資格名

電気通信主任技術者

資格の種類

国家資格

主催者

(財)日本データ通信協会 電気通信国家試験センター

資格の概要

電気通信主任技術者は、電気通信ネットワークの工事や維持、運用の監督責任者です。この資格は、大きく「伝送交換主任技術者」と、「線路主任技術者」に区分されており、通信ネットワークの工事、維持、運用を監督する国家資格です。伝送交換主任技術者は、電気通信事業に必要な伝送交換設備およびこれに附属する設備の工事、維持、運用を行い、線路主任技術者は電気通信事業に必要な線路設備や、これに附属する設備の工事、維持、運用などを行います。
情報ネットワークの高度化時代を支える電気通信のスペシャリストとして、伝送・交換・無線・通信電力・データ通信などの幅広い知識を求められる資格で、需要は今後さらに伸びると予測されます。

電気通信事業者は、原則として、事業用電気通信設備を直接に管理する事業場ごとに「電気通信主任技術者」を選任し、その電気通信設備を省令で定める技術基準に適合するよう、自主的に維持するために、電気通信設備の工事、維持及び運用の監督にあたらなければならないとされています。
事業用電気通信設備の工事や維持、運用に関する監督をする電気通信主任技術者(伝送交換主任技術者、線路主任技術者)は大規模な電気通信事業者すべてに選任の義務があります。資格取得後5年の実務経験者は建設業法上の電気通信工事業の主任技術者として認定されます。

また電気通信主任技術者は、区分によって、 第1種電気通信事業者は伝送設備、交換設備、無線設備など、第2種電気通信事業者は特別第2種電気通信事業に関する伝送設備、交換設備など、線路主任技術者は通信土木設備、光ファイバーケーブル、海底ケーブルなどの工事を監督できます。




試験の合格率・難易度

難易度
  「A」 難関    

【資格の難易度レベル】
電気通信主任技術者は、情報ネットワークの高度化時代を支える電気通信のスペシャリスト。電気主任技術者が強電の電気技術資格なら、電気通信主任技術者は弱電の通信技術の資格です。合格率は近年は、伝送交換25~30%、線路30%前後です。どちらも難関資格で難易度はそれほど変わりません。どちらも電気通信分野の国家資格の中では1、2を争う難易度の高さです。 
電気通信主任技術者と電気主任技術者(電験)の難易度を比較した場合、どちらも難易度は高い資格ですが、合格率だけを見ると電験(三種)の方が高いようです。ただ、電気通信主任技術者試験の範囲が非常に広いことで、過去に出題されたことがある問題が再度出題される可能性が低く、過去問中心の対策だけでは通用しにくいことなどから、実際は電気通信主任技術者試験の方が難易度は高いと思われます。また、それがゆえに電気通信主任技術者試験は、一発で合格する人が少なく、何回か受験を重ねて合格する人が多くなっています。



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・合格率 
 令和3度第2回 電気通信主任技術者試験結果 
  伝送交換主任技術者 
  合格率32.8% 受験者数2,139名 合格者数702名
  線路主任技術者 
  合格率45.1% 受験者数850名 合格者数383名
  合計
  合格率36.3% 受験者数2,989名 合格者数1,085名

※参考データ
・令和3度第1回 電気通信主任技術者試験結果 
  伝送交換主任技術者 
  合格率45.6% 受験者数2,186名 合格者数996名
  線路主任技術者 
  合格率61.3% 受験者数1,112名 合格者数682名
・令和2度第2回 電気通信主任技術者試験結果 
  伝送交換主任技術者 
  合格率29.5% 受験者数2,994名 合格者数884名
  線路主任技術者 
  合格率27.0% 受験者数1078名 合格者数291名
・令和元度第2回 電気通信主任技術者試験結果 
  伝送交換主任技術者 
  合格率28.5% 受験者数2,234名 合格者数636名
  線路主任技術者 
  合格率32.0% 受験者数938名 合格者数310名  
・平成30度第2回 電気通信主任技術者試験結果 
  伝送交換主任技術者 
  合格率29.3% 受験者数2,304名 合格者数675名
  線路主任技術者 
  合格率32.0% 受験者数915名 合格者数293名
・平成30年度第1回 電気通信主任技術者試験結果 
  伝送交換主任技術者 
  合格率27.8% 受験者数1,969名 合格者数548名
  線路主任技術者 
  合格率30.3% 受験者数769名 合格者数233名

試験の内容・勉強法

この資格は、電気製品を自分で修理するのが好きで、ものの仕組みに興味ある人に向き、几帳面な性格の人が良いように思います。工業系の高等学校などで養成課程を修了することでも資格取得できます。「伝送交換主任技術者試験」を例にとって説明すると、試験対策としては、参考書や問題集を使って学ぶのが一般的です。法規は過去問を中心に暗記でカバーできます。専門は、伝送、無線、交換、データ通信、通信電力の5科目の中から1科目選んで受験しますが、伝送・データ通信・通信電力は過去問の類似問題の出題が比較的出題されるので、ここは過去問中心の勉強でいいでしょう。ただ、全般的にみると、過去問丸暗記式の勉強だけで突破できる資格試験ではありません。

一番の問題は設備管理です。試験問題の範囲が新分野、専門分野、設備管理、MTBF計算、情報セキュリティの5分野からです。MTBF計算は過去問題を繰り返し、ひたすら解く方法で何とかなりますが、新分野は新しい設備の最新技術について出題され、どの分野が出題されるか分からないため、一番難易度が高い項目です。設備管理は出題が、信頼性、品質管理、保全用語等になり、一般には一から勉強しなくてはならないため一番時間がかかります。
伝送交換は、IPネットワークや電磁気学の知識があると勉強がやりやすいと思います。それら以外に役立つ知識としては、データ通信なら情報処理技術者試験のネットワーク知識やCCNAの勉強でしょう。電気通信システムは、光や電磁場を勉強しておくと分かりやすいです。



全体的に、最近は過去問題からの出題頻度が少し増えてきているようですが、過去問題を解くにしても、理解しながら解き進めるようにしなければ効果ある勉強にはなりません。また、学習用テキストや問題集などを使う場合は、電気通信主任技術者研究会から出版されているものが最も人気があり、信頼できます。

試験日程

・試験日:年2回  
  第1回 7月中旬  
  第2回 翌年1月下旬
・申込期間(インターネット)
  第1回 4月上旬~5月上旬 
  第2回 10月上旬~下旬
・合格発表
※インターネットでの申請 →(http://www.shiken.dekyo.or.jp/

 令和5年度 電気通信主任技術者試験日程

受験資格

資格制限なし。誰でも受験できます。

試験会場

札幌、仙台、さいたま、東京、横浜、新潟、金沢、長野、名古屋、大阪、広島、高松、福岡、熊本及び那覇(15地区 ※近郊都市を含む)
なお、試験会場については、試験の2週間前までに送付される受験票により通知されます。

受験費用

3科目(全科目)試験 18,700円
2科目 18,000円
1科目 17,300円
全科目免除 9,500円

 

試験方式

・試験方式:全科目択一式のマークシート方式
・合格基準:各科目の満点は100点、合格点は60点以上です。

試験科目

試験は電気通信主任技術者として必要な最低限の専門的知識及び能力についての評価が行われます。監督できる電気通信設備の種類などによって「伝送交換主任技術者試験」と「線路主任技術者試験」の2種類に区分され、科目数はどちらも3科目です。

●伝送交換主任技術者  
(1)電気通信システム
 ・電気通信工学の基礎(電気工学の基礎・通信工学の基礎)
 ・電気通信システムの大要(電気通信システムの基礎理論・電気通信システムの構成)
(2)伝送交換設備及び設備管理
 ・伝送交換設備の概要(伝送設備・効果設備・無線設備・送信電力設備・サーバ設備)
 ・伝送交換設備の設備管理(伝送交換設備の設備管理一般・伝送交換設備の施工管理・伝送交換設備の維持・運用管理)
 ・セキュリティ管理(セキュリティ管理の概要・セキュリティ対策)
 ・ソフトウェア管理(ソフトウェア開発概要・ソフトウェアの導入・維持運用)
(3)法規
 ・電気通信事業法及びこれに基づく命令
 ・有線電気通信法及びこれに基づく命令
 ・電波法及びこれに基づく命令
 ・不正アクセス行為の禁止等に関する法律及びこれに基づく命令
 ・電子署名及び認証業務に関する法律及びこれに基づく命令
 ・国際電気通信連合憲章及び国際電気通信連合条約の大要

●線路主任技術者
(1)電気通信システム(上記、伝送交換主任技術者試験 電気通信システムに同じ)
 ・電気通信工学の基礎
 ・電気通信システムの大要
(2)線路設備及び設備管理
 ・線路設備の概要(通信線路・水底線路・通信土木)
 ・線路設備の設備管理(線路設備の設備管理・線路設備の施工管理・線路設備の維持・運用)
 ・セキュリティ管理(セキュリティ管理の概要・セキュリティ対策)
(3)法規 (上記、伝送交換主任技術者試験 法規に同じ)
 ・電気通信事業法及びこれに基づく命令
 ・有線電気通信法及びこれに基づく命令
 ・電波法及びこれに基づく命令
 ・不正アクセス行為の禁止等に関する法律及びこれに基づく命令
 ・電子署名及び認証業務に関する法律及びこれに基づく命令
 ・国際電気通信連合憲章及び国際電気通信連合条約の大要



【科目免除】
※科目免除制度が細かく決められており、科目合格者や一定の資格又は実務経歴等を有する者及び認定学校の科目履修者等は、申請により試験が免除される科目があります。
◆学歴による免除(例)
・大卒で電気通信工学に関する学科を履修した場合: 
実務経験1年で電気通信システム、3年でシステムと専門、5年でシステムと専門と設備
・短大、高専、専修学校卒で電気通信工学に関する学科を履修した場合:
実務経験2年で電気通信システム、5年でシステムと専門、8年でシステムと専門と設備
・高卒:実務経験4年で電気通信システム、10年でシステムと専門、16年でシステムと専門と設備
・総務大臣の認定学校の単位取得者:電気通信システム

◆試験科目免除
 ①試験種別ごとの科目免除
 ②科目合格者に対する試験の免除
 ③資格による科目免除  などがあります。
   詳しい内容は「試験科目の免除申請」「免除科目一覧表」を参照ください。
(例)
②の例では
◇科目合格者に対する試験の免除
電気通信主任技術者資格を取得すれば、下記の資格試験受験時に科目免除や要件免除等が受けられます。(試験の免除期間が、試験の行われた月の翌月の初めから起算して3年以内)
弁理士(論文式選択科目) 工事担任者(基礎&法規) 総合無線/海上通信士(無線工学の基礎)
陸上無線技術士(無線工学の基礎) 監理技術者/(建設業の)主任技術者(認定要件)
①の例では
◇資格による科目免除 
・工事担任者 一級総合無線資格の所持者:システム科目試験の免除が受けられます。
・海上無線通信士 二級陸上無線技術士等の資格の所持者:システム科目試験の免除
・工事担任者(AI3種/DD3種を除く)の資格所持者:電気通信システム
・第一級陸上無線技術士 伝送交換主任技術者:電気通信システムと専門的能力 
・第一級総合無線通信士、第一級海上無線通信士、第二級陸上無線技術士:電気通信システム
・線路主任技術者:電気通信システム

試験関連情報

【資格の難易度情報】
資格の難易度とランキング
ジャンル別資格の難易度ランキング

●試験関連情報
法改正に伴い、令和3年4月1日から電気通信主任技術者試験制度が一部改正されました。
試験の変更点は、Q&Aで確認ください。

●関連資格
 工事担任者  
 電気主任技術者   
 電気工事士

問い合わせ先

(財)日本データ通信協会 電気通信国家試験センター  http://www.dekyo.or.jp/
〒170-8585 東京都豊島区巣鴨2-11-1巣鴨室町ビル6F  TEL03(5907)5134

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