資格名

社会保険労務士(略称:社労士)

資格の種類

国家資格(業務独占資格)

主催者

全国社会保険労務士会連合会

資格の概要

◆どんな資格か。 
「社会保険労務士」は、厚生年金保険、健康保険などの社会保険に関する事務処理や、労務に関するコンサルティングを行う専門資格です。労務管理のアドバイスや指導、労働・社会保険に関する法令に基づき、書類作成などを行うのが主な社会保険労務士の仕事です。基本業務は行政機関への提出書類の作成、提出手続きの代行業務、事業所の帳簿書類の作成業務で、これは社労士の独占業務になっています。
詳しくは下記の動画を参照ください。

◆資格を取得するためには。
社労士の資格を有する者が社労士になるには、全国社会保険労務士会連合会に備える社労士名簿に登録を受けなければなりません。登録には、社労士試験に合格していることに加え、2年以上の労働社会保険諸法令に関する実務経験が必要です。
・実務経験が2年に満たない場合は、連合会が実施する事務指定講習の修了がこれと同等以上の経験を有するものと認められています。(社労士法第14条の2第1項)
・社労士は、登録を受けたときに、都道府県の社会保険労務士会の会員となることに決まっています。入会するのは、開業する事務所、又は勤務先事業所の所在地または居住地の住所の区域に設立されている都道府県の社会保険労務士会となります。(社労士法第25条の29第1項)

◆資格はどんな仕事に役立ち活用できるか。
社労士資格は、総務や人事、労務管理などの仕事に向いています。総務関係では、給与計算、社会保険の手続き、各書類のファイリングなど。人事関係では、社員教育や評価、異動、昇進など。労務管理としては、募集や採用の他、人事考課、退職、賃金、労働時間の管理などを担当するなど。これらは、どれも事業場の規模を問わず企業の運営に欠かせない仕事ですから非常に幅広く活用できます。また、仕事以外でも、社労士は労働関係の諸法令や、労務管理、保険関係などの法律に触れる機会が多くなることで、それらの知識が役立つことも大きな強みになります。

◆資格の将来性
よりよい職場環境をつくるための幅広い知識と優れた能力を備えた企業の有力なパートナーとして、社労士の有資格者の場は、今後ますます広がると思われますが、試験合格者の数は年々増えており、飽和状態になりつつあります。特に、これから年金の仕組みが複雑でわかりにくいものになる中で、社労士に対する期待は高まることが想像されます。近年、合格者数が年々増加していることもあり、将来的には仕事を獲得することがそれほど簡単ではない状況になることも予想されます。尚、2023年3月末日現在、社労士は全国で44,870人です。全国に約45,000人いる社労士ですが、1人あたり140ほどの企業を支えなければならない計算になります。

◆社労士資格・試験のさらに詳しい解説
  ➡ 社会保険労務士白書 2023年度版




試験の合格率・難易度

【合格率】
◆合格ラインはどれくらい?
・合格基準点
  選択式試験総得点40点中28点以上、かつ各科目5点中3点以上
  択一式試験総得点70点中49点以上、かつ各科目10点中4点以上
社労士の合格基準点は厚生労働省によって上記のように、一応定められています。しかし、年度ごとの出題の難易度は変わるため上記の基準をもとに補正が行われます。
択一式の総合得点の合格基準点は、平均点に連動して決まり、科目別の基準点は得点の分布に連動していますので、毎年の採点結果が出てから決まります。
・合格ライン(目安)
社労士試験の合格ラインは、全体の7割の点数を取得する必要があります。
さらに「択一式」は科目ごとに満点の40%以上、「選択式」では60%以上の点数を取らねばなりません。
また、1科目でも合格基準点に満たない場合は、総合点数が合格ラインにあっても不合格となります。
◆合格率の推移
令和5年度第55回社会保険労務士試験結果 
 合格率 6.4%
(申込者数53,292名 受験者数42,741名 合格者数2,720名) 
令和4年度第54回試験結果 
 合格率 5.3%
(申込者数52,441名 受験者数40,633名 合格者数2,134名) 
令和3年度第53回試験結果 
 合格率 7.9%
(申込者数50,433名 受験者数37,306名 合格者数2,937名)   
令和2年度第52回試験結果 
 合格率 6.4%
(申込者数49,250名 受験者数34,845名 合格者数2,237名)
令和元年度第51回試験結果 
 合格率 6.6%
(申込者数49,570名 受験者数38,428名 合格者数2,525名)
平成30年度第50回試験結果 
 合格率 6.3%
(申込者数49,582名 受験者数38,427名 合格者数2,413名)
平成29年度第49回試験結果     
 合格率 6.8%
(申込者数49,902名 受験者数38,685名 合格者数2,613名) 
平成28年度第48回試験結果 
 合格率  4.4%
(申込者数51,953名 受験者数39,972名 合格者数1,770名) 

【難易度】
◆難易度レベルは?
  「A」  難関
  社会保険労務士難易度ランキング 

◆試験はどこが難しいか。
社会保険労務士試験の合格率は、近年、6~7%程度で推移し合格率が低いことから、難易度が非常に高い試験とされています。この試験が難しい点は主に次のようなことが考えられます。
一つは、「試験範囲が非常に広い」ということです。
社会保険労務士試験の試験範囲は、労働基準法、雇用保険法、社会保険法など、20種類以上の法令が出題範囲となります。法改正も多く、多くの幅広い知識を習得するための勉強量が必要で集中力、記憶力が求められます。
二つ目は、「出題形式が幅広い」ことです。
社会保険労務士試験の出題形式は、択一式と選択式の2種類があります。択一式は、4肢択一で1肢当たり2点です。選択式は、4肢択一または5肢択一で1肢当たり5点です。択一式は、問題文が短く比較的解きやすい問題が多い一方で、選択式は問題文が長く、難易度が高い問題が多い傾向があります。従って、知識だけでなく問題文の読み解き力や判断力も問われます。設問は難解なものも多く、深い理解と応用力が必要です。
三つ目は、「科目合格制度がない」ことです。
4つの科目全てで合格基準点をクリアしないと合格できません。得意科目と苦手科目の差が出やすく、全ての科目で一定以上の知識が必要になります。
四つ目は、「法改正に対応しなければならない」ことです。
社会保険労務士試験は、法改正が毎年行われるため、常に最新の法令や知識を把握しておく必要があります。特に労働・社会保険に関する法令改正への対応は重要です。これらのことから、独学での合格はなかなか難しい試験と言えます。
五つ目は、「勉強時間の確保が難しい」ことです。
社会保険労務士試験合格には700~1000時間程度の勉強が必要とされ、長期間の仕事と勉強の両立は困難です。

◆他の試験との難易度比較
 司法書士税理士>社会保険労務士>中小企業診断士行政書士

試験の内容・勉強法

【試験の内容】
◆どんな問題が出題されるか。
近年の社会保険労務士試験の出題傾向を見ると、択一式では、単に知識を問う問題だけでなく、事例に基づいて判断を下したり、複数の法令を組み合わせた問題が出題されるようになっています。問題文の読み解き力や論理的思考力が求められる出題が多いようです。また選択式では、一般常識であっても法令に基づく知識が問われる問題が増えています。幅広い知識だけでなく、判例からの出題や法令との整合性を意識した出題が出ています。
◆どの科目が重要ですか。
科目は10科目ありますが、重要科目とそうではない科目の見極めが難しいですが、社労士試験で重要な科目は、試験全体の合格率や各科目の出題数、配点、難易度などを総合的に考慮してみなければなりません。重要でない科目はないのですが、その中でも重要と考えられる科目は、以下の5科目を選びます。
①労働基準法
 社労士試験の基本となる科目です。出題数も多く、難易度も高めなので、重点的に学習する必要があります。
②健康保険法
 国民の健康保険制度を定めた法律で、日常生活に関わる内容も多く理解しやすい科目です。
③国民年金法
 国民皆年金の制度を定めた法律で、厚生年金保険法と合わせて学習することが重要です。
④厚生年金保険法
 国民の老後の生活を支える制度を定めた法律で、出題数も多く、幅広い知識が求められます。
⑤労務管理その他の労働に関する一般常識
 労働に関する幅広い知識が求められる科目です。近年、統計に関する出題が増えています。

【勉強方法】
◆効率的な勉強方法は。
社会保険労務士試験の受験対策には、明確な目標を持つことと、効率的な勉強方法を身につけねばなりません。それは、この試験が試験範囲が広く、出題形式が幅広いこと、難易度が高いことなどから、学習期間が一般的には6~12ヶ月程度の長期になるため、効率的な学習方法を身につけねば突破するのが難しくなるからです。
社労士試験の効率的な勉強方法とは、以下の4つの内容を意識した勉強方法と言えます。
①社労士試験では、法律の知識を理解し、問題を解く力が必要になります。そのため、インプット(テキストや参考書を読む)とアウトプット(問題を解く)をバランスよく学習することが重要です。例えば、インプットした内容をアウトプットで確認することや、アウトプットで間違えた問題は、インプットで復習するという方法です。
②過去問は、試験問題の傾向や難易度を理解するのに役立ちます。過去問を徹底して繰り返し解くことで、自分の弱点を見つけることができるようにもなります。例えば、過去何年分かの過去問を時間計測して解き、間違えた問題は、解説をしっかり読んで理解する。
③教材は、必ず自分に合った教材を使うことで、効率的に学習することができます。例えば、自分の理解度に合ったレベルの問題数が多く掲載され、解説がていねいな教材を選ぶ。
④具体的な内容の学習計画を立てることで、モチベーションを維持し効率的に学習することができます。そして計画は定期的に見直すようにします。
◆独学での合格は。
社労士試験を独学で合格することは可能です。 実際に独学で合格する人もいますが、独学での合格は難易度が高く、一般的には予備校や通信講座に通うよりも合格率が低くなることは間違いありません。特にこれから学習を始める方には、モチベーション維持のためにも出来れば通学講座がお薦めです。ただ、通学講座を活用する場合でも学習期間は6ヵ月~1年。必要な学習時間の目安は、800~1000時間程度が必要になります。 
社労士の勉強は資格試験の中でも特に「暗記」が大切で、暗記の出来不出来が勝敗を分けると言っても過言でありません。実際、独学でチャレンジする人から「社労士の勉強はつまらない」と言われるのはそういったことが原因しているようです。しかし、それでも「独学で」と言われる方には、TAC出版の「みんなが欲しかった! 社労士の教科書 2024年度」と、「みんなが欲しかった! 社労士の年度別過去問題集5年分 2022年度」を教材にお勧めします。イラストや図解などを多く取り入れて解説しているので、とってもわかりやすいと評判の1冊です。
◆取得のメリットは。
社会保険労務士資格の取得は、単独でも多くのメリットを生み出しますが、ファイナンシャルプランナー資格を併せて取得し、個人向けに資産運用や年金など、様々なライフプランの提案などができれば活躍の場が非常に広がります。一般的には、会社に入社後、総務部関係に所属し必要に迫られて取得したり、スキルアップのために取得というケースが多いようですが、社会保険労務士資格を持っておくと転職、就職にも有利に働くことは間違いないでしょう。




試験日程

【試験の実施計画】
試験詳細は4月中旬頃に公式HPにて発表があります。
・試験日:例年1回(8月第4日曜日)
・申込方法:必要書類を郵送(簡易書留)、又は試験センター窓口に持参する
・申込期間:4月中旬~5月下旬

【次回の試験日程・申込期限】
  令和6年度(第56回)社会保険労務士試験案内         
       試験日:令和6年8月25日(日)
   申込期限:令和6年4月15日(月)~5月31日(金)
   合格発表:令和6年10月2日(水)

受験資格

●受験資格や必要書類については細かい詳細がありますので、試験を実施している社会保険労務士試験オフィシャルサイトで確認してください。

主な受験資格は以下の通り。
(1)大学卒業または所定の一般教育科目の単位取得者、および短大・高専卒業者
(2)司法試験第1次試験合格者
(3)社会保険労務士または弁護士の補助業務5年以上
(4)行政書士試験合格者
(5)公務員で行政事務5年以上
・上記以外の制限、要件もあるため、必ず下記の詳細受験案内を参照下さい。
 ➡受験資格・免除資格の事前確認
 ➡受験資格の詳細 
・平成22年度試験より、厚生労働大臣が受験資格を認める学校・他の国家資格が拡大しました。そのため、司法書士や看護学校卒業者等にも受験資格があります。
 ➡学歴における受験資格

試験会場

・試験を受ける会場は、8月上旬に郵送される受験票に記載して通知されます。
 原則、試験会場の変更はできません。
 但し、住所の変更等やむを得ない理由がある場合に限り、試験地を変更できる可能性があります。例年、試験地変更の申し立ては6月下旬までとなります。

受験費用

15,000円(払込みに係る手数料は受験申込者負担となります。)

試験方式

・試験は選択式および択一式の筆記試験。
 試験形式: 5肢択一式(70問)と記述選択式(8問)による筆記試験
 配点:択一式 1問1点 1科目10点満点で合計70点満点
    選択式 1問1点 1科目5点満点で合計40点満点

合格基準点は、選択式試験及び択一式試験のそれぞれの総得点と、それぞれの科目ごとに定められます。
各成績のいづれかが合格基準点に達しない場合は不合格となります。
※この試験は相対的な評価方式に基づき採点されるため、その時々の試験の難度に応じて、合格ラインが変動します。

試験科目

社会保険労務士試験は、社会保険労務士となるのに必要な知識及び能力を有するかどうかを判定することを目的とし、次に掲げる8科目について行われます。 
(1)労働基準法及び労働安全衛生法
(2)労働者災害補償保険法(労働保険の保険料の徴収等に関する法律を含む)
(3)雇用保険法(労働保険の保険料の徴収等に関する法律を含む)
(4)労務管理その他の労働に関する一般常識
(5)社会保険に関する一般常識
(6)健康保険法
(7)厚生年金保険法
(8)国民年金法
(注意)
選択式では「労働保険の保険料の徴収等に関する法律」からの出題はありません。
択一式の「労働者災害補償保険法」及び「雇用保険法」は、各10問のうち問1~問7が「労働者災害補償保険法」及び「雇用保険法」から出題され、問8~問10の3問(計6問)が「労働保険の保険料の徴収等に関する法律」から出題されます。

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問い合わせ先

全国社会保険労務士会連合会試験センター  http://www.sharosi-siken.or.jp/
TEL 0120-17-486  03(6225)4880
東京都中央区日本橋本石町3-2-12 社会保険労務士会館5F

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