資格名 | ITストラテジスト
Information Technology Strategist Examination |
資格の種類 | 国家資格 |
主催 | 独立行政法人情報処理推進機構 情報処理技術者試験センター |
資格の概要 | 試験は、旧システムアナリスト試験と上級システムアドミニストレータ試験を統合したスキルレベル4の高度情報処理技術者試験として平成21年秋期より開始された試験。
この試験は、企業の経営戦略に基づいてビジネスモデルや企業活動における特定のプロセスについて、情報技術を活用して改革・高度化・最適化するための基本戦略を策定・提案・推進する能力を持つこと、さらに組み込みシステムの企画および開発を統括し、新たな価値を実現するための基本戦略を策定・提案・推進する能力を持つことを判定、評価する試験とされています。
ITストラテジストは、情報技術を活用してビジネスモデルやビジネスプロセスの改革・高度化・最適化を実現するための基本戦略の策定・提案・推進を行います。また、組込みシステムの企画・開発を統括し、新たな価値を実現するための基本戦略の策定・提案・推進等を行います。
要求される能力は、情報技術に対する深い知識と経験を、経営者の視点でシステムを企画・設計し、経営者に説明できるきわめて重要な能力である。
※本試験の合格を証明することで、自衛隊の技術陸曹及び予備自衛官補(技能公募)の曹長として任用される。 |
試験方式 | 試験はペーパー方式で、午前試験Ⅰ・Ⅱ、午後試験Ⅰ・Ⅱの計4つに分かれています。
●試験形式
・午前試験(午前 I・午前 II)
①午前 I(四肢択一 多肢選択式) 30問/50分全問必須
②午前Ⅱ (四肢択一 多肢選択式) 25問/40分全問必須
・午後試験(午後 I ・午後 II )
③午後 I (記述式) 4問中2問解答/90分
④午後Ⅱ (論述式) 3問中1問解答/120分
午後試験Ⅰ:大問4問のうち2問を選択し解答します。大問1つにつき数問の設問が出題され、それぞれ20字~50字程度で解答します。大問1問50点の合計100点満点。基準点の60点に満たない場合は、午後試験Ⅱの採点は行われず、不合格となります。
午後試験Ⅱ:大問3問のうち1問を選択し解答します。大問1つにつき数問の設問が出題され、それぞれ600字~1600字程度で解答します。
(評価方法)
設問で要求した項目の充足度、論述の具体性、内容の妥当性、論理の一貫性、見識に基づく主張、洞察力・行動力、独創性・先見性、表現力・文章作成能力などを評価の視点として、論述の内容が評価されます。評価ランクがA~Dまであり、Aを取得すれば合格になります。また、問題冊子で示す「解答に当たっての指示」に従わない場合は、論述の内容にかかわらず、その程度によって評価を下げることがあります。
●合否基準
・午前Ⅰ:午前Ⅰは合計100点満点で基準点は60点以上。基準点に達しない場合、午前Ⅱ・午後Ⅰ・午後Ⅱ試験の採点は行われず不合格となります。
・午前Ⅱ:午前Ⅱは100点満点で基準点は60点以上。基準点に達しない場合には、午後Ⅰ・午後Ⅱ試験の採点は行われず不合格となります。
・午後Ⅰ:100点満点中、60点以上
・午後 II:ランクA
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受験資格 | なし。 誰でも受験できます。 |
試験科目 | ●午前試験
能力が期待する技術水準に達しているかを問う問題が出題されます。各高度資格に必要な共通知識を問われますが、技術レベルは応用情報技術者試験の午前試験と同程度です。
【午前試験Ⅰ】
出題分野
・テクノロジ゙系
基礎理論 コンピュータシステム 技術要素 開発技術
・マネジメント系
プロジェクトマネジメント サービスマネジメント
・ストラテジ゙系
システム戦略 経営戦略 企業と法務
【午前試験Ⅱ】
・ストラテジ゙系
システム戦略 経営戦略 企業と法務
【午後試験Ⅰ・Ⅱ】
(午後Ⅰ:記述式 午後Ⅱ:論述式)
※出題範囲はⅠ・Ⅱ試験共通で、下記の5分野から出題されます。
①業種ごとの事業特性を反映し情報技術(IT)を活用した事業戦略の策定に関すること
②業種ごとの事業特性を反映した情報システム戦略と全体システム化計画の策定に関すること
③業種ごとの事業特性を反映した個別システム化構想・計画の策定に関すること
④事業ごとの前提や制約を考慮した情報システム戦略の実行管理と評価に関すること
⑤組込みシステム・IoTを利用したシステムの企画、開発、サポート及び保守計画の策定・推進に関すること
【科目免除制度】
以下の1~3のいずれかの条件を満たせば、その後2年間、午前試験Ⅰの受験を免除されます。
1.応用情報技術者試験に合格する
2,いずれかの高度試験に合格する
3.いずれかの高度試験の午前I試験で基準点以上の成績をとる
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スケジュール | ・試験日:春期のみの年1回 4月第3日曜日
・申込方法:インターネットか郵便で申込む
・申込期間:1月中旬から2月上旬まで約1ヵ月間
・合格発表:6月下旬
令和4年度情報処理技術者試験日程
(ITストラテジスト)春期 |
試験会場 | ・全国主要50地区の受験地
各都道府県に1箇所以上設けられている。受験を希望する試験地を出願時に記入、受験者の郵便番号から試験会場(大学等)が割り振られる。
情報処理技術者試験 試験地一覧
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受験料 | 7,500円(税込み)
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資格難易度 | ●難易度
「S」 超難関
【資格の難易度レベル】
ITストラテジスト試験は、ある程度の知識がある人でもかなり難しい上級者向け試験と考えてよいでしょう。実務経験5年程度のベテランなら、独学でも1ヵ月間集中して勉強すれば合格できる可能性はあるレベルです。特に情報系大学で講義を受けた人には有利です。
ITストラテジスト試験の午前問題は、過去問を徹底して解く練習をしておくことが大事で過去問は必須です。この試験の一番の山場は午後Ⅱの論文試験です。情報処理技術者試験の中でも一番の難関試験で、論文は設問に沿って素直に書くことを心がけることが大事です。それと、必ず原稿用紙を用意して手書きで書く練習をしておくことです。本番当日にブッツケ本番で原稿用紙に論文に取り組むのは絶対にダメです。それと、この試験は戦略策定を行う人を対象とした試験であることを考えて、論文は「経営戦略」を意識した内容にすることです。ただ論文を書く、というだけでなく、ITストラテジストの立場で問題文の状況に合わせた論文を書く高い視点が必要になります。
過去問での演習は合格ラインに達するまで最低4~5年分はやり続けること。論文対策も同様、過去問をベースにできる限り書いておくことが大切です。
(参考) 情報処理技術者試験の難易度
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・合格率
・平成3年度春期 ITストラテジスト試験結果 合格率 15.3%
応募者総数 5,669名 受験者数3,783名 合格者数579名
※参考データ
・令和元年度秋期 ITストラテジスト試験結果 合格率 15.4%
応募者総数 7,527名 受験者数4,938名 合格者数758名
・平成30年度秋期 ITストラテジスト試験結果 合格率 14.3%
応募者総数 7,449名 受験者数4,975名 合格者数711名
・平成29年度秋期 ITストラテジスト試験結果 合格率 14.7%
応募者総数 6,984名 受験者数4,747名 合格者数700名
・平成28年度秋期 ITストラテジスト試験結果 合格率 14.0%
応募者総数 6,676名 受験者数4,594名 合格者数645名 |
受験対策・資格の将来性 | ITストラテジスト試験では、顧客企業にとってのベストな解を求められるため、ソフトウェア開発の経験や知識の他に、顧客企業のビジネスモデルにおける問題解決の経験が必要になります。そのため、資格を取得するにはITの知識、スキルはもちろんのこと、それ以外に経営寄りの事業戦略策定、IT戦略実行管理・評価などの他、組込みシステムの企画および開発計画策定や推進についてなど、主に業務プロセスや経営戦略におけるノウハウ、知識が必要になります。この資格取得には業務要件のコンサルティング知識や上流設計の高度な知識の習得が必要なことから、難易度の面では、プロジェクトマネージャ試験やアプリケーションエンジニア試験よりも難易度が少し高く、情報処理技術者試験の中でも最高峰クラスの資格と言えます。
午前試験では、過去のITストラテジスト試験に出題された問題を解くことが、午前試験突破への近道となります。午前Ⅰでは他の区分と同様に幅広い範囲の学習が必要で、午前Ⅱでは経営用語の意味や内容を聞く問題が多く、ストラテジ系のみの出題です。システム戦略、経営戦略、企業と法務が出題範囲になるため、経営関係についてのきめ細かい勉強が必要です。また午前ⅡではITストラテジストの専門を中心に高度知識レベルの問題が出題されますが、試験問題は4択で、主にストラテジ、マネジメント系より出題されていますが、40分で全25問と出題数は少ないので、問題集の問題を全て覚えてしまう方が早いと思います。比較的、市販の問題集と同じ問題がよく出題されているようにも思います。ただ、基本的には専門知識や用語の意味を問う問題ばかりですが、その知識がない場合でも計算問題などの場合は、案外、解ける問題もありますのであきらめないことが肝心です。また、午前試験では、午後試験と比べると簡単なものが多いため必要な知識を確実に身につけ、足切りにあわないようにしておくことが大事です。 また、午前問題は午後試験でも役に立つような知識を問われることも多く、午前試験を軽視せずに学習することが重要です。
午後Ⅰ試験は、筆記問題で4問のうち2問を選択し回答します。試験対策では、実際の試験時間に合わせて問題集を解く練習をしておきましょう。出題される問題には一定のパターンがあり、問題集の問題を3パターンくらいで見出すことができるようになればしめたものです。
問題内容は、事例解析の出題が中心で読解力に高度なものが要求されます。ただ、解答は基本的に問題文の業界の状況に合わせることになりますので、事前知識は経営戦略の基礎的な理解があれば問題ありません。
午後Ⅱ試験では小論文による出題で3題を選択し解答します。自学の場合には、自己採点が難しいため対策が効果的に行えませんが、論述の対象となるプロジェクトの情報を自分で定義することが出来ますので、過去に自分が体験したプロジェクトの経験をそのまま書き出して構築することは出来ます。その上で、「ITストラテジストとして」誰が、どういう意思で、どんな内容の調査と決断を下したのかということを、事前にストーリーにしてまとめておくと本番で役立ちます。
いづれにしても、この試験では午後Ⅰの事例解析や午後Ⅱの小論文が一つのポイントで、その出来不出来が明暗を分けることになります。
論文試験に合格できなかった方には、システムアーキテクトかITサービスマネージャの受験を先におすすめします。確実に取得するためには、一気にはなかなか無理な試験なので、一歩一歩レベルアップしていく方が良い結果が得られます。ITストラテジスト資格を習得できれば、企業の経営を左右する意思決定にかかわる高度で幅広い知識を保持していることが証明されることになります。そういう意味から、事業企画、業務改革推進、情報戦略立案、製品・サービス企画などの部門において活躍される方、さらにはITコンサルタントや営業職として顧客企業との経営戦略や業務プロセスに関する問題解決、折衝を担当する方にはぜひ取得してもらいたい資格の一つです。
他には、就職や転職、キャリアアップにおいても非常に有用性の高い資格です。特にコンサルティングファームや、シンクタンクでの活躍を考えている方には、この資格が取得できればかなりの効果を発揮すると思われます。
IT関連に全く経験のない人は、まずは基本情報技術者、ソフトウェア開発技術者の資格から取得した方がいいでしょう。そして将来ITストラテジスト試験を受験する時期が来たときは、目安として、テキストを熟読して午前試験をパーフェクトに解答できるくらいの知識を身につけることが、最低ラインになることを知っておいてください。 主に実業務に基づいた出題が多いため、技術的な解法ではなく、業務要件から適切な解決を求められる試験になりますので、テキストによる基礎知識を習得し、多面的に問題を解決するための考え方と文章作成の訓練が重要になります。主催団体のHPには新試験の出題範囲やサンプル問題が公表されていますので参考にするといいでしょう。 |
通信講座 | ◆情報処理技術者 通信講座一覧 |
スクール | 
高度情報処理技術者試験対策講座
◆情報処理技術者 通学講座一覧 |
過去問 | 情報処理技術者試験 過去問集
ITストラテジスト過去問・実践問題集 |
教材 | ITストラテジスト試験対策教材
TAC出版の情報処理テキスト&問題集一体型(応用専門区分) |
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