資格の概要 | 「公認会計士」は法人の財務書類の監査、証明を一手に引き受ける、財務のスペシャリストです。その業務としては監査、財務、経理、税務など仕事内容は多岐にわたります。会計に関する助言、立案および経営戦略の提案などのコンサルティング業務も多くなっています。監査業務・税務業務・MAS(マネジメントアドバイザリーサービス=コンサルティング)業務が公認会計士の3大業務と言われますが、中でも企業の財務諸表に関する適正性を証明する監査業務は、公認会計士しか行えない独占業務です。高収入を狙える資格ですが超難関の国家資格です。司法試験、国家公務員総合職、不動産鑑定士と並ぶ超難関試験で、取得できれば一生ものであり、独立も可能です。※2022年11月末現在の公認会計士会員数は、34,620名です。
公認会計士になるには、短答式、論文式試験に合格してから補習所に3年通って実務補習を受ける必要があります。試験は「国家公務員試験総合職」「司法試験」と並ぶ超難関試験ですが人気は抜群です。試験合格後に実務補習のほか、2年以上の業務補助の後に修了考査に合格をすれば、公認会計士として登録することが可能となります。そこではじめて税理士、行政書士にもあわせて登録が可能になります。有資格者の約半数が4大監査法人といわれる大手監査法人に勤務しています。有資格者ならば優遇されることは間違いなしで、経済の国際化が進む中で有資格者不足といわれており、現在の3倍の5万人程度の公認会計士が必要とされていることもあり、公認会計士の活躍の場はますます広がることは間違いないでしょう。
(実務講習について)
実務補習の期間は原則3年間です。実務経験が2年以上ある人は、1年か2年に短縮することができます。講習の内容は、会計、監査、経営、税、コンピュータに関する理論及び実務、公認会計士の業務に関係する法規及び職業倫理についてです。講義やディスカッション、レポートなどがあります。
(参考)実務補習について
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資格難易度 | ●難易度
「S」 「超難関」
【資格の難易度レベル】
三大難関国家試験の一つ。試験制度が変わりましたが超難関試験であることは変わっていません。試験の難しさは司法試験や国家公務員総合職試験と並んでトップクラスで、計算能力と読解力が特に必要です。試験の合格率は新規で15%、旧合格者を含めると19%と大幅に上がりましたが、依然として資格試験としては超難関の部類に変わりはなく、独学はほぼ不可能という評価は変わりません。特に、公認会計士を志す受験者は有名大学の卒業者が多く、合格基準が相対評価である場合は受験者全体のレベルが高いので計画的で効率の良い勉強が必要となります。受験者の多くは専門学校を利用しています。合格者の平均年齢は26歳くらいで、平均3~5回の受験経験者が多いようです。数字や金額計算に弱い人には少し無理でしょう。ただ、数字に強いだけではなく、数字からその背景にある財務状況を分析できる力のある人に向いた試験です。
累計合格者数 約3.7万人(2018年末時点)。公認会計士の資格手当は平均で約20万円。高額の収入を得ることができるのも公認会計士の魅力の一つです。
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・合格率
令和3年公認会計士試験結果
願書提出者 14,192名
短答式試験答案提出 9,524名
短答式試験合格者 2,060名
論文式試験受験者 3,992名
最終合格者数 1,360名
合格率 9.6%(最終合格者数/願書提出者数)
※参考データ
・令和2年公認会計士試験結果
願書提出者 13,231名
短答式試験受験者 11,598名
短答式試験合格者 1,861名
論文式試験受験者 3,719名
最終合格者数 1,335名
合格率 10.1%(最終合格者数/願書提出者数)
・令和元年公認会計士試験結果
願書提出者 12,532名
短答式試験受験者 10,563名
短答式試験合格者 1,806名
論文式試験受験者 3,792名
最終合格者数 1,337名
合格率 10.7%(最終合格者数/願書提出者数)
・平成30年公認会計士試験結果
願書提出者 11,742名
短答式試験受験者 10,153名
短答式試験合格者 2,065名(第Ⅰ回合格者数1,090名)
論文式試験受験者 3,678名
最終合格者数 1,305名
合格率 11.1%(最終合格者数/願書提出者数) |
受験対策・資格の将来性 | 試験対策は短期間で合格するには、スクールなどで勉強することが効果的です。学習期間は早い人で2.5~3年、平均的には3.5~5年くらいになり、2次試験合格まで4年くらいは当たり前になっています。その後、1年間の実務補習、2年間の業務補助等が必要になります。必要な学習時間の目安は、少なくても3000~3500時間の学習期間が必要になります。スクールなどを利用した時の資格取得にかかる費用は、短答式の試験対策だけなら約25万円程度、短答式と論文式試験対策なら45万円前後です。
勉強方法は計算必要科目(財務会計論や管理会計論など)に関しては、同じ問題を繰り返して何回も解き、迅速でかつ正確に会計処理ができるようになっておくことが大事です、また主に電卓を使った計算が中心となるため、電卓の機能には慣れておかねばなりません。理論科目については、まずはテキスト等で知識をしっかりと頭にインプットし、どのくらい頭に刷り込まれたかを問題集で確認します。その時に間違っていたところや判断に迷った箇所は再度テキストで復習し、とにかく大事なことは正確に覚えることです。論文問題は基礎知識のほかに会計士業務への理解度が試される問題なので、事前に専門学校主催の模擬試験は最低限受験しておく必要があります。また、毎年、何らかの改正がある会計基準や関係法令には、そのチェックとフォローも重要です。
科目合格制が導入され、従来の試験制度に比べ、少しは勉強しやすい環境が整ってきたようですが、生涯有効の科目合格制を導入している税理士試験とは違い、公認会計士試験には2年間という条件付の有効期間が設けられているなどから、税理士試験のように長期的な計画で試験突破を狙うことはできないため、独学の適さない国家試験であると言えます。
◆公認会計士 修了考査について
公認会計士試験に合格した後、一定期間(1~3年)をかけて実務補習所というところに通い、実務補習を受けなければなりません。実務補習の目的は、日本公認会計士協会が主催する講義を受講し、実務を行ううえで必要となる会計・監査に関する知識を習得することです。実務補習の評価は単位制で、講義への出席や考査と言われる定期試験の得点により単位が付与されます。この修了考査は、実務補習で必要な単位数を取得した人のみが受験することのできる試験で、これに合格することが公認会計士になるための最後の要件となります。修了考査は、公認会計士試験に合格した年の3年後の12月に受験することになります。
修了考査の試験科目は、以下の4科目でこれを2日間で受検します。
・会計に関する理論および実務(3時間)
・監査に関する理論および実務(3時間)
・税に関する理論および実務(3時間)
・経営に関する理論および実務(2時間)
※コンピューターに関する理論含む
試験の難易度は、本試験ほどは高くありません。2020年度の修了考査では 受験者数1,936名 合格者数959名で合格率は49.5%でした。2019年も合格率が50%を切っており、ここ2年ほど合格率が低迷しています。 |