資格の概要 | 弁理士は特許や商標といった知的財産権のスペシャリストであり、それに関するすべての事務手続を代理することができます。「特許権」、「実用新案権」、「意匠権」、「商標権」、これら4つの権利を総称して「産業財産権」と言い、弁理士法で規定されたこの産業財産権等に関する業務を行うために、法律と専門知識に精通した国家資格者です。顧客の知的財産の活用方法をアドバイスする知的財産戦略のアドバイザーでもあります。
企業の海外進出・国際化も重なり、知的財産権の世界的保護を実現する者として、弁理士に期待される役割は大きくなっています。
◆弁理士試験ニュース
・平成30年度弁理士試験では、以下の2点が変更となりました。
願書受付期間:平成30年3月16日(金曜日)から平成30年4月6日(金曜日)
2.郵送による受験願書請求では返信用切手が不要となりました。
・平成28年度から「弁護士試験制度」が変わりました。
現行の試験制度は受験科目削減や合格者数の底上げなどによって、旧制度と比べて3~4倍合格しやすくなっている問題が指摘されており、2012年には2001年の約2倍の9,657人、約1万人の登録があり登録弁理士数が急増しました。そのため、新人は既存特許事務所に就職できず、廻りまわって弁理士業界の信用力低下を招く要因になっていると言われています。もちろん、弁理士数の急増は収入に響きます。1人当たりの平均処理件数はピーク時の4割まで落ち込み、収入はピーク時の3分の1になったと言われています。試験制度の行方が注目されてきましたが、28年度から改正されることが決まりました。
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資格難易度 | ●難易度
「S」 超難関
【資格の難易度レベル】
弁理士試験の知名度は低いですが合格率は常時4~7%前後の超難関試験で、国立大卒の受験者が多いのが特徴。試験も基本的に理系が有利な試験です。難易度から考えて、独学は現実的でありませんのでスクールの資格講座(通信・通学)の利用をお勧めします。この試験のポイントは論文試験なので、論文に強い人は有利と言えます。合格まで平均3~4年くらいはかかる覚悟で長期計画を立てて受験に挑む必要があります。
過去の試験を見ると、この試験は平成26年頃から合格者数約300名、合格率6%と非常に難化傾向にあります。合格までの平均受験回数は4.05回、合格者の平均年齢は33.6歳です。 1回で合格することは大変難しいですが、 ただ、難関とはいえ、志望者数は年々増えており、平成18年度に受験者数は1万人を突破しました。この試験の場合は、会社勤めをしながら予備校に通い、数年かけて弁理士資格を取得するという人の割合が多いです。必要な学習時間の目安は、3000~4000時間程度と考えていいでしょう。適切な学習プランを立てて適切な学習を継続しなければ合格が難しい試験になっているといえます。
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●合格率
・令和3年度弁理士試験最終結果
志願者数 3,859名 (前年度 3,401 人)
受験者数 3,248名 (前年度 2,947 人)
合格者数 199 名 (前年度 287 人)
合格率(合格者数/受験者数) 6.1% (前年度 9.7 %)
※参考データ
・令和2年度弁理士試験最終結果
(短答式筆記試験) 合格点39点
合格率 18.2% 受験者数2,259名 合格者数411名
(論文式筆記試験) 合格点54点
最終合格率 25.5% 受験者数1,039名 合格者数265名
・令和元年度弁理士試験最終結果
最終合格率 8.1% 受験者数3,488名 合格者数279名
・平成30年度弁理士試験最終結果
最終合格率 7.2% 受験者数3,587名 合格者数260名
(短答式筆記試験結果)
合格率 20.1% 合格基準点39点
(志願者数3,977名 受検者数3,078名 合格者数620名 )
(論文式筆記試験結果)
(受検者数1,070名 合格者数261名 合格基準点54点)
・平成29年度弁理士試験最終結果 最終合格率 6.5%
受験者数3,912名 合格者数255名
(短答式筆記試験結果) 合格率 8.9%
(志願者数4,352名 受検者数3,213名 合格者数285名)
(論文式筆記試験結果)
合格者数229名 合格基準点54点
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受験対策・資格の将来性 | 弁理士は知的財産権のプロフェッショナルになるための資格です。知的財産立国を実現するために、これから弁理士が大きな役割を担うことになります。これから、弁理士資格の価値が高まっていくであろうことは間違いありません。試験では1次(短答式)、2次(論文式)、3次(口述式)があり、著作権法、特許・実用新案法など幅広く問われます。試験対策は、多くの弁理士試験合格者を輩出した予備校へ通うか、 もしくは、それらの予備校が提供している通信講座を受験するというパターンが一般的です。 また、弁理士試験合格者の内訳をみると、 そのほとんどが東京、大阪、名古屋などの都市部近郊に在住しているため、 受験情報が充実している地域に住んでいる人が有利という印象もあります。また、試験には「短答試験」「論文試験」「口述試験」の3種類がありますが、 試験全般をみて一番大切なことは、「条文の理解」だと言えます。また、これは試験合格後、実務を行うことになった場合にも、 業務に必要な知識として身につけていなければならないものです。
この試験は2009年度より、論文式筆記試験の選択科目が変わりました。論文式筆記試験は必須科目と選択科目に分かれていますが、従来、選択科目試験では、全員が受験する「共通問題」と、任意の1題を選択して解答する「選択問題」の2階層としていました。これを1階層化し、新試験では問題を1つ選択して解答する仕組みとなっています。この変更は、より広範囲な技術等の分野を取り込めるようにするために行われたもので、この科目構成の見直しにより、選択科目免除はこれまで選択問題に関する分野の修士または博士の学位をもった人としていたが、それ以外の分野で論文を作成して学位を取得した人も免除の対象となります。試験対策としては、短答、論文、口述、いづれの試験も過去問を徹底的にやらねばなりません。その上で、主に問われる部分の条文や判例、学説などを読んで、問題に対して結論を導く練習(アウトプットの練習)を繰り返しやっておくことが大切です。予備校などの答案練習や模試を積極的に活用することも役立ちます。中でも、必須科目の「工業所有権」は特に力を入れて勉強しなければなりません。特許法、実用新案法、意匠法、商標法、この1つでも穴があると合格は難しくなります。合格を狙う人は法律の条文や判例など基本書を基礎からしっかりと理解することが必要なので長期戦になる覚悟が必要です。
※(参考1)
弁護士資格保有者は、無試験で弁理士登録が可能です。その弁護士が、今はその多くが仕事に就けずに余っている状況です。そのため、今後は職余りになっている弁護士と弁理士との間で、知的財産権関係の仕事の取り合いになる可能性があります。そのような状況から、これから弁理士を志望する人は、各種の商品技術に詳しい理系出身の弁理士でないと生き残っていくのが厳しいことが予想されます。
※(参考2)
合格者の約80%が有職者で、勤務先は特許事務所と一般企業などがおおよそ半々。弁理士の場合、何といっても高収入が見込めるのが魅力で、独立開業して事務所を大きくできれば、年収1億円も決して夢ではない。また、弁理士は海外に居住していても、弁理士登録をして国内で活動することが可能であるため、国際化に対応できる弁理士になれば、その存在は貴重なため、その方向を目指して成功を手にする道も考えられる。
※(参考3)
特許事務所に所属して経験を積み、独立を目指す人も多い資格ですが、資格取得後は特許事務所や企業の法務部門などに在籍して実務経験を積むのが一般的です。弁理士は特許事務所などに勤務していても、かなりの高収入が望めますが、独立開業することも決して夢ではありません。
また、次のステップとして取得すると効果的な資格は、司法試験や税理士、公認会計士。付記試験として特定侵害訴訟代理業務試験などがあります。 |