資格名

技術士 (Professional Engineer)
技術士補(Associate Professional Engineer)

資格の種類

国家資格(名称独占資格)

主催者

公益社団法人 日本技術士会

資格の概要

「技術士」は国内最高峰の技術系資格といわれ、科学技術の応用面に携わる技術者のための技術士法に基づく国家資格です。試験は技術部門ごとに分かれており、第二次試験のみ実施されている総合技術監理部門を含めて21部門あります。

●技術士
有資格者は「技術士」の称号を使用して、登録した技術部門の技術業務を行えます。一次試験合格者や合格に相当する者で登録を受けた者が「技術士補」となり、二次試験に合格し、登録を受けた者が「技術士」になります。従って、第一次試験は技術士補試験を兼ねており、第二次試験は修習技術者(一次試験合格者)が、技術士になるために受ける試験になります。
技術士は、科学技術に関する高等の専門的応用能力を必要とする事項についての計画、研究、設計、分析、試験、評価またはこれらに関する指導の業務を行います。
●技術士補
技術士補は、将来技術士となる人材の育成を目的とする技術士法に基づく国家資格です。有資格者は技術士の指導の下で、「技術士補」の称号を使用して、技術士を補佐する技術業務を行えます。技術士補も技術士と同様、国家試験(技術士第一次試験)に合格し、登録した人だけに与えられる称号です。

◆技術士試験
技術士試験は、技術士第一次試験、技術士第二次試験に分けて、技術部門ごとに実施されます。

機械部門 船舶/海洋部門 航空/宇宙部門 電気電子部門
化学部門 繊維部門 金属部門 資源工学部門
建設部門 上下水道部門 衛生工学部門 農業部門
森林部門 水産部門 経営工学部門 情報工学部門
応用理学部門 生物工学部門 環境部門 原子力/放射線部門
総合技術監理部門(第二次試験のみ実施)




試験の合格率・難易度

難易度
  技術士   「A」 難関
  技術士補  「B 」 普通

【資格の難易度レベル】
技術士は、技術系資格の中で最高峰と位置づけられる国家資格です。最終合格率は毎年10%前後で、その大半の受験者が技術に関するハイレベルな知識と経験を有している人ばかりであることを考えると、その難易度の高さが分かります。その難易度ゆえに合格するまで複数回受験する人がほとんどと言われる難関国家試験です。

一次試験の合格率は年度によってバラツキますが平均すると30~50%位です。一次試験の筆記試験は各部門の専門知識や一般知識を問う問題が出題されますので出題範囲が広く、出題される問題も難易度が高いため十分な学習が必要です。
二次試験の合格率は第一次試験とは違って比較的安定していて毎年平均で10%程度です。論文試験は与えられた課題について、論理的に考察した文章を作成する必要があります。技術士として必要な論理的思考力や表現力が必要になり、難易度も高くなります。
技術士試験では比較的実務経験を重視されることや、口述試験が難しいという特徴があります。
非常に幅広い分野での知識や経験を問われる筆記試験が最大の難関ですが、二次試験は一次試験より難易度レベルがはるかに高くなります。また二次試験の口述試験は、技術士として必要な専門知識や実務経験を問う試験です。試験官との面接形式で行われ、技術士として必要な資質や能力を判断されます。二次の論文試験と口述試験は独学ではなかなか力が付きにくいため、受験対策にスクールや通信講座の活用も検討するほうがいいと思います。



技術士資格の取得方法は、先に実務経験を経てから受験をするのが一般的になっています。
一般的な取得の順序は、
[大学卒業]→[就職(エンジニア・研究者)]→[1次試験]→[技術士補登録]→[所定の実務経験] →
[2次試験]→[技術士登録] という道筋になります。 
実際の試験では試験の性格上、試験問題は実務経験とは縁の薄い基礎知識を確認するものばかりですが、実務経験がないと最終合格は難しい試験です。

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合格率  

・令和5年度技術士第一次試験結果 
 部門別平均 合格率39.7% 受験者数16,631名 合格者数6,601名
 第二次試験結果
  合格率11.8% 受験者数22,877名 合格者数2,690名
・令和4年度技術士第一次試験結果 
 部門別平均 合格率42.2% 受験者数17,225名 合格者数7,264名
 第二次試験結果
  合格率11.7% 受験者数22,489名 合格者数2,632名
・令和3年度技術士第一次試験結果 
 部門別平均 合格率31.3% 受験者数16,977名 合格者数5,313名
 第二次試験結果
  合格率11.6% 受験者数22,903名 合格者数2,659名
・令和2年度技術士第一次試験結果 
 部門別平均 合格率43.7% 受験者数14,594名 合格者数6,380名
 第二次試験結果
  合格率11.9% 受験者数20,365名 合格者数2,423名
・令和元年度技術士第一次試験結果 
 部門別平均 合格率48.6% 受験者数9,337名 合格者数4,537名
 第二次試験結果
  合格率11.6% 受験者数24,326名 合格者数2,819名

◆技術部門別の試験結果(令和元年~5年)
  ➡ 第一次試験結果 令和5年度 令和4年度 令和3年度 令和2年度 令和元年度
  ➡ 第二次試験結果 令和5年度 令和4年度 令和3年度 令和2年度 令和元年度

試験の内容・勉強法

技術士の受験対策・勉強方法は、一次試験と二次試験で基本的にはどちらも「過去問の分析」から入る手順がお勧めです。
技術士の試験合格を目指すための勉強法のポイント①~④が重要です。
 ①十分な学習時間を確保すること
 ②過去問を数多く解いて、出題傾向を把握すること
 ③論文対策や口述対策に力を入れること
 ④模擬試験を受ける(特に論文試験、口述試験)

● 一次試験(技術士補)
基礎科目と適正科目は、5、6年分の過去問を解いて出題傾向を把握し、教科書や過去問集を活用して、まず十分に理解することが重要です。過去問で傾向を押さえていくと、科目によってはある程度出題パターンが決まっているものもあって比較的得点を確保しやすい科目が分かります。
他に適正科目の中で考えておかねばならないのが技術者倫理に関することです。対策としては技術士法第4条と付属の関連法令とISO(リスク低減に関する内容)も一読しておくほうが良いでしょう。一番難解なのは専門科目です。技術部門によって出題範囲が異なるため、受験する技術部門の過去問を繰り返し重点的に解く必要があります。また、参考書や問題集が十分に出版されていない技術部門の場合は、他の資格の過去問や問題集を参考に勉強する工夫も必要です。




● 二次試験(技術士)
二次試験は、筆記試験(論文試験)と口頭試験で構成されます。
筆記試験でも口頭試験でも「技術士に求められる資質能力の有無」が評価の判定基準になります。二次試験の筆記試験では与えられたテーマについて、論理的に考察した文章を試験時間内で作成しなければなりません。与えられたテーマについて論文にまとめる方法は、経験者のアドバイス等が得られれば一番有効です。また技術士として必要な論理的思考力や表現力が問われる試験では、独学ではレベルアップすることが難しく、論文の書き方についても添削指導が受けられれば減点のポイントを把握することは可能なので、そういう意味からも独学は不利と言えます。一方、技術士試験は受験に関する情報量も多いので、独学で突破を目指すことも不可能ではないと思いますが、ハードルが高く難しいことは間違いありません。ここが技術士試験の最大の山場と言えます。
口頭試問があるのは技術系国家資格ではこの技術士試験だけです、二次試験の口頭試験では、トップエンジニアである技術士としての人物確認が行われます。必要な知識を身に付けているだけでなく、受応えや受験態度も重要であり、試験官の心証を良くすることがポイントになります。
試験もこのレベルになると、スクールや通信講座を受講して試験合格をめざす人も多く、試験合格にはそれなりの受験技術をマスターすることも大切な項目の一つになります。効率的に勉強するためには通信講座の受講がいいでしょう。

技術士になることは、コンサルティングエンジニアの登竜門であり、技術士として登録した後はプロのエンジニアとして、またコンサルタント業等での活躍が可能です。技術士の資格を取得すると、各種の国家資格取得時に試験科目一部免除など、多くの特典があります、例えば電気通信業界での一番のメリットは電気電子部門で建設業法の監理技術者となれることでしょう。

試験日程

●試験日
 ・第一次試験       11月下旬
 ・第二次試験(筆記試験)  7月中旬
  ※二次試験合格者は技術的体験論文を11月中旬頃までに提出
 ・第二次試験(口頭試験) 12月から翌年1月
●申込受付期間
 ・第一次試験:6月中旬~下旬頃
 ・第二次試験:4月初旬~中旬
●合格発表
 ・第一次試験:2月下旬
 ・第二次試験(筆記):10月下旬
 ・第二次試験(口頭):3月中旬


 令和6年度技術士第一次試験日程
 
 令和6年度技術士第二次試験日程

受験資格

●技術士第一次試験(技術士補)
 受験資格はなく、誰もが受験できます。
 ※一次試験に合格した場合、技術士補として登録することができます。

●技術士第二次試験(技術士)
技術士補となる資格を有し、次のいずれかに該当する者
(1) 技術士補として技術士を補助したことがある者で、その補助した期間が通算して次に定める期間((2)の期間を算入することができる。)を超える者。
・総合技術監理部門を除く技術部門 4年
・総合技術監理部門 7年
(2) 科学技術(人文科学のみに係るものを除く。)に関する専門的応用能力を必要とする事項についての計画、研究、設計、分析、試験、評価(補助的業務を除く。)又はこれらに関する指導の業務を行う者(注1)の監督(注2)の下に当該業務に従事した者で、その従事した期間が技術士補となる資格を有した後、通算して次に定める期間((1)の期間を算入することができる。)を超える者。
・総合技術監理部門を除く技術部門 4年
・総合技術監理部門 7年
(注1)7年を超える業務経験を有し、かつ受験者を監督することができる職務上の地位にある者。
(注2)受験者が技術士となるのに必要な技能を修習することができるよう、指導、助言その他適切な手段により行われるもの。
(3) 科学技術(人文科学のみに係るものを除く。)に関する専門的応用能力を必要とする事項についての計画、研究、設計、分析、試験、評価(補助的業務を除く。)又はこれらに関する指導の業務に従事した期間が通算して次に定める期間を超える者。
・総合技術監理部門を除く技術部門 7年
・総合技術監理部門 10年(既に総合技術監理部門以外の技術部門について技術士となる資格を有する者にあっては7年)
なお、(1)~(3)のいずれにおいても学校教育法による大学院修士課程(理科系統のものに限る。)若しくは専門職学位課程(理科系統のものに限る。)を修了し、又は博士課程(理科系統のものに限る。)に在学し、若しくは在学していた者にあっては、2年を限度として、当該期間からその在学した期間を減じた期間とする。



試験会場

●第一次試験 ●第二次試験(筆記)
北海道 宮城県 東京都 神奈川県 新潟県 石川県 愛知県 大阪府 広島県 香川県 福岡県 沖縄県(那覇市)
●第二次(口頭試験)
東京都(筆記試験合格者のみ)

受験費用

・第一次試験  11,000円(非課税)   
・第二次試験  14,000円 1技術部門につき(非課税)

試験方式

【第一次試験】
一次試験については筆記試験のみで、択一式のマークシート方式です。
 (筆記試験) 全科目択一式
①基礎科目:試験時間1時間 配点: 15点満点
②適正課目:試験時間1時間 配点: 15点満点
③専門科目:試験時間2時間 配点: 50点満点
※3科目全てにおいて50%以上の正答が合格基準です。
※一定の資格を有する者については技術士法施行規則に基づいて試験の一部が免除されます。

【第二次試験】
・試験は、必須科目及び選択科目の2科目について行われ、口頭試験は、筆記試験に合格した者について行われます。 
・技術士第二次試験は、機械部門から総合技術監理部門まで21の技術部門ごとに実施。
 (筆記試験)
●総合技術監理部門以外の技術部門
 Ⅰ: 必須科目(記述式)の試験時間   2時間
 Ⅱ・Ⅲ : 選択科目(記述式)の試験時間 合計で3時間30分 
(口頭試験)
●総合技術監理部門以外の技術部門
 Ⅰ: 技術士としての実務能力
 Ⅱ: 技術士としての適格性    試問時間  Ⅰ・Ⅱ 合計20分
 (配点)
   ① 筆記試験
 (総合技術監理部門を除く技術部門)
  問題別の配点は次のとおりとする。
  Ⅰ 必須科目 40点満点
  Ⅱ 選択科目 60点満点 30点
  Ⅲ 選択科目 30点
 ② 口頭試験
 (総合技術監理部門を除く技術部門)
  試問事項別の配点は次のとおりとする。
  Ⅰ 技術士としての実務能力
    1.コミュニケーション、リーダーシップ 30点満点
    2.評価、マネジメント   30点満点
  Ⅱ 技術士としての適格性
    3.技術者倫理   20点満点
    4.継続研さん   20点満点 
(注)「総合技術監理部門」についての詳しい試験内容や解説は「技術士第二次試験実施大綱」を参照ください。

◆科目免除規定
(一次試験)
旧制度において第一次試験の合格を経ずに、既にいずれかの技術部門について第二次試験に合格している者が、第一次試験を受験する場合、次のとおり試験科目の一部が免除されます。
 ①第二次試験で合格した技術部門と同じ技術部門で第一次試験を受験する場合 
  → 基礎科目と専門科目が免除になる
 ②第二次試験で合格した技術部門と別の技術部門で第一次試験を受験する場合 
  → 基礎科目が免除になる
【免除規定】
●技術士の他の公的資格取得上の特典として、他の国家資格試験の受験・免除規定があります。
   ➡ 国家資格試験の受験・免除規定(技術士の特典)

試験科目

【第一次試験】
技術士第一次試験は技術士になるための第1段階の試験と位置付けられています。試験の内容は、大学のエンジニアリング課程(工学、農学、理学等)修了程度です。

①基礎科目:科学技術全般にわたる基礎知識出題分野は、次の(1)~(5)のとおり
 (1) 設計・計画に関するもの(設計理論、システム設計、品質管理等)
 (2) 情報・論理に関するもの(アルゴリズム、情報ネットワーク等)
 (3) 解析に関するもの(力学、電磁気学等)
 (4) 材料・化学・バイオに関するもの(材料特性、バイオテクノロジー等)
 (5) 環境・エネルギー・技術に関するもの(環境、エネルギー、技術史等)
②適正課目:技術士法第4章(技術士等の義務)の規定の順守に関する適正。
 技術士法第四章(技術士等の義務)の規定の遵守に関する適性
③専門科目:受験者があらかじめ選択する1技術部門に係る基礎知識及び専門知識。
 20技術部門の中から1技術部門を選択

【第二次試験】
技術士となるのに必要な技術部門についての専門的学識及び高等の専門的応用能力を有するかどうかを判定する試験であり、幅広い知識と高等な専門技術の豊富な経験による総合的な判断能力が求められます。
筆記試験は、21技術部門の中から、あらかじめ選択する1技術部門に対応する「必須科目」と、各技術部門に設定された「選択科目」の中から、あらかじめ選択する「選択科目」についての試験が行われます。 ➡ 技術士第二次試験の科目表

●試験科目 
 筆記試験     【総合技術監理部門以外の技術部門】
・必須科目①:技術部門全般にわたる専門知識、応用能力、問題解決能力及び課題遂行能力 
      (記述問題) 2時間      
・選択科目②:選択科目に関する専門知識及び応用能力
                  (記述問題) 
・選択科目③:選択科目に関する問題解決能力及び課題遂行能力
       (記述問題) ②+③3時間30分
口頭試験
筆記試験に合格した者について行われます。技術士としての適格性を判定することに主眼をおき、筆記試験における記述式問題の答案及び業務経歴を踏まえ実施します。

(注)「総合技術監理部門」についての詳しい試験内容や解説は「技術士第二次試験実施大綱」を参照ください。




試験関連情報

【資格の難易度情報】
資格の難易度とランキング

●試験関連情報
 国家資格の難易度ランキング
 独学で取れる資格・取れない資格

●関連資格
 ・弁理士
 ・中小企業診断士
 ・気象予報士
 ・消防設備士
 ・労働安全コンサルタント
 ・労働衛生コンサルタント

問い合わせ先

(社)日本技術士会 技術士試験センター http://www.engineer.or.jp/
〒105-0001 東京都港区虎ノ門4-1-20 田中ビル  TEL03(3459)1333

文部科学省:公益社団法人日本技術士会技術士試験センター
電話:03-6432-4585

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教材(テキスト・参考書)

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教材(過去問・問題集)

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講座・スクール

技術士一次試験対策講座「基礎科目・適正科目」
技術士一次試験対策講座「電気電子部門」
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