資格名

電気主任技術者
 略称:電験主任者
国家試験が「気主任技術者試」と称されることから電験(でんけん)、あるいは区分呼称をつけて電験○種と略されることがあります。

資格の種類

国家資格

主催者

財団法人電気技術者試験センター

資格の概要

【資格の概要】
◆どんな資格ですか。
「電気主任技術者」は、高圧の電気設備工事や電気設備の維持・運用に関する監督を行うための資格で、「電験(でんけん)主任者」と略称されます。監督できる範囲によって第一種から第三種に分かれます。一定以上の電気を利用する工事現場や工場などの建築物で、一般の事業所は第三種、大規模な需要設備がある事業所は第二種、発電所などを有する電力会社などでは第一種の資格者を選任することが義務付けられています。電気主任技術者は社会的評価が高い国家資格です。
・電気主任技術者の主任技術者免状にはそれぞれ記載した範囲の電気工作物について選任をうけ、電気的設備の工事、維持及び運用に関する保安の監督ができます。
 ・第一種電気主任技術者免状:すべての事業用電気工作物
 ・第二種電気主任技術者免状:170,000V未満の事業用電気工作物
 ・第三種電気主任技術者免状:50,000V未満の事業用電気工作物(出力5,000kW以上の発電所を除く)
  電気主任技術者資格と電気工作物の範囲の詳細はこちらで確認ください。

◆資格を取得するためには。
電気主任技術者になる方法は二通りあります。
①指定の学校で電気関係の単位を取得後に実務経験を積み、面接などを経て認定されれば、免状を取得できます。
②電気主任技術者国家試験に合格すれば、免状を取得できます。
※①の「実務経験」の詳しい内容については、経済産業省の公式ページをご覧ください。また、①の資格取得方法については、下欄の「試験の内容・勉強法」で解説しています。

◆どんな仕事に役立てられるか、活用法は?
電気主任技術者は、発電所や変電所、工場などに設置されている電気設備の保守や監督を行える、ビル法律上必要な資格です。一方、定期的な電気設備の点検は法律で義務づけられており、その保安監督業務は有資格者しかできないことで、工場、電気工事業者などから以下①~④のような企業ニーズが多くあります。
電気設備の点検・検査: 発電所、変電所、工場、ビルなどの電気設備を定期的に点検し、異常の有無を確認。
②保安監督: 電気設備の工事、維持、運用における保安の監督。法令や技術基準の遵守、作業者の安全管理など。
③電気工事の施工管理: 電気工事の施工計画の作成、現場の監督、検査などを行います(主に第一種・第二種)。④電気設備の設計: 電気設備の設計や更新に関する業務を行います(主に第一種)
資格の活用法としては、電気業界での就職・キャリアアップや、電気設備に関する専門性の証明、電気事業所の運営に携わることなどがあげられます。例えば、三種の資格取得者なら発電所や変電所、工場などの電気設備の保安監督者として従事できます。

◆電気主任技術者と電気工事士と電気工事施工管理技士の仕事内容の違いは。
・電気主任技術者
事業用電気工作物の設置者が、電気事業用または自家用の電気工作物の工事、維持及び運用に関する保安の監督をさせるために選任する。第一種、二種、三種があり、主に電圧により保安の監督のできる範囲が決まっています。電気関係法令に照らして、点検、試験、検査し設置者に報告し、不具合があれば設置者に是正を求めますが、電気工事や関連作業はできません。
簡単に言えば、電気設備の保安・監督、点検、工事の施工管理など、電気設備の全体的な管理を行う技術者。
・電気工事士
電気工事士は実際に工事ができる資格です。第二種電気工事士は一般用電気工作物、第1種電気工事士は一般用電気工作物のほかに、高圧で受電する需要設備500kW未満の自家用電気工作物の電気工事ができます。
一言でいえば、電気設備の工事(配線、コンセント設置など)を行う技術者。
・電気工事施工管理技士
電気工事施工管理技士は電気工事の現場で、工事の計画、工程管理、品質管理、安全管理などを担当する専門家で、資格取得には実務経験が問われますが、電気工事の実務はできません。




試験の合格率・難易度

【合格率】
◆合格ラインはどれくらい?
電気主任技術者試験の合格ライン(合格最低点)は、難易度や受験者数によって毎年変る可能性があります。
◆合格基準点は。
 第三種 100点満点で60点以上。
 第二種 100点満点で56.7点以上。
    (実得点 180点満点で102点以上、かつ、各科目 平均点-5点以上)
 第一種 100点満点で60点以上。
    (実得点 180点満点で108点以上、かつ、各科目 平均点以上)

◆合格率の推移
・令和5年度電気主任技術者試験結果
第一種
(一次試験)受験者数1,469名 合格者数485名 合格率33.0%
(二次試験)受験者数719名 合格者数129名 合格率17.9%
第二種
(一次試験)受験者数6,318名 合格者数1,545名 合格率24.5%
(二次試験)受験者数2,682名 合格者数474名 合格率17.7%
第三種 受験者数52,735名 合格者数9,894名 合格率18.8%
・令和4年度試験結果
第一種
(一次試験)受験者数1,436名 合格者数442名 合格率30.8%
(二次試験)受験者数685名 合格者数143名 合格率20.9%
第二種
(一次試験)受験者数6,189名 合格者数2,178名 合格率35.2%
(二次試験)受験者数2,904名 合格者数698名 合格率24.0%
第三種 受験者数62,571名 合格者数7,307名 合格率11.7%
・令和3年度試験結果
第一種
(一次試験)受験者数1,225名 合格者数379名 合格率30.9%
(二次試験)受験者数899名 合格者数72名 合格率8.0%
第二種
(一次試験)受験者数5,979名 合格者数1,539名 合格率25.7%
(二次試験)受験者数2,407名 合格者数413名 合格率17.2%
第三種 受験者数37,765名 合格者数,4357名 合格率11.5%
・令和2年度試験結果
 第一種
(一次試験)受験者数1,508名 合格者数759名 合格率50.3%
(二次試験)受験者数933名 合格者数131名 合格率14.4%
 第二種
(一次試験)受験者数6,235名 合格者数1,695名 合格率27.2%
(二次試験)受験者数2,512名 合格者数701名 合格率27.9%
 第三種 受験者数39,010名 合格者数3,836名 合格率9.8%
・令和元年度試験結果
 第一種
(一次試験)受験者数1,566名 合格者数379名 合格率24.2%
(二次試験)受験者数598名 合格者数103名 合格率17.2%
 第二種
(一次試験)受験者数6,915名 合格者数1,633名 合格率23.6%
(二次試験)受験者数2,513名 合格者数574名 合格率22.8%
 第三種 受験者数41,543名 合格者数3,879名 合格率9.3%

【難易度】
◆難易度レベルは?
  第一種  「A」 難関    
  第二種  「A」 難関    
  第三種  「B」 普通
  電気主任技術者の難易度ランキング
強電系の最高峰の難関資格と言われ、受験対象者のレベルは、第一種が大学の電気系学科、第二種が高専・短大、第三種が工業高校卒業程度を対象としていますが、試験は誰でも受験することができます。
試験はどこが難しいか。
第三種電気主任技術者試験(電験三種)を例にとると、電験三種は、電気に関する基礎知識と実務経験が求められる試験であり、出題範囲は広く、電気に関する様々な分野から出題されます。平均的には、電気そのものの知識より数学が合否を決めると言っても言い過ぎではないほど数学重視の試験なので、数学が得意な人は非常に有利な資格試験です。第三種試験でも理論はほとんどが計算問題なので、数学や計算問題に自信がない人は、知識問題を落とすと致命傷になるため知識問題を確実に押さえなければなりません。電験三種の科目別の難易度では、理論と機械が一番難易度が高いと思われます。
◆他の試験との難易度比較
 電験一種>電験二種>電験三種電気工事士1種電気工事施工管理技士 1級

試験の内容・勉強法

【試験の内容】
◆どんな問題が出題されますか。
電気主任技術者試験は、平均的に過去問からの出題が多く、過去問を完全に理解することが合格への近道になりますが、試験種別の科目の出題傾向は以下を参考にしてください。
・電験三種:試験の出題範囲は基礎的な電気理論、電力、機械、法規などです。
・電験二種:電験三種の出題に加え、より高度な電気理論、機械、電力系統、制御工学などの科目です。
・電験一種:電験二種に加え、さらに高度な電気理論、発電、送配電、電力系統の安定運用、保護継電などです。
問題内容の傾向としては、計算問題では数値問題や計算問題が一定程度出題されます。また、理論問題では電気に関する原理や概念を問う問題が出題されます。さらに法規問題では電気事業法や電気用品安全法などの法令に関する問題が出題されています。
◆どの科目が重要ですか。
電験三種の場合、特に重要な科目としては、
理論では、電圧、電流、電力、電気回路など、電気に関する基礎的な理論が問われます。
電力では、電線、ケーブル、遮断器、コンデンサなどの電気機器の構造や取扱い、配線方法など。
機械では、電動機、発電機、変圧器などの電気機器の構造、原理、運転方法など。
法規では、電気事業法、電気用品安全法などの法令や、保安に関する規定が問われます。




【勉強方法】
◆効率的な勉強方法は。
「電験三種」の勉強方法は、参考書や問題集を使って学ぶのが一般的です。広い範囲から専門的な内容が出題され、計算問題の割合も多いので十分な準備が必要です。平均的に過去問からの出題が多いため、合格を目指すのであれば、過去10年分の過去問は必ずこなしておかなければなりません。10年分の過去問をやることで出題傾向もつかめてきます。電験三種は過去問を完全に理解することが合格への近道です。問題のレベルは電気科高校卒業レベルで、解答もマークシート形式の多肢選択なので、しっかりと試験対策さえしておけば合格を目指せる資格です。
さらに、できれば受験スケジュールを3年程度の長期に設定して、1年に2科目制覇するつもりで勉強すれば良い結果が得られると思います。一番難解な科目は「機械」でしょう。電気や電力は比較的簡単で、法規は試験直前の集中勉強でカバーするのが効率的です。
「電験二種」試験の勉強方法は、1次試験は2次試験の準備・足切り試験のようなもので、本番は2次試験にあります。そして、本番では試験時間が短く、必ず試験時間が足りなくなりますので、その辺を考慮した受験対策を考えておかねばなりません。2次試験では「機械・制御」の科目が一番の重点科目になります。
「電験一種」試験の勉強方法は、基本的には二種の過去問の完全解答から始めた方がいいでしょう。理論も大学レベルになり、「超」がつくほどの難関試験になりますが、試験対策は、これも「10年間の過去問を繰り返し解く」ことで、傾向をつかむことが大切な対策になります。出題は二種と比べて計算問題が少なく、平均して論述問題が多くなります。論述問題では総合的な知識を要求されます。
勉強法は過去問中心になりますが、過去問が全て解けるようになっても、過去問と同じ問題が出ることはないので、最低10年分はこなして、理解しながら解けるようにしておくべきです。
◆国家試験を受けずに実務経験で資格取得する方法。
「資格の概要」欄で解説している、「電気主任技術者になる方法は二通りあります」の①の方法です。
電気主任技術者資格は大学の電気工学科を卒業して所定の「実務経験」を積むと1年で取得できる「認定」の道があります。実際、一種、二種の電気主任技術者で職場にいる多くの人は、この「認定」資格者が多いのが実状です。
ただ、この「認定」による資格の取得が簡単というわけではありません。
電気主任技術者資格の認定取得方法は、学費と時間がかかるため一般的ではありません。認定取得が適しているのは次に該当するような限られた方々です。
 ・認定校に在籍している人
 ・認定校を卒業しており実務経験が積めそうな人
 ・認定校に通える時間を確保できる人
◆第三種電気主任技術者(電験三種)の優位性とメリット。
電気主任技術者は、工場では必ず必要であり、有資格者は待遇が良く、社会的評価も高い国家資格です。特に第三種電気主任技術者(電験三種)はビルや工場の高圧電気の管理・保全をするための資格で、電験三種を取得すると、電圧が5万ボルト未満の電気工作物の電気主任技術者になれることから、電気工事の業界では、電験三種をもつことが一つのステータスになっています。また、電験三種があれば、ほとんどの工場やビルで電気主任技術者になれるため、建物がある限り電験三種保有者の仕事もなくならないと言われています。

試験日程

【試験の実施計画】
・受験申込書、受験案内については、財団法人電気技術者試験センターで無料で配布
・申込受付:受付期間が郵便窓口受付の場合とインターネット受付で違いますので注意要。
・試験日
 9月上旬(第1種・第2種1次と第3種試験共通日)  
 11月下旬(第1種・第2種の1次試験合格者を対象にした2次試験)

【次回の試験日程・申込期限】
2024年度電気主任技術者試験日程(第一種・第二種・第三種) 

受験資格

・試験は誰でも受験可能です。
二次試験は同じ年度の一次試験の合格者及び一次試験免除者(前年度の一次試験合格者)のみ受験することができます。

試験会場

・第一種  第二種
 北海道、宮城、東京、愛知、石川、大阪、広島、香川、福岡、沖縄
・第三種
 47都道府県

受験費用

第一種・二種(非課税)
 ・14,200円(郵便による申込み)  
 ・13,800円(インターネットによる申込み)
第三種(非課税)
 ・8,100円(郵便による申込み)   
 ・7,700円(インターネットによる申込み)

試験方式

第一種、第二種は1次試験、2次試験があります(いずれも筆記試験)。 第三種は一次試験のみです。
【第一種・第二種】1次試験
・一種試験はマークシートに記入する多肢選択方式とマークシートによらない記述式。
・二種試験はマークシートに記入する多肢選択方式。
※1次試験は科目別合格制度が設けられており、一部の科目に合格した人は、その年を含めて3年以内に残りの科目に合格すれば二次試験を受験することができます。
【第一種・第二種】2次試験
・一種試験、電験二種試験とも記述式。
※2次試験でその年の試験に不合格になった場合でも、次年度は1次試験を免除され、2次試験を再度受験できます。この試験に合格すると構内/構外のすべての事業用電気工作物の工事、維持及び運用に関する保安の監督ができるようになります。
【第三種】1次試験
・第三種試験はマークシートに記入する多肢選択方式。
※第三種及び第一種又は第二種と併願も出来ます。

試験科目

・第一種、第二種
 一次試験4科目(理論、電力、機械、法規)と二次試験2科目(電力・管理、機械・制御)
・第三種
 一次試験4科目(理論、電力、機械、法規)

<第一種、第二種>
一次試験科目(試験科目は4科目)
1.理論 ①電気理論、②電子理論、③電気計測、④電子計測
2.電力 ①発電所・送電所の設計・運転、②送電線路・配電線路の設計・運用・材料知識
3.機械 ①電気機器、②パワー・メカエレクトロニクス、③電動機応用、④照明、⑤電熱、⑥電気化学、⑦自動制御、
⑧メカトロニクス並びに電力システムに関する情報伝送及び処理
4.法規 ①電気法規(保安に関するものに限る)・電気施設管理
※1種は各科目A問題4題 B問題2題  2種は各科目A問題4題 B問題3題
※科目別合格制なので有効期限の3年間を使って勉強する方法も採れます。
二次試験(試験科目は2科目)
1.電力・管理 ①発電所・送電所の設計・運転、②送電線路・配電線路の設計・運用・管理
2.機械・制御 ①電気機器、②パワー・メカエレクトロニクス、③自動制御・メカトロニクス関連
※電力・管理6題中4題を選択 機械・制御4題中2題を選択
※科目別合格制度はありませんが、一次試験合格年度に不合格でも翌年度は一次試験が免除されます。
<第三種>一次試験のみ
一次試験科目(試験科目は4科目)
1.理論 ①電気理論、②電子理論、③電気計測、④電子計測
2.電力 ①発電所・送電所の設計・運転、②送電線路・配電線路の設計・運用・材料知識
3.機械 ①電気機器、②パワー・メカエレクトロニクス、③電動機応用、④照明、⑤電熱、⑥電気化学、⑦自動制御、⑧メカトロニクス並びに電力システムに関する情報伝送及び処理
4.法規 ①電気法規・電気施設管理
※試験は科目別で合否が出ます。科目合格者にはその後2年間の合格科目が免除されます。

合否と科目合格について
<第一種・二種>
一次試験の結果は科目別に合否が決まり、4科目すべてに合格すれば第一種・第二種試験の一次試験に合格となりますが、一部の科目だけ合格した場合には科目合格と なって、翌年度及び翌々年度の試験では申請によりその科目の試験が免除されます。3年間で4科目の試験に合格すれば二次試験の受験資格が得られます。
<第三種>
試験の結果は科目別に合否が決まり、4科目すべてに合格すれば第三種電気主任 技術者試験合格となりますが、一部の科目だけ合格した場合には科目合格となって、翌年度及び翌々年度の試験では申請によりその科目の試験が免除されます。3年間で4科目の試験に合格すれば第三種電気主任技術者免状の取得資格が得られます。

試験関連情報

・電験三種の次にステップとして考える資格とは。
三種の上位資格には二種、一種がありますが、合格率は一層低くなり、難易度も上がるため、実際は取得は非常に難しくなります。そこで、次のステップとして「ビル管理技術者(建築物環境衛生管理技術者)」の取得がおすすめです。試験も比較的易しく、取得できれば仕事の幅が大きく広がります。

問い合わせ先

財団法人電気技術者試験センター   http://www.shiken.or.jp/
〒104-8584 東京都中央区八丁堀2-9-1 RBM東八重洲ビル8F
 TEL03(3552)7691

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教材(テキスト・参考書)

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教材(過去問・問題集)

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第三種電気主任技術者試験問題集

講座・スクール

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