資格名

海事代理士

資格の種類

国家資格(業務独占資格)

主催者

国土交通省

資格試験の概要

1951年成立の海事代理士法により創設された資格で、司法書士、行政書士や社会保険労務士の海事版と言えます。「海の司法書士」、「海の行政書士」と呼ばれることが多く、海運業者等の法律業務の代理を行います。海事代理士の仕事は、海運業者や造船業者の委託を受けて、代わりに国土交通省や都道府県等の行政機関に対して、船舶安全法、海洋汚染等及び海上災害の防止に関する法律、船員法、船舶職員及び小型船舶操縦者法などの海事関係諸法令の規定に基づく申請、届出、登記その他の手続きをし、これらの手続きに関する書類の作成をします。書類作成には、高度の専門知識と実務上の技術的な知識や経験が必要となるます。
海事代理士になるには、海事代理士試験に合格し、海事代理士として登録することが必要になります。従って、資格は試験に合格し、登録することで取得できます。

合格率・資格難易度

難易度
  「A」  難関 

【資格の難易度レベル】
合格までの学習期間は、法律の未習者の場合なら少なくとも1年以上は必要です。合格率は50%程度で国家試験では高いように思いますが、司法書士や行政書士を取得している人などが受験するため、決して簡単な試験ではありません。しかし、きちっと学習計画をたてて学習すれば法律初心者でも合格は可能です。他の難易度の高い法律系資格の国家試験対策等で法律を勉強した経験のある人であれば、口述を含め、1~3ヶ月程度での短期合格も可能です。ただ、この試験の受験対策は通信教育もないようなので独学でするしか仕方ないと思います。

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●合格率 
令和3年度海事代理士試験結果
1次試験(筆記) 55.3% (受験者数 302名 合格者数 167名) 
2次試験(口述) 98.6% (受験者数 212名 合格者数 209名)

(参考データ)
・令和2年度海事代理士試験結果
1次試験(筆記) 54.1% (受験者数 288名 合格者数 156名) 
2次試験(口述) 62.3% (受験者数 199名 合格者数 124名)
・令和元年度海事代理士試験結果
1次試験(筆記) 54.2% (受験者数 288名 合格者数 156名) 
2次試験(口述) 60.6% (受験者数 160名 合格者数 97名)
・平成30年度海事代理士試験結果
1次試験(筆記) 55.0% (受験者数 303名 合格者数 157名) 
2次試験(口述) 92.6% (受験者数 162名 合格者数 150名)
・平成29年度海事代理士試験結果
1次試験(筆記) 49.0% (受験者数 290名 合格者数 142名) 
2次試験(口述) 98.1% (受験者数 162名 合格者数 159名)
・平成28年度海事代理士試験結果
1次試験(筆記) 48.6% (受験者数 290名 合格者数 141名)  
2次試験(口述) 76.9% (受験者数 173名 合格者数 133名)  

受験対策・学習法ほか

司法書士、行政書士や社会保険労務士の海事版とも言える「海事代理士」は、1951年海事代理士法により創設された司法書士、行政書士の海事版的資格です。
海事という特殊な業界に特化した資格であることもあり、試験対策本や受験指導校等が極めて少ないため、受験対策では苦労する試験ですが、行政書士や司法書士ほど難易度の高い試験ではないので、過去問中心で、主として法律関係の条文の理解と正確な記憶に力点をおいた学習が効果的です。広く浅く勉強することが求められる試験と言えます。

出題内容は、基本的には条文の理解を問う問題が多く、一般法律科目については、条文の他に判例や基礎的な理論を問う問題も含まれます。
専門科目でも、主として条文の理解や制度の理解を問う問題が出題されます。但し、内容的には、概要を問うものが多いようです。口述試験は、4人1組で試験時間は1科目3分ずつ合計12分間。基本的に筆記試験と同じ範囲から問われ、出題傾向も筆記試験と変わりませんが、短い制限時間内に多くの問題に答えるための十分な受験対策が必要です。




勉強法は、独学で過去問や口述試験対策問題集の問題とその答えを口に出して何度も繰り返して読むことでしょう。勉強はひたすら「船員法」「船舶職員法」「船舶法」「船舶安全法」を暗記することがメインになります。特に、船員法、船舶職員法及び小型船舶操縦者法、船舶法、船舶安全法は、配点が他の科目の2倍で口述試験の科目にもなっているため、苦手科目にしないように、勉強にも時間をかけましょう。勉強法は暗記と併行して、過去問を中心に、条文の理解と練習問題を繰り返して理解を深めていく学習が唯一の学習法といえます。頻繁に出題されている条文を重点的に理解する学習が効率的と言えます。

試験の受験者は毎年200名程度で、他の法律系国家試験に比べて極端に少なく、試験対策に関する情報も少ない試験です。受験スクールも通信教育もなく、海事代理士試験のために編集された専門の参考書も社団法人日本海事代理士会の「海事代理士合格マニュアル」 が発行されているだけのようですので、国土交通省公式サイトの下段に記載された過去問一覧とこの参考書だけを頼りに勉強するしかありません。

受験資格

学歴、年齢、性別等による制限はなく、誰でも受験できますが、試験に合格しても海事代理士法第3条に規定する欠格事由に該当する者は、海事代理士の登録ができません。

試験方式

筆記試験と口述試験とから構成されています。
●筆記試験
正誤選択、一問一答の○×式
語群選択、短答式(空欄補充・小記述)
(合格基準)合否の判定は、対象となる全科目を受験した者について行うものとする。
18科目の総得点220点の60%以上の得点をあげた者。但し、全科目受験者の平均正答率が60%を上回る場合には平均正答率以上の得点をあげた者。 
●口述試験
4科目あり、それぞれテーマにそって試験官が一問一答で質問し、それに答える形式。
(合格基準)合否の判定は、対象となる全科目を受験した者について行うものとする。
口述試験4科目の総得点40-点の60%以上の得点をあげた者。

・合格基準
(一次 筆記)
筆記試験18科目の総得点220点の60パーセント以上の得点で合格となります。但し、全科目受験者の平均正答率が60パーセントを上回る場合は平均正答率以上の得点をあげた者が合格となります。(二次 口述)
合否の判定は、試験科目の全科目を受験した者について行われ、口述試験4科目の総得点40点の60%以上の得点をあげた者が合格となります。

試験科目

●一次試験 (筆記) 
・一般法律常識(概括的問題)
  憲法、民 法、商法(第3編「海商」のみ対象。)
・海事法令(専門的問題)
  国土交通省設置法、船員法、船員職業安定法、船舶職員及び小型船舶操縦者法、海上運送法、港湾運送事業法、内航海運業法、港則法、海上交通安全法、海洋汚染等及び海上災害の防止に関する法律、船舶法、船舶安全法、船舶のトン数の測度に関する法律、造船法、国際航海船舶及び国際港湾施設の保安の確保等に関する法律及びこれらの法律に基づく命令
●二次試験 (口述) ※筆記試験合格者のみ受験
海事法令(実務問題)
①船舶法 
②船舶安全法 
③船員法 
④船舶職員及び小型船舶操縦者法
本年の筆記試験合格者及び前年の筆記試験合格者で本年の筆記試験免除の申請をした者に対して行われます。 
※筆記試験の合格者は口述試験で不合格であっても、翌年度に限り、申請により筆記試験が免除されます

スケジュール

●試験日
 (一次)筆記試験:9月下旬
 (二次)口述試験:12月上旬(筆記試験の合格者について実施されます)
●受付期間:8月上旬~下旬 
(注)所定申込書は受験者の居住地を管轄する運輸局長へ送ります。
・合格発表:(一次)10月下旬  (二次)口述試験日から20日以内

令和5年海事代理士試験概要    

試験会場

・1次(筆記試験)
札幌、仙台、横浜、新潟、名古屋、大阪、神戸、広島、高松、福岡、沖縄の各運輸局
・2次(口述試験)
東京都  国土交通省(本省)

受験料

受験手数料 6,800円(収入印紙)

問い合わせ先

国土交通省海事局海事人材政策課海事振興企画室海事係 TEL:03-5253-8111
 〒100-8918 東京都千代田区霞が関2-1-3
 http://www.mlit.go.jp/about/file000049.html

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教材(過去問集)

国土交通省公式ページの下段に記載された過去問一覧
海事代理士厳選過去問題集

教材(テキスト・参考書)

海事代理士試験対策教材一覧

海事代理士合格マニュアル(6訂版)
海事代理士口述試験対策問題集
口述試験マスター講座【令和5年合格目標】

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