資格名

ITストラテジスト
(英名)Information Technology Strategist Examination

資格の種類

国家資格

主催者

独立行政法人情報処理推進機構 情報処理技術者試験センター

資格の概要

【資格の概要】
◆どんな資格?
「ITストラテジスト試験」は、情報処理技術者試験の中の高度情報処理技術者試験に分類され、ITを活用した事業戦略の策定・推進に携わる高度IT人材の登竜門となる試験です。情報処理技術者試験の中でも、最も難易度の高い試験とされ、企業の新たな価値を実現するためのIT基本戦略を策定・提案・推進する専門能力を認定する試験になっています。ITストラテジストとして活躍するためには、情報技術に対する深い知識と経験を兼ね備え、経営者の視点でシステムを企画・設計し、経営者に説明できる能力が求められます。
試験の対象者は、企業の経営戦略に基づいて、ビジネスモデルや特定のプロセスを、情報技術を活用して改革・高度化・最適化するための基本戦略を策定・提案・推進する者とされ、CIOやCTOを目指す人には最適な資格です。
◆資格を取得するためには。
ITストラテジスト試験は、IPA(情報処理推進機構)が主催する国家資格試験です。IPAが主催するIT関連の国家資格の中でも、試験の難易度は高いですが、資格を取得できればITストラテジストとして活躍できる能力を持つことをアピールできるため、転職にも有利になる可能性が高いです。ITストラテジスト試験は毎年1回(通常は春季)実施されています。受験資格は特になく、年齢制限もないため、誰でも受験できます。
◆資格取得することで得られるメリット。
試験の難易度は高いですが、合格することで企業の経営戦略に携わる機会を得たり、高収入が期待できたり、社会的な評価が高まったりと、さまざまなメリットがあり、IT技術を活かして社会に貢献したい方にとって、非常に魅力的な資格です。尚、試験の合格を証明することで、自衛隊の技術陸曹及び予備自衛官補(技能公募)の曹長として任用される制度もあります。

試験の合格率・難易度

【合格率】
◆合格基準は?
・午前Ⅰ、午前Ⅱ、午後Ⅰ試験:100点満点で基準点の60点以上、
・午後Ⅱ試験:評価Aランク(A~Dの4ランク中)で合格となります。
午前Ⅰ試験は、以下のいずれかを満たすことで、その後2年間受験が免除されます。
 応用情報技術者試験に合格する。
 高度試験または支援士試験に合格する。
 高度試験または支援士試験の午前Ⅰ試験で基準点以上の成績を得る。
◆合格率推移
令和5年度春期 ITストラテジスト試験結果  合格率 15.5% 
 応募者総数 7,040名 受験者数4,972名 合格者数769名
令和4年度春期 ITストラテジスト試験結果  合格率 14.8%
 応募者総数 6,378名 受験者数4,450名 合格者数660名
令和3年度春期 ITストラテジスト試験結果  合格率 15.3%
 応募者総数 5,669名 受験者数3,783名 合格者数579名
令和元年度秋期 ITストラテジスト試験結果  合格率 15.4%
 応募者総数 7,527名 受験者数4,938名 合格者数758名
平成30年度秋期 ITストラテジスト試験結果  合格率 14.3%
 応募者総数 7,449名 受験者数4,975名 合格者数711名
平成29年度秋期 ITストラテジスト試験結果    合格率 14.7%
 応募者総数 6,984名 受験者数4,747名 合格者数700名
平成28年度秋期 ITストラテジスト試験結果 合格率 14.0%
 応募者総数 6,676名 受験者数4,594名 合格者数645名

【難易度】
◆難易度レベルは?
  「S」  超難関
  ITストラテジスト 難易度ランキング

◆試験はどこが難しい?
ITストラテジスト試験は、情報処理技術者試験の中でも最高峰クラスの難易度を誇る試験です。そのため、ある程度の知識と経験があっても、かなり難しい上級者向け試験なので合格にはしっかりとした勉強が必要になります。
ITストラテジスト試験が難しい理由は3つ考えられます。
①試験範囲が非常に広いこと
 経営戦略からマネジメント、技術、法律など、ITに関する幅広い範囲の深い知識が求められること。
②応用力や柔軟な思考が必要
 単純な知識だけでなく、それらを組み合わせた応用力や、状況に応じた柔軟な思考力が必要なこと
③深い専門知識がもとめられる
 一部の分野では、専門家レベルの知識が要求されることもあること
◆勉強に必要な時間数は。
必要な勉強時間数は、受験者の実務経験や知識レベルによって異なりますが、実務経験5年程度のベテランなら、独学でも3~4ヵ月くらい集中して勉強すれば合格できる可能性はあります。一般的にはIT業界で実務経験5年程度ベテランでも200時間程度はかかるとされています。
◆他の資格との難易度比較
ITストラテジスト≧システム監査技術者>プロジェクトマネジャ>ITサービスマネジャ>システムアーキテクト




試験の内容・勉強法

【試験の内容】
◆どんな問題が出題されますか?
午前問題では、IT全般に関する基礎知識が問われます。午前Ⅰ問題では特に、IT技術、情報セキュリティ、経営全般に関する知識が重要です。基本的な用語や概念の理解度を問う問題が多く、過去問からの出題も多いようです。
午前Ⅱでは、IT戦略、経営戦略、情報セキュリティに関する高度な知識が問われ、近年の試験では新しい技術やトレンドに関する問題も出題されています。
午後Ⅰでは、架空の企業に関する事例が提示され、それに基づいた問題を記述式で解答する出題です。ここでは、問題解決能力、論理的思考力、文章力などが問われ、記述式による問題解決能力が試されます。
午後Ⅱは、企業の課題解決に向けたIT戦略を論文形式で立案します。戦略立案のフレームワークの理解度、提案内容の妥当性、論理的思考力、文章力などが問われ、論文による戦略立案能力が評価されます。

◆効率的な学習方法と具体的な受験対策
独学での合格は難しいとされるため、多くの受験生が予備校や通信講座などを活用しています。そういう中で効率的な学習方法としては、主に過去問の徹底的な分析や、論理的な思考力を養う演習などが挙げられます。その分析や演習を、実際に行う次の3つのステップの勉強の中に組み入れて行います。
①基礎知識の習得
午前問題で出題される基礎知識を習得します。そのためには、参考書や問題集を活用して、IT全般に関する知識を幅広く身につけることが大切です。
・対策:午前問題は、過去問を繰り返し解いて、出題傾向を把握し、知識の定着を図ることが重要です。
②午後Ⅱ論文試験で出題される高度な知識を習得します。そのためには、経営戦略やIT戦略に関する専門書や問題集を活用して、体系的に知識を身につけることが重要です。
・対策:午後Ⅱ論文試験は、経営戦略とIT戦略に関する高度な知識と思考力が問われます。過去問をベースに、論文を書く練習を繰り返しましょう。また、原稿用紙を用意して、本番と同じ環境で練習することも大切です。結局、この試験では午後Ⅰの事例解析や午後Ⅱの小論文が一つのポイントで、その出来不出来が明暗を分けることになります。
③実践力の養成
最後に、過去問を解いて、実践力を養います。そのためには、模擬試験や答練を受験して、時間内に問題を解く力を身につけねばなりません。過去問での演習は合格ラインに達するまで最低4~5年分はやり続ける必要があります。論文対策も同様、過去問をベースにできる限り、実際に書いておくことが大切です。
全体的には、実業務に基づいた出題が多いため、技術的な解法ではなく、業務要件から適切な解決を求められる試験になりますので、テキストで基礎知識を習得し、多面的に問題を解決するための考え方と文章作成の訓練を実行することが重要になります。主催団体のHPには新試験の出題範囲やサンプル問題が公表されていますので参考にするといいでしょう。

◆取得することで得られるメリット
ITストラテジストの資格取得は、昇進や転職に有利になるだけでなく、IT業界における高度な専門性を証明し、キャリアアップを目指す方にとって非常に有用な資格となるでしょう。特にコンサルティングファームや、シンクタンクでの活躍を考えている方には、この資格が取得できればかなりの効果を発揮すると思われます。

試験日程

【試験の実施計画】
 試験日:春期のみの年1回 4月第3日曜日
 申込方法:インターネットで申込む
 申込期間:1月中旬から2月上旬まで約1ヵ月間
 合格発表:6月下旬


【次回の試験日程・申込期限】

令和6年度(春期)情報処理技術者試験日程(ITストラテジスト)

     令和6年度春期試験は終了しました。

受験資格

誰でも受験できます。

試験会場

・全国主要50地区の試験地
各都道府県に1箇所以上設けられている。受験を希望する試験地を出願時に記入、受験者の郵便番号から試験会場(大学等)が割り振られる。 ➡ 情報処理技術者試験(春期) 試験地一覧

受験費用

7,500円(税込み)

試験方式

試験はペーパー方式で、午前2回(午前Ⅰ・午前Ⅱ)と、午後2回(午後Ⅰ・午後Ⅱ)の計4回の試験で構成され、各回ごとに60%以上の正答率を要求する絶対値評価の多段階選抜方式を採用しています。

●試験形式
◇午前試験(午前 I・午前 II):マークシート問題
  ①午前 I(四肢択一 多肢選択式)  30問/50分全問必須
  ②午前Ⅱ (四肢択一 多肢選択式)  25問/40分全問必須
◇午後試験(午後 I ・午後 II ):記述式・論述式の事例問題
   ③午後 I  (記述式)   3問中2問解答/90分
 ④午後Ⅱ (論述式)   2問中1問解答/120分
・午後試験Ⅰ:大問3問のうち2問を選択し解答します。大問1つにつき数問の設問が出題され、それぞれ20字~50字程度で解答します。大問1問50点の合計100点満点。基準点の60点に満たない場合は、午後試験Ⅱの採点は行われず、不合格となります。
・午後試験Ⅱ:大問2問のうち1問を選択し解答します。大問1つにつき数問の設問が出題され、それぞれ600字~1600字程度で解答します。
(評価方法)
設問で要求した項目の充足度、論述の具体性、内容の妥当性、論理の一貫性、見識に基づく主張、洞察力・行動力、独創性・先見性、表現力・文章作成能力などを評価の視点として、論述の内容が評価されます。評価ランクがA~Dまであり、Aを取得すれば合格になります。また、問題冊子で示す「解答に当たっての指示」に従わない場合は、論述の内容にかかわらず、その程度によって評価を下げることがあります。

●合否基準
ITストラテジスト試験は上記のように4回の試験(午前Ⅰ・Ⅱ 午後Ⅰ・Ⅱ)から構成されています。そしてこの4回の試験全てに合格しなければなりません。
【午前Ⅰ】
午前Ⅰは合計100点満点で基準点は60点以上(絶対評価)。基準点に達しない場合、午前Ⅱ・午後Ⅰ・午後Ⅱ試験の採点は行われず不合格となります。
【午前Ⅱ】
午前Ⅱは100点満点で基準点は60点以上(絶対評価)。基準点に達しない場合には、午後Ⅰ・午後Ⅱ試験の採点は行われず不合格となります。
【午後Ⅰ】
100点満点中、60点以上
【午後 II】
 ランクA

試験科目

●午前試験
能力が期待する技術水準に達しているかを問う問題が出題されます。各高度資格に必要な共通知識を問われますが、技術レベルは応用情報技術者試験の午前試験と同程度です。
【午前試験Ⅰ】
 出題分野
 ・テクノロジ゙系
  (1)基礎理論 (2)コンピュータシステム (3)技術要素 (4)開発技術
 ・マネジメント系
  (5)プロジェクトマネジメント (6)サービスマネジメント
 ・ストラテジ゙系
  (7)システム戦略 (8)経営戦略 (9)企業と法務
【午前試験Ⅱ】
 ・ストラテジ゙系
  システム戦略 経営戦略 企業と法務
【午後試験Ⅰ・Ⅱ】
 (午後Ⅰ:記述式 午後Ⅱ:論述式)
出題範囲はⅠ・Ⅱ試験共通で、下記の5分野から出題されます。
 ①業種ごとの事業特性を反映し情報技術(IT)を活用した事業戦略の策定に関すること
 ②業種ごとの事業特性を反映した情報システム戦略と全体システム化計画の策定に関すること
 ③業種ごとの事業特性を反映した個別システム化構想・計画の策定に関すること
 ④事業ごとの前提や制約を考慮した情報システム戦略の実行管理と評価に関すること
 ⑤組込みシステム・IoTを利用したシステムの企画、開発、サポート及び保守計画の策定・推進に関すること

【科目免除制度】
以下の1~3のいずれかの条件を満たせば、その後2年間、午前試験Ⅰの受験を免除されます。
1.応用情報技術者試験に合格する
2,いずれかの高度試験に合格する
3.いずれかの高度試験の午前I試験で基準点以上の成績をとる




試験関連情報

・令和6年(2024年)度春期試験からITストラテジスト試験は、試験要綱の変更に伴い、ITストラテジスト試験の人材像や出題構成、午後の出題数が変更になりました。具体的には、午後Ⅰ試験、午後Ⅱ試験の組込み分野(IoTソリューションの企画・要件定義・設計・開発等)の出題がなくなりました。

●試験関連情報
 独学で取れる資格・取れない資格
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 人気のあるIT資格のレベル解説
 情報処理技術者試験の難易度

●関連資格
 システム監査技術者
 ITコーディネータ
 中小企業診断士

問い合わせ先

IT人材育成センター 国家資格・試験部    https://www.jitec.ipa.go.jp/
・実施グループ・管理グループ・作成グループ
〒113-8663
東京都文京区本駒込2-28-8文京グリーンコート センターオフィス15階
【TEL】03-5978-7600(代表)
【FAX】03-5978-7610

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