資格名 | コンクリート診断士 |
資格の種類 | 民間資格(名称独占資格) |
主催者 | 社団法人日本コンクリート工学協会 |
資格の概要 | 社団法人日本コンクリート工学協会が実施する講習会を受講したあと、コンクリート診断士試験の試験を受験します。試験に合格し、相応レベルのコンクリート診断・維持管理の知識・技術を保有していると認定を受けたあと、協会に登録すれば資格が与えられます。
このように、コンクリート診断士試験を受験するためには診断士講習会受講(eラーニング)が必須になっており、2日間の講習会を受講していないと資格試験を受験できません。但し、前年度の診断士講習会の受講者は本年度の受講は免除されます。(受講修了証は2年間有効です。)
一般に、コンクリート関連資格の多くは、構造物の新設に必要な知識に重点を置いていますが、コンクリート診断士は、既存のコンクリート構造物の劣化診断や維持管理に必要な知識に軸足を置いた資格です。ここがコンクリート診断士の特色の一つでインフラの老朽化対策などで今、注目の資格になっています。この試験はコンクリート構造物を長く供用するために必要な劣化診断、維持管理能力のある技術者を養成することを目的として2001年より始められました。コンクリート診断士には、構造体のコンクリートについて劣化の程度を診断することや、維持管理の提案をすることなどが求められますが、同時に技術力だけでなく高いモラルも求められています。
【コンクリート診断士講習会について】
・講習期間:2日間 eラーニング
・講義内容:
1日目:基礎編 変状の種類、劣化の機構 基礎編 測定方法、評価・判定、補修
2日目:基礎編 補修・補強の方法 応用編 診断実例、基準類の変遷
・受講料:23,000円(テキスト代、消費税込み)
願書代: 1,000円(消費税込み)
※ e ラーニング受講申込者には、コンクリート診断士試験受験願書が一緒に送られてきます。
※講習受講後、診断士試験の合格者には、申請により登録すると「コンクリート診断士」の称号が付与されます。(登録しないとコンクリート診断士の称号は使用できません)。
また、4 年ごとの登録更新には研修受講が必須条件となります。
登録料:7,000円(消費税含む)
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試験の合格率・難易度 | ●難易度
「A」 難関
【資格の難易度レベル】
コンクリート診断士試験は、受験者の大半が技士その他の技術系資格取得者であるにもかかわらず、試験の合格率は15~20%程度しかないことからも、この試験がかなりの難関試験であることが分かります。国家試験で合格率が20%を下回る試験は、独学オンリーの受験対策では無理な場合が多いと思いますが、コンクリート診断士は、これに該当する試験の一つです。
土木・建築系の資格の中では1級建築士と難易度はそれほど変わらないと言われるくらいにハイレベルな資格なので、受験対策も単純に知識詰め込みだけでは対応できません。計画的な一定量の学習が求められます。受験対策の手順としては、過去問で出題傾向の把握→建築・土木の選択式問題への対策→論述試験対策という手順で、具体的な計画を立ててから勉強に取り組む姿勢が必要です。
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●合格率
2020年度コンクリート診断士試験結果
合格率 全国平均16.3%
受験申込者数4,822名 受験者数2,973名 合格者数484名)
※参考データ
・2019年度コンクリート診断士試験結果
合格率 全国平均15.6%
受験申込者数5,356名 受験者数4,243名 合格者数663名)
・2018年度コンクリート診断士試験結果
合格率 全国平均14.8%
受験申込者数5,865名 受験者数4,496名 合格者数664名)
・2017年度コンクリート診断士試験結果
合格率 全国平均15.0% (受験者数4,922名 合格者数738名)
・2016年度コンクリート診断士試験結果
合格率 全国平均14.8% (受験者数5,422名 合格者数804名)
・2015年度コンクリート診断士試験結果
合格率 全国平均14.8% (受験者数5,462名 合格者数806名) |
試験の内容・勉強法 | コンクリート診断士試験は筆記試験のみで行われます。試験方式は、○×式問題(受験資格の区分で異なる)、四肢択一式問題、記述式問題で構成されていますが、コンクリートを実務で取り扱っていれば理解できるというようなレベルの試験ではないので、問題集、過去問題等でよく内容を確認、理解しながら出題傾向をよく調べることから始めた方が良いでしょう。材料や施工など劣化原因に関連する分野についても多少は出題されますが、主に硬化コンクリートの性質、劣化機構、診断手法、補修・補強に関する知識など限られた分野について、かなり専門性の高い問題が出題されています。特に最近は実際の診断・補修・補強業務にかかわっていないと理解できない、実務的傾向の強い問題の出題が多くなってきているように思えます。このため、診断・補修などの実務的にかかわっていない方は非常に難しく感じられるのではないでしょうか。
例えば、図表や写真を示して視覚的に考えさせる問題がたくさん出題されたり、毎年、複数の計算問題が出題されています。記述式問題の問題A(必須)は、一言で言えば、診断士としての適性を確認するための問題です。また、記述式問題の問題B(選択)は、受験者の診断能力を確認する問題です。実地試験の代替といっても良いでしょう。ただ、全体的には コンクリート診断士に必要な基礎技術の項目が多いですが、範囲が広いため一度で覚えるのは難しいと思います。テキストと過去問を十分に学習し、ひと通りの基礎を身につけた上で、さらに知識の定着を確認する意味からも、過去問以外の問題も解いてみて実力を養うといいでしょう。
コンクリート診断士の受験対策に必要な勉強時間は150~200時間で、期間は3か月~3.5か月程度とされていますが、この試験は実務経験者に有利な出題が多く見受けられるにもかかわらず、専門知識のある人が記述式問題で不合格になる人が多いことなどがあって、必要な学習時間や期間がつかみにくい試験と言えます。ただ、実務経験者でも200時間/3.5か月くらいは見ておいた方がいいようです。
・択一式問題のポイント
(判定に関する出題)
構造物に生じた変状の原因を特定するために調査を実施した後は、その結果を分析して適切な対策を講じなければなりません。また、構造物の残りの供用年数で対策が異なるため、その調査結果をもとに、今後の劣化進行も推定する必要もあります。四肢択一式問題で、これら調査・分析結果の「判定」に関する出題率は約4割を占めています。コンクリート診断士の知識のなかでも最も重視されている分野と言えます。
(調査に関する出題)
コンクリート構造物の変状から、その特徴や補修履歴の確認、環境条件の調査などを経て、劣化の原因を特定します。この想定される複数の原因を絞り込むための調査項目や試験、装置などは覚えておかねばなりません。
(補修・補強に関する出題)
診断の結果、構造物が必要な性能を満たししていなければ対策が必要になりますが、補修・補強をする場合にも、劣化の原因や進行状況に応じて選択すべき対策は異なります。
・記述式問題のポイント
記述式では、例年2題を解答する形式になっていますが、ここでは診断士としての資質や実務での対応能力を問われます。四肢択一式とは違って文章での説明能力も求められます。
尚、コンクリート診断士試験の合否判定は、
(1)四択問題の採点は、上位30%程度を残し、後は不合格(論文は採点しない)
(2)上位30%の人の論文を複数の評価者で採点する。一定のラインに達していない人は不合格(60~70点)
(3)四択問題の点数と小論文の点数を合算し、上位15%程度を合格とする。という流れになっているようです。
実は、コンクリート診断士は21世紀とともに誕生した資格です。そのため、取得者数はいまだ十分な数には達していません。当然、今後も一定の割合で増加していくと思われますが、一方で、それ以上に維持管理が必要となる物件や、コンクリート造の建造物が増えている 現在、事故防止などの安全面において、コンクリート診断士は必要不可欠とされており、需要は多くなり、コンクリート診断士が必要とされる機会も増大し続けることが予測されます。
今後、考えられる就職先としては、診断補修専門会社、設計事務所、コンサルタント会社、電力会社、生コンクリート・セメント会社などでしょう。 |
試験日程 | ●試験日程
・講習(eラーニング)
4月中旬~5月下旬頃まで
・試験
10月下旬
※研修(eラーニング)
毎年 10 月頃
●申込受付期間
・講習(eラーニング)
1月中旬~3月中旬頃まで
・試験
6月上旬~7月下旬
●合格発表
12月末
2023年度コンクリート診断士講習eラーニング・試験案内
2023年度コンクリート診断士試験日程
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受験資格 | ●試験の受験資格は下記の「受験資格確認表」で確認してください。
【資格所持者】
(1)コンクリート主任技士
(2)コンクリート技士
(3)一級建築士
(4)技術士(建設部門)
(5)技術士(農業部門―農業土木)
(6)1級(土木・建築)施工管理技士
【実務経験】
(7)大学:コンクリートに関して4年以上
(8)高等専門学校(専攻科):コンクリートに関して4年以上
(9)短期大学:コンクリートに関して6年以上
(10)高等専門学校:コンクリートに関して6年以上
(11)高等学校:コンクリートに関して8年以上
➡コンクリート診断士試験の受験資格確認表
【講習】
(1)未受講者は受講が必須。講習会修了証は2年間有効
(2)前年度コンクリート診断士講習会修了者は今年度の受講は免除
(3)前々年度以前のコンクリート診断士講習会受講者は再度受講が必要
※大学院でコンクリートに関する研究を行った者は、大学院の修了証明書を添付すれば、その期間を実務経験とみなすことができる。 |
試験会場 | ●講習(eラーニング)
自宅などのインターネット環境がある場所
●試験
札幌、仙台、東京、名古屋、大阪、広島、高松、福岡、沖縄
●研修(eラーニング:2021 年から) |
受験費用 | ●講習(eラーニング)
23,000円(税込み)
●試験(受験料)
11,000円(税込み)
●登録料
7,000円(税込み)
●研修
8,800円(税込み) |
試験方式 | 【講習会(2日間)】
・1日目:
①基礎編(1時間40分) ②基礎編(2時間+1時間40分)
・2日目
①基礎編(1時間40分) ②応用編(2時間+1時間40分)
【試験】
●筆記試験
・四肢択一式問題 50題
・記述式問題 計2題 (試験時間 合計3.5時間)
問題A(必須) 問題B(選択)合計2題 (問題A 1,000字程度、問題B 1,000字以内)
※試験の四肢択一式および記述式のそれぞれに足切り点が決められています。
【合格基準】
試験
全問中のおおよそ70%以上の正答率で合格となります。
但し、択一式、記述式とも60%以下の場合は不合格となります。
【免除規定】
講習会
前年度の診断士講習会の受講者は本年度の受講は免除されます。
※【研修】
(4年ごとの登録更新で受講が必須となります)
研修の実施要領は該当者に通知されます。 |
試験科目 | 【講習会(2日間)】
・1日目:
①基礎編:変状の種類、劣化の機構
②基礎編:測定方法、評価・判定、補修
・2日目
①基礎編:補修・補強の方法
②応用編:判断実例、基準類の変遷
【試験】
コンクリート診断士に必要とされる主な知識・技術と理解力が求められます。
1変状の種類と原因
2.劣化の機構
3.調査手法
4.劣化予測、評価および判定基準
5.対策の種類、補修・補強工法
6.建築物あるいは土木構造物の診断の考え方・調査
7.技術・基準類の変遷 |
試験関連情報 | 【資格の難易度情報】
・資格の難易度とランキング
・ジャンル別資格の難易度ランキング
●試験関連情報
土木系資格の試験制度変更
●関連資格
コンクリート技士(主任)
一級建築士
RCCM
技術士 |
問い合わせ先 | (社)日本コンクリート工学協会 http://www.jci-net.or.jp/
TEL03-3263-1571 東京都千代田区麹町1-7 相互半蔵門ビル12F |
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教材(テキスト・参考書) | コンクリート診断士試験対策教材一覧
【コンクリート診断士 おすすめ教材】
・コンクリート診断士試験 項目別全過去問題集+短期集中学習用要点レジュメ
・コンクリート診断士試験完全攻略問題集2020年版
・コンクリート診断技術 |
教材(過去問・問題集) | コンクリート診断士試験 項目別全過去問題集+短期集中学習用要点レジュメ 2019年版
コンクリート技士・コンクリート診断士 問題集 |
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