資格名

中小企業診断士

資格の種類

国家資格(名称独占資格)

主催者

経済産業省

資格の概要

【資格の概要】
◆どんな資格?
「中小企業診断士」は、企業の経営状態を総合的に診断し、改善、支援、教育まで幅広いコンサルティング業務を行います。一言でいえば、中小企業の経営課題に対応するための診断・助言を行う専門家です。業務内容は、経営診断,経営計画策定支援,経営改善支援,人材育成支援,マーケティング支援,販路開拓支援,資金調達支援など「現状分析を踏まえた企業の成長戦略のアドバイス」が主な業務となります。法律上の国家資格として、中小企業支援法に基づき、経済産業大臣が登録しますが、登録の更新要件として「新たな知識の補充」と、診断実務の従事」が求められます。

◆資格を取得するには。
中小企業診断士になるには、次の2通りの方法があります。但し、いずれの方法も中小企業診断士第1次試験、第2次試験は合格する必要があります。
(1)中小企業診断協会が実施する試験に合格し、実務補習を修了する。又は実務要件を満たす。
(2)中小企業診断士養成課程を修了する。
上記(1)の方法では、まず2日間かけて7科目ある1次試験に合格した後、筆記試験と口述試験の第2次試験に合格しなければなりません。ただ2次試験に合格しても、その時点で中小企業診断士を名乗ることはできません。次に、第2次試験合格後3年以内に実務補習(実際の企業に対して指導員の指示のもと経営診断・助言を行う)を15日以上受けるか、実務に15日以上従事することにより、中小企業診断士としての登録の申請を行うことができます。
必要書類を経済産業大臣に提出し、登録の通知を受け、晴れて中小企業診断士として活動ができます。
上記(2)の方法では、中小企業診断士養成課程(中小企業庁の示すガイドラインに基づいた「演習」と「実習」により構成されたカリキュラム)を修了すれば、2次試験および診断実習が免除されるという制度を利用する方法です。

◆取得することで得られるメリットとは。
中小企業診断士の資格を取得するメリットは、大きく3つあります。
(1)経営に関する幅広い知識とスキルを身につけることができること
多くの知識を習得できることで、中小企業の経営課題を多角的に分析し、解決策を導き出すことができるようになります。また、診断士として活動するだけでなく、企業経営者としてのキャリアアップにも役立ちます。
(2)中小企業診断士として独立開業することができること
中小企業診断士は、国家資格であり、登録すれば独立開業することができます。独立開業することで、自分の裁量で仕事を進めることができ、やりがいのある仕事をすることができます。
(3)転職に有利になること
中小企業の経営に関する専門知識を持っていることは、多くの企業にとって魅力的に映り、それが転職活動においても有利に働きます。

◆中小企業診断士の将来性は。
中小企業診断士は、公認会計士や税理士の資格保有者が併用して取得する資格でもありますので、ニーズが高く、食いっぱぐれのない資格の代表で、転職市場では貴重な存在です。
資格の将来性についても、近年「中小企業の経営課題の多様化」や「中小企業支援の強化」、「デジタル化の進展」などの理由によって中小企業診断士のニーズは、ますます高まっているため、経営に関する幅広い知識とスキルを身につけた専門家として、また中小企業の成長を支える存在として活躍が期待されています。

◆資格の更新登録は。
中小企業診断士は、5年ごとに登録の更新を行わなければなりません。登録を更新するためには、有効期間内に次の両方の要件を満たす必要があります。
①新たな知識の補充、②実務能力の維持、の両方の要件を満たす必要があります。
登録を更新するためには、5年間の有効期間内に①及び②の両方の要件を満たすことが必要です。
 ①新たな知識の補充要件:5年間で 5回以上、研修・講座を受講など。
 ②実務の従事要件:5年間で 30日以上、中小企業の経営支援業務に従事従事など。




試験の合格率・難易度

【合格率】
◆合格基準はどれくらい?
中小企業診断士試験は一次試験と二次試験があり、二次試験は筆記試験と口述試験の二つに区分けされます。
一次試験のマークシート試験、二次試験の筆記試験、口述試験の3つそれぞれに合格基準が設定されています。
(1)一次試験の合格基準
①総点数の 60% 以上であって、かつ1科目でも満点の40%未満のないことを基準とし、②試験委員会が相当と認めた得点比率 (従って7科目受験の場合は総得点420点以上かつ40点未満の科目をとらないことが合格の条件)
(2)二次試験(筆記試験)
①総得点の60%以上かつ②各科目で40点を下回るものがないもの。(科目数は4科目。科目合格制度はありません)
(3)二次試験(口述試験)
口述試験における評定が60% 以上であること。

◆合格率の推移
令和5年度中小企業診断士 試験結果
 一次試験結果 合格率 29.6% 受験者数 18,621人 合格者数 5,521人
 二次試験結果(筆記)合格率 18.9% 受験者数 8,241人 合格者数 1,555人
令和4年度 試験結果
 一次試験結果 合格率 28.9% 受験者数 17,345人 合格者数 5,019人
 二次試験結果(筆記)合格率 18.7% 受験者数 8,712人 合格者数 1,632人
令和3年度試験結果
 一次試験結果 合格率 36.4% 受験者数 16,057人 合格者数 5,839人
 二次試験結果(筆記)合格率 18.3% 受験者数 8,757人 合格者数 1,605人
令和2年度 試験結果
 一次試験結果 合格率 42.5% 受験者数 13,622人 合格者数 5,005人
 二次試験結果(筆記)合格率 18.4% 受験者数 6,388人 合格者数 1,174人
令和元年度 試験結果
 一次試験結果 合格率 30.2% 受験者数 14,691人 合格者数 4,444人
 二次試験結果(筆記)合格率 18.3% 受験者数 5,954人 合格者数 1,088人
平成30年度 試験結果
 一次試験結果 合格率 23.5% 受験者数 16,434人 合格者数 3,236人
 二次試験結果(筆記)合格率 18.8% 受験者数 4,812人 合格者数 906人
平成29年度 試験結果
 一次試験結果:合格率 21.7% 受験者数 14,343人 合格者数 3,106人
 二次試験(筆記)結果 合格率 19.4% 受験者数4,279人 合格者数830人
 二次試験(口述)結果 合格率 19.4% 受験者数4,279人 合格者数828人

【難易度】
◆難易度レベルは?
  「A」  難関  
  中小企業診断士 難易度ランキング

◆試験はどこが難しいか。
中小企業診断士試験の難しいところは、
①幅広い知識が必要なところ。
この試験の試験範囲は、経営学、財務・会計、民法ほか、多岐にわたるため、一つの分野だけでなく、複数の分野をバランス良く理解し、経営全般に関する幅広い知識が必要になります。
②思考力・分析力に、高い読解力と情報処理能力も必要なところ。
ただ知識を詰め込むだけでなく、与えられた事例を読み解き、論理的に思考し、適切な解決策を導き出すことや、難解な長文の読解力なども必要になります。
③合格率が低く、科目基準点があること。
中小企業診断士の1次試験には科目別の基準点が設けられています。7科目中6科目が満点でも1科目でも基準点に届かなければ不合格になります。また有知職者の受験生が多いことで合格率が低いことです。

◆合格に必要な学習時間数は?
一般的には、1次試験の合格に必要な勉強時間が、独学で約800~1,000時間、スクールに通って約600時間とされており、1次試験の独学での勉強時間は年換算で約1年となり、この学習時間は一般的な国家公務員試験の約2倍にあたります。また、さらに2次試験の合格に必要な勉強時間が、独学で約400時間、スクールに通って約300時間が必要とされています。

◆他試験との難易度比較
他の国家資格と合格率だけで比較すると、中小企業診断士の場合、司法試験や公認会計士試験に次いで高い難易度と言えますが、総合的な難易度比較では、一級建築士≧中小企業診断士>行政書士 と思われます。




試験の内容・勉強法

【試験の内容】
◆どんな問題が出題されますか?
1次試験は、知識を問うマークシート方式の試験で全体の試験の中では難易度が高いです。主に経営学や財政学、会計学などの科目に、情報処理や日商簿記1級レベルの会計の知識も必要になります。
2次試験は、記述式で実務能力を問う試験なので、知識だけでなく論理的思考力や分析力、表現力などが求められます。出題は事例問題が4問ですが、記述問題であるため1次試験の知識をベースに、さらに深い理解を深めねばならないため、1次試験に比べて相当難易度があがります。また口述試験では、事例分析や経営改善策の提案など、実践的な問題が出題されますので、必ず事前に時間をかけて読み返して準備しておかねばなりません。

◆合格のためには必ず習得が必要な知識とは、重要科目は。
合格可能性を高めるために習得が必要な知識や、特に重要な科目は以下の通りです。
・ 企業経営理論
中小企業経営に関する理論を問われますので、経営戦略、組織論、マーケティングなどの幅広い知識の習得が必要です。
・ 財務・会計
財務状況を分析し、経営改善に役立てるための知識が重要になりますので、貸借対照表、損益計算書、財務諸表分析など、基本的な知識を確実に理解しておかねばなりません。
 ・運営管理
 業務効率化や生産性を向上させるための知識が問われるため、品質管理、在庫管理、生産管理など、具体的な手法を理解しておくことが重要です。
 ・その他
上記3科目以外では、経営法務と情報システムなどが重要な科目になります。


【勉強方法】

◆効率的な勉強方法は。
1次試験対策は、最初の内は主に経営学や財政学、会計学、情報処理、会計の知識など、テキストで基本的な知識を身につけましょう。その後、過去問を解いて、自分の理解度をチェックします。苦手な分野は重点的に対策し、苦手科目をなくすことが大切です。また1次試験は出題範囲が広いため、過去問を解いて出題傾向を把握することも大切です。具体的には、過去問の分析により、頻出テーマと応用知識に絞った学習方法です。
勉強方法に関しては、テキストや問題集を使って独学という人もいますが、科目がかなり多岐にわたることやモチベーションの維持などの面から考えても、効率的に学習するためには予備校に通ったり、通信講座を受講したりする方がおすすめです。
2次試験は、論述問題では論理的にわかりやすく書く練習が必要です。口述試験では、事例分析や経営改善策の提案など、実践的な問題が出題されますので、必ず事前に時間をかけて読み返して準備しておかねばなりません。




試験日程

【試験の実施計画】
・試験実施
 1次試験:8月上旬の2日間
 2次試験
   筆記試験:10月下旬(1日間)   
   口述試験:翌年1月下旬(1日間)
・申込受付
  1次:4月下旬~5月下旬
  2次:8月下旬~9月中旬
・合格発表
  1次:9月上旬
  2次:翌年1月下旬


【次回の試験日程・申込期限】

令和6年度中小企業診断士試験日程
申込受付:4月25日(木)~5月29日(水)
1次試験 試験日:8月3日(土)・4日(日) 
2次試験 試験日:筆記 10月27日(日)
               口述 令和7年1月26日(日)

受験資格

・1次試験
 年齢・性別・学歴・職歴を問わず誰でも受験できます。
・2次試験
 1次試験合格者(1次試験合格の有効期間は2年)

試験会場

・1次試験
  札幌・仙台・東京・名古屋・大阪・広島・福岡・那覇
・2次試験
  札幌・仙台・東京・名古屋・大阪・広島・福岡

受験費用

・1次試験:14,500円(非課税)  
・2次試験:17,800円(非課税) 

その他にかかる費用
・実務補習の受講料:150,000円
理論政策研修:1回6,300円 (更新には5年間で5回必要)
・中小企業診断協会の年会費:約50,000円

 
 

試験方式

試験は、1次試験と2次試験で構成されています。
●1次試験
 多肢選択式(4肢または5肢択一)マークシート形式の筆記試験
【1日目】
 ・経済学・経済政策/60分
 ・財務・会計/60分
 ・企業経営理論/90分
 ・運営管理(オペレーション・マネジメント)/90分
【2日目】
 ・経営法務/60分
 ・経営情報システム/60分
 ・中小企業経営/中小企業政策/90分
※配点はすべて各100点
 ・合格基準
 第1次試験の合格基準は、総点数の60% 以上であって、かつ 1科目でも満点の 40%未満のないことを基準とし試験委員会が相当と認めた得点比率(絶対評価)。
※一部の科目に、他の試験合格者に対する免除措置があります。
※第1次試験の合格年度とその翌年度の2年間に限り第2次試験を受験することができます。

●2次試験 (1次合格者のみ)
・筆記試験(短答式・論文式)/各80分×4
 筆記試験の内容:中小企業の診断及び助言に関する実務の事例1~4
  ①組織(人事を含む)を中心とした経営の戦略及び管理に関する事例
  ②マーケティング・流通を中心とした経営の戦略及び管理に関する事例
  ③生産・技術を中心とした経営の戦略及び管理に関する事例
  ④財務・会計を中心とした経営の戦略及び管理に関する事例
・口述試験(口述試験は筆記試験合格者のみ)受験資格:第1次試験合格者
 口述試験の内容:
  中小企業の診断及び助言に関する能力について、個人ごとに面接10分
※配点は各100点
・合格基準
自分の成績だけでなく他の受験者の出来も結果に反映される相対評価の試験で、全体の上位約20%が合格となる。

【免除規定】
・以下に該当する者は1次試験の一部の科目が受験免除されます。

  1. 大学等の経済学の教授・助教授(通算3年以上)
  2. 経済学博士
  3. 公認会計士試験第ニ次試験において経済学を受験して合格した者。
  4. 不動産鑑定士、不動産鑑定士補
  5. 公認会計士、会計士補
  6. 税理士
  7. 税理士
  8. 技術士(情報工学部門登録者に限る)
  9. 以下の区分情報処理技術者試験合格者。
    ・ITストラテジスト
    ・システムアーキテクト
    ・応用情報技術者
    ・システム監査技術者
    ・プロジェクトマネージャ
    ・その他

試験科目

●1次試験
1日目 
 ①経済学・経済政策
 ②財務・会計
 ③企業経営理論
 ④運営管理(オペレーション・マネジメント)
2日目 
 ①経営法務
 ②経営情報システム
 ③中小企業経営・中小企業政策 
●2次試験:
・筆記試験:中小企業の診断及び助言に関する実務の事例1~4試験
・口述試験:中小企業の診断及び助言に関する能力
   (筆記試験の事例などをもとに、個人ごとに10分程度の面接)

【実務・実務補習】
・実務補習
・診断・助言業務
※2次試験合格後、3年以内に15日間または8日間×2回の実務補習を受ければ、中小企業診断士として登録することができます。2月に15日間コースと8日間コース、7月と8月にそれぞれ8日間コースが実施されています。

試験関連情報

●試験関連情報
中小企業診断士の2次試験は、1次試験合格後2年以内に合格しないと、また1次試験からやり直しになるリスクもあるため、2次試験を回避して「中小企業診断士養成課程」を受けるという方法もあります。
2次試験を2回受けても不合格だった場合などに利用できますが、この養成課程は受験資格もありますが、最短でも6ヶ月の学習が必要で、費用も高くなります(約350万円)。2次試験の合格に自信がない人などは検討してもいいと思います。 ➡ 中小企業診断士登録養成課程について   ➡ 登録養成課程実施機関

●関連資格
 公認会計士
 日商簿記検定
 ビジネス実務法務検定
 販売士(リテールマーケティング検定)
 ITパスポート
 ITコーディネータ

問い合わせ先

一般社団法人 中小企業診断協会
〒104-0061東京都中央区銀座1-14-11銀松ビル
TEL:03-3563-0851
FAX:03-3567-5927

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教材(テキスト・参考書)

中小企業診断士試験対策テキスト・参考書一覧

【中小企業診断士試験対策おすすめ教材】
中小企業診断士試験対策 売れ筋ランキング
TAC出版の中小企業診断士受験対策教材

教材(過去問・問題集)

中小企業診断士1次試験 過去問一覧
中小企業診断士試験 過去問一覧

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講座・スクール

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