資格名

裁判官、検察官又は弁護士
 試験名:司法試験

資格の種類

国家資格

主催者

法務省

資格試験の概要

司法試験は裁判官・検察官・弁護士になるために必要な学識、およびその応用能力を判定することを目的とする国家試験。合格すれば司法修習生となる資格を得ることができます。
平成23年(2011)からは司法試験予備試験が実施され、その合格者には司法試験の受験資格が与えられるようになりました。
以前は試験合格率3%とも言われ、非常に狭き門であったのですが、新制度の導入により、令和元年(2019)以降の合格率は30%を越えるようになり、昔よりはずいぶん広き門となっています。
法科大学院を修了しなくても、2011年から始まった予備試験を通過すれば受験資格を得られますが、
ただ予備試験はあくまで例外的措置であるため、やはり司法試験を受ける場合には法科大学院を修了するのが王道パターンと言えます。しかし、年間20~30%程度の合格率の為に多額の費用と貴重な時間を費やし、ようやく弁護士になってもメシが食べられないようでは、法科大学院の人気低下はますます拍車がかかります。
そんな中で注目されているのが、予備試験からの合格狙いです。これは法科大学院修了と同等の知識があるかどうかをはかる国家試験で、合格すれば司法試験の受験資格が得られます。これなら大学在学中に予備試験合格を果たせば司法試験受験資格が得られ、その上、合格率が法科大学院卒よりも良いのです。2021年の試験結果を見ても、司法試験合格者1,421人のうち374人(前年比4人増)が予備試験組からの合格者となっているのです。こういった状況が続くと、今後はさらに法科大学院卒は予備試験組との競争が激化すると思われ、合格上位の法科大学院だけが残るのではと予想されます。

(注)当サイトでは、本番の司法試験より「司法試験予備試験」の方が難易度が高いという評価をしています。その理由は、予備試験は、短答・論文・口述と3次まで試験がある上に、試験科目に一般教養が含まれるなど、司法試験よりも範囲がかなり広いです。また、それにもかかわらず、合格率が司法試験に比べて極端に低い結果が出ています。直近の2021年の結果を見ても、受験者ベースで司法試験の最終合格率が41.5%だったの対し、予備試験の合格率は4.2%で、実に9.9倍の開きがありました。この状況から司法試験よりも予備試験のほうが難易度が高い、と判断できます。
  ⇒「司法試験予備試験」に関する情報はこちらを参照下さい。


合格率・資格難易度

難易度
   「S」 超難関
  

【資格の難易度レベル】
ロースクールができても難しいことは変わらず、司法試験は今も間違いなく最高ランクの試験です。もし、目指そうとするのであれば、それなりの覚悟が必要になります。毎日、家や予備校の自習室に通って何年も勉強し続けなければ合格できないのが普通です。試験では憲法、行政法、民法、民事訴訟法、商法、刑法、刑事訴訟法をはじめ、幅広い法律知識が出題されます。知識を暗記する力だけでなく、論理的思考力や分析力も必要とされます。
ただ試験合格のための何か特別な方法があるわけではなく、基本書と過去問の繰り返しです。  論文試験も解答に細かく詳しい特別な内容が要求されているわけではなく、一般的な教科書に載っているレベルの内容でいいのですが、ただ「論文」試験は「論ずる」必要があり、自己の見解とその根拠が必要になります。
この試験の合格のポイントは論文試験の突破です。暗記だけでは対応できない試験なので、過去問の分析・研究と、理解や表現の学習が重要になります。出題範囲が膨大なため条文や答案表現の暗記では対応はできませんので、暗記より理解と表現の学習に力を注がねばなりません。

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●合格率 
・令和4年 司法試験結果 
   出願者数3,367名 
 受験者数3,082名  採点対象者数3,060名
 短答式合格者数2,494名(合格率80.92%)
 最終合格者数1,403名(最終合格率45.50%)

※参考データ
・令和3年 司法試験最終結果
 出願者数3,754名  
 受験者数3,424名  採点対象者数3,392名
 短答式合格者数2,672名(合格率78.04%)
 最終合格者数1,421名(最終合格率41.50%)
法科大学院課程修了の資格に基づく最終合格者は1,047名(73.7%)
司法試験予備試験合格の資格に基づく最終合格者は374名(26.3%)
・令和2年 司法試験最終結果
 出願者数4,226名  受験予定者数4,100名
 受験者数3,703名  採点対象者数3,664名
 短答式合格者数2,793名(合格率75.42%)
 最終合格者数1,450名(最終合格率39.16%)
・令和元年 司法試験最終結果
 出願者数4,930名  受験予定者数4,899名
 受験者数4,466名  採点対象者数4,429名
 短答式合格者数3,287名(合格率73.60%)
 最終合格者数1,502名(最終合格率33.63%)
・平成30年 司法試験最終結果
 出願者数5,811名  受験予定者数5,726名
 受験者数5,238名  採点対象者数 5,200名
 短答式合格者数3,669名(合格率70.05%)
 最終合格者数1,525名(最終合格率29.11%)
・平成29年 司法試験最終結果
 出願者数6,716名  受験予定者数6,624名
 受験者数5,967名  採点対象者数 5,929名
 短答式合格者数3,937名(合格率65.98%)
 最終合格者数1,543名(最終合格率25.86%)

受験対策・学習法ほか

【短答試験】
短答試験では判例等の知識が問われますが、論述試験ではロジックが問われます。判例が採用する規範を用いて、判例の規範を示しつつ、それを批判したり、また射程が及ばないことを指摘したりすることで、自己の見解とその根拠につなげられると高得点につながりやすいといわれています。判例の規範にのるにしてもその根拠を示す必要があるわけです。判例が根拠を示していないときには、判例に賛成する学説の根拠を借用したり自分なりの根拠をひねり出したりして、根拠を示すことになります。判例が確立しているかどうかは関係なく、判例の見解を自己の見解とするときは根拠が必要になります。結局、短答式試験は、制限時間内にいかに早く正確に問題を解くかがカギとなります。条文と判例の知識が問われるので、暗記力の勝負です。

【論文試験】
論文式試験は、事例文(A4用紙2~4枚程度)を読んで、設問に答える形式ですが、これは暗記だけでは対応できません。出題されるのは教科書などには全く載っていない架空の事例についてなので、その場で自分の法律の知識を組み合わせて、論文を書かなければなりません。必要なのは文章力だけでなく、事例に登場する依頼者の視点に立つことも、場合によっては必要になることがあります。論文試験は現場での思考力を問う試験であるため、試験用の六法全書を参照しながら答案を作成することが認めらています。尚、短答式試験は絶対的評価(各科目とも満点の40%以上が必要で、総合で満点の60%以上が必要)により合否が決せられ、論文式試験においても最低必要点が設定されていますので1科目でも満点の25%に満たない場合には不合格となります。合格者の決定は、短答式試験の合格者の中から論文式試験のみで不合格となった者を除外した上で、短答式試験の成績と論文式試験の成績を総合評価して行われます。短答式試験と論文式試験の比重は1:4とし、判定に当たっては論文式の素点に1.75倍したものに短答式の素点を加算して判定されます。



長期間の学習が必要な試験なので資格取得のためにはどうしても費用が伴います。法科大学院ルートの場合は、入学するために予備校を利用すると仮定すれば約20~60万円、さらに法科大学院の学費に約200~500万円が必要になります。一方、予備試験ルートの場合には、予備校の授業料が約40~100万円くらい必要になります。学習期間は法科大学院ルートの場合は入試準備に1~2年、入学から卒業までに2~3年、その後2回目の司法試験で合格できるとすれば合計5~6年です。予備試験ルートの場合は予備試験合格まで2~4年、その後の司法試験を1回で合格できるとすれば合計3~5年程度の学習期間になります。

司法試験合格後は、司法研修所に入所し、少なくても1年間の司法修習修了後の試験に合格して初めて有資格者になれます。その後、裁判官志望者は判事補に、検察官志望者は検事に、弁護士志望者は弁護士の道へと進みます。裁判官と検察官は国家公務員で、最高裁や法務省という組織の中で仕事をしますので転勤や定年もありますが、給与は安定し身分も保証されます。一方、弁護士は民間人で自由業なので、新人の場合は先輩の事務所等で見習いを行う勤務弁護士から始めることが多くなります。弁護士の採用に積極的な業界は金融機関や商社、不動産関連、IT企業などです。

将来性の面では、法律的なトラブルやビジネス関連のニーズは今後もなくなることはなく、長期的にみて生き残っていける仕事であることは間違いありません。企業内弁護士は増加傾向が続いており、ビジネス関連の案件を扱う弁護士の場合は法律的なサポートは好景気でも不景気でも求められるため、将来的に大きな不況が来たとしても生き抜いていけるのは弁護士の強みと言えます。法を駆使して社会正義の実現や紛争の解決など、社会貢献につながる仕事ができる点がこの資格の一番の魅力と言えます。

受験資格

法科大学院課程を修了することが必須条件ですが、法科大学院を修了していない者は予備試験を受験して司法試験の受験資格を得ることになります。

●受験時において、法科大学院課程を修了している者
●司法試験予備試験の合格者
※受験資格を取得した日後の最初の4月1日から5年を経過するまでの期間、受験することができます。

試験方式

司法試験は短答式による筆記試験(短答式試験)及び論文式による筆記試験(論文式試験)で構成されます。短答式試験で一定の得点(満点の6割程度)を取らなければ、論文式試験は採点されません。

【論文式試験】
(専門的な法律の分野に関する科目として法務省令で定める科目のうち受験者のあらかじめ選択する1科目)
  ・選択科目(3時間)
  ・公法系科目(2時間×2)
  ・民事系科目(2時間×3)
  ・刑事系科目(2時間×2)
【短答式試験】
 ・憲法(2時間30分)
 ・民法(1時間30分)
 ・刑法(1時間30分)

試験科目

【論文式】
裁判官、検察官、または弁護士になろうとする者に必要な専門的な学識、法的な分析、構成及び論述の能力の判定
 ・選択科目
専門的な法律の分野に関する科目として法務省令で定める以下の8科目のうち受験者のあらかじめ選択する1科目
※倒産法、租税法、経済法、知的財産法、労働法、環境法、国際関係法(公法系)、国際関係法(私法系)の8科目のうち受験者のあらかじめ選択する1科目
 ・公法系科目:憲法、行政法に関する分野の科目
 ・民事系科目:民法、商法、民事訴訟法に関する分野の科目
 ・刑事系科目:刑法、刑事訴訟法に関する分野の科目

【短答式】
裁判官、検察官、または弁護士になろうとする者に必要な専門的な法律知識及び法的な推論の能力の判定
 ・憲法
 ・民法
 ・刑法

スケジュール

・申込受付:11月中旬頃~12月上旬頃
試験日:5月中旬の4日間
  短答式試験:5月中旬(1日)    
  論文式試験:5月中旬の3日間
・合格発表
  短答式試験:6月上旬
  論文式試験:9月上旬

   
 令和5年司法試験日程    
   (参考)
  令和5年司法試験予備試験に関する事項

試験会場

札幌市、仙台市、東京都、名古屋市、大阪市、広島市、福岡市又はその周辺

 

受験料

・28,000円(収入印紙)

問い合わせ先

・司法試験委員会(法務省内)http://www.moj.go.jp/
〒100-8977 東京都千代田区霞が関1-1-1 法務省大臣官房人事課 新司法試験係
TEL:03-3580-4111(代表)

・法務省大臣官房人事課 司法試験係(司法試験予備試験係) 03-3580-4111(代)

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