資格の概要 | 施工管理技士には建築施工管理技士、電気施工管理技士、土木施工管理技士、造園施工管理技士、管工事施工管理技士がありそれぞれ1級と2級があります。これらの資格はそれぞれの分野で主に現場で働く実務経験のある技術者が取得する資格です。 施工管理技士の資格を取得するためにはまず、受験資格となる実務経験が必要になります。
国土交通省が建設工事に従事する者の技術力の向上を図るため、建設業法に基づき、実施するのが「建築施行管理技術検定試験」です。試験の実施は指定試験機関の(財)建設業振興基金が代行して行います。試験は、建築一式工事の実施に当たり、その施工計画及び施工図の作成並びに工事の工程管理、品質管理、安全管理等工事の施工の管理を適確に行うために必要な技術を対象に行われます。主に大規模な工事を取り扱う「1級」と、中・小規模工事を取り扱う「2級」に区分され、1級では工事の施工計画及び施工図の作成、工程管理、品質管理、安全管理等工事の施工の管理を適確に行うために必要な技術を対象に、また2級では、建築、躯体、仕上げの種別に細分されて技術検定が行われます。
建設工事の施工技術の高度化、専門化、多様化が進む近年、建設工事のスムーズな施工と、工事完成品の高い質と水準を確保するために施工管理技術の重要性がますます増大しています。建築に関する全ての分野で2級資格者となるためには、少なくとも3度の受験に合格する必要があります。1級は、その必要ありません。
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※参考
「一級建築施工管理技士」と「一級建築士」は、よく名称が似ていますが、一番の違いは監理技術者として認められる業種です。一級建築士が監理技術者になることが認められている業種は、建築、大工、屋根、タイル、鋼構造物、内装仕上げの6業種です。一方、一級建築施工管理技士が認められている業種は、その6業種のほかに、左官、とび土工、石、鉄筋、板金、ガラス、塗装、防水など計16業種の監理技術者になることが認められているため、より幅広い業種に対応できることになります。ただ、資格の難易度は一級建築士の方が段違いに上位です。
◆ 施工管理技術検定試験に関するニュース
・建設業法等の一部改正により、技術検定制度が見直されました。令和3年度以降の技術検定試験においては、第一次検定の合格者には「技士補」の称号が新たに付与されます。このうち、1級技士補については、一定の条件の下で監理技術者の職務を補佐する者(今回の改正により新設)として責任ある立場で活躍できるようになりました。
さらに、第二次検定に合格した者には、これまでと同様に「技士」の称号が付与され、現場の監理技術者や主任技術者等として職務を行うことができるようになります。
・建設業法に基づく技術検定は、土木、建築、管工事、電気工事、建設機械、造園の6種目それぞれに1級、2級があり、学科試験と実地試験で構成されており、1級施工管理技士の資格者は監理技術者になれます。しかし、電気通信工事は監理技術者になれる国家資格「施工管理技士」を取得する技術検定が設定されていない業種で、今後、監理技術者の不足が懸念されているため、国土交通省は、電気通信工事に関する新たな国家資格の創設に向け検討を始めることになりました。(平成28年10月21日)⇒詳細 |
資格難易度 | ●難易度
1級 「B」 普通
2級 「C」 やや易
【資格の難易度レベル】
建築施工管理技士試験は、平均的に学科試験よりも実地試験の難易度が高く、実地試験がハードルを高くしている傾向があります。1級建築施工管理技士は、他の1級施工管理技士試験の中では1番難易度は高い試験です。施工管理技士試験では、どの試験も難易度レベルは1級>2級です。建築施工管理技士の場合では、仕事内容に大きな差はありませんが扱える建物・工事現場の規模に差があることで、1級は建築工事全般の幅広い知識が必要とされます。
2級試験では、施工経験記述に受験者は苦戦し、難易度が高く感じるようですが、2級ではテキストや講習会なども豊富で、対策がしやすいという点でも受験対策は楽です。
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●合格率
・令和2年度2級建築施工管理技術検定(学科・実地)
学科試験 受験者数32,468名 合格者数11,366名 合格率35.0%
実地試験 受験者数23,116名 合格者数6,514名 合格率28.2%
・令和2年度1級建築施工管理技術検定(学科・実地)
学科試験 受験者数22,742名 合格者数11,619名 合格率51.1%
実地試験 受験者数-名 合格者数-名 合格率-%
※参考データ
・令和元年度2級建築施工管理技術検定(学科・実地)
学科試験 受験者数28,718名 合格者数9,083名 合格率31.6%
実地試験 受験者数22,663名 合格者数6,134名 合格率27.1%
・平成30年度1級建築施工管理技術検定(学科・実地)
学科試験 受験者数25,392名 合格者数10,837名 合格率42.7%
実地試験 受験者数15,876名 合格者数7,378名 合格率46.5%
・平成30年度2級建築施工管理技術検定(学科・実地)
学科試験 受験者数28,888名 合格者数7,495名 合格率25.9%
実地試験 受験者数24,131名 合格者数6,084名 合格率25.2%
・平成30年度1級建築施工管理技術検定(学科・実地)
学科試験 受験者数25,198名 合格者数9,229名 合格率36.6%
・平成29年度2級建築施工管理技術検定(学科・実地)
学科試験 受験者数30,262名 合格者数11,725名 合格率38.7%
実地試験 受験者数26,506名 合格者数7,665名 合格率28.9%
・平成29年度1級建築施工管理技術検定(学科・実地)
学科試験 受験者数24,755名 合格者数9,824名 合格率39.7%
実地試験 受験者数16,505名 合格者数5,537名 合格率33.5%
※学科試験は学科のみの試験も含めた数値 |
受験対策・資格の将来性 | 建築施工管理技士は、国土交通省管轄の施工管理技士国家資格のうちの1つで、建設業法に基づき実施されている資格。大規模工事を扱うのが1級で、1級建築施工管理技士は、施工技術のプロ。建物の建設現場で施工が予定通りに行われているかなどを監督し、指導できる立場になる国家資格である。また、中小規模を扱うのが2級、2級はさらに建築、躯体、仕上の3種類に分けられています。試験は、受験資格のうち実務要件を満たすことがまず大切。実務要件期間が比較的長いので、それをクリアできればあとは対策をしっかりとやるで2級の合格は可能。2級の試験は難しくありません。
1級は、出題範囲が非常に広く、出題は施工に関するものの他、環境工学、各種構造、構造力学、法規等、建築関係全般から出題され、四肢択一式で82問出題されます。必須問題は30問、選択問題は52問中30問解答しますので、82問中60問を解答する試験となります。
実地試験は、実務経験に裏づけされた知識やスキルが問われる難易度の高い出題が続いています。実務経験の有無や、建築に関する知識、それに施工管理に関する知識が問われるのはもちろん、表現力も問われる試験となっています。経験記述では、記述内容が適切であるかどうか、採点者にわかりやすく正しい言葉で伝えられているかなども評価の対象になります。特に近年の経験記述では、従来のものより具体的な記述を求める問題が多く、合格率は低くなっています。テーマは合理化、品質管理、建設副産物対策、地球環境保全などが中心であり、それらについて自分の経験を正しく表現できるようにするための準備が必要です。
試験直前の一夜漬けの学習で合格できたのは過去のことです。試験対策は、受験用参考書や問題集が書店で販売されているので、これを使って独学するのが一般的です。民間企業が行う通信講座もあります。建設業界における1級建築施工管理技士に対する評価は極めて高く、経験を積んでいれば高齢者でも中途採用で採用される可能性がある資格で、取得メリットは非常に高い資格といえます。このように1級資格はかなり重要な資格なので、難易度から考えると取っておいて損はないと思います。尚、受験者の年齢別は30才代が全体のおおよそ50%と最も多く、そのほか男女別では男性が95%以上、最終学歴別では大学卒が約40%、勤務先別では建設業が約95%と最も多くなっています。
この試験に受験対策教材でオススメのものがありますので、紹介しておきます。
まず、学科試験対策の問題集(過去問題集)なら、出版社が地域開発研究所の「建築施工管理技術検定試験問題解説集録版 」。次に、1級の実地試験対策問題集(過去問題集)&参考書は、市ヶ谷出版社の「1級建築施工管理技士スーパーテキスト 実地試験 」の2冊です。
「1級建築施工管理技術検定試験問題解説集録版」は、過去問題の解答が非常に分かりやすく解説されています。また、「1級土木施工管理技士スーパーテキスト 実地試験」は、施工経験記述問題をはじめ、本試験で必要とされる、各設問に対して簡潔で明確な解答が記述されています。
建築施工管理技術検定合格者には建設業法で定められた専任技術者(建設業許可)主任技術者・監理技術者(現場常駐)としての資格が付与されます。 特に1級建築施工管理技士は一般建設業、特定建設業の許可基準の一つである営業所ごとに置く専任の技術者並びに建設工事の現場に置く主任技術者及び監理技術者の有資格者として認められるなど、建設技術者にとって重要な国家資格となっており、施工技術の指導的技術者として社会的に高い評価を受けることになります。
尚、2級建築施工管理技士は、建設業法に定められた営業所ごとに置く専任の技術者、工事現場に置く主任技術者となる資格として認められます。
また、1級合格後、公共工事や一定規模以上の民間工事における監理技術者となるためには、さらに監理技術者講習を受けなければなりません。
(追記)
年金の支給開始年齢は基本的には65歳からですが、今後、支給開始年齢が67~70歳に引き上げられる可能性があります。そうなると定年が65歳になっても数年間の収入空白期間ができるため、退職者は厳しい生活を強いられることになります。そこで、その収入空白期間を埋めるために奨められているのが、定年までに積み上げた経験の上に、さらに「資格」を取得することで、一定水準の収入を得られる仕事に就くことです。それではその場合、どんな資格が有利に働くのか。
特に、建設系の企業での経験がある人は、「施行管理技士」は有望です。
建設工事の受注入札には、会社は参加資格として定められた資格保有者を一定以上所属させていなければ、入札に参加することができません。その定められた資格の一つが「施工管理技士」です。
従って、施工管理技士の1~2級を取得できれば、建設会社としてはノドから手が出るほど欲しい人材になるわけです。実務経験者でなければ取得することは困難ですが、経験さえあれば合格率も50~60%で、それほど難関試験でもないので取得も比較的簡単です。
他には「建設業計理士」資格も「施行管理技士」と同じく入札制度の参加条件に含まれる資格なので有望です。 |