資格名

 建築施工管理技士
※試験名  建築施工管理技術検定

資格の種類

国家資格

主催者

一般財団法人建設業振興基金

資格の概要

建築業界でキャリアアップを目指すなら、「建築施工管理技士」は取得しておきたい国家資格の一つです。この資格は、建築工事における施工計画の作成工程管理品質管理安全管理といった、工事全体をスムーズに進めるための重要な役割を担うプロフェッショナルであることを証明します。

建築施工管理技士には、扱う工事規模によって1級2級があります。

  • 1級建築施工管理技士: 大規模な建築工事を監督・指導できる、施工技術のエキスパートです。特定建設業の営業所の専任技術者や、工事現場の監理技術者として活躍できます。
  • 2級建築施工管理技士: 中小規模の建築工事における主任技術者などを担います。2級はさらに「建築」「躯体」「仕上げ」の3種に分かれ、それぞれ専門とする分野で活躍します。

近年、制度改正により、1級建築施工管理技士を目指す上で新たなステップが加わりました。2021年度以降、第一次検定の合格は生涯有効となり、「1級建築施工管理技士補」という新たな資格が創設されました。

1級建築施工管理技士補を取得することで、これまで実務経験が重視されていた大規模工事への参画のチャンスが広がり、若手技術者の育成やスキルアップに繋がることが期待されています。

建築施工管理技士になる一般的なルートは、建築・土木系の学科がある高校、大学、短期大学、専門学校などを卒業後、建設会社やハウスメーカーなどに就職し、実務経験を積んでから国家試験に挑戦するというものです。もちろん、学歴に関わらず現場で経験を積みながら資格取得を目指す方もいます。

資格取得までの流れは以下の通りです。

  1. 実務経験を積む: 学歴によって必要な実務経験年数が異なります(3~15年以上)。
  2. 第一次検定(学科試験)に合格する: 1級は19歳以上であれば誰でも受験可能です。合格すると「1級建築施工管理技士補」の資格が得られます。
  3. 第二次検定(実地試験)に合格する: 第一次検定合格後、必要な実務経験を満たすことで受験できます。1級建築施工管理技士補の資格があれば、第一次検定の再受験は不要です。

建築施工管理技士の資格取得は、建設業界でのキャリアを大きく開くための重要な一歩となるでしょう。




試験の合格率・難易度

難易度
  1級  「B」 普通   
  2級  「C」 やや易 

【資格の難易度レベル】
建築施工管理技士試験の難易度についてですが、一般的に学科試験(第一次検定)よりも実地試験(第二次検定)の方が難易度が高いと言われています。これは1級・2級共通の傾向です。

また、1級建築施工管理技士試験の方が、2級建築施工管理技士試験よりも難易度は高くなります。 その理由として、1級ではより大規模で複雑な工事を扱うため、建築工事全般にわたる幅広い知識と応用力が求められるからです。

一方、2級建築施工管理技士試験では、特に実地試験の施工経験記述に苦戦する受験者が多いようです。しかし、2級試験は1級に比べて参考書や講習会などの教材が豊富であり、対策が立てやすいという側面もあります。

重要なポイントは、

  • 1級: 広範な知識と応用力が求められる。
  • 2級: 実務経験に基づいた記述対策が重要だが、対策教材は豊富。

どちらの級を受験するにしても、試験の傾向をしっかりと把握し、計画的に対策を進めることが合格への鍵となります。

合格率    
・令和6年度
  1級一次 受験者数37,651名 合格者数13,624名 合格率36.2%
     二次 受験者数14,816名 合格者数6,024名 合格率40.8%
  2級一次(前期) 受験者数名 合格者数名 合格率%
   一次(後期) 受験者数名 合格者数名 合格率%
     二次 受験者数19,283名 合格者数7,851名 合格率40.7%
・令和5年度
  1級一次 受験者数24,078名 合格者数10,017名 合格率41.6%
     二次 受験者数14,319名 合格者数6,544名 合格率45.5%
  2級一次(前期) 受験者数13,647名 合格者数5,150名 合格率37.7%
   一次(後期) 受験者数27,116名 合格者数13,387名 合格率49.4% 
     二次 受験者数21,859名 合格者数6,999名 合格率32.0%
・令和4年度
  1級一次 受験者数27,253名 合格者数12,755名 合格率46.8%
     二次 受験者数13,010名 合格者数5,878名 合格率45.2%%
  2級一次(前期) 受験者数13,474名 合格者数6,834名 合格率50.7%
   一次・二次(一次) 受験者数27,004名 合格者数11,421名 合格率42.3%
    一次・二次(二次) 受験者数14,909名 合格者数7,924名 合格率53.1%
・令和3年度
  1級一次 受験者数22,277名 合格者数8,025名 合格率36.0%
     二次 受験者数12,813名 合格者数6,708名 合格率52.4%
  2級一次・二次(一次) 受験者数32,128名 合格者数15,736名 合格率49.0%
   一次・二次(二次)受験者数15,507名 合格者数8,205名 合格率52.9%
     一次(前期) 受験者数13,074名 合格者数4,952名 合格率37.9%
・令和2年度
 1級一次 受験者数22,742名 合格者数11,619名 合格率51.1%
    二次 受験者数16,946名 合格者数6,898名 合格率40.7%
 2級(学科・実地)
 学科試験  受験者数32,468名 合格者数11,366名 合格率35.0%
 実地試験  受験者数23,116名 合格者数6,514名 合格率28.2%
・令和元年度
 1級一次 受験者数25,392名 合格者数10,837名 合格率42.7%
    二次 受験者数15,876名 合格者数7,378名 合格率46.5%
 2級(学科・実地)
 学科試験 受験者数28,718名 合格者数9,083名 合格率31.6%
 実地試験 受験者数22,663名 合格者数6,134名 合格率27.1%

試験の内容・勉強法

建築施工管理技士試験の合格を勝ち取るためには、効率的かつ戦略的な学習が不可欠です。1級と2級で試験内容や難易度が異なるため、それぞれの特徴に合わせた対策が必要です。

2級建築施工管理技士

2級は、受験年度末に17歳以上であれば第一次検定を受験でき、合格すると「2級建築施工管理技士補」の資格が得られます。合格率は第一次検定・第二次検定ともに30~40%前後で、国家資格の中では比較的取得しやすい部類と言えるでしょう。

主な学習の中心は過去問題集の徹底的な活用です。試験では、現場経験だけでは習得しにくい法律知識なども問われるため、過去問を繰り返し解くことで出題傾向を把握することが重要です。

  • 学習時間: 一般的に150~300時間程度が目安とされています。毎日2時間勉強した場合、約2~4.5ヶ月の期間が必要です。
  • 教材: 過去問数年分と基本的なテキスト1冊を中心に学習を進めましょう。
  • 学習方法: 過去問を解き、不正解だった箇所や理解が曖昧な部分をテキストで確認するサイクルを繰り返すことで、知識の定着を図ります。頻出分野や問題形式を意識しながら学習を進めることがポイントです。

1級建築施工管理技士

1級は、より専門的で広範な知識が求められるため、難易度は高くなります。

  • 第一次検定: 近年の合格率は40~50%程度です。独学での合格も不可能ではありませんが、出題範囲が広く、合格基準も厳しいため、効率的な学習が求められます。過去問分析はもちろん、苦手分野の克服や数値に関する問題の確実な暗記も重要です。
  • 第二次検定: 記述式の経験記述が最大の難関とされています。単に経験を書くだけでなく、具体的な内容、適切な表現、論理的な構成が評価されます。近年の傾向として、「合理化」「品質管理」「地球環境保全」といったテーマで、より具体的な記述が求められるようになっています。試験時間も長いため、時間内に正確かつ丁寧に記述する練習が必要です。

1級・2級共通の学習ポイント

  • 計画的な学習: 試験日から逆算し、無理のない学習計画を立てましょう。
  • インプットとアウトプット: テキストを読むだけでなく、問題集を解くことで理解度を確認しましょう。
  • 模擬試験の活用: 試験本番を意識した時間配分や解答形式に慣れておきましょう。
  • 最新情報の収集: 試験制度や法改正に関する情報を常に確認しましょう。

独学に不安を感じる場合は、通信講座や予備校の利用も有効な手段です。自身の学習スタイルに合わせて、最適な方法を選択しましょう。




試験日程

●試験実施:
 2級(学科・実地)11月の第2日曜日
 1級 (学科)6月の第2日曜日  (実地)10月の第3日曜日
●申込期間:
 2級 6月中旬~7月中旬  
 1級 2月上旬~下旬  
●申込方法:インターネットでの申し込みも可能

令和7年度建築施工管理技術検定2級 試験日程
令和7年度建築施工管理技術検定1級 試験日程

受験資格

学歴・資格に応じて以下の所定の実務経験を有する方
●1級
下記の年数には指導監督的実務経験年数を1年以上含むことが必要
①大学指定学科卒業者は3年以上
②短大・高専指定学科卒業者は5年以上
③高校指定学科卒業者は10年以上
④その他の者は15年以上
⑤2級技術検定合格者で合格後5年以上 ほか 

●2級
①大学指定学科卒業者は1年以上
②短大・高専指定学科卒業者は2年以上
③高校指定学科卒業者は3年以上
④その他の者は8年以上 ほか
※17歳以上なら誰でも学科試験のみ受験できます。

【令和6年度より施工管理技術検定の受検資格が変わりました】
令和6年度から令和10年度までの間は経過措置期間とし旧受検資格 と 新受検資格 の選択が可能です。令和10年度までの間は、経過措置として「旧受検資格」による第二次検定受検も可能です。 
 
  詳しい内容・変更点はこちらを参照ください
施工管理技術検定の受検資格

【令和7年度施工管理技術検定の概要確認】
 令和7年度建築施工管理技術検定の実施について

試験会場

・1級一次検定/二次検定
  札幌・仙台・東京・新潟・名古屋・大阪・広島・高松・福岡・沖縄

・2級検定 前期/後期
    札幌・青森・仙台・東京・新潟・金沢・名古屋・大阪・広島・高松・福岡・鹿児島・沖縄

受験費用

・1級
 学科 12,300円
 実地 12,300円
・2級
 第1次・第二次同時  12,300円
 第1次・第二次のみ 各6,150円
※本検定の受検手数料は消費税非課税です。

試験方式

【1級】(第一次検定)
・学科試験:四肢択一・五肢択一式のマークシート方式
 総出題数:72問/解答:60問/合格基準点:36点(正答率60%以上)
 配点:1問1点、60点満点    
    (第二次検定)
・実地試験:記述式・五肢択一式
 総出題数:6問/解答:全6問/合格基準点:正答率60%以上
 試験時間
 学科試験:午前の部 (問題A):2時間30分/午後の部(問題B):2時間
 実地試験:3時間

【2級】(第一次検定)
・学科試験:四肢択一式・四肢択二式のマークシート方式
 総出題数:50問/解答:40問/合格基準点:24点(正答率60%以上)
    (第二次検定)
・実地試験:記述式・四肢択一式(マークシート方式)
 総出題数:5問/解答:全5問/合格基準点:正答率60%以上
 ※合格基準点は試験実施年度によって変更される場合があります。
 試験時間
 学科試験:2時間30分
 実地試験:2時間

●合格基準
 1級・2級共に共通
  学科試験:満点中、60%以上の得点で合格
  実地試験:満点中、60%以上の得点で合格
◆免除
 (1級学科試験免除)
    ・前年度の学科試験合格者
    ・1級建築士試験の合格者で、なおかつ1級学科試験の受検資格を有する者
  (2級学科試験免除)
  ・1級建築士試験の合格者で2級の受検資格を有する者
  ・前年度の学科試験合格者
  ・2級建築施工管理技術検定試験の「学科試験のみ受験」合格者で、
   2級建築施工管理技術検定試験の受検資格を有していて、所定の有効期間内にある者

試験科目

【1級】(第一次検定)
・筆記試験(午前)
 建築学(12/15)、設備その他・積算(5/5)、躯体施工(7/10)、仕上施工(7/9)、施工管理法(5/5)
・筆記試験(午後)
 施工管理法(10/10)、応用能力問題(6/6)、法規(8/12)
・実地試験 (第二次検定)
 施工経験記述(1)、仮設計画(1)、施工管理(1)、躯体施工(1)、仕上げ施工(1)、法規(1)
※(B/A)はA:出題数 B:解答数 
※実技試験合格によって建築施工管理技士として認定される。

【2級】 
・筆記試験 (第一次検定)  
 建築学(9/14)、設備・その他(3/3)、施工(8/11)、施工管理法(10/10)、施工管理法(応用能力問題)(4/4)、法規(6/8)
・実地試験 (第二次検定)
 施工経験記述(必須)、施工管理(必須)、工程管理(必須)、法規(必須)、施工(種別に従い解答)
※(B/A)はA:出題数 B:解答数

試験関連情報

【試験関連情報】
「1級建築施工管理技士補」が新設、2024年度より受検資格が変更され、1級建築施工第一次検定は19歳以上であれば誰でも受検できるようになりました。

●関連資格
 土木施工管理 建設機械施工管理 電気工事施工管理
 管工事施工管理 電気通信工事施工管理 造園施工管理

問い合わせ先

財団法人 建築業振興基金    http://www.fcip-shiken.jp/
〒105-0001 東京都港区虎ノ門4-2-12 虎ノ門4丁目MTビル2号館 3F
TEL:03-5473-1581

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