資格の概要 | 激変する経済環境の中、企業やビジネスパーソンにとって効率的、かつ的確な業務遂行に法律実務の知識の習得は必須の条件になります。そんな中で、あらゆる職種、業種で必要とされる法律知識を習得できるのが、この「ビジネス実務法務検定」です。ビジネスに不可欠のコンプライアンス・法令遵守能力の基礎となる実践的な法律知識を体系的かつ効率的に身につけることを目的とした試験で、東京商工会議所が主催している検定試験です。
<試験対象のレベル>
・3級:受験対象(社会人全般および学生)
ビジネスパーソンとしての業務上理解しておくべき基礎的法律知識を有し、問題点の発見ができる。(ビジネスパーソンとして最低限知っているべき法律実務基礎知識を想定)
・2級:受験対象(社会人全般および学生)※特に管理職(候補)の方におすすめです。
企業活動の実務経験があり、弁護士などの外部専門家への相談といった一定の対応ができるなど、質的・量的に法律実務知識を有している。(知識レベルとしてのアッパーレベルを想定)
・1級:受験対象(法務部門に携わる方)
業務上必要な法律実務知識をビジネス全般にわたって持っており、その知識に基づいて多面的な観点から高度な判断・対応ができる。(実務的対応能力としてのアッパーレベルを想定)
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●合格者称号付与制度
・3級 合格者には「ビジネス法務リーダー」の称号。
・2級 合格者には「ビジネス法務エキスパート」の称号。
・1級 合格者には「ビジネス法務エグゼクティブ」の称号。
●準1級認定制度
・2008年度実施の第24回試験より、不合格者の得点上位者を1級合格に準じ、「準1級」として認定する制度が開始されました。
・準1級認定対象者
「準1級」として認定され、認定書が発行(送付)されます。
※商工会議所の検定試験は、国の職業能力・資格証明制度である「ジョブ・カード」に記載できます。 |
試験の合格率・難易度 | ●難易度
1級 「A」 難関
2級 「B」 普通
3級 「C」 やや易
【資格の難易度レベル】
ビジネス実務法務検定試験は、民法、商法、会社法、個人情報保護法など、ビジネスに関係する法律知識を問う範囲の広い試験ですが、独学で十分取得可能な試験です。法律の知識のある方なら3級は飛ばして直接2級にチャレンジすることも十分可能です。その場合は、2級の過去問中心の勉強で対応できます。2級は宅建や行政書士のステップとしても使える試験です。
ただ、1級試験だけは別物です。2級とは比べものにならないくらい一気に難しくなります。試験も論述式で、1級を目指して真剣に勉強してきた人が挑戦する試験と考えていいでしょう。宅建も行政書士も試験方式が基本マークシート方式であることから、ビジネス実務法務検定試験の方が難易度は高いという人も多くいます。
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・合格率
2022年度ビジネス実務法務検定試験結果
・第2シーズン第52回 3級試験結果
受験者数7,307名 合格者数5,866名 合格率80.3%
・第2シーズン第52回 2級試験結果
受験者数5,549名 合格者数2,807名 合格率50.6%
※参考データ
・2021年度ビジネス実務法務検定試験結果
・3級試験結果
受験者数14,279名 合格者数12,601名 合格率88.2%
・2級試験結果
受験者数8,282名 合格者数5,403名 合格率65.2%
・1級試験結果
受験者数458名 合格者数97名 合格率21.2%
・2020年度ビジネス実務法務検定試験結果
・第48回 3級試験結果
受験者数9,372名 合格者数7,097名 合格率75.7%
・第48回 2級試験結果
受験者数6,890名 合格者数2,990名 合格率43.4%
・1級試験結果
受験者数372名 合格者数46名 合格率12.4%
・2019年度ビジネス実務法務検定試験結果
・第46回 3級試験結果
受験者数11,195名 合格者数7,906名 合格率70.6%
・第46回 2級試験結果
受験者数7,083名 合格者数2,170名 合格率30.6%
・第46回 1級試験結果
受験者数453名 合格者数78名 合格率17.2%
・2019年度ビジネス実務法務検定試験結果
・第45回 3級試験結果
受験者数9,866名 合格者数7,911名 合格率80.2%
・第45回 2級試験結果
受験者数5,469名 合格者数2,970名 合格率54.3%
・2018年度ビジネス実務法務検定試験結果
受験者数5,712名 合格者数2,022名 合格率35.4%
・第44回 3級試験結果
受験者数10,783名 合格者数8,186名 合格率75.9%
・第44回 2級試験結果
受験者数8,017名 合格者数3,744名 合格率46.7%
・第44回 1級試験結果
受験者数509名 合格者数56名 合格率11.0% |
試験の内容・勉強法 | 自己の業務を法的にチェックし、問題点を解決にみちびくスキルが、コンプライアンス(法令等遵守)能力ですが、その基礎となる実務的な法律知識を体系的かつ効率的に身に付けることができるのが「ビジネス実務法務検定試験」です。法律のビギナーには手をつけやすい試験ですが、これ自体は資格ではありません。また、試験の難易度は級別に「難しい~普通~やや易」まで幅があります。 試験では、企業ビジネスや経済活動に関係する法律の知識、コンプライアンス能力など、実務的な法律知識を問われる資格試験です。
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この検定試験の1級試験の場合は、論述式で受験者のより高度な判断・対応力を問う内容となっています。不合格となっても、得点が上位であれば1級に準ずる実力をもった人としてビジネス界での活躍が期待されるため、1級受験者の幅広い活躍の支援を目的に、不合格者の得点上位者は「準1級」と認定されます。
試験対策については、ビジネス実務法務検定試験には公式テキストがあり、試験はこの公式テキストに基づいて出題されますので、受験される方は購入することをオススメします。特に、この検定を独学で突破しようと考えている人は、必ずこの公式テキストを購入して、勉強しておかねばなりません。 ⇒ビジネス実務法務検定 公式テキスト一覧
試験の出題範囲が膨大であるため、専門的に深く学ぶには限界があります。そのため、出題される各法律の基本的な趣旨や制度を確認し、頭に入れておくことが重要です。この試験は、一定の出題傾向がありますので、過去問を繰り返しやって、傾向をつかんでおくといいでしょう。
この資格の取得を目指して勉強を始める人は、その年の本試験日に合わせて、本試験日のおおよそ6ヵ月から1年前からのスタートが良いでしょう。自分の知識のレベルに合わせてスタート時期は決めましょう。スクールや講座を利用すれば、資格取得にかかる費用は、おおよそ50,000円くらいになります。
この資格は就職や転職、再就職の際に有利になるメリットがあります。企業の法務部門などでは、この資格を管理職への昇進時の判断材料にするところも多く、キャリアアップに役立ちます。法務部門への配属や異動を視野に入れている人は、難易度は高いですが1級にチャレンジしておくと良いと思います。また、出題範囲が重複することで取得しやすい資格に司法書士や社労士、弁理士などがあります。ステップアップを目指す人は良いチャンスになると思います。
ビジネスの第一線で活躍している人ほど学校で法律教育を受けていない場合が多く、就職を控えた学生だけでなく、社会人全体に必要な検定試験と言っていいでしょう。ただ、法学検定と同様に資格ではないので自己アピールの材料の一つと考えておかねばなりません。2級合格者は行政書士など法律系の資格が勉強しやすくなるので、こちらも資格の入門編としても利用できます。 |