資格名 | ITコーディネータ(ITC)
※Information Technology Coordinator |
資格の種類 | 国家資格 |
主催 | 特定非営利活動法人ITコーディネータ協会 |
資格の概要 | 「ITコーディネータ」は、経営者の立場に立って経営とITを橋渡しし、真に経営に役立つIT投資を推進、支援する専門家、もしくはその資格名のことを言います。「ITC」と略すことがあります。「ITコーディネータ資格制度」は通商産業省による国家プロジェクトの一環として設けられ、経済産業省が推進し、 ITコーディネータ協会が主催する国家資格制度です。
平成23年12月にITコーディネータ協会は、中小企業のIT経営の加速、高度化のさらなる推進を図るため、中小企業支援向けITコーディネータを3年間で2,500名輩出する大幅増強計画と、新たな人材育成・研修体系および資格取得制度の一部改定に関する計画を発表しました。
⇒新ITコーディネータ資格認定・育成制度
スポンサーリンク
「ITコーディネータ」の資格認定のためには「ITコーディネータ試験の合格」と、当協会で実施する「ケース研修の受講・修了」という2つの要件を満足する必要があります。試験の合格と研修の修了の順番は何れが先でもかまいませんが、試験の合格および研修の修了は、取得年度を含めて4年度間有効なので、この間に両方の条件を満たし、認定申請することで「ITコーディネータ」資格が取得できます。「ケース研修」は、経営戦略からITサービス活用にいたる、ITコーディネータの活動を、仮想企業の事例を題材にグループ討議、ロールプレイ等を通じて模擬体験するものです。
資格の有効期間は4月から翌年3月までで、毎年資格更新手続きが必要になります。資格保持者には最新の経営とITに関する知識を維持するための継続的な学習と実践能力維持向上のための実務活動報告が義務づけられています。知識維持に関しては学習内容がポイント化されており、3年移動平均で30ポイントを獲得することが求められます。
※公認会計士や税理士等の資格を持っている方は「専門スキル特別認定試験」という別枠での受験が可能です。試験時間は80分。基礎問題40問と応用問題20問の合計60問の受験です。
※ITコーディネータ試験関連情報
第40回試験(2019年8月~実施)から、下記の通り変更になりました。
・旧テキスト「ITコーディネータ実践力ガイドライン」の表記を削除し、
ITコーディネータ実践力体系「IT経営プロセスのスキル定義/知識項目(改訂)」を 4.【参考】として追加する。
⇒「ITコーディネータの実践力:ITコーディネータの仕事とスキルを整理し公開しました」
|
試験方式 | 試験はITコーディネータ協会がITコーディネータを認定するために実施し、ケース研修の受講終了とならんで、ITコーディネータ資格認定の条件となっているものです。
【ITコーディネータ試験】
受験者は、試験当日の解答時に、経営戦略からIT戦略策定までの経営系の応用問題又は、情報系の応用問題、いずれか100問 を選択解答します。いずれの問題を選択するかは、試験当日の解答用紙上の選択区分マークにより判別します。
●試験はすべてCBT試験方式で行われます。
多肢選択式/100問(必須60問、選択40問)、試験時間 120分
試験は必須問題と、選択問題で構成されています。
・必須問題
PGL全体の領域から出題される基本問題(40問)
PGLのIT経営共通領域から出題の応用問題(20問)
・選択問題
経営系問題(40問):経営戦略・業務改革・IT戦略
情報系問題(40問):IT戦略・IT利活用
【専門スキル特別認定試験】
・受験資格:対象資格保有者
・試験形式:多岐選択問題
・問題数:60問(必須60問)
・必須問題(60問):PGL全体の領域から出題される基本問題(40問)
PGLのIT経営共通領域から出題の応用問題(20問)
・試験時間:80分
・受験料:9,900円(税込)
【ケース研修】
期間は15日間。4日間の座学と11日間の課題演習で構成されています。座学はITコーディネータが実務を行う上での必要な知識の習得を行い、課題演習は現実の企業事例に則してITコーディネータの活動プロセスを模擬体験することで実践能力を養います。
※ケース研修内容
・オリエンテーション・修了式 1日程度
・座学 4日程度
・課題演習 10日程度
※ケース研修修了基準
1.出席率が90%以上であること
2.座学及び課題演習に積極的に取り組むこと
3.アンケート類をすべて提出すること
◇取得方法
ITコーディネータ試験を合格し、協会で実施するケース研修を修了しなければなりません。
※試験、ケース研修の取得の順番は問われません。試験の合格及び、ケース研修の有効期間は合格及び修了年度を含めてそれぞれ4年間です。 |
受験資格 | 受験に際しての制限はありません。
ITコーディネータに必要な専門知識を有していれば、誰でも受験できます。
・専門スキル特別認定試験を受験する人
公認会計士、税理士、中小企業診断士、技術士 (経営工学部門)、技術士 (情報工学部門)、技術士 (総合技術監理部門)、経営品質協議会認定セルフアセッサー、の7つの資格のうち1つ以上の資格を保有している者は、試験において選択問題の解答が免除されます(専門スキル特別認定制度)。
※特別認定試験
問題形式:多肢選択式 問題数:60問(選択40問免除、必須60問が対象) 試験時間:80分
出題範囲:ITCに求められる共通の基本問題、ITCに求められる共通の応用問題
※他に、ITC知識試験(ポイント不足者向け知識試験)、資格失効者(ポイント取得用)知識試験の受験があります。 |
試験科目 | ●出題題目
(1)総論(ITを利活用して事業を成長させる)
1.IT経営とは/IT経営の定義 など
2.IT経営を支える人財と役割/経営者、IT経営推進者、IT経営支援者の役割 など
3.IT経営の推進方法/基本原則、戦略経営サイクル、IT経営の成熟度、セキュリティ、
リスクマネジメント など
(2)IT経営の認識に関すること
- 全体概要/全体プロセス、基本原則 など
- 変革認識プロセス/企業体質の確立、変革への気づき、課題・解決策の可視化、コミットメント、基本原則 など
- 変革マネジメントプロセス/継続的な変革の体制作り、変革の推進支援、実行状況の把握と是正、基本原則 など
- 持続的成長認識プロセス/経営ビジョン達成の評価、新たな変革の可能性の認識、コミットメント、基本原則 など
(3)IT経営を実現するための活動に関すること
- 全体概要/全体プロセス、基本原則 など
- 経営戦略プロセス/企業理念・使命、経営環境情報の収集・分析、経営リスク評価、経営戦略の策定、達成度評価、基本原則 など
- 業務改革プロセス/改革課題の明確化、ビジネス・業務の分析、目標とするビジネス・業務プロセスの決定、ビジネス・業務改革の実施・評価、基本原則 など
- IT戦略プロセス/IT環境分析、目標業務プロセス、目標IT環境、IT戦略の策定・展開、達成度評価、基本原則 など
- IT利活用プロセス/IT資源調達ステップ、IT導入ステップ、ITサービス利活用ステップ など
(4)IT経営の全体最適を目指すため共通に求められるマネジメント
- プロジェクトマネジメント/IT経営におけるプロジェクトマネジメントの特徴、計画の立案、実施と統制、評価と戦略の達成、基本原則 など
- モニタリング&コントロール/IT経営におけるモニタリング&コントロールの特徴、対象の設定および実施、基本原則 など
- コミュニケーション/IT経営におけるコミュニケーションの特徴、プランニング、エンゲージメント計画と形成、実行および関係のメンテナンス、基本原則 など
|
スケジュール | ●試験実施
・ITC試験・専門スキル特別認定試験:年3回実施されます。
①1月中旬~2月下旬 ②5月上旬~6月下旬 ③9月上旬~10月中旬
・ケース研修:年2回実施されます。
①5~9月の15日間 ②11月中旬~翌年3月上旬
●試験の申込み:CBTS申込みサイト
※受験には、まずITコーディネータのポータルサイト「ITC+(アイティーシープラス)」に登録し、そこから受験者登録を行います。以後ITC+から教材の購入なども行えます。
受験はCBT方式で行われます。
●合格発表
ITC試験・専門スキル特別認定試験
合否結果は試験終了時点即時。
2023-2024年度第51回・52回 ITコーディネータ試験日程 |
試験会場 | ・ITC試験・専門スキル特別認定試験
全国各地のCBTソリューションズ試験会場
・ケース研修
東京、名古屋、大阪、福岡、沖縄
※5月、11月の試験で一部異なります。 |
受験料 | ・ICT試験:19,800円(税込み)
・専門スキル特別認定試験:9,900円(税込み)
・ケース研修:220,000円(税込み)
※ITCになるには、ケース研修の受講修了とITC試験合格が必要です。
※別途認定手数料22,000円が必要になります。 |
資格難易度 | ●難易度
「B」 普通
【資格の難易度レベル】
ICT試験の筆記試験の出題範囲はかなり広いため、覚えることや理解すべき内容はかなり多いのですが、出題元が明確になっているため対策立てやすいといえます。誰でもしっかりと時間をかけて対策すれば合格できるようになっている試験ではあります。ただ、分量も多く難易度も低い試験ではありません、さらに、過去問がないのと合格基準が非公開なので、どのくらい勉強したらいいか判断できないことがハードルを高くしています。いづれにしても、一夜漬け的な勉強で合格できるほど簡単な資格ではないことは確かです。それは、会計士や税理士、中小企業診断士が受験者の約半数を占め、応募者の質が高い資格であることを考えても理解できると思います。
SEや営業、ITコンサルなどの業務経験があり、基本情報や応用情報などの情報処理の資格を取得しておられる方なら、1~1.5ヶ月程度の学習量で合格が可能です。
--------------------------------------------
●合格率
令和3年9月第44回ITコーディネータ試験結果
応募者数252名 受験者数248名 合格者数163名 合格率65.7%
※参考データ
・令和2年9月第43回ITコーディネータ試験結果
応募者数197名 受験者数194名 合格者数113名 合格率58.2%
・平成31年2月第39回ITコーディネータ試験結果
応募者数263名 受験者数256名 合格者数163名 合格率63.7%
・平成29年8月第36回ITコーディネータ試験結果
応募者数188名 受験者数181名 合格者数98名 合格率54.1%
・平成29年2月第35回ITコーディネータ試験結果
応募者数240名 受験者数238名 合格者数173名 合格率72.7%
・平成28年8月第34回ITコーディネータ試験結果
応募者数226名 受験者数219名 合格者数155名 合格率70.8% |
受験対策・資格の将来性 | 「ITコーディネータ」試験は、実際のITコーディネータとしての活動場面での対応能力を問う試験であり、単に専門知識をマスターしているだけではなく、それを具体的な場面でどう活用できるかを問う内容の試験であることを認識しておかねばなりません。従って、主に経営面から企業システムのIT化を進める立場に位置し、 小規模なシステムのIT化を指揮する能力が求められることになります。そういう意味から、ITコーディネータは情報処理技術者と一部対象が重複していますが、試験は、情報処理技術者試験とは違う試験制度です。国家資格か民間資格かという違い以外に、情報処理技術者試験はあくまでも技術者としての試験で、その守備範囲や役割があらかじめ明確に定義されています。それに比べて、ITコーディネータは特定分野の専門家というよりは、技術者のスキルに加えて、経営者を経営者に近い立場からサポートする立場であるため、経営的な観点や発想を持ち合わせていることが大切になります。ですから、どちらか言えば技術者というよりもアナリストやコンサルタント的な役割が重視されている点に大きな違いがあります。そのため、資格取得者の約半数が高度情報処理技術者、中小企業診断士、税理士、公認会計士などの資格を併せ持っています。
この資格には有効期間があり、期間は4月から翌年3月までで、毎年資格更新手続きが必要になります。資格保持者には最新の経営とITに関する知識を維持するための継続的な学習と実践能力維持向上のための実務活動報告が義務づけられています。知識維持に関しては学習内容がポイント化されており、3年移動平均で30ポイントを獲得することが求められます。ポイント獲得は種々の方法がありますが、概ね1ポイントは4時間程度の学習時間です。実務活動報告に関しては1年間の実務活動状況と自己評価をITコーディネータ協会のホームページで記述し報告しなければなりません。
資格を取得する際には、この資格取得条件である知識ポイントの取得を十分に意識しておかねばなりません。資格更新は3年間で30ポイントが必要なので、年間10ポイントの取得を目安にしないと維持できないことになります。試験に合格すると30ポイントが3年間に均等配分されますので1年間目は問題なく更新できますが、2年後には、10ポイント以上が必要になります。6 ポイントは個人学習によって取得できますが、残りの4ポイントが問題になります。対策は、協会などのセミナーや講演、執筆、他資格の取得や更新などによってポイントを獲得したり、協会での各種ワーキンググループ活動などへの貢献などで獲得する道はあります。
試験は情報処理試験よりはやさしいですが、実務経験や実践を重視したポイント制度があるため、実際にITの現場で働いている社会人でないと資格の取得と維持は困難だと思います。
ITコーディネータの資格取得には研修と試験に50万円以上のお金がかかり、決して安くありません。また、取得したとしても、資格維持も大変です。資格取得後も、お金を払ってセミナーを受講しポイントを得て、どうにか資格をキープしている人がかなり多いのが現状です。1年間に必要な10ポイントをすべてセミナーでまかなおうとすると10万円はかかると考えた方がいいでしょう。協会へのボランティア活動などによってポイントをもらうことは出来ますが、これも、知識や時間を提供することに変わりありません。
それでも、「ITコーディネータ」の資格は、お金だけでは表現できないものがあると言われます。今も、経済産業省推進資格にリストアップされ、企業が営業に取らせたい資格として2006年の調査以来、毎年トップ3の上位を占め続けているということと、何かつながりがあるのかもしれません。 |
通信講座 | ・協会主催の試験対策コース(2日間コース)
・ITコーディネータ試験 受験対策講座 |
スクール | 協会が案内する講座一覧 |
過去問 | ITコーディネータ サンプル問題 |
教材 | ITコーディネータ試験対策教材
【ITコーディネータ試験 おすすめ教材】
・ITコーディネータによるIT経営の戦略企画書づくり
・新IT経営の最新知識 ITCPGLVer.3.1対応版
・戦略創造.light Ver.3.0 |
関連情報ページ | 【資格の難易度情報】
・資格の難易度とランキング
・ジャンル別資格の難易度ランキング
●関連資格
中小企業診断士
ITストラテジスト
証券アナリスト |
問い合わせ先 | 特定非営利活動法人 ITコーディネータ協会 試験事務局 http://www.itc.or.jp/
TEL.03-3513-0630 FAX.03-3513-0638
〒162-0845 東京都新宿区市谷本村町3-21 |