資格名

裁判所事務官
(試験名)裁判所職員採用試験

資格の種類

国家公務員

主催者

最高裁判所事務総局人事局

資格の概要

裁判所事務官になるためには、「裁判所職員採用試験」を受験し、合格しなければなりません。
試験には「総合職(院卒者区分)」、「総合職(大卒程度区分)」、「一般職(大卒程度区分)」、「一般職(高卒者区分)」の4種類があり、受験資格を得るための要件や、試験内容はそれぞれ異なります。
試験では、公務員として必要な基礎知識や知能と、裁判所事務官として必要な専門知識とが問われます。それには、一般教養以外に、憲法・民法・刑法などの法律知識、文章による表現力や理解力を試す論文試験、人柄や資質を確認するための人物試験などが実施されます。裁判所職員採用試験では総合職は第3次試験まで、一般職は第2次試験まであります。

裁判所事務官に採用されると、最高裁判所、高等裁判所がそれぞれ欠員のある裁判所に対して、合格者本人の希望勤務地や採用試験の成績等を見た上で推薦し、各裁判所から採用の意向があった場合に内定となります。事務局に配置された裁判所事務官は、適正迅速な裁判を実現するため人や設備などの面で裁判部門を支援する事務を担当することになります。なお、裁判所事務官として一定期間勤務すると、試験を受けて裁判所書記官となる道も開かれています。 



試験の合格率・難易度

●難易度 
 ・総合職試験(裁判所事務官 院卒者)  「S」 超難関
 ・総合職試験(裁判所事務官 大卒程度) 「S」 超難関
 ・一般職試験(裁判所事務官 大卒程度) 「A-上」 難関の上位
 ・総合職試験(家庭裁判所調査官補)   「S」 超難関
 ・一般職試験(裁判所事務官 高卒者)  「A」 難関 

【資格の難易度レベル】
公務員試験では国家公務員総合職が一番難易度が高いですが、裁判所事務官総合職試験もそれに変わらない難易度の高い試験です。人によっては国家総合職よりも難しいと感じる人もあるくらいです。総合職以外のどの区分も非常に高い倍率ですが、一般職試験は総合職試験よりも難易度は若干低めです。
試験に関しては年々むずかしくなっているようです。合格するためには早めの勉強が必要になりますが、まず出題傾向を知って対策を立てて細かく勉強していかなければ合格は難しくなります。試験では法律の専門知識はもちろん、裁判を効率的かつ円滑に行うための専門的な知識が必要となります。法律知識はもちろん、それ以外にも人間性、適性、一般常識なども求められます。更に総合職になると政策論文、人物試験(集団討論や個別面接)もありますので総合的な対策が求められることになります。

・裁判所事務官総合職試験の難易度が高い理由としては、
① 民法、刑法、刑事訴訟法など、幅広く法律分野の深い知識と理解が必要なこと。
②論述問題で論文作成や法律問題の解答など、高度で論理的な思考力と正確な表現力が必要。
③時間的な制約のある中で法律科目だけでなく幅広い科目の膨大な学習量をこなす必要がある。
・また、裁判所事務官一般職試験の難易度が高い理由としては、
①人気が高く多くの受験者が集まるが、採用人数が限られているため、高得点の取得が必要。
②民法や刑法など、幅広い範囲の法律知識だけでなく、裁判所の制度や専門的な業務知識が必要。
③法律知識や一般常識、数的処理など、幅広い分野の学習を時間的な制約の中で効率的に進める必要があること。

裁判所事務官試験では、総合職も一般職も幅広い法律分野の深い知識と理解が必要なことから、法学部出身者や法科大学院修了者が有利とされたり、国立一期校出身の高学歴者が合格しやすいと言われていますが、実際のところは、ある程度のアドバンテージになる可能性はあるでしょうが、もちろん合格を保証されるものでもありません。どの出身者であっても、自己学習やスクールなどで合格のために必要な要素をバランスよくしっかりと準備すれば試験に合格する可能性は十分にあります。

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合格率 
 令和6年度裁判所事務官(総合職・一般職)試験結果
  総合職試験(裁判所事務官、院卒者区分)
  総合職試験(裁判所事務官、大卒程度区分)
  一般職試験(裁判所事務官、大卒程度区分)
  総合職試験(家庭裁判所調査官補)実施結果
  一般職試験(裁判所事務官、高卒者区分)
令和6年度試験の結果は、以下の通りでした。
総合職院卒者区分)申込者数:
 70人(内女性28人) 最終合格者数:3人(内女性1人)  合格倍率:16.7
総合職(大卒程度)申込者数:
 560人(内女性230人) 最終合格者数:17人(内女性9人)合格倍率:21.6
一般職(大卒程度)申込者数:
 10,945人(内女性5579人)最終合格者数:1979人(内女性1144人)合格倍率:約4.2
※以前よりも合格倍率は下がりましたが、超難関試験であることは変わっていません。
 令和5年度裁判所事務官(総合職・一般職)試験結果
  総合職試験(裁判所事務官、院卒者区分)
  総合職試験(裁判所事務官、大卒程度区分)
  一般職試験(裁判所事務官、大卒程度区分)
  総合職試験(家庭裁判所調査官補)実施結果
  一般職試験(裁判所事務官、高卒者区分)
 令和4年度裁判所事務官(総合職・一般職)試験結果
  総合職試験(裁判所事務官、院卒者区分)
  総合職試験(裁判所事務官、大卒程度区分)
  一般職試験(裁判所事務官、大卒程度区分)
  総合職試験(家庭裁判所調査官補)実施結果
  一般職試験(裁判所事務官、高卒者区分)
 令和3年度裁判所事務官(総合職・一般職)試験結果
  総合職試験(裁判所事務官、院卒者区分)
  総合職試験(裁判所事務官、大卒程度区分)
  一般職試験(裁判所事務官、大卒程度区分)
  総合職試験(家庭裁判所調査官補)
  一般職試験(裁判所事務官、高卒者区分)

試験の内容・勉強法

裁判所事務官になるためのルートと特徴
「裁判所事務官」になるために特に資格は必要なくて、裁判所職員採用試験に合格できればいいわけですが、その採用試験では裁判所事務官にふさわしい高い知能や知識(一般教養、法律の基礎知識、文章読解力、表現力など)が必要になります。
従って、一般的には高校を卒業した後、これら必要な力をつけられる学校に進学し勉強するルートが最良のルートになります。大きく分けて「総合職」を目指す場合は、総合力をのばせる4年制大学や大学院に進学して試験に臨む人が多いようですが、「一般職」を目指す人は、4年制大学や短大、または法律専門学校などに進学するか、卒業後は独自に直接、採用試験の勉強に取り組む方法もあります。
①裁判所事務官の総合職試験と一般職試験(大卒程度区分)では試験科目に法律科目が含まれているため、「4年制大学」ルートは、法学部出身者がやはり多いようです。それは法律に関する基礎知識があることで法律科目の試験に対応しやすいほか、裁判所事務官から書記官を目指す際の職員総合研修所での研修期間が2年から1年に短縮される点などが、法学部出身者は有利になるからです。
②大学卒業後、「法学系の大学院」に進学するルートで裁判所事務官採用試験の中で最も難易度の高い総合職試験(院卒者区分)を目指す場合には、大学院で身につけた専門知識が役に立ちます。
③合格実績の多い「法律専門学校」には、試験合格や資格取を一番の目標に据えている多く、裁判所事務官のような専門的な採用試験の合格を目指す場合には適した学校とも言えます。
④裁判所事務官一般職試験(大卒程度区分)は、高卒または中学卒業後2年以上5年未満であれば受験することができます。ただ試験対策は独学で、というより法律専門学校の試験対策コースで試験突破に必要な知識詳しく丁寧に教わるのが一番効率的であると思われます。

◆「裁判所職員一般職試験」に合格するための対策手順
※紙面の都合上、総合職試験の対策手順は割愛させていただきます。
(1)過去問の分析
過去問題を解くことで出題される範囲やレベルの他、どんな問題が出題されやすいかを把握し、その中で苦手な分野や解き方がわからない問題があれば、重点的に学習し、苦手問題を克服する。
また、練習問題は試験本番と同じ時間配分で解き、時間配分を意識した学習をする。
(2)テキスト内容を理解する
憲法、民法、刑法などの基本的な知識をしっかりと固めまていきます。また、条文を暗記するときは、条文を単に暗記するのではなく、判例との関連性を理解しながら進めます。条文を理解しながら暗記することは論述問題を解く上で非常に重要な勉強になります。
(3)論文対策を考える
論理的な文章構成を意識し、結論を記述する練習では、字数制限を守り、明確に簡潔にまとめることが大切です。また自分の書いた論文を添削してもらえば客観的な評価を得ることができます。
(4)模擬試験を受ける
本番さながらの雰囲気で模擬試験を受けることで、緊張感にも慣れられ、また模擬試験の結果を分析することで、自分の弱点を見つけられ、強化することができます。
(5)勉強のやり方を工夫する
計画を立て、テキスト、問題集、過去問など、いろいろな教材を活用しながら毎日少しずつでも継続的すれば、飽きずに学習を続けることができます。さらにそこで、同じ目標を持つ仲間と勉強すできれば、モチベーションを維持することもできます。

◆「裁判所職員総合職試験と一般職試験の勉強法」 おすすめ解説書
※紙面の都合上、裁判所事務官採用試験の受験対策ができませんので、代わりに総合職と一般職のおすすめの受験対策書を紹介させていただきます。

・総合職対策勉強法
法学書院「裁判所事務官 総合職・一般職 問題と対策」
憲法、民法、刑法の基礎から応用まで幅広く網羅されており、過去問も豊富に掲載されています。総合的な対策に最適です。

一般職対策勉強法
TAC出版「公務員試験 2026年度版 裁判所 科目別・テーマ別過去問題集(一般職/大卒程度)」
科目別、テーマ別に過去問題が整理されており、効率的に学習できます。

試験日程

【試験実施日】
●総合職試験(院卒者試験・大卒程度試験)
 1次試験: 5月上旬頃
 2次試験(筆記試験): 6月上旬頃
 2次試験(人物試験): 6月上旬~中旬頃の指定された日
 3次試験: 7月上旬頃の指定された日
●一般職試験(大卒程度試験)
 1次試験: 5月上旬頃
 2次試験: 6月上旬~7月上旬頃の指定された日
●一般職試験(高卒者試験)
 1次試験: 9月中旬頃
 面接試験: 10月中旬~下旬の指定された日

【申込受付期間】
●総合職試験・一般職試験/院卒者試験・大卒程度試験
 4月上旬頃の10日間程度
●一般職試験/高卒者試験
 7月上旬頃の10日間程度

     令和7年度裁判所職員採用試験日程
          第1次試験日:5月10日(土)
        申込受付期間:3月14日(金)午前10時00分~4月7日(月)

(注意) 令和7年度から採用試験が変わります。
     ➡ 詳細はこちらを参照ください。

受験資格

【総合職試験】院卒者区分
①30歳未満で、大学院の修士課程または専門職大学院の課程を修了および修了見込みの者
②最高裁判所が①に掲げる者と同等の資格があると認める者
③日本国籍を有する者

【総合職試験】大卒程度区分
①21歳以上、30歳未満の者(21歳未満で大学卒業および卒業見込みの者も受験可)
②最高裁判所が①に掲げる者と同等の資格があると認める者
③日本国籍を有する者

【一般職試験】大卒程度区分
①21歳以上、30歳未満の者(21歳未満で大学卒業および卒業見込み、短大・高等専門学校卒業および卒業見込みの者も受験可)
②最高裁判所が①に掲げる者と同等の資格があると認める者
③日本国籍を有する者

【一般職試験】高卒程度区分
①高卒見込みおよび卒業後2年以内の者(中学卒業後2年以上5年未満の者も受験可)
②最高裁判所が①に掲げる者と同等の資格があると認める者
③日本国籍を有する者

※詳しい内容は下記のサイトで確認ください。
   ➡  裁判所職員採用試験概要

試験会場

詳しい内容は下記のサイトで確認ください。
   ➡裁判所職員採用試験概要

受験費用

無料

試験方式

【総合職試験】院卒者区分
◆第1次試験
 ・基礎能力試験(多肢選択式)知能24 知識6 計30題/2時間20分
 ・専門試験(多肢選択式)必須(憲法7 民法13) 選択(刑法又は経済理論10) 計30題/1時間30分
※基礎能力試験は令和6年度から、専門試験は令和7年度から上記に変更予定です。
◆第2次試験
 ・論文試験(小論文)筆記試験
 ・専門試験(記述式)憲法1題/1時間、民法・刑法それぞれ1題/2時間、民事・刑事訴訟法から1題/1時間
 ・政策論文試験(記述式)筆記試験1題/1時間30分
 ・人物試験 個別面接
◆【第3次試験】
 ・人物試験 
集団討論および個別面接

【総合職試験】大卒程度区分
◆第1次試験
 ・基礎能力試験(多肢選択式)知能24 知識6  計30題/2時間20分
 ・専門試験(多肢選択式)必須(憲法7 民法13) 選択(刑法又は経済理論10) 計30題/1時間30分
※基礎能力試験は令和6年度から、専門試験は令和7年度から上記に変更予定です。
◆第2次試験
 ・論文試験(小論文)筆記試験
 ・専門試験(記述式)憲法1題/1時間、民法・刑法それぞれ1題/2時間
 ・政策論文試験(記述式)筆記試験1題/1時間30分
 ・人物試験 個別面接
◆第3次試験
 ・人物試験 集団討論および個別面接

【一般職試験】大卒程度区分
◆第1次試験
 ・基礎能力試験(多肢選択式)知能24 知識6  計30題/2時間20分
 ・専門試験(多肢選択式)必須(憲法7 民法13) 選択(刑法又は経済理論10) 計30題/1時間30分
※基礎能力試験は令和6年度から、専門試験は令和7年度から上記に変更予定です。

◆第2次試験
 ・論文試験(小論文)筆記試験1題/1時間
 ・専門試験(記述式)筆記試験 憲法1題/1時間
※専門試験は令和7年度から廃止予定
 ・人物試験  個別面接

【一般職試験】高卒者区分
◆第1次試験
 ・基礎能力試験(多肢選択式)知能分野24題、知識分野21題   計45題/100分
 ・作文試験 筆記試験 1題  600字/50分
◆第2次試験
 ・人物試験 個別面接(口述) 1人25分

      詳しい内容は下記のサイトで確認ください。
    ➡  裁判所職員採用試験概要

試験科目

【総合職試験】院卒者区分
◆第1次試験
・基礎能力試験(多肢選択式):公務員として必要な基礎的な能力(知能および知識)についての筆記試験。
・専門試験(多肢選択式):裁判所事務官に必要な専門的知識などについての筆記試験。
◆第2次試験
・論文試験(小論文):文章による表現力、課題に対する理解力などについての記述式による筆記試験
・専門試験(記述式):裁判所事務官(院卒者区分)に必要な専門的知識などについての筆記試験。
・政策論文試験(記述式):組織運営上の課題を理解し、解決策を企画立案する能力などについての筆記試験
・人物試験:人柄、資質、能力などについての個別面接
◆第3次試験
・人物試験:人柄、資質、能力などについての集団討論および個別面接

【総合職試験】大卒程度区分
    【総合職試験】院卒者区分と同様

【一般職試験】大卒程度区分
◆第1次試験
・基礎能力試験:公務員として必要な基礎的な能力(知能および知識)についての筆記試験。
・専門試験:裁判所事務官に必要な専門的知識などについての筆記試験。
◆第2次試験
・論文試験(小論文):文章による表現力、課題に対する理解力などについての記述式による筆記試験
・専門試験(記述式):裁判所事務官(大卒程度区分)に必要な専門的知識などについての筆記試験。
・人物試験:人柄、資質、能力などについての個別面接

【一般職試験】高卒者区分
◆第1次試験
・基礎能力試験:公務員として必要な基礎的な能力(知能および知識)についての筆記試験。
・作文試験:文章による表現力、課題に対する理解などについての筆記試験
◆第2次試験
・人物試験:人柄、資質、能力などについての個別面接

    詳しい内容は下記のサイトで確認ください。
   ➡ 裁判所職員採用試験(総合職、一般職大卒程度)の概要

試験関連情報

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国家公務員一般職

問い合わせ先

最高裁判所事務総局人事局任用課試験第二係
電話:代表03-3264-8111 内線3322,3326

【以下の各項には一部広告が含まれています。】

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