資格名 | 通関士 |
資格の種類 | 国家資格 |
主催者 | 財務省/(全国の税関) |
資格の概要 | 通関士は、通関士国家試験に合格した者のうち輸出入に関わる通関業務の専門家で、税関を通過するために必要な物品の輸出入申告、関税の確定と納付、必要書類の作成、通関書類の審査等を行います。
通関業法の規定では、通関士になるためには資格を取得して通関業者に就職し、経験を積む事が条件になります。従って、正規の通関士の活躍の場はあくまで通関業者、ということになります。
通関士となるためには、その資格要件として、国家試験である通関士試験に合格しなければなりません。
通関士試験は、通関士として必要な知識及び能力を有するかどうかを判断することを目的として、財務大臣が決定する問題により各税関長が行う試験で、毎年1回実施されています。なお、通関士として通関業務に従事するためには、勤務先の通関業者の申請に基づく財務大臣の確認が必要です。(通関業法第23条、第27条、第31条)
貿易に関しては、通関士以外で公的に認められた資格はなく、通関業者や商社、物流の会社で働く場合は、非常に重要な資格になります。輸出入されている物品の通関手続(税関への手続)をするために必要な資格なので、輸出入品に関して他人の依頼により輸出入手続きの代理を行なうのは通関業者でなければならず、輸出入者本人を除き、通常は通関士以外の者が貨物の輸出入申告手続きをすることはできない、とされています。
令和6年4月1日現在、全国の通関士数は 8,472人、通関士以外の通関業務従業者数は 8,333人となっており、合計 16,805人が通関業務に従事しています。
◆通関士になるためのプロセス
(1)通関士試験を受験し、合格する。
(2)通関業者の通関部門に勤務する。
(3)通関業者から税関に確認届けを提出してもらう。
(4)関税長が確認。
(5)通関業者に通知される。
(6)通関士として実務に就く。
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試験の合格率・難易度 | ●難易度
「B」 普通
【資格の難易度レベル】
通関士は最近の合格率がこの2年は変動しましたが、それ以外の年では安定して15%前後の試験です。ただ傾向としては近年は試験の難易度が上がってきている傾向を感じます。数年前頃までは過去問数年分を繰り返し、自分で自信がつくまでやっておけば合格できる時期もありましたが、これからは安全を考えれば、受験対策は通信講座がおすすめと言えるようになるのではないでしょうか。試験の傾向として、特に3科目目の「通関実務」の出来、不出来が合否を左右する傾向が出てきているようなので注意が必要です。難しくなってきているとは言え、最近の出題傾向を踏まえた学習を確実に行うことができるならば、今のところは初学者でも独学で合格できる試験であることに変わりません。すべての項目が重要なのですが、特に関税定率法第4条の課税価格の決定に関する知識は、重要項目なので確実に勉強しておく必要があります。通関士試験は 出題科目のポイントを掴めれば、難関と言われる試験ではないと思います。
通関士の難易度ランキングでは「法律系B-4」で、国家資格キャリアコンサルタントや法学検定スタンダードなどと変わらない難易度レベルです。
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●合格率
令和6年度第58回通関士試験結果(全科目受験者のみ)
合格率 11.2%(受験者数5,451名 合格者数609名)
令和5年度第57回通関士試験結果(全科目受験者のみ)
合格率 23.0%(受験者数5,606名 合格者数1,291名)
令和4年度第56回通関士試験結果(全科目受験者のみ)
合格率 17.7%(受験者数5,640名 合格者数1,001名)
・令和3年度第55回通関士試験結果(全科目受験者のみ)
合格率 14.9%(受験者数6,225名 合格者数928名)
・令和2年度第54回通関士試験結果(全科目受験者のみ)
合格率 14.4%(受験者数5,934名 合格者数857名)
・令和元年度第53回通関士試験結果
合格率 13.7%(受験者数6,388名 合格者数878名) |
試験の内容・勉強法 | 通関士試験の合格に必要な勉強時間は、初学者なら500~600時間くらい、関連する法律の基礎知識がある人などの場合なら400~500時間あれば十分だと思います。期間は6か月程度の学習期間が必要です。
勉強方法は、独学で勉強し合格する人も結構いますが、時間のある人は独学と通信講座の併用が多いようです。独学の問題点は、この試験の出題形式、出題分野が毎年大きく変わったり、改正点も多く、受験情報を正しく入手することが合否の鍵を握る、というところにあります。
過去問で繰り返し勉強をしていると、主にどの分野から出題されているか出題傾向が分かるようになってきますが、通関士の場合は、主に出題される法律分野は、「通関業法」と「関税法」、「通関実務」の3つです。従って、この試験の対策はとにかく暗記することが重要になります。これは単なる暗記でなく、法令の”主旨”を理解し、実務の練習をこなすがポイントです。さらに、過去問題を最低3回は繰り返して解いて理解することです。過去問で正解率90%以上になるまで、繰り返しやっておくことです。
結局、最も確実で効率的な勉強方法はペース配分を考えて、ひたすら反復し、問題数をこなすことです。合格率は高くはありませんが、試験は実務に直に役に立つ専門知識をダイレクトに問われる問題が多いので、半年ほど毎日真剣にきっちり勉強(3~5時間程度)すれば独学でも合格可能な資格であることは間違いないと思います。
必要な勉強時間が500時間と言うことは、働きながらの勉強の場合は1年ぐらいはかかると考えた方がよいでしょう。法律用語が多く、法律に慣れない人はスクールに通い効率的に資格取得を狙うのも効果的な勉強方法です。
3ヵ月で合格を目指すコースを組んでいる通信講座もあります。
通関士の活躍の場は、通関業務を行う会社(運送業、倉庫業など)や、輸出入業務を行っている一般企業などです。通関士の資格は、通関業者が営業所に1名以上の通関士を置くことを義務づけられている必置資格であることもあり、流通業や貿易会社でのニーズが高い通関士の資格は将来ますます有望な国家資格といえ、就職に有利な資格の一つといえるでしょう。
通関士資格が有利になる業界は、国際物流業者や貿易商社だけでなく、倉庫業者、運送業者、海運業者、貿易部門のあるメーカーや輸入品を扱う百貨店など活用の場は広範にわたります。 |
試験日程 | ●試験日:毎年1回、10月上旬の日曜日
●申込期限:7月中旬~8月上旬
●願書の入手と申込方法:受験願書の入手方法(カスタムスアンサー)
●申込方法:郵送申込またはWEB申込
●合格発表:11月下旬か12月上旬
※試験の日程は、毎年7月上旬に官報に詳細が公告されます
・受験に関する問い合わせ
令和6年第58回通関士試験案内
試験は終了しました。 |
受験資格 | 学歴、年齢、経歴、国籍などの制限は一切なし。誰でも受験することができます。 |
試験会場 | ・全国13カ所で実施されます。
北海道、新潟県、東京都、宮城県、神奈川県、静岡県、愛知県、大阪府、兵庫県、広島県、福岡県、熊本県、沖縄県の全国13か所。※試験会場については受験票に記載して通知します。
※試験実施地並びに受験願書提出先及びその所在地はこちらで確認できます。 |
受験費用 | ・NACCS提出以外の場合:3,000円(収入印紙を、受験願書に貼って提出します)
・NACCS提出の場合:2,900円
※NACCSは「輸出入・港湾関連情報処理センター」です。 |
試験方式 | ●試験形式:筆記試験(全てマークシート方式での解答)
●出題方式
(1)通関業法:20問(選択・択一 各10問)/50分
(2)関税法、関税定率法その他関税に関する法律及び外国為替及び外国貿易法等:
30問(選択・択一 各15問)/100分
(3)通関書類の作成要領その他通関手続きの実務:17問/100分
・通関書類の作成要領:(選択・計算式 2問)
・その他通関手続きの実務:(選択・択一・計算 各5問)
●合格基準
通関士試験の合格基準は事前には公表されておらず、合格発表の際に公表されています。
3科目とも、択一式と選択式の試験があり、全ての科目試験で、60%以上の得点を取る必要があります。
(1つでも60%未満の科目があると、試験は不合格になります) |
試験科目 | ●試験科目は次の3科目です。
(1)通関業法
(2)関税法等(関税法、関税定率法、その他関税に関する法律、および外国為替、外国貿易法(第6章に関する部分)
(3)通関書類の作成要領、その他通関手続の実務
●科目の一部免除
科目が免除されるには次の2つがあり、それぞれ免除される科目が決められています。
①通関業者の通関業務、または官庁における関税、その他通関に関する事務(税関の事務およびその監督に係る事務)に従事した期間が、通算して15年以上になるときは、上記の試験科目(2)および(3)が免除されます。
②通関業者の通関業務、または官庁における通関事務(監督に係る事務を含む税関における貨物の通関事務)に従事した期間が、通算して5年以上になるときは、上記の試験科目(2)が免除されます。 |
試験関連情報 | 【資格の難易度情報】
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●試験関連情報
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●関連資格
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日商ビジネス英語検定
AIBA貿易アドバイザー
TOEIC |
問い合わせ先 | 試験に関するお問い合わせ窓口は、各税関の通関業監督官です。
問い合わせ先一覧
東京税関 TEL03(3599)6356 大阪税関 TEL06(6576)3251
http://www.customs.go.jp/ |
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