資格名

社会保険労務士(略称:社労士)

資格の種類

国家資格(業務独占資格)

主催者

全国社会保険労務士会連合会

資格の概要

社会保険労務士(社労士)は、企業とそこで働く人々を支える「人」のエキスパートです。労働関連法令や社会保険制度の専門家として、企業の人事・労務に関する課題解決をサポートする国家資格です。

主な業務は、社会保険手続きの代行や帳簿書類の作成といった独占業務に加え、就業規則の作成、人事評価制度の構築、働き方改革支援など、多岐にわたるコンサルティング業務を通じて、企業の健全な発展と従業員の福祉向上に貢献します。

社労士として活動するには、試験合格後、全国社会保険労務士会連合会への登録と都道府県社会保険労務士会への入会が必要です。また、2年以上の実務経験が必須ですが、実務経験が満たない場合は「事務指定講習」を修了することで代替可能です。




資格を活かせるフィールドは広く、企業の人事部や総務部で活躍する「企業内社労士」として、給与計算や社会保険手続き、就業規則運用などに携わったり、独立して事務所を構え、企業の顧問やコンサルティングを行う「開業社労士」として、多様な働き方が可能です。

働き方改革や法改正が頻繁に行われる現代において、社労士の専門知識はますます重要性を増しています。労働法規の改正対応や労使トラブルの防止など、社労士が貢献できる領域は拡大しており、将来性のある非常に価値の高い資格と言えるでしょう。

試験の合格率・難易度

【合格率】
社労士試験の難易度の高さを最も端的に示しているのが合格率です。近年はおおむね5~7%台で推移しており、100人受験しても合格できるのはわずか5~7人程度という、非常に厳しい試験であることがわかります。社労士試験の合格基準点は、大きく「総得点の基準」と「科目別の最低基準」の2つで構成されます。実際の合格基準点は、その年の試験問題の難易度によって毎年変動します。これは「合格基準点の補正」と呼ばれる仕組みで、受験者全体の成績を考慮して、厚生労働大臣が最終的な合格ラインを決定するためです。特に難易度が高かった年は総得点の基準点が引き下げられる傾向があります。従って社労士試験は、一定の得点を取れば必ず合格できる「絶対評価」ではなく、その年の受験者全体のレベルや問題の難易度に影響される「相対評価」の側面が強い試験と言えます。




難易度は確かに高いですが、試験の特性を理解し、正しい方向性で努力を継続すれば、合格を掴み取ることは十分に可能です。まずは合格ラインの仕組みをしっかり理解し、効果的な学習計画を立てていきましょう。

◆合格率の推移
令和5年度第55回社会保険労務士試験結果 
 合格率 6.4%
(申込者数53,292名 受験者数42,741名 合格者数2,720名) 
令和4年度第54回試験結果 
 合格率 5.3%
(申込者数52,441名 受験者数40,633名 合格者数2,134名) 
令和3年度第53回試験結果 
 合格率 7.9%
(申込者数50,433名 受験者数37,306名 合格者数2,937名)   
令和2年度第52回試験結果 
 合格率 6.4%
(申込者数49,250名 受験者数34,845名 合格者数2,237名)

【難易度】
◆難易度レベルは?
  「A」  難関

社会保険労務士試験は、近年の合格率が5~7%台と、数ある国家資格の中でも屈指の難関として知られています。その理由として、主に以下の5点が挙げられます。

  1. 広範で深い試験範囲: 労働基準法、健康保険法、厚生年金保険法など、10種類以上の法律が対象となり、条文だけでなく趣旨や判例まで深く理解する必要があります。
  2. 複雑な出題形式: 知識の暗記だけでなく、長文化・複雑化した問題文から正確に読み取り、応用力を試されるため、深い知識と素早い判断力が求められます。
  3. 「足切り」制度: 総合点だけでなく、各科目で最低基準点をクリアする必要があるため、苦手科目を作らず、全科目でバランスよく得点する対策が不可欠です。
  4. 頻繁な法改正: 労働法規や社会保険制度は毎年改正されるため、常に最新情報をキャッチアップし、学習に反映させる必要があります。
  5. 膨大な勉強時間: 合格には一般的に700~1000時間の学習が必要とされており、長期的なモチベーション維持と効率的な学習計画が不可欠です。

これらの要因が複合的に絡み合うことで、社労士試験は非常に高い難易度となっています。

試験の内容・勉強法

難関とされる社労士試験を突破するには、戦略的な勉強方法が不可欠です。

近年、試験は単なる知識の暗記だけでなく、思考力や応用力、読解力を重視する傾向が強まっています。択一式試験では事例問題や横断的な知識を問う問題が増え、選択式試験では条文や判例の正確な理解に加え、文脈判断が求められます。

効率的な学習の鉄則は、インプットとアウトプットの繰り返しです。テキストで知識をインプットしたら、すぐに該当範囲の過去問を解き、間違えた箇所はテキストで復習するサイクルを何度も繰り返しましょう。特に過去問は、試験の傾向や出題形式、難易度を知る最良のツールです。最低でも過去5年分、できれば10年分を徹底的に分析し、正解の根拠を理解するまで深掘りすることが重要です。

また、自分に合った教材選びも大切です。解説の分かりやすさ、図表の豊富さ、情報の最新性などを比較検討し、継続して学習できる教材を選びましょう。




独学での合格も不可能ではありませんが、非常に険しい道のりです。費用を抑え、自分のペースで学習できるメリットがある一方で、モチベーション維持の難しさ、疑問点解消の遅れ、法改正への対応、客観的な実力把握の難しさといったデメリットがあります。強い意志と自己管理能力、情報収集力が求められます。

もし独学に不安がある場合や、効率的に学習を進めたい場合は、予備校や通信講座の活用も有効な選択肢です。体系的なカリキュラムや専門講師によるサポート、模擬試験などを活用することで、学習効率を大幅に向上させることができます。

社労士試験には科目合格制度がなく、「足切り」があるため、「捨て科目」を作ることは絶対にできません。全ての科目で基準点をクリアする必要があります。中でも、労働基準法、雇用保険法、健康保険法、国民年金法、厚生年金保険法、そして労務管理その他の労働に関する一般常識、社会保険に関する一般常識は、特に重要科目と言えるでしょう。これらの科目を軸に、バランスの取れた学習計画を立て、着実に知識を積み上げることが、合格への鍵となります。

社労士資格の取得は、キャリアアップ、転職・就職に有利なだけでなく、独立開業の道も開け、社会的信頼性の向上にも繋がります。ファイナンシャルプランナー(FP)など、関連資格とのダブルライセンスも有効で、活躍の場をさらに広げることができます。

試験日程

【試験の実施計画】
試験詳細は4月中旬頃に公式HPにて発表があります。
・試験日:例年1回(8月第4日曜日)
・申込方法:必要書類を郵送(簡易書留)、又は試験センター窓口に持参する
・申込期間:4月中旬~5月下旬

【次回の試験日程・申込期限】
  令和7年度(第57回)社会保険労務士試験案内         
       試験日:令和7年8月24日(日)
   申込期限:令和7年4月14日(月)~5月31日(土)
   合格発表:令和7年10月1日(水)

受験資格

●受験資格や必要書類については細かい詳細がありますので、試験を実施している社会保険労務士試験オフィシャルサイトで確認してください。

主な受験資格は以下の通り。
(1)大学卒業または所定の一般教育科目の単位取得者、および短大・高専卒業者
(2)司法試験第1次試験合格者
(3)社会保険労務士または弁護士の補助業務5年以上
(4)行政書士試験合格者
(5)公務員で行政事務5年以上
・上記以外の制限、要件もあるため、必ず下記の詳細受験案内を参照下さい。
 ➡受験資格・免除資格の事前確認
 ➡受験資格の詳細 
・平成22年度試験より、厚生労働大臣が受験資格を認める学校・他の国家資格が拡大しました。そのため、司法書士や看護学校卒業者等にも受験資格があります。
 ➡学歴における受験資格

試験会場

・試験を受ける会場は、8月上旬に郵送される受験票に記載して通知されます。
 原則、試験会場の変更はできません。
 但し、住所の変更等やむを得ない理由がある場合に限り、試験地を変更できる可能性があります。例年、試験地変更の申し立ては6月下旬までとなります。

受験費用

15,000円(払込みに係る手数料は受験申込者負担となります。)

試験方式

・試験は選択式および択一式の筆記試験。
 試験形式: 5肢択一式(70問)と記述選択式(8問)による筆記試験
 配点:択一式 1問1点 1科目10点満点で合計70点満点
    選択式 1問1点 1科目5点満点で合計40点満点

合格基準点は、選択式試験及び択一式試験のそれぞれの総得点と、それぞれの科目ごとに定められます。
各成績のいづれかが合格基準点に達しない場合は不合格となります。
※この試験は相対的な評価方式に基づき採点されるため、その時々の試験の難度に応じて、合格ラインが変動します。

試験科目

社会保険労務士試験は、社会保険労務士となるのに必要な知識及び能力を有するかどうかを判定することを目的とし、次に掲げる8科目について行われます。 
(1)労働基準法及び労働安全衛生法
(2)労働者災害補償保険法(労働保険の保険料の徴収等に関する法律を含む)
(3)雇用保険法(労働保険の保険料の徴収等に関する法律を含む)
(4)労務管理その他の労働に関する一般常識
(5)社会保険に関する一般常識
(6)健康保険法
(7)厚生年金保険法
(8)国民年金法
(注意)
選択式では「労働保険の保険料の徴収等に関する法律」からの出題はありません。
択一式の「労働者災害補償保険法」及び「雇用保険法」は、各10問のうち問1~問7が「労働者災害補償保険法」及び「雇用保険法」から出題され、問8~問10の3問(計6問)が「労働保険の保険料の徴収等に関する法律」から出題されます。

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問い合わせ先

全国社会保険労務士会連合会試験センター  http://www.sharosi-siken.or.jp/
TEL 0120-17-486  03(6225)4880
東京都中央区日本橋本石町3-2-12 社会保険労務士会館5F

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