資格試験の概要 | 税理士資格は、税務に関する専門家としての知識と能力を有することを証明する国家資格です。税理士は、税務代理、税務書類の作成、税務相談の3つの独占業務を行うことができます。また、会計業務や訴訟の補佐人業務など、会計・法律の専門家としての付随業務も行うことができます。
●税理士の業務
税理士の主な業務は、以下のとおりです。
・各種税金の申告・申請・税務書類の作成・税務相談・税に関する不服申立て
・会計業務・訴訟の補佐人業務
●税理士になるための条件
税理士になるためには、以下のいずれかの条件を満たす必要があります。
・税理士試験に合格し、2年以上の租税または会計事務の経験を積む
・税理士法第6条に定める試験科目の全部について、税理士試験を免除された後、2年以上の租税または会計事務の経験を積む
・弁護士または公認会計士の資格を有する
・税務署に23年以上勤務した
税理士資格は、税務に関する専門家として活躍できる国家資格です。税理士になるためには、税理士試験に合格し、2年以上の租税または会計事務の経験を積む必要があります。
◆税理士試験の改正点について
税理士試験は、2022年度の税制改正で受験資格が緩和され、2023年度の税理士試験から高校生でも受けられることになり、受験できる人が大幅に増えました。
・改正ポイント1:会計科目の受験資格が撤廃されました。
・改正ポイント2:税法科目の受験資格が一部ゆるくなりました。
※詳しくは「受験資格欄」を参照ください。
【まとめ】令和5年度の税理士試験(第73回)以降は、
①会計学に属する試験科目(簿記論・財務諸表論)については、
受験資格の制限がなくなり、誰でも受験が可能となります。
②税法に属する試験科目(所得税法、法人税法、相続税法、消費税法又は酒税法、国税徴収法、住民税又は事業税、固定資産税)については、
受験資格欄に掲げたとおり、学識、資格、職歴といった様々な分野の受験資格を定めており、いずれか一つの要件を満たせば、受験資格を有することになります。
詳しい内容➡ 国税庁公式サイト「主な受験資格」 |
合格率・資格難易度 | ●難易度
「A」 難関
・税理士試験の難易度ランキング
【資格の難易度レベル】
税理士試験は、会計学と税法の2分野から、5科目すべてに合格することで初めて合格となる科目合格制を採用しています。そのため、税理士試験は5科目すべてに合格する必要があるため、難易度は非常に高いです。司法書士、弁理士、不動産鑑定士と並ぶ難易度と言われています。また、中小企業診断士や社会保険労務士、行政書士などと学習時間で比較しても、税理士とは合格までにかかる時間に相当な差があることから、難易度にも大きな差があることが分かります。
税理士試験の1科目の難易度だけでも、難易度A~Bクラスの試験ばかりです。そのため、税理士試験は、宅建や行政書士レベルの試験を5つ合格すると取得できる資格試験とも言えます。合格率は、近年は10%前後で推移し、合格までにかかる年数も、平均して5年程度とされています。
このように税理士試験は難易度が高い資格試験ですが、試験科目合格制なので、1日3~4時間程度、毎日コツコツ勉強して頑張れば合格するチャンスは十分あります。学習期間は、早い人で2.5~3年、一般的には年に1~2科目を突破して合計で3年以上かかります。5科目一括合格者はほとんどいないのが実状です。
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●合格率
令和3年度第71回 税理士試験結果
合格率 18.8%(一部科目合格者含む)
受験者数27,299名 合格者数5,139名
一部科目合格者は4,554名
合格科目が5科目に達し税理士資格を取得した人は585名でした。
・令和2年度第70回 税理士試験結果
合格率 20.3%(一部科目合格者含む)
受験者数26,673名 合格者数5,402名
一部科目合格者は4,754名
合格科目が5科目に達し税理士資格を取得した人は648名でした。
・令和元年度第69回 税理士試験結果
合格率 18.1%(一部科目合格者含む)
受験者数29,779名 合格者数5,388名
一部科目合格者は4,639名
合格科目が5科目に達し税理士資格を取得した人は749名でした。
・平成30年度第68回 税理士試験結果
合格率 15.3%(一部科目合格者含む)
受験者数30,850名 合格者数4,716名
一部科目合格者は4,044名、
合格科目が5科目に達し税理士資格を取得した人は672名でした。
・平成29年度第67回 税理士試験結果
合格率 20.1%(一部科目合格者含む)
受験者数32,974名 合格者数6,634名
一部科目合格者は5,839名、
合格科目が5科目に達し税理士資格を取得した人は795名でした。
・平成28年度第66回 税理士試験結果
合格率 15.8%(一部科目合格者含む)
受験者数35,589名 合格者数5,638名
一部科目合格者は4,882名、
合格科目が5科目に達し税理士資格を取得した人は756名でした。 |
受験対策・学習法ほか | 税理士試験は、会計学と税法の2分野から、5科目すべてに合格することで初めて合格となる科目合格制を採用しています。そのことから、税理士試験の受験対策は、専門学校や資格スクール、通信講座を利用する人が多く、独学で合格することは可能ですが、難易度的に非常に難しいと言えます。また、合格できなかった時の学習時間のリスクを考えると、予備校の通信講座か通学講座を選択するのが無難だと思われます。ただ、「どうしても独学で突破を」と思われる方には、以下の4項目を理解しておくことが大切です。
①まず独学のためのしっかりとした学習計画を立てること
②基礎をしっかりと身につけること
③過去問を徹底的に解くこと
④モチベーションを維持すること
きわめて当たり前のことばかりですが、決めた事を最後まで続けられなかったため目標が達成できなかったという失敗例が一番多いのです。全5科目を合格するための学習期間3~4年、学習時間3,500時間~4,000時間を継続するということは、想像以上に大変なことなのです。
科目合格制を利用して、数年計画で資格取得を目指す社会人受験者が多く、スクールや通信講座では専門講座で合格に必要な論点だけを徹底して学習するカリキュラムで勉強する受験者が大半です。さらに、合格者のほとんどは、大手の税理士学校に通って勉強をし、最終合格しています。
通信講座か通学スクールか、という問題に関しては、合格率が高いのは通学であることは間違いありませんが、通学の場合は超ハードスケジュールは避けられず、税理士試験学習漬けの毎日になる事を覚悟しなければなりません。
税理士の資格取得のメリットとしては、
・税務に関する専門家として活躍できる
・独立開業や企業への就職・転職の可能性が高まる
・給与や待遇がアップにつながる などが考えられます。
また、税理士の将来性については、少子高齢化の進展に伴い、企業や個人の税務に関する相談や処理の需要は高まることが予想されます。また、税制の複雑化・多様化に伴い、税務に関する知識・スキルがより求められるようになるでしょう。但し、人工知能(AI)の進展により、税務業務の一部が自動化される可能性もあります。しかし、AIが代替できない税務業務も多く、税理士の需要は依然として高くなると考えられます。 |
受験資格 | 令和5年度の税理士試験(第73回)以降は、
①会計学に属する試験科目(簿記論・財務諸表論)については、受験資格の制限がなくなり、誰でも受験が可能となります。
②税法に属する試験科目(所得税法、法人税法、相続税法、消費税法又は酒税法、国税徴収法、住民税又は事業税、固定資産税)については、下記の掲載とおり、学識、資格、職歴といった様々な分野の受験資格を定めており、いずれか一つの要件を満たせば、受験資格を有することになります。
◆令和5年度試験以降の受験資格
(学識による受験資格)
1.大学、短大又は高等専門学校を卒業した者で、「社会科学」に属する科目を 1 科目以上履修した者
2.大学 3 年次以上の学生で「社会科学」に属する科目を含め 62 単位以上を取得した者
3.専修学校の専門課程(修業年限が2年以上かつ課程の修了に必要な総授業時数が1,700時間以上に限る。)を修了した者等で、「社会科学」に属する科目を1科目以上履修した者
4. 司法試験合格者
5. 公認会計士試験の短答式試験に合格した者(平成18年度以降の合格者)
(資格による受験資格)
6. 日本商工会議所主催簿記検定試験1級合格者
7. 全国経理教育協会主催簿記能力検定試験上級合格者
(職歴による受験資格)
8.法人又は事業行う個人の会計に関する事務に2年以上従事した者
9.銀行、信託会社、保険会社等において、資金の貸付け・運用に関する事務に2年以上従事した者
10.税理士・弁護士・公認会計士等の業務の補助事務に2年以上従事した者
詳しい内容 ➡ 国税庁公式サイト「主な受験資格」 |
受験料 | ・会計学(簿記論・財務諸表論):各科目18,000円
・税法:各科目24,000円
(所得税法・法人税法・相続税法・消費税法・国税徴収法・住民税・事業税・固定資産税)
なお、受験科目が複数ある場合、受験料は20%割引されます。
(受験料の減免制度)
以下のいずれかに該当する場合は、受験料が減免されます。
・障害者手帳の交付を受けている者
・経済的に困窮している者
・65歳以上の者
なお、税理士試験の受験料は、毎年改定される可能性があります。
最新の受験料については、国税庁のホームページで確認してください。 |