資格の概要 | 劇場、デパート、ホテルなどの建物は、その用途、規模、収容人員に応じて屋内消火栓設備、スプリンクラー設備、自動火災報知設備などの消防用設備や警報設備、避難設備等、又は特殊消防用設備等の設置が法律により義務づけられており、それらの設置工事や点検整備等を行うには、国家資格の「消防設備士」の資格が必要になります。
消防設備士には甲種と乙種があり、甲種消防設備士は消防用設備等又は特殊消防用設備等(特類の資格者のみ)の工事、整備、点検ができますが、乙種消防設備士は消防用設備等の整備、点検を行うことができます。工事、整備、点検のできる消防用設備等は、免状に記載されている種類になります。
◆甲種消防設備士
指定区分に応じた消防用設備等の工事、整備及び点検をすることができる
・甲種特類 - 特殊消防用設備等
・甲種第1類 - 屋内消火栓設備、スプリンクラー設備、水噴霧消火設備、屋外消火栓設備
・甲種第2類 - 泡消火設備
・甲種第3類 - 不活性ガス消火設備、ハロゲン化物消火設備、粉末消火設備
・甲種第4類 - 自動火災報知設備、ガス漏れ火災警報設備、消防機関へ通報する火災報知設備
・甲種第5類 - 金属製避難はしご、救助袋、緩降機
◆乙種消防設備士
指定区分に応じた消防用設備等の整備及び点検をすることができますが、甲種と違い工事は出来ません。
・乙種第1類 - 甲種第1類と同じ
・乙種第2類 - 甲種第2類と同じ
・乙種第3類 - 甲種第3類と同じ
・乙種第4類 - 甲種第4類と同じ
・乙種第5類 - 甲種第5類と同じ
・乙種第6類 - 消火器
・乙種第7類 - 漏電火災警報器
試験は、甲種が1から5類、及び特類。乙種が1から7類にわけて実施されます。試験問題の持ち帰りは厳禁であり、持ち帰った場合には失格となります。従って過去問題集は存在しません。
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※資格取得後に関して
消防設備士の資格を取得すると、以下の資格の受講資格を得られます。
・防火管理技能者 ・消防設備点検資格者
・甲種消防設備士としての実務経験が5年以上ある場合は「特殊建築物等調査資格者」の受講資格を得られます。
消防設備士の免許を取得したら、消防用設備等又は特殊消防用設備等の工事、整備に関する新しい知識、技能の習得のため、定められた期間内ごとに都道府県知事が行う講習を受けなければなりません(これは危険物取扱者講習と違って、実務に就いていなくても必ず受けなければならない講習です。講習は丸1日で費用は7,000円です)
・講習は、消防設備士免状の交付を受けた日から2年以内、講習を受けた日から5年以内ごとに受講必要。
・講習は4区分に分かれ、所有している類ごとに受ける講習が異なります。
(1)特殊消防用設備等 :甲特類 (2)消火設備 :甲乙1から3類 (3)警報設備 :甲乙4類、乙7類 (4)避難設備・消火器 :甲乙5類、乙6類 |
試験の合格率・難易度 | ●難易度
乙種 「C-下」 やや易の下位
甲種 「C」 やや易
【資格の難易度レベル】
消防設備士試験に関しては、平均的には危険物取扱者資格より少し難易度が高い程度に考えたらいいでしょう。関連資格の難易度順では、消防設備士甲4類 >消防設備士乙4類 >危険物取扱者乙4 というところで、それほど難しい資格試験ではありません。またこの試験は、試験問題の持ち帰りが禁止になっているため、過去問題集も無く、模擬問題で実技のパターンや傾向を学ぶしか方法はありません。
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●合格率
令和3年度消防設備士試験結果(全国)
全甲種:受験者数34,674名 合格者数12,252名 平均合格率35.3%
全乙種:受験者数34,074名 合格者数14,243名 平均合格率41.8%
※参考データ
・令和2年度消防設備士試験結果(全国)
全甲種:受験者数36,097名 合格者数12,724名 平均合格率35.2%
全乙種:受験者数38,396名 合格者数16,220名 平均合格率42.2%
・令和元年度消防設備士試験結果(全国)
全甲種:受験者数37,784名 合格者数12,069名 平均合格率31.9%
全乙種:受験者数39,933名 合格者数15,440名 平均合格率38.7%
・平成29年度消防設備士試験結果(全国)
全甲種:受験者数41,442名 合格者数12,993名 平均合格率31.4%
全乙種:受験者数42,977名 合格者数16,740名 平均合格率39.0%
・平成28年度消防設備士試験結果(全国)
全甲種:受験者数42,629名 合格者数12,959名 平均合格率30.4%
全乙種:受験者数41,645名 合格者数16,158名 平均合格率38.8% |