資格名

土地家屋調査士

資格の種類

国家資格

主催者

法務省

資格試験の概要

土地家屋調査士は、依頼を受けて、土地や建物が場所、形状などを調査、測量して図面作成、不動産の表示に関する登記の申請手続などを行う測量及び表示に関する登記の専門家です。
不動産登記業務のうち「表示に関する登記」(土地・建物等の現在の状況に関して国に届け出る登記のこと)を独占的に行えるよう、国から認められています。その他、境界紛争の解決手続きの一つの手段である筆界特定手続きの代理業務なども独占的におこなえる国家資格になっています。
不動産の状況を正確に登記、記録することによって、不動産取引の安全を確保し、国民の財産を明確にするという非常に公共性の高い使命を担っているのが土地家屋調査士です。具体的には、不動産に関わる重要な表示登記や境界確定などを手掛けることから、公共性に加えて非常に専門性の高い資格のひとつでもあります。

試験では、特に測量や作図は職人レベルの技術が必要な世界なので独学は難しく、通信教育や専門スクールなどで指導を受けるのが無難でしょう。
土地家屋調査士になるには、1次試験(筆記試験)に合格し、さらに2次試験の口述試験に合格したのち、管轄官庁である法務省に登録をしなければなりません。

◆土地家屋調査士試験関連の情報
・平成30年度以降の土地家屋調査士試験の試験実施時期を以下のように変更されます。
 筆記試験:10月 第3週目の日曜日(平成30年度は平成30年10月21日)を予定
 口述試験:翌年1月 第3週目(平成30年度は平成31年1月)を予定



合格率・資格難易度

難易度
  「A」  難関    

【資格の難易度レベル】
土地家屋調査士の試験は、高校数学の知識を必要とする試験なので、数学を得意とするかどうかにによって難易度の感じ方に差が出ると思いますが、総合的には行政書士より少し難易度が高い「A」ランクの資格試験です。調査士試験では記述式の問題をいかに時間内で解けるか、という高いハードルがあります。試験突破のための学習時間は1500~1800時間は必要とされ、試験勉強は大変ですが、受験準備を上手に計画的に整えられるかどうかでも長期戦になるか、一発合格できるかが決まる試験でもあります。
実際の試験は、大半が午前科目を免除された方が受験しますので、それを前提にすれば、試験の難易度は社会保険労務士と同程度か少し難しいくらいと考えていいと思います。総合的に判断すると難易度の高い順に 司法書士 > 土地家屋調査士 ≧社会保険労務士 >行政書士 といったところだと思いますが、土地家屋調査士試験には計算や作図なども含まれるため、理系科目の苦手な人には司法書士より難しいかも知れません。

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●合格率  
令和3年度土地家屋調査士試験最終結果 
合格率 10.5% 出願者数4,733名 受験者数3,859名 合格者数404名
※筆記試験合格点 午前の部の試験を受験した者
 午前の部の試験 満点100点中64.0点以上
 かつ、午後の部の試験 満点100点中73.5点以上 

※参考データ
・令和2年度土地家屋調査士試験最終結果 
 合格率 10.4% 出願者数4,646名 受験者数3,785名 合格者数392名
・令和元年度土地家屋調査士試験最終結果 
 合格率 9.7% 出願者数5,270名 受験者数4,380名 合格者数418名
・平成30年度土地家屋調査士試験最終結果 
 合格率 9.5% 出願者数5,411名 受験者数4,198名 合格者数406名
・平成29年度土地家屋調査士試験最終結果 
 最終合格率 8.7% 受験者数4,600名 合格者数400名
・平成28年度土地家屋調査士試験最終結果 出願者数5,658名
 最終合格率 8.9%  受験者数4,506名 合格者数402名 

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受験対策・学習法ほか

 合格率は10%以下で合格までの学習平均期間は1年~3年。また、試験の特徴や特殊性から、独学で勉強して合格するのは非常に難しく、かなりの勉強が必要です。費用も30万円以上かかり、探究心や根気強さが要求されます。一般的には、資格スクールや通信教育などで勉強して、合格を目指します。この試験は測量士補を持っていると、午前の試験が免除になるので、測量士補の資格を先に取得してから、土地家屋調査士試験を受けるという人がほとんどです。従って、土地家屋調査士の資格を取得したい場合は、測量士補の資格を取得するための勉強も同時並行で進めるのがベストです。他に、測量士、一級建築士、二級建築士の資格を有していても、申請すると「午前の部」の試験が免除されます。例年、5,000人前後の受験者があり、過去6年間の合格率を見ても8~9%台で推移しているため、合格率だけを見ると非常に狭き門といえますが、「午前の部」の免除制度などで測量士、測量士補、一級建築士・二級建築士などの有資格者も多く受験しています。

午後の部の試験は、午前の部と比べて難易度も高くなります。試験では筆記試験は多肢択一式と記述式で、択一、書式ともに基準点が設けられているので、まずその基準点をクリアすることが大切です。一方、口述試験は不合格者を出すための試験ではないのでほとんど人が合格します。そのため筆記試験を合格すればまず問題は無いと言えるでしょう。一般に公表されている合格率や難易度は、ほぼ、午後の部における合格率・難易度と言えます。
試験では、民法・不動産登記法・土地家屋調査士法から択一問題で1問、製図を含む土地と建物(またはマンションなどの区分建物)から書式問題で1問、計2問出題されます。出題範囲はそれほど広くないようですが、どちらもかなり高度な知識が必要とされます。択一問題の内容の細かさと、質・量ともに実務に準じた書式問題がこの試験を難しくしています。つまり、単に法律だけの知識だけではなく、先例を含めて縦横に知識を使えないと、択一問題も書式問題もとても歯が立たないと思われます。また、午後の部については7割前後で択一と書式それぞれで足きり点があります。

効率的に少ない学習時間で土地家屋調査士の試験に合格するには、大学の通信講座を活用する方法があります。既に大学を卒業している場合には、通信制の大学に編入して測量に関する科目を履修することで、試験勉強をしないでも短期間で測量士補の資格を取得することができます。二次試験が免除されることで勉強を一次試験に集中することができるため、この方法を活用すると良いでしょう。必要な学習時間は、1200時間~1800時間。受験者層の平均年齢は37歳前後です。
資格取得後は、独立開業して業務を行うのが一般的です。年収も1,000万円以上になることも珍しくなく、高収入が見込まれます。また、行政書士の資格を併せ持つと、農地転用などで業務の幅が広がることもあり、行政書士とダブルライセンスを取得して活躍している調査士も数多くいます。

土地家屋調査士はかなりの難関資格ですが、業界内での評価も悪くありませんので、転職、就職の際、取得しておけば武器になることは間違いなく、就職も難しくなさそうです。独占的な権限が多い為、比較的独立はしやすいですが、収入は中の上といったところです。 会社に所属している場合はサラリーマンより少し良いぐらいが一般的。独立すれば営業力次第といえます。
土地家屋調査士に必要かつ有利なスキルは、一番に実務経験です。ただ、測量や図面の作成だけでなく、隣接地所有者との対応や官庁・民間との交渉なども含む総合的な実務経験が有用です。
他に必要なスキルとしてはCAD操作技術です。一般に測量会社や土地家屋調査士事務所は、専門の測量CADを使用しますが、専門の測量CAD以外でも一般的によく使われるCAD(Auto CADやJW CAD)の操作も一定のレベルはあった方が有利になります。
この資格は、宅地建物取引士の学習範囲の延長上にあり、実質的には上位資格と言えます。他に、この土地家屋調査士の上位資格としては、「ADR認定土地家屋調査士」「筆界調査委員」などがあります。土地家屋調査士が取得できれば、併せて測量士補を取得し、さらに司法書士が取得できれば申し分ありません。土地や建物の専門家になれます。

土地家屋調査士事務所で経験を積んだあと、独立開業するのが一般的です。独自で顧客を開拓することも出来ますが、独占業務なので仕事の需要は安定しています。
調査士名簿に登録し、地元の土地家屋調査士会に入会すれば、調査士会を通じて仕事の依頼を受けることが出来ます。独立した人の多くは、司法書士や建築士などの法律、建築関係の資格をあわせ持っているので、独立を目指す人はそれらの隣接資格取得も視野に入れた方が良いでしょう。

受験資格

制限なし。誰でも受験できる。
【筆記試験免除申請者】
2015年度の土地家屋調査士試験の筆記試験合格者については、免除申請により今年度の土地家屋調査士試験の筆記試験が免除されます。

試験方式

試験は午前の部と午後の部に分かれています。
●午前の部:筆記試験(測量計算や作図問題) 多肢択一式(10問)記述式(1問)
※午前の部は、測量士、測量士補、1・2級建築士の資格取得者であれば免除されます。
※試験時間:午前9時30分から11時30分まで

●午後の部:口述試験
 多肢択一式(20問)記述式(2問)
※試験時間:午後1時00分から午後3時30分まで
※午後の口述試験は筆記試験合格者のみに実施されます。
※筆記は午前の部、午後の部共に多肢択一式問題及び記述式問題の答案がそれぞれ一定の基準点に達しない場合は、総得点にかかわらず不合格になります。

試験科目

不動産の表示に関する登記につき必要と認められる事項で、以下に掲げる内容
●筆記試験
 ・午前の部:土地および家屋の調査および測量に関する知識および技能(平面測量と作図)
 ・午後の部:不動産登記法・民法の択一と実際の不動産表題登記申請に準じた書式問題
      ①民法に関する知識 
      ②登記の申請手続(登記申請書の作成に関するものを含む)および審査請求の手続
      ③その他、土地家屋調査士の業務に必要な知識および能力
●口述試験
 午後の部と同一科目について行われます。
 登記の申請手続(登記申請書の作成に関するものを含む)および審査請求の手続、その他、土地家屋調査士の業務に必要な知識および能力

※一部の試験免除規定
筆記試験のうち、測量の試験が免除されます。
1.測量士、測量士補、一級建築士、二級建築士となる資格を有する方
2.測量の試験について筆記試験に合格した者と同等以上の知識及び技能を有するものとして法務大臣が認定した方(認定者)
3.前々回以前の筆記試験合格者

スケジュール

・試験日:
(筆記試験) 10月第3週目の日曜日
(口述試験) 翌年1月 第3週目
・申込期間:未定

令和5年度土地家屋調査士試験案内 

試験会場

・全国各地  
筆記試験:試験地を管轄する法務局(沖縄は那覇地方法務局)が指定した場所
口述試験:管区法務局ごとに、それぞれの局が指定した場所

受験料

8,300円(収入印紙)
受験手数料改定のお知らせ

問い合わせ先

・各管区法務局または地方法務局総務課  TEL03(5213)1323
(東京の場合:東京法務局民事行政部総務課) 
    http://www.moj.go.jp/ 
 〒102-8225 東京都千代田区九段南1-1-15 九段合同庁舎  
・土地家屋調査士会連合会   
    http://www.chosashi.or.jp/

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 ・平成26年度試験問題
 ・平成30年度試験問題

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