資格の概要 | 「日商簿記検定」は、簿記に関する基礎知識、実務、計算の能力を判定するための検定試験です。その簿記検定試験の中で一番知名度の高いのが「日商簿記検定」です。この日商簿記検定試験は商工会議所法の規定に基づき日本商工会議所および各地商工会議所が実施する検定試験のうち、簿記に関する技能を検定するものを指します。簿記は、会社の資金や利益の管理など、ビジネスの基礎的な知識が身に付くことから、今では経理担当者だけでなく、すべての社会人に必須の知識として評価されています。
日商簿記検定の受験級は、1級から4級まであり、一般には3級から受験することがほとんどです。級別のレベルは、以下のとおりです。
・4級:
入門レベル。勘定科目に仕訳でき、複式簿記の仕組みを理解している。
・3級:
基礎的な商業簿記、原理、記帳、決算などに関する初歩的実務を理解している。
・2級:
初歩的な原価計算などを含む、高校程度の商業簿記と工業簿記を理解している。
・1級:
大学で学ぶ程度の商業簿記と工業簿記、原価計算、会計学の他、財務諸表規則や企業会計に関する法規を理解している
日商簿記検定を取得すると、以下のようなメリットが考えられます。
・経理や財務の知識が身に付く
・就職や転職に有利になる
・給与や昇進に有利になる
・独立開業に有利になる
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◆「日商簿記検定」と「全経簿記能力検定」
簿記検定には日商簿記検定以外に「全経簿記」という簿記検定があります。もちろん同じ「簿記」の検定なので、日商簿記の勉強をそのまま活かせますので全経の簿記も取っておくと役立ちます。「全経簿記」は全国経理教育協会が主催する「簿記能力検定試験」のことを言います。
◇日商簿記検定と全経簿記能力検定は、どちらも簿記に関する検定試験ですが、以下のような違いがあります。
【日商簿記検定】
主催:日本商工会議所
受験級:1級,2級,3級,4級
出題範囲:広範囲(出題される問題が毎回違い、問題の難易度にムラがある)
出題形式:マークシート・記述
合格率:1級:約15%、2級:約30%、3級:約50%、4級:約80%
メリット:就職や転職に有利、給与や昇進に有利、独立開業に有利
特徴:年間60万人以上が受験し、簿記検定の中で抜群の知名度を誇っています
【全経簿記能力検定】
主催:全国経理教育協会
受験級:上級,準上級,2級,3級,4級
出題範囲:狭範囲(過去問からの出題傾向をつかみやすい)
出題形式:マークシート
合格率:上級:約30%、準上級:約50%、2級:約70%、3級:約80%、
4級:約90%
メリット:就職や転職に有利、給与や昇進に有利、独立開業に有利
特徴:受験できる級が多く、着実なステップを踏みながらレベルアップできる
・全経簿記上級は日商簿記1級と並び簿記検定試験の最高峰とされており、合格すると、どちらも税理士試験の受験資格が付与されます。 |
試験の合格率・難易度 | ●難易度
1級 難関 「A」
2級 普通 「B」
3級 やや易 「C」
・日商簿記検定 難易度ランキング
【資格の難易度レベル】
・1級
1級は、税理士や公認会計士の登竜門とされる、最も難易度の高い級です。合格率は10%前後となっており、高校生ではほとんど合格は難しいでしょう。
1級では、財務諸表や企業会計などの法規についても勉強する必要があります。これらの科目は、大学の経済学部や商学部で学ぶ内容と重複する部分が多く、大学で簿記の基礎を学んだ人でも、一定の努力が必要となります。1級合格者は、税理士試験の受験資格が得られます。
・2級
2級は、1級に比べると難易度は低くなりますが、それでも合格率は20%前後となっており、決して簡単な試験ではありません。2級では、複式簿記の基本的な仕訳や、決算書の作成方法などを学びます。これらの科目は、大学で簿記の基礎を学んでいない人でも、独学で合格を目指すことは可能です。ただし、ある程度の勉強時間は必要となります。2級からはメジャーな資格と言え、経理系の仕事に就くときは、必須資格となっています。合格するまでにかかる勉強時間は、個人差はありますが目安として200時間程度です。
3級
3級は、簿記検定の入門級です。合格率は40%前後となっており、独学でも十分取得可能なレベルの試験です。3級では、単式簿記の基本的な仕訳や、伝票の処理方法などを学びます。これらの科目は、高校の商業科や、簿記の初心者でも、ある程度の努力で理解できる内容です。独学で合格した人の平均的な学習期間をみると、優秀な人で1~3ヶ月。普通は大体3~6ヶ月位で簿記2級の合格レベルに達しています。
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●合格率
【統一試験とネット試験の比較 受験者数/合格率】
・統一試験
3級:42,626名/35.1% 2級:62,785名/24.6% 1級:16,788名/10.1%
・ネット試験
3級:140,764名/41.7% 2級:72,631名/38.7%
2022年2月第160回簿記検定試験結果
・2級 受験者数17,448名 合格者数3,057名 合格率17.5%
・3級 受験者数44,218名 合格者数22,512名 合格率50.9%
2021年11月第159回簿記検定試験結果
・1級 受験者数9,194名 合格者数935名 合格率10.2%
・2級 受験者数22,626名 合格者数6,932名 合格率30.6%
・3級 受験者数49,095名 合格者数13,296名 合格率27.1%
2020年11月第156回簿記検定試験結果
・1級 受験者数8,553名 合格者数1,158名 合格率13.5%
・2級 受験者数39,830名 合格者数7,255名 合格率18.2%
・3級 受験者数64,655名 合格者数30,654名 合格率47.4%
令和元年11月第153回簿記検定試験結果
・1級 受験者数7,520名 合格者数735名 合格率9.8%
・2級 受験者数48,744名 合格者数13,195名 合格率27.1%
・3級 受験者数80,130名 合格者数34,519名 合格率43.1%
平成30年11月第150回簿記検定試験結果
・1級 受験者数7,588名 合格者数680名 合格率9.0%
・2級 受験者数49,516名 合格者数7,276名 合格率14.7%
・3級 受験者数88,774名 合格者数38,884名 合格率43.8%
平成29年6月第149回簿記検定試験結果
・1級 受験者数7,501名 合格者数1,007名 合格率13.4%
・2級 受験者数38,352名 合格者数5,964名 合格率15.6%
・3級 受験者数79,421名 合格者数35,189名 合格率44.3%
平成28年11月第147回簿記検定試験結果
合格率 1級5.9% 2級21.2% 3級40.3% |
試験方式 | 日商簿記検定では、統一試験とネット試験の両方が実施されます。
●統一試験方式
年3回(6月、11月、2月)の全国統一試験日に、各地商工会議所が定めた試験会場で、ペーパーで実施されます。ペーパーでの受験を希望する方におすすめです。
※2級・3級の統一試験(ペーパー試験)は2022年度で終了しました。
●ネット試験方式
ネット試験会場(テストセンター)が定める試験日時に、パソコンを使ってインターネットを介して試験が実施されます(随時施行)。試験終了後に合否が判明するなど、速やかに資格取得を目指す方にはおすすめです。
【1級】
ペーパー方式の「全国統一試験日に施行する試験方式」で実施されます。
【2級・3級】
ペーパー方式の「全国統一試験日に施行する試験方式」に加え、パソコンで随時施行する「ネット試験方式」で実施。尚、団体試験についても、ペーパーで随時試験を実施する「団体試験方式」が施行されます。
【簿記初級・原価計算初級】
随時実施(試験実施機関が日時を決めます)
◆試験方式にかかわらず、試験方式が以下のように統一されました。
・試験時間
2級/90分 3級/60分
簿記初級/40分 原価計算初級/40分
・出題数
3級/3題以内 2級/5題以内(語群選択、金額・語群穴埋め問題)
・試験問題、計算用紙の回収
1~3級について、試験終了後、答案用紙の他、試験問題と計算用紙も回収されます。
※1級は、後日、試験問題が検定ホームページで公開されます。
●ペーパー方式(全国統一試験日に施行する試験方式)
※2級・3級の統一試験(ペーパー試験)は2022年度で終了しました。
筆記試験形式で、簿記用語(勘定科目等)や計算した数値を実際に記入していきます。
・試験時間:
1級(3時間)
商業簿記・会計学/90分 工業簿記・原価計算/90分 計180分
2級(1.5時間)
商業簿記・工業簿記/90分
3級(1時間)
商業簿記/60分
※使用する筆記具は、HBかBの黒鉛筆、シャープペンシル、消しゴムに限定されています。
※電卓などの計算機具は使用可能。
・配点:
1級 各科目25点の合計100点
2級 商業簿記60点 工業簿記40点 合計100点
3級 商業簿記100点
・合格基準
1級:1科目40%以上、総計70%以上の得点率で合格となります。
2級~3級:70%以上の得点率で合格となります。
簿記初級:70%以上の得点率で合格となります。
原価計算初級:70%以上の得点率で合格となります。 |