資格名

システム監査技術者(Systems Auditor Examination

資格の種類

国家資格

主催者

独立行政法人情報処理推進機構(IPA)

資格の概要

「システム監査技術者試験」は、情報処理技術者試験の高度情報処理技術者試験の区分の中で、高度な知識・技能を有するIT技術者を対象としたレベル4に分類されており、ITストラテジスト試験と並んで情報処理技術者試験の最高位に設定されている国家試験です。
システム監査技術者は独立した立場で、情報システムや組込みシステムが適切に運用されているかどうかを点検・調査し、その結果を関係者に報告したり改善を勧告する業務に従事します。そのため、システムの開発や運用、保守などに関する幅広い知識とスキルが求められます。その結果、システム監査技術者は情報システムの安全性や信頼性の向上に貢献する、IT技術者にとって重要な資格になっています。

システム監査技術者試験に合格すると、下記のようなメリットがあります。
 ・システム監査人補の認定を受けられます。
 ・下記の例ような他の資格試験の免除制度の対象となります。
(例)弁理士試験の論文式筆記試験選択科目の理工Vが免除されます。
  技術士の第一次試験の専門科目「情報工学部門」が免除されます。
  中小企業診断士の1次試験科目の一部が免除されます。
 ・システム監査に関する職務に就きやすくなります。



試験の合格率・難易度

難易度 
  「S」  超難関

【資格の難易度レベル】
システム監査技術者試験の難易度レベルは、IT業界での経験が豊富な人の受験が多く、実務経験が5年程度あっても独学で3~6ヵ月間は十分な勉強をしなければ合格できないレベルで、かなり難しい上級者向き試験ですが、ITストラテジストほどは難しくはないという評価です。
この試験の難易度が非常に高いとされる要因は主に以下のような内容になります。
①出題範囲の広さ
システム監査技術者試験は、情報システムの監査に関する幅広い専門知識とスキルを問う試験なので、出題範囲はシステム監査の基礎から、リスク評価、監査手法、監査報告書の作成まで多岐にわたります。
②午後Ⅱ試験の難易度が高いこと
午後Ⅱ試験は、記述式・論述式の問題で構成されています。その中で、120分(2時間)で2,200字以上4,000字以下で小論文(論述)をその場で考え、完成させなければならないというのは非常に難しいと思います。そういうことから、午後II試験にはIT技術に関する知識やスキル、論理的思考力だけでなく、併せて国語力(記述力)も付けておかないと、午後IIの論文で時間が足りず不合格になる可能性も十分あり、ハードルが高いことは間違いありません。
③合格者のレベルの高さ
システム監査技術者試験は、合格者の平均年齢は40歳を超えています。そのことからも、それだけIT業界への深い知識や現場での実務経験が豊富な人が受験する傾向があることが理解できます。

受験者のレベルが高い中で、合格率16%前後というのは相当な難関試験ですが、合格者の平均年齢は40才で専門校やスクールもあるにもかかわらず、この試験には多くの人が独学で試験に臨んでいることから、難易度は高いですが、しっかりと十分対策をすれば合格を目指すことはできる試験であることは間違いないようです。

(参考) 情報処理技術者試験の難易度

合格率
・令和6年システム監査技術者試験結果 応募者総数3,118名
合格率16.7%(受験者数2,278名 合格者数381名) 
・令和5年システム監査技術者試験結果 応募者総数2,851名
合格率16.4%(受験者数2,039名 合格者数335名)     
・令和4年システム監査技術者試験結果 応募者総数2,792名
合格率15.9%(受験者数1,972名 合格者数313名)   
・令和3年システム監査技術者試験結果 応募者総数2,552名
合格率16.0%(受験者数1,877名 合格者数301名)   
・令和2年システム監査技術者試験結果 応募者総数2,350名
合格率15.3%(受験者数1,702名 合格者数260名)

試験の内容・勉強法

システム監査技術者
システム監査を行う内部監査人や情報システム部の担当者、システム監査を行う公認会計士などが取得する資格に

【午前Ⅰ試験の出題と対策】
システム監査技術者技術者試験は情報処理技術者試験の高度試験に該当し、応用情報技術者レベルの知識があることが前提になっていますので、午前Ⅰ試験においては応用情報技術者の午前Ⅰ相当の内容の問題、ITの基礎知識とシステム監査に関する知識などが出題されます。
(対策)
午前Ⅰ試験では、応用情報技術者試験の午前試験のテキストの習得と過去問を繰り返し解き、解説もしっかりと理解していくことが主な勉強法になります。尚、応用情報技術者試験に合格するとシステム監査技術者試験の午前Ⅰが2年間免除になりますので、応用情報技術者試験の受検経験がない方には、先に応用情報技術者に合格してからシステム監査技術者試験を受験する方法も心理的にはいい方法かもわかりません。

【午前Ⅱ試験の出題と対策】
出題の約半分くらいがシステム監査に関連する問題で、あとの約半分が午前Ⅰの出題範囲から出題されているのが傾向です。
(対策)
午前問題の対策はⅠもⅡもメインには「過去問を徹底して解く」ということに限ります。システム監査技術者試験の過去問を繰り返し解くことで、システム監査に関する知識を身につけることができますので、過去問を正解率80%を目指して繰り返し解いて理解する勉強を徹底します。必ず毎日続けることが大切です。

【午後Ⅰ試験の出題と対策】
・午後Ⅰ試験では、情報システムのリスクや監査手法に関する知識を問われる問題が出題されます。対策としては、過去問を繰り返し解いて、問題の傾向と解き方を把握することが重要です。

【午後Ⅱ試験の出題と対策】
・システム監査技術者試験で一番の難関とされるのが午後Ⅱの論述形式、小論文です。午後Ⅱ試験では、情報システムの監査結果をまとめた報告書を作成する問題が出題されます。
午後Ⅱ試験の問題は論述形式で作文能力が求められるため論文を書けなければなりません。論述試験は設問の要求に合った解答を書く、ということが基本なので、このことを意識しながら必ず過去問で繰り返し練習を積んでおくことが有効です。文章構成や論文の書き方などは論文対策の書籍も数多く出ているので、独学で対策できます。

必要な勉強時間には、IT関連の知識やスキルなどの基本を理解し実務経験を積んでいる方の場合は、約120~180時間程度。IT知識をほとんど持たない初心者(個人差が非常に幅広いです)が独学で挑戦するには約1,800~2,300時間程度の時間が必要になると思います。

合格後はシステム監査人協会による公認システム監査人の認定を受けておくと、評価や信頼が増して有利です。
システム監査人の認定を受けるには、システム監査技術者試験に合格してシステム監査人補の認定を受け、さらに2年以上の実務経験を積むことが必要です。それ以外には、中小企業診断士、公認会計士などの資格取得後に指定の講習を受け、協会に申請してからさらに2年以上の実務経験を積む方法もあります。
仕事内容は実務的な能力ではなく経営的な総合的な能力が必要とされる仕事になります。将来的にもより需要が増え有望な資格であることは間違いありません。



試験日程

  令和7年度 システム監査技術者試験日程
  (秋期 情報処理技術者試験)
   試験日:2025年10月12日(日)
 

受験資格

制限なし。誰でも受験できます。

試験会場

全国各地のCBTソリューションズ試験会場
(全国主要56都市の市内または周辺に設けられた試験会場)

受験費用

7,500円(税込み)

 

試験方式

試験はペーパー方式で、午前試験Ⅰ・Ⅱ、午後試験Ⅰ・Ⅱの計4つに分かれています。

【午前Ⅰ】
 出題形式:多肢選択式(四肢択一)
 出題数/時間:30問/50分(全問回答)
 合格基準:満点の60%以上
・基準点は60点。基準点に達しない場合、午前Ⅱ・午後Ⅰ・午後Ⅱ試験の採点は行われず、不合格となります。
・科目免除制度があり、以下の1~3のいずれかの条件を満たしていれば、その後2年間、午前試験Ⅰの受験が免除されます。
  1.応用情報技術者試験に合格する。
  2.いずれかの高度試験に合格する。
  3.いずれかの高度試験の午前I試験で基準点以上の成績を取っている場合。
【午前Ⅱ】
 出題形式:多肢選択式(四肢択一)
 出題数/時間:25問/40分(全問回答)
 合格基準:満点の60%以上
・午前試験Ⅰと同様、基準点は60点。基準点に達しない場合、午前Ⅱ・午後Ⅰ・午後Ⅱ試験の採点は行われず、不合格となります。

【午後Ⅰ】
 出題形式:記述式
 出題数/時間:3問中2問回答/90分
 合格基準:満点の60%以上(各問50点で60点以上得点すれば合格)
・大問1つにつき数問の設問が出題され、それぞれ20字~50字程度で解答します。
※基準点の60点に満たない場合は、午後試験Ⅱの採点は行われず、不合格となります。
【午後Ⅱ】
 出題形式:論述式
 出題数/時間:2問中1問回答/120分
 合格基準:A (ランクA〜Dで、ランクAのみが合格)
・大問2問のうち1問を選択し解答します。大問1つにつき数問の設問が出題され、それぞれ700字~1400字程度で解答します。
・評価方法/合否基準:評価ランクがA~Dまであり、Aを取得すれば合格になります。
設問で要求された項目の充足度、論述の具体性、内容の妥当性、論理の一貫性、見識に基づく主張、洞察力・行動力、独創性・先見性、表現力・文章作成能力などを評価の視点として、論述の内容が評価されます。

試験科目

●出題範囲
午前試験Ⅰは「共通知識」を問う試験で、Ⅱは「専門知識」でレベルが高くなります。午後試験は「午後I」が記述式、「午後II」が論述式で方式は異なりますが出題範囲は共通です。どちらもシステム監査に関する「技能」を問う内容になります。

【午前試験Ⅰ】
午前試験Ⅰは各高度試験の共通問題で各高度資格に必要な「共通知識」が問われます。試験は、以下の3分野から出題されます。
 ・テクノロジ系(基礎理論、コンピュータシステム、技術要素、開発技術)
 ・マネジメント系(プロジェクトマネジメント、サービスマネジメント) 
 ・ストラテジ系(システム戦略、経営戦略、企業と法務)
※午前Ⅰの具体的な出題範囲は他の高度試験と共通となっており、以下の試験と同じ分野の問題が出されます。実施時期が同じ高度試験については、試験問題そのものも共通です。(ITストラテジスト試験,システムアーキテクト試験,プロジェクトマネージャ試験,ネットワークスペシャリスト試験,データベーススペシャリスト試験,エンベデッドシステムスペシャリスト試験,ITサービスマネージャ試験)
※システム監査技術者試験は「レベル4」の試験ですが、「午前I」については「レベル3」に相当する出題内容となります。そのため、出題範囲とレベルは応用情報技術者試験の「午前試験」とも同じです。

【午前試験Ⅱ】
午前試験Ⅱはシステム監査技術者に必要な「専門知識」が問われます。分野は午前Iよりも減りますが、よりレベルの高い問題が出されます。
※システム監査技術者試験で重点分野に指定されている分野は〇印の3分野。
 〇 システム監査:監査と内部統制に関する知識
 〇 セキュリティ:セキュリティと、その管理や技術評価などに関する知識
 〇 法務:各種法規やガイドライン、標準化団体などに関する知識
 ・データベース:テクノロジ系の技術要素
 ・ネットワーク:テクノロジ系の技術要素
 ・システム開発技術:テクノロジ系の開発技術
 ・サービスマネジメント:マネジメント系
 ・経営戦略マネジメント:ストラテジ系の経営戦略
 ・企業活動:ストラテジ系の企業と法務

【午後試験Ⅰ・Ⅱ】
午後試験は「技能」を問う試験で、午後試験Ⅰ・Ⅱの2種類があります。
 出題範囲はⅠ・Ⅱ試験共通で、下記の4分野から出題されます。
 1.情報システム・組み込みシステム・通信ネットワークに関すること
 2.システム監査全般に関すること
 3.システム監査人の行動規範に関すること
 4.システム監査関連法規に関すること

試験関連情報

●試験関連情報
システム監査技術者試験の合格者の特典
(科目免除)
 ・弁理士試験の科目免除(理工V・情報)
 ・中小企業診断士試験の科目免除(経営情報システム)
 ・技術士試験(情報工学部門)の科目免除(第一次試験専門科目)
 ・ITコーディネータ(ITC)試験の科目免除
(資格認定)
システム監査技術者試験の合格者は、日本システム監査人協会(SAAJ)に登録申請のうえ、2年以上のシステム監査の実務経験を積むことで公認システム監査人(CSA)に認定されます。

●関連資格
ITストラテジスト

【資格の難易度情報】
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問い合わせ先

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教材(テキスト・参考書)

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システム監査技術者試験参考書一覧
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