資格の概要 | 「電気工事施工管理技士」は国土交通省が建設業法に基づいて実施する技術検定試験に合格する事により取得できる資格です。試験は、国土交通省から指定を受けた試験機関の財団法人建設業振興基金が実施します。受験級は1級と2級があります。
1級・2級共に、電気工事施工管理技士は建設工事現場に必ず置かなければならない主任技術者の有資格者としても認められています。
・2級電気工事施工管理技士
2級電気工事施工管理技士の資格をとると、建設業法に定められた「営業所ごとに置く専任技術者」、「工事現場に置く主任技術者」になることができます。 また、一般建設業の営業所で専任技術者の職につく事ができます。
・1級電気工事施工管理技士
建設業法に基づいて建設業を営もうとする場合には、営業所ごとに専任の技術者を置かなければならないとされていますが、1級電気工事施工管理技士の資格を取得している場合には、一般建設業及び特定建設業の営業所で専任技術者の職につくことができます。
スポンサーリンク
また、2級の「営業所ごとに置く専任技術者」、「工事現場に置く主任技術者」に加えて「監理技術者」になることができます。
※建設業法に基づく技術検定は、土木、建築、管工事、電気工事、建設機械、造園の6種目それぞれに1級と2級があり、学科試験と実地試験で構成する。1級施工管理技士の資格者は監理技術者、2級は主任技術者になれる。建設業許可の29業種のうち、▽機械器具設置▽電気通信▽さく井▽消防施設▽清掃施設-の5業種は技術検定が設定されていない。
※監理技術者は1級電気工事施工管理技士の資格を有するものでなければならないとされていますが、1級電気工事施工管理技士が務めることのできる「監理技術者」とは、建設業法の規程によって外注総額3000万円以上の工事を発注者から請け負った時に現場に配置しなければいけない技術者に該当します。
※1級電気工事施工管理技士の取得者は建築設備士試験(2年の実務経験が必要)の受験資格が得られます。
◆ 施工管理技術検定試験に関連するニュース
・建設業法等の一部改正により、技術検定制度が見直されました。令和3年度以降の技術検定試験においては、第一次検定の合格者には「技士補」の称号が新たに付与されます。このうち、1級技士補については、一定の条件の下で監理技術者の職務を補佐する者(今回の改正により新設)として責任ある立場で活躍できるようになりました。
さらに、第二次検定に合格した者には、これまでと同様に「技士」の称号が付与され、現場の監理技術者や主任技術者等として職務を行うことができるようになります。
※改正後 称号付与
1級 第1次検定➡ 【1級技士補】➡ 第2次検定➡ 【1級技士】
2級 第1次検定➡ 【2級技士補】➡ 第2次検定➡ 【2級技士】
・1次検定:施工技術のうち基礎知識、能力を有するかを判定
・2次検定:施工技術のうち実務経験に基づいた技術上の管理及び
指導監督に係る知識及び能力を有するかを判定
※第1次、2次検定に求められる水準は現行の制度と同程度
|
|
試験の合格率・難易度 | ●難易度
1級 「B」 普通
2級 「C」 やや易
【資格の難易度レベル】
電気工事施行管理技術検定試験は、施行管理に関する知識だけでなく、現場を監督する人として必要な知識も広く出題されます。そのため、工事現場で経験してきた工事の中でも、自分が詳しくない分野や経験していない分野の工事の内容も学習しておかなければなりません。しかし、電気工事に携わってきた人なら、予備校や専門の学校に行かないと合格できないほど難しい試験ではなく、独学や通信教育でも十分合格することは可能ですが、決して易しい試験ではありません。
また、この試験は、実務経験がある方しか受験できませんので、受験者の約8割が電気の仕事に携わっている方です。言い換えれば勉強をしていなくてもある程度の点数は取れる方ばかりが受ける試験であることを認識しておくことです。
1級の難易度は第一種電気工事士より、また2級の難易度は第二種電気工事士より少し高いレベルです。電気工事施工管理技士の試験問題の基本的な内容は1級も2級も同じで、合格率もそれほど差はありませんが、試験の難易度は1級が2級よりも高くなります。どちらも勉強方法は過去問を重点的に学ぶことで突破が可能です。
--------------------------------------------
●合格率
令和3年度1級電気工事施行管理技術検定(学科・実地)
(学科)受験者数15,001名 合格者数7,993名 合格率53.3%
(実地)受験者数7,922名 合格者数4,655名 合格率58.8%
・令和3年度2級電気工事施行管理技術検定(学科・実地)
(学科)受験者数8,359名 合格者数4,776名 合格率57.1%
(実地)受験者数6,932名 合格者数3,493名 合格率50.4%
・令和2年度2級電気工事施行管理技術検定(学科・実地)
(学科)受験者数8,239名 合格者数4,818名 合格率58.5%
(実地)受験者数6,588名 合格者数2,967名 合格率45.0%
・令和元年度2級電気工事施行管理技術検定(学科・実地)
(学科)受験者数7,548名 合格者数4,237名 合格率56.1%
(実地)受験者数7,151名 合格者数3,249名 合格率44.4%
・令和元年度1級電気施工管理技術検定試験結果
(学科)受験者数15,048名 合格者数6,128名 合格率40.7%
(実地)受験者数8,114名 合格者数5,382名 合格率66.3%
・平成30年度2級電気工事施行管理技術検定(学科・実地)
(学科)受験者数8,222名 合格者数5,164名 合格率62.8%
(実地)受験者数7,961名 合格者数3,436名 合格率43.2%
・平成30年度1級電気施工管理技術検定試験結果
(学科)受験者数16,989名 合格者数9,532名 合格率56.1%
(実地)受験者数12,034名 合格者数8,875名 合格率73.7%
・平成29年度2級電気工事施行管理技術検定(学科・実地)
(学科)受験者数9,548名 合格者数5,995名 合格率62.8%
(実地)受験者数8,577名 合格者数3,423名 合格率39.9%
・平成29年度1級電気施工管理技術検定試験結果
(学科)受験者数17,922名 合格者数8,595名 合格率48.0%
(実地)受験者数10,493名 合格者数6,556名 合格率62.5% |
試験の内容・勉強法 | 電気施工管理技術検定試験では、電気工事に関する一般的な知識(弱電、電力、発電、送電)、電気工事の実施に関する施工計画、工程管理、品質管理、安全管理等、工事の施工の管理を的確に行うための必要な技術が問われます。また、実地試験の「施工管理法」の出題では、電気設備の性能を確保するために設計図書を正確に理解し、電気設備の施工図を正しく作成、さらに必要な機材の選定、配置等を適切に行うことができる応用能力を試されます。試験は2級と1級がありますが、問題のレベルはそんなに変わらないので、1級受験資格がある人は1級を受けた方がよいでしょう。大学の指定学科や指定専門学校在学中に、または実務経験を積みながら受験対策スクールや通信教育などを利用して学習すると効率的に取得が可能です。1級、2級どちらも参考書や問題集などはたくさん出版されていますので、これらも活用し体系的な知識を習得すると良いでしょう。
・2級対策
非常に試験範囲が広いですが内容的には浅いと考えてよいでしょう。過去問に近い問題の出題が多いため、過去問を何回も繰り返しやっておくのが良いと思います。難解な問題は出題されないので広く浅く勉強しておくことが大切です。模範解答集を使って勉強しておくと効果的です。
施工体験記述は過去に経験した電気工事において、「安全管理上特に注意した点」もしくは「工程管理上特に注意した点」のいずれかについてその理由と対策を2つ記述する出題がありますので、必ず2パターンとも事前に作文記述の練習をしておかねばなりません。難しく考えなくても現場で実際に業務をしていれば、そのことを書くのはそれほど難しくないと思います。施工体験記述が書けていないと施工経験が疑われます。その結果、受験資格がないと見なされ、失格となりますので、必ず記述しなければなりません。また、施工管理法の問題は、一つは電気工事の用語の説明問題で、出題された問題のうち、指定された分の用語を説明する問題です。もう一つは、工程管理や安全管理、品質管理の問題の中から出題されます。また、法規の問題は、実地試験の中では最も易しい問題です。また、建設業法からも必ず出題され、さらに労働安全衛生法や労働基準法からの出題がある場合もありますので、これらの科目については、十分に読んで習得しておかねばなりません。
・1級対策
1級では、電気工事の学科試験が四肢択一式で92問出題され60問を解答します。問題は選択問題と必須問題に分かれています。必須問題の科目はもれのないように勉強して、選択問題は自分の得意分野に的を絞って、効率よく学習することが求められますが、テキスト及び問題集を数多くこなしておくことが一番効果的です。また実地試験では記述式が中心となりますので解答を簡単明瞭にまとめる練習もしておく必要があります。
さらに、施工経験記述問題では、
・十分な実務経験があるか
・現場に常駐する主任技術者として適格であるか
・契約条件に基づき、施工計画が立案できるか
・工程管理、品質管理、安全管理等の管理能力が、的確であるか、などが問われます。
施工経験記述は事前に、過去に自分が経験した工事を選び、施工管理項目(テーマ)ごとに解答文を作成し、十分な準備をしておく必要があります。
電気工事施工管理技士の資格取得対策としては、民間企業が行う通信講座などもありますが、独学が一般的です。試験の難易度は建築施行管理技士よりは少し易しいくらいのレベルです。ちなみに、「1級施工管理技士」の試験の中で一番難易度が高いのは1級建築施工管理技士で、次が電気通信、土木施工、そして電気工事、管工事、造園工事、建設機械の順になるでしょう。
配線設備工事やメンテナンスなどの電気工事のニーズはいつも非常に高いため、電気工事施工管理技士資格は、転職にも大変有利な資格だと思われますが、さらに言えば、併せて1級建築施工管理技士の資格も取得すると尚良いと思います。
※他の電気関係資格との違い(関係法と管轄)
・1級・2級電気工事施工管理技士:建設業法/国土交通省
・電気主任技術者(第一種・二種・三種):電気事業法/経済産業省
・電気工事士(第一種・二種):電気工事士法/経済産業省
※電気工事主任技術者:電気工作物の工事、維持及び運用に関する保安の監督の資格
※電気工事士:一般電気工作物の設置または変更の安全工事の作業者の資格 |