資格名

通関士

資格の種類

国家資格

主催者

財務省/(全国の税関)

資格試験の概要

通関士は、輸出入さ れている物品の通関手続(税関へ の手続)をするために必要な資格です。
輸出入品に関して、他人の依頼により輸出入手続きの代理を行なうのは通関業者でなければならず、輸出入者本人を除き、通常は通関士以外が貨物の輸出入申告手続きをすることはできない、とされています。

通関業法の規定では、「通関士とは税関長より通関士の確認を受けて、通関業者の通関業務に従事する者をいう」と定められています。そのため、通関士になるためには資格を取得して通関業者に就職し、経験を積む事が条件になります。つまり、正規の通関士の活躍の場はあくまで通関業者、ということになります。通関士となるためには、国家試験である通関士試験に合格し、勤務先の通関業者の申請に基づいて税関長の確認を受けなければなりません。
貿易に関しては、通関士以外で公的に認められた資格はなく、通関業者や商社、物流の会社で働く場合は、非常に重要な資格です。
※令和3年4月1日現在、全国の通関士数は 8,342人、通関士以外の通関業務従業者数は 8,105 人となっており、合計 16,447 人が通関業務に従事しています。 

◆通関士になるためのプロセスは、
(1)通関士試験を受験し、合格する。
(2)通関業者の通関部門に勤務する。
(3)通関業者から税関に確認届けを提出してもらう。
(4)関税長が確認。
(5)通関業者に通知される。
(6)通関士として実務に就く。

合格率・資格難易度

難易度 
  「B」  普通 

【資格の難易度レベル】
通関士は最近の合格率が15%前後の試験です。以前は過去問数年分を繰り返し、自分で自信がつくまでやっておけば合格できる時期もありましたが、近年は試験の難易度が少し上がってきているようです。特に3科目目の「通関実務」の出来、不出来が合否を左右する傾向が出てきていますので注意が必要です。安全を考えれば、受験対策は通信講座がおすすめです、と言えますが、難しくなってきているとは言え、最近の出題傾向を踏まえた学習を確実に行うことができるならば、初学者でも独学で合格できる試験であることに変わりません。すべての項目が重要なのですが、特に関税定率法第4条の課税価格の決定に関する知識は、重要項目なので確実に勉強しておく必要があります。通関士の難易度ランキングは「法律系B-4」で、国家資格キャリアコンサルタントや法学検定スタンダードなどと変わらない難易度レベルです。

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●合格率  
令和4年度第56回通関士試験結果(1科目,2科目も受験者含む)
  合格率 19.1%(受験者数6,336名 合格者数1,212名)

※参考データ
・令和3年度第55回通関士試験結果(1科目,2科目も受験者含む)
  合格率 15.8%(受験者数6,961名 合格者数1,097名)
・令和2年度第54回通関士試験結果(1科目,2科目も受験者含む)
  合格率 16.9%(受験者数6,745名 合格者数1,140名)
・令和元年度第53回通関士試験結果
  合格率 13.7%(受験者数6,388名 合格者数878名)
・平成30年度第52回通関士試験結果
  合格率 14.6%(受験者数6,218名 合格者数905名)
・平成29年度第51回通関士試験結果
   合格率 21.3%(受験者数6,535名  合格者数1,392名)
・平成28年度第50回通関士試験結果
   合格率 9.8% (受験者数6,997名 合格者数688名)

受験対策・学習法ほか

合格率は、例年は10~15%程度。勉強期間は早い人で半年程度。学習に必要な時間は500時間前後は必要。 働きながらの勉強の場合は1年ぐらいはかかると考えた方がよいでしょう。最近は女性の受験者が増加傾向にあり全体の30%~40%を占めています。
試験対策は、独学で合格する人も結構いますが、時間のある人は独学と通信講座の併用が多いようです。独学の問題点は、この試験の出題形式、出題分野が毎年大きく変わったり、改正点も多く、受験情報を正しく入手することが合否の鍵を握る、というところにあります。一つは、過去問で勉強をしていると、主にどの分野から出題されているのか分かるようになってきますが、通関士の場合は、主に出題される法律分野は、「通関業法」と「関税法」、「通関実務」の3つです。

従って、この試験の対策はとにかく暗記です。申告書の作成と課税価格の計算、各種の減免関係の法律等々、ボリュームもあり大変ですがとにかく混同することなく覚えることしかありません。最も確実で効率的な勉強法はペース配分を考えて、ひたすら反復し、数をこなすことです。そして過去問題を最低3回は繰り返して解いて理解すること。過去問で正解率90%以上になるまで、繰り返しやっておくことです。合格率は高くはありませんが、試験は実務に直に役に立つ専門知識をダイレクトに問われることが多く、半年近く毎日真剣にきっちり勉強(3~5時間程度)すれば独学でも合格可能な資格であることは間違いないと思います。法律用語が多く、法律に慣れない人はスクールに通い効率的に資格取得を狙ってもよいでしょう。
学習時間の目安:1日1~1.5時間 標準期間5~6.5ヵ月 取得にかかる費用:約20万円/6か月




通関士の活躍の場は、通関業務を行う会社(運送業、倉庫業など)や、輸出入業務を行っている一般企業などです。通関士の資格は、通関業者が営業所に1名以上の通関士を置くことを義務づけられている必置資格であることもあり、今後のさらなる貿易自由化に伴い通関士のニーズはますます高まっていくと思われます。また通関士として働く以外にも、税関や貿易会社、商社、企業の貿易部など、通関の知識が必要な企業や部署は多いので、身につけた力を発揮する場は 幅広く用意されています。また、この国家資格を持っていれば、採用の際にも大きな武器となるはずです。

この資格は普通、通関関係企業に就職後に取得する方が多く、この資格のみで就職が決まるとは考えにくいですが、通関関係に就職、転職希望の方は取得しておいて損は無いはずです。 
一般的に、通関業者の採用は大卒者が多いため、通関士として活躍されている方は大半が大卒以上の学歴取得者です、卒業後に通関業を目指そうとしている方は毎年1万人前後にもなりますが、語学の学習は必須です。これから取引量が増加すると思われる中国語もねらい目かも分かりません。世界中でグローバル化が進むなか、年々、貿易額も増え続けており、通関士の資格は、将来ますます有望な国家資格といえるでしょう。
通関士資格が有利になる業界は、国際物流業者や貿易商社だけでなく、倉庫業者、運送業者、海運業者、貿易部門のあるメーカーや輸入品を扱う百貨店など活用の場は広範にわたります。

受験資格

学歴、年齢、経歴、国籍などの制限は一切なし。誰でも受験することができます。

試験方式

●試験形式:筆記試験(全てマークシート方式での解答)
●試験科目と出題方式
(1)通関業法:20問(選択10 ・択一10)/50分
(2)関税法、関税定率法その他関税に関する法律及び外国為替及び外国貿易法等:
  30問(選択・択一各15)/1時間40分
(3)通関書類の作成要領その他通関手続きの実務:17問/1時間30分 
  ・通関書類の作成要領:(選択・計算式2問)
  ・その他通関手続きの実務:(選択・択一・計算各5問)
●合格基準
3科目とも、択一式と選択式の試験があり、全ての科目試験で、60%以上の得点を取る必要があります。(1つでも60%未満の科目があると、試験は不合格になります)

試験科目

●試験科目は次の3科目です。
(1)通関業法
(2)関税法等(関税法、関税定率法、その他関税に関する法律、および外国為替、外国貿易法(第6章に関する部分のみ)
(3)通関実務(通関書類の作成と、その他の通関手続きの実務)
※「関税法等」の中の「その他関税に関する法律」とは、具体的には次のものをいいます。
①関税暫定措置法(昭和35年法律第36号)
②日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第6条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関す る協定の実施に伴う関税法等の臨時特例に関する法律(昭和27年法律第112号)
③コンテナーに関する通関条約及び国際道路運送手帳による担保の下で行なう貨物の国際運送に関する通関条約(TIR条約)の実施に伴 う関税法等の特例に関する法律(昭和46年法律第65号)
④物品の一時輸入のための通関手帳に関する通関条約(ATA条約)の実施に伴う関税法等の特例に関する法律(昭和48年法律第70 号)
⑤電子情報処理組織による輸出入等関連業務の処理等に関する法律(昭和52年法律第54号)
※上表の1.及び2.の科目の出題範囲は、法律のほか、それぞれの法律に基づく関係政令、 省令、告示及び通達とし、平成 28 年7月1日(金)現在で施行されているものなります。

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●科目免除
科目が免除されるには次の2つがあり、それぞれ免除される科目が決められています。詳細内容の確認はこちら
(1)通関業者の通関業務又は官庁における関税その他通関に関する事務(税関の事務及びその 監督に係る事務をいう。)に従事した期間が通算して15年以上になるとき、試験科目の上記2及び3の2科目免除 (関税法等と通関実務)
(2)通関業者の通関業務又は官庁における通関事務(税関における貨物の通関事務(その監督 に係る事務を含む。)をいう。)に従事した期間が通算して5年以上になるとき、試験科目の上記3の1科目免除(通関実務)
※試験科目が免除になる業務期間の計算方法は、別途決められています。

スケジュール

●試験日:毎年1回、10月上旬の日曜日
●申込期限:7月下旬~8月上旬
※受験願書の提出先は、受験しようとする試験実施地を管轄する税関に提出してください。
●合格発表:11月下旬か12月上旬 
※試験の日程は、毎年7月上旬に官報に詳細が公告されます
受験に関する問い合わせ

 
    令和5年第57回通関士試験案内
           

試験会場

・全国13カ所で実施されます。  
北海道、新潟県、東京都、宮城県、神奈川県、静岡県、愛知県、大阪府、兵庫県、広島県、福岡県、熊本県、沖縄県の全国13か所。※試験会場については受験票に記載して通知します。

※試験実施地並びに受験願書提出先及びその所在地はこちらで確認できます。

受験料

・NACCS提出以外の場合:3,000円(収入印紙を、受験願書に貼って提出します)
・NACCS提出の場合:2,900円
※NACCSは「輸出入・港湾関連情報処理センター」です。

問い合わせ先

試験に関するお問い合わせ窓口は、各税関の通関業監督官です。  
問い合わせ先一覧
東京税関 TEL03(3599)6356   大阪税関 TEL06(6576)3251   http://www.customs.go.jp/

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