目で56点満点中24点(45%)以上を取ること
③さらに、全体で300点満点中180点(60%)以上を取ること
国家試験によっては合格基準をクリアした上で成績上位に入らねば合格できない試験もありますが、行政書士試験は条件を満たせば合格できます。
◆合格率の推移
令和4年度行政書士試験結果 合格率12.1%
受験者数47,850名 合格者数5,802名
令和3年度試験結果 合格率11.2%
受験者数47,870名 合格者数5,353名
合格者平均得点 198点(前年度 195点)
令和2年度試験結果 合格率10.7%
受験者数41,681名 合格者数4,470名
合格者平均得点 195点(前年度 196点)
令和元年度試験結果 合格率11.5%
受験者数39,821名 合格者数4,571名
平成30年度試験結果 合格率12.7%
受験者数30,105名 合格者数4,968名
平成29年度試験結果 合格率15.7%
受験者数40,449名 合格者数6,360名
平成28年度試験結果 合格率9.95%
受験者数41,053名 合格者数4,084名
【難易度】
◆難易度レベルは?
「A」 難関
行政書士の資格難易度ランキング
◆試験はどこが難しいか。
行政書士試験は合格率が例年10%前後と低く、その理由としては、次の3つが挙げられます。
1.試験範囲が広い
2.出題形式が多様
3.科目合格制度がない
行政書士試験の試験範囲は広く、受験科目は全部で12科目あります。いずれも法律の専門知識を必要とするものであり、幅広い知識を身につけなければなりません。また、試験の出題形式は5肢択一式がメインですが、多岐選択式や記述式問題もあり、それぞれの出題形式に合わせた学習が必要になります。さらに、行政書士試験には科目合格制度がないため、毎年一発勝負で合格しなければならない難しさもあります。
試験内容以外で難しいのが出題形式による難しさです。2者択一式ではなく5択で順番に選択する形式になっていることが正解することを非常に難しくしています。
◆他の国家資格との難易度比較
司法書士>税理士>社会保険労務士>中小企業診断士>行政書士>宅地建物取引士>FP2級 |
試験の内容・勉強法 | 【試験の内容】
◆どんな問題が出題されますか。
基本的には行政法、民法、商法、租税法、社会保険法、その他行政書士の業務に必要な知識を問う問題になりますが、法令等科目と一般知識等の科目の2つに分けると、法令等科目は、民法・行政法・憲法、行政書士に必要な法律知識。一般知識等科目は、政治・経済・社会などが出題されます。
◆どの科目が重要ですか。
試験の中で特に重要な科目としては、「行政法」と「民法」が挙げられます。行政法は、行政書士の業務において最も頻繁に扱う法律であり、配点も全体の3分の1以上と高いため、合格には必須の科目です。具体的には、行政手続法、情報公開法、個人情報保護法、行政不服審査法などの知識が問われます。また配点も全体の3分の1以上あり、行政法が出来なければ合格は無理でしょう。 民法も、行政書士の業務において非常に重要であり、配点も20点と高くなっています。具体的には、債権法、物権法、親族法、担保法などの知識が問われます。それ以外では、商法、租税法、社会保険法などの科目が挙げられます。
【勉強方法】
◆効率的な勉強法とは。
試験はここ数年の間に急速に難しくなりました、そのため甘い考えでは合格できません。難易度は高いですが、しっかりとした学習と対策をすれば合格は可能ですので、合格を目指す方は、以下の基本的な勉強法を効率的に進めることが大切であることを認識することです。
(1)早めにスケジュールを立てて対策を始めること
(2)自分に合った学習方法を選ぶこと
・基礎知識をしっかりと身につける
・過去問を解いて傾向を把握する
・実践的な演習を繰り返し、実力を積みあげる。
基礎知識をしっかりと身につけることで、試験問題を理解しやすくなります。次に過去問を解いて傾向を把握することで、試験によく出る問題や、出題形式を把握することができます。そして実践的な演習を積むことで、本番の試験で実力を発揮できるようになります。
(3)モチベーションを維持すること
早めに対策を始めることで、余裕を持って学習を進めることができます。また、自分に合った学習方法を選ぶことで、効率よく学習を進めることができます。さらに、モチベーションを維持することで、継続して学習することができます。また、初学者でチャレンジされる方は、まずは過去問に触れてみて、本試験のレベルを知ることからはじめるのがいいでしょう。試験内容は非常に専門的なのに加えて、幅広い知識が求められるので、膨大な時間をかけて試験対策しなければならないことを知りましょう。
◆独学での突破は?
行政書士は以前は国家資格としては比較的取得しやすいものとして、法律や、行政、コンサルタント系では登竜門のような位置づけになっていました。しかし、最近は試験の難易度が一転、難化傾向を示しています。
今も独学での合格者はいますが、難易度が高く合格率も低いこともあって資格スクールを利用する人が多い試験でもあります。勉強する人が通学講座と通信講座、独学の3通りに分かれている典型的な試験例だと言われていますが、それぞれのメリット・デメリットがありますので、それをよく確認の上、どのやり方が自分に合った継続できる方法なのかを選ぶことが大切です。
・各勉強方法(通学、通信、独学)のメリットとデメリット
通学講座
メリット:専任講師による直接指導を受けられる。モチベーションを維持しやすい
デメリット:時間と費用がかかる
通信講座
メリット:自分のペースで勉強できる、費用が通学講座より安い
デメリット:モチベーションの維持が難しい
独学
メリット:費用が安い。自分の時間とぺースで勉強できる
デメリット:モチベーションの維持が難しい、独自の学習計画を立てる必要がある
結局、通学講座や通信講座の場合は、合格のためのノウハウが詰まった勉強法であるため、特に予習する必要はなく、しっかりと十分復習することで力はつきますが、教材代が高く、期間1年くらいの講座で受講料が20万円くらいは必要になります。独学の場合は自分のペースで勉強ができますが「ポイント」をつかんだ勉強ができません。
しかし、それでも「独学で」という人は、試験が初めてに近い人の場合は、できるだけ試験合格だけに特化した教材を購入して勉強することが独学で突破する近道だと思います。ただ、科目合格制度がない試験なので、毎年一発勝負で合格しなければならないことも考えておかねばなりません。市販の適当な参考図書を使って独学で受かるほど甘い世界ではありません。全く初めての試験チャレンジャーが独学での場合は、おそらく数年の勉強は覚悟しなければならないでしょう。
◆勉強に必要な時間数は。
必要な学習時間の目安は700時間前後(500~1,000時間)です。少し知識がある人なら、毎日3時間勉強すれば4~5ヵ月程度です。どの勉強方法を選択しようとも、勉強の進め方は行政法と民法を中心に勉強する必要があります。さらに記述式問題の練習を数多くこなしておかねばなりません。試験範囲が広く出題形式が多様で対策が困難なことがこの試験の特徴で、出題は5肢択一式の問題がメインですが、多岐選択式や記述式問題もあり、それぞれの出題形式に合わせた学習も必要です。
◆ダブルライセンス取得には。
行政書士試験に合格した人には、次ににつなげる意味でも、ここで休まずにもう一息チャレンジしてほしい資格試験があります。行政書士試験に合格した人が開業を考える場合には、必須の「簿記」の習得です。できれば2級が欲しいところです。
また、行政書士とのダブルライセンスを狙いたい人には、司法書士や社会保険労務士、又は海事代理士、土地家屋調査士、宅建などが相性もよく、役立ちます。 |