資格名

電気工事士

資格の種類

国家資格

主催者

財団法人 電気技術者試験センター

資格の概要

電気工事士は、私たちの暮らしに不可欠な「電気」を安全に利用するための工事を行う専門家です。この資格は、電気工事士法に基づき経済産業大臣が認定する国家資格であり、一般住宅から大規模な工場やビルまで、様々な電気設備の設置や改修、メンテナンスに携わることができます。電気工事を行うにはこの資格が必須であり、その重要性は計り知れません。

電気工事士の資格には、扱える工事の範囲によって第一種電気工事士第二種電気工事士の2種類があります。

  • 第二種電気工事士は、主に一般住宅や小規模な店舗など、電圧600V以下で受電する設備の工事を担当します。日常生活で目にする電気設備のほとんどがこの範囲に含まれるため、身近な場所で活躍できる資格と言えるでしょう。
  • 第一種電気工事士は、第二種の範囲に加え、最大電力500kW未満の工場やビルといった大規模施設の電気工事に従事できます。より専門的で大規模なプロジェクトに関わることで、キャリアアップの選択肢が大きく広がります。




電気工事士の資格取得方法は、主に国家試験に合格することです。第二種電気工事士は試験合格のみで資格取得が可能ですが、第一種電気工事士は試験合格に加え、卒業した学校の種類に応じた実務経験(電気工学科卒業者は3年以上、それ以外は5年以上)が必要です。また、経済産業大臣が認定した専門学校や職業能力開発校で所定の課程を修了することでも、第二種電気工事士の資格取得が可能です。

この資格を取得すると、甲種消防設備士電気工事施工管理技士専任技術者などの関連資格の受験資格が得られるほか、所定の講習を受けることで認定電気工事従事者特種電気工事資格者への道も開かれます。さらに、一部の資格試験では科目免除や要件免除が受けられるなど、電気業界でのキャリアを築く上で強力なアドバンテージとなるでしょう。

試験の合格率・難易度

難易度
  第一種   「B」 普通   
  第二種   「C」 やや易 

【資格の難易度レベル】
電気工事士試験は、筆記試験と技能試験の二段階で構成されています。多くの方が疑問に感じるのがその難易度ですが、結論から言うと、適切な学習計画と努力で十分に合格を目指せる資格です。特に筆記試験は、第一種・第二種ともに過去問を徹底的に解き込むことで、合格圏内に入ることは十分に可能です。

第二種電気工事士の筆記試験は、高校で習う基礎的な数学(三角関数や指数計算など)の知識があれば理解できる内容が多く、繰り返し出題される問題も多いため、過去問演習が非常に有効です。全くの未経験者でも、3ヶ月程度の集中的な独学で合格できるレベルと言われています。一般住宅の屋内配線に特化した内容が出題されるため、範囲を絞って効率的に学習を進められます。

一方、第一種電気工事士の筆記試験は、第二種の内容に加え、計算問題の難易度が上がり、暗記量も増加します。しかし、基本的には第二種で学んだ知識の応用であり、高校卒業程度の知識があれば十分に理解できる範囲です。合格者の多くは高校生であることからも、決して超難関というわけではありません。



難易度をよく比較される「電験三種(第三種電気主任技術者)」と比較すると、電気工事士の方が一般的に取得しやすいとされています。電験三種がより高度な理論や計算を要求するのに対し、電気工事士は実務に直結する知識や技能が問われる傾向にあります。

技能試験については、第一種・第二種ともに、与えられた材料と持参した工具を使って時間内に正確な作品を完成させる実技形式です。欠陥がなければ合格となるため、いかにミスなく作業を進めるかが重要になります。特に第一種では、より複雑な課題が設定され、限られた時間内で完成させるためにはかなりの練習が必要です。試験会場の独特な雰囲気も、受験者にとっては一つのハードルとなるかもしれません。

独学で挑む場合、第二種は基礎知識があれば3ヶ月程度で合格を目指せますが、技能試験は実際に工具に触れて練習することが不可欠です。第一種はさらに高度な知識と技能が求められるため、筆記試験に3ヶ月、技能試験に2ヶ月程度の学習期間を目安にすると良いでしょう。

実務経験がなくても資格取得は可能ですが、第一種電気工事士の免状取得には一定期間の実務経験が必要となるため、まずは第二種を取得し、実務経験を積みながら第一種にステップアップしていくのが効率的なルートと言えるでしょう。

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合格率 
・令和4年度第一種電気工事士試験結果
(筆記) 平均合格率58.2% (受験者数37,247名 合格者数21,686名)
 (技能) 平均合格率-% (受験者数-名 合格者数-名)
・令和4年度(上期)第二種電気工事士試験結果
(筆記)平均合格率58.2% (受験者数78,634名 合格者数45,734名)
(技能)平均合格率74.1% (受験者数53,558名 合格者数39,771名)
・令和3年度第一種電気工事士試験結果
(筆記) 平均合格率53.5% (受験者数40,244名 合格者数21,542名)
 (技能) 平均合格率67.0% (受験者数25,751名 合格者数17,260名)
・令和3年度(上期)第二種電気工事士試験結果
(筆記)平均合格率% (受験者数86,418名 合格者数52,176名)
(技能)平均合格率% (受験者数64,443名 合格者数47,841名)
・令和3年度(下期)第二種電気工事士試験結果
(筆記)平均合格率57.7% (受験者数70,135名 合格者数40,464名)
(技能)平均合格率71.1% (受験者数51,833名 合格者数36,843名)

試験の内容・勉強法

電気工事士試験の合格には、筆記と技能、それぞれの対策を効率的に進めることが鍵となります。第一種電気工事士に関しては、高圧受電設備など大規模な工事範囲を含むため、筆記・技能ともに第二種よりも高度な知識が求められます。特に「シーケンス」「保護継電器」「高圧受電設備の概要」「変圧器の結線方式」「配電方式」といった項目が試験の中心となります。これらの知識をある程度習得している場合は、比較的スムーズに学習を進められるでしょう。

筆記試験対策としては、過去問題の徹底的な演習が最も効果的です。過去問を繰り返し解くことで、出題傾向や頻出問題を把握し、効率的に知識を定着させることができます。計算問題の難易度が上がるため、苦手意識がある場合は早めに克服しておくことが重要です。

技能試験対策は、実際に工具を使っての反復練習が不可欠です。支給される材料で、与えられた課題を時間内に正確に完成させる練習を重ねましょう。作業手順を完璧に覚え、工具の扱いに慣れることが重要です。市販の材料セットを購入したり、実技講習会に参加したりして、実践的なスキルを磨くことを強くおすすめします。特に、30分程度の短い時間で複雑な作業を完遂するためには、手際の良い作業と時間配分の感覚を身につけることが不可欠です。

独学でも合格は十分に可能ですが、筆記試験に3ヶ月、技能試験に2ヶ月程度の学習期間を見込むと良いでしょう。初めて電気工事を学ぶ方にとっては、多少苦戦することもあるかもしれませんが、理解できないほど難しい内容ではありません。集中して取り組めば、着実に合格レベルに到達できます。




第二種電気工事士試験についても、筆記と技能のバランスの取れた学習が重要ですが、特に技能試験が合否の鍵を握ると言われています。
筆記試験対策は、第一種と同様に過去問題の繰り返し学習が中心となります。類似問題が繰り返し出題される傾向があるため、過去問を徹底的にマスターすることで、効率的に得点アップを目指せます。苦手な分野を特定し、重点的に学習するのも効果的です。

技能試験対策は、実践練習あるのみです。

  • 材料等の選別能力:工事に必要な材料や工具を迅速かつ正確に選べるように、それぞれの名称や用途を覚えましょう。
  • 単結線図から施工図への展開能力:与えられた結線図を基に、実際にどのように配線するかをイメージし、正確に作業できるよう練習しましょう。
  • 工事の基本的な施工能力と工具の使い方:電線の切断、被覆剥ぎ、結線、圧着など、基本的な作業を反復練習し、手際良く行えるようにします。
  • 時間配分の感覚:本番では時間制限があるため、事前に時間を計って練習し、各作業にかかる時間を把握しておくことが重要です。

独学で挑戦する場合、技能試験の練習は市販の材料セットやDVD教材を活用すると良いでしょう。また、各都道府県で開催されているキャリアアップ講習など、技能試験対策の講習会に参加するのも非常に有効です。教材だけでは得られない実践的なテクニックや、プロの講師から直接指導を受けることで、スキルアップを加速させることができます。

筆記試験合格から技能試験までの期間は比較的短いため、筆記試験の学習と並行して技能試験の準備も進めるなど、計画的なスケジュールを立てることが重要です。一発合格を目指すことで、モチベーションを維持し、効率的に学習を進めることができます。

電気工事士の資格は、一般住宅やビル、工場など、多岐にわたる場所で電気設備の設置・改修・メンテナンスに携わることができ、そのニーズは非常に高いです。給与面での優位性や転職のチャンスも広がるため、取得する価値は十分にあります。この資格を足がかりに、電験(電気主任技術者)エネルギー管理士技術士といったさらに上位の電気関係資格へとステップアップしていくキャリアパスも描けるでしょう。

試験日程

●第一種試験
・受験申込受付:毎年6月下旬~7月下旬  
・試験日:筆記試験:毎年10月上旬
     技能試験(筆記試験合格者対象):毎年12月上旬
・合格発表:筆記試験 11月上旬  技能試験:翌年1月中旬

●第二種試験
・受験申込受付:①(上期)毎年3月中旬~4月上旬  ②(下期)6月中旬~7月上旬頃
※第二種試験の申し込みについて、上期試験、下期試験の両方を申込みすることはできません。
・試験日:筆記試験:①毎年6月上旬 ②10月上旬頃   
     技能試験(筆記試験合格者対象):①毎年10月上旬  ②12月上旬
・合格発表:筆記試験 7月上旬  技能試験:9月上旬

2025年度電気工事士(第一種・第二種)試験日程

受験資格

一種、二種どちらも特に受験資格はありません。誰でも受験できます。

試験会場

・第一種 
  筆記試験:札幌、仙台、新潟、東京、さいたま、名古屋、金沢、大阪、広島、高松、福岡、那覇  
  技能試験:札幌、仙台、新潟、東京、名古屋、金沢、大阪、広島、高松、福岡、那覇
・第二種
 全国各地(各都道府県ごとに1箇所以上)

受験費用

・第一種:郵便申込11,300円 ネット申込10,900円
・第二種:郵便申込  9,600円 ネット申込  9,300円

試験方式

筆記試験(マークシート)と技能試験(実技)で構成されています。
※技能試験は筆記試験合格者と筆記免除者に対して実施されます。候補問題が事前に試験センターより公表されますが施工条件は公表されません。また電卓及び計算尺の使用はできません。

【試験方式(一種/二種共)】  
 ●筆記試験:解答を答案用紙(マークシート)に記入する多肢選択方式。
 ・出題数/試験時間:50問/2時間(内訳:一般問題20問、配線図問題20問、鑑別問題10問)
 ●技能試験:持参した作業用工具により、配線図で与えられた問題を支給される材料で、一定時間内に完成させる試験。配布された部品を元に小さな配線工事をします。
 ・出題数:第一種試験は10問、第二種試験は13問の候補問題が事前に試験センターより公表されますが、施工条件は公表されません。
※技能試験は材料選別試験と単位作業試験に分かれて実施されます。
(材料選別試験)
与えられた単線結線図から、工事に必要な材料や使用工具を写真の中から選び出します。また材料の最小必要数量も解答しこれもマークシートに記入します。試験時間は25分程度です。
(単位作業試験)
配線図で与えられた問題を持参した工具を使い、支給される材料で一定時間内に完成させるものです。試験時間は35分程度です。
試験では、実際にケーブルやスイッチなどを使用し造営材に見立てた作業板の上で行います。電動工具以外の作業用工具を使用して、定められた時間内で配線図で与えられた問題を完成させます。

●合格基準
 (第一種) 
 ・筆記試験:100点満点中、60点以上で合格となります。
 ・技能試験:以下全てに該当する者が合格となります。
(1)電気的に致命的な欠陥(A欠陥)及び施工上重大な欠陥(B欠陥)がなく、施工上軽微な欠陥(C欠陥)箇所数が4以内。
(2)電気的に致命的な欠陥(A欠陥)がなく、施工上重大な欠陥(A欠陥)箇所数が1で、かつ、施工上軽微な欠陥(C欠陥)箇所数が2以内。
(3)電気的に致命的な欠陥(A欠陥)がなく、施工上重大な欠陥(A欠陥)箇所数が2で、かつ、施工上軽微な欠陥(C欠陥)がない場合。
 (第二種) 
 ・筆記試験:100点満点中、60点以上で合格となります。 
 ・技能試験:課題作品の成果物について電気的に致命的な欠陥または施工上の重大な欠陥がなく、かつ、施工上の軽微な欠陥が2以内であること。

試験科目

●第一種
・筆記試験
以下の内容について試験を行い、解答方式はマークシート、四肢択一方式により行われます。
(1)電気に関する基礎理論
(2)配電理論及び配線設計
(3)電気応用
(4)電気機器・蓄電池・配線器具・電気工事用の材料及び工具並びに受電設備
(5)電気工事の施工方法
(6)自家用電気工作物の検査方法
(7)配線図
(8)発電施設・送電施設及び変電施設の基礎的な構造及び特性
(9)一般用電気工作物及び自家用電気工作物の保安に関する法令
・技能試験
持参した作業用工具により、以下の項目のうちから配線図で与えられた問題を支給される材料で一定時間内に完成させる。
(1)電線の接続
(2)配線工事
(3)電気機器・蓄電池及び配線器具の設置
(4)電気機器・蓄電池・配線器具並びに電気工事用の材料及び工具の使用方法
(5)コード及びキャブタイヤケーブルの取付け
(6)接地工事
(7)電流・電圧・電力及び電気抵抗の測定
(8)自家用電気工作物の検査
(9)自家用電気工作物の操作及び故障箇所の修理

●第二種
・筆記試験
(1)電気に関する基礎理論
(2)配電理論及び配線設計
(3)電気機器・配線器具並びに電気工事用の材料及び工具
(4)電気工事の施工方法
(5)一般用電気工作物の検査方法
(6)配線図
(7)一般用電気工作物の保安に関する法令
・技能試験
持参した作業用工具により、以下の項目のうちから配線図で与えられた問題を支給される材料で一定時間内に完成させる。
(1)電線の接続
(2)配線工事
(3)電気機器及び配線器具の設置
(4)電気機器・配線器具並びに電気工事用の材料及び工具の使用方法
(5)コード及びキャブタイヤケーブルの取付け
(6)接地工事
(7)電流、電圧、電力及び電気抵抗の測定
(8)一般用電気工作物の検査
(9)一般用電気工作物の故障箇所の修理
※平成18年度から技能試験の候補問題を事前にネット上などで公表することになりました。

【筆記試験の免除】
 以下に該当する方は筆記試験免除の対象になります。
●一種
 ・前回(前年度)の第一種電気工事士筆記試験に合格した者
 ・第一種、第二種又は第三種電気主任技術者免状の交付を受けている者
 ・旧電気事業主任技術者資格検定規則による電気事業主任技術者の資格を有する者
●二種
 ・前回(前年度)の第二種電気工事士筆記試験に合格した者
 ・高等学校、高等専門学校及び大学等において経済産業省令で定める電気工学の課程を修めて卒業した者
 ・第一種、第二種又は第三種電気主任技術者免状の取得者
 ・電気保安に関する事項を分掌する係員の試験に合格した者
 ・旧電気事業主任技術者資格検定規則による電気事業主任技術者の有資格者
電気工学の課程とは下記の7科目です。
「電気理論」「電気計測」「電気機器」「電気材料」「送配電」「製図(配線図を含むものに限る)」「電気法規」
尚、筆記試験免除を申請される方は証明する書類が必要になります。
詳細は一般財団法人 電気技術者試験センターに問い合わせてください。

試験関連情報

【資格の難易度情報】
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 電気工事施工管理技士  
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 情報配線施工技能士 

問い合わせ先

財団法人 電気技術者試験センター   
http://www.shiken.or.jp/
〒104-8584  
東京都中央区八丁堀2-9-1(秀和東八重洲ビル8F)
TEL:03-3552-7691 
FAX:03-3552-7847 
E-mail:info@shiken.or.jp

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