資格の概要 | 冷暖房設備工事、空調設備工事、給排水・給湯設備工事、ダクト工事、浄化槽工事、ガス配管工事、衛生設備工事などの管工事は、配管工事や設備工事など工事が広い範囲に及ぶため、建設工事の中でも大きな比重を占めています。これらの工事の施工計画を作成し、工程管理、品質管理、安全管理等の業務を行うのが「管工事施工管理技士」です。管工事施工管理技士は、施工管理技士国家資格のうちの1つで、区分は1級、2級があります。
・1級管工事施工管理技士
1級の資格取得者は建設業法により特定建設業の営業所に設置が義務付けられている専任の技術者や、工事現場ごとに置かなければならない主任技術者および監理技術者になることができます。管工事会社をはじめとする建設業においては、入札時等には有資格者の人数が大きく影響することもあり、1級管工事施工管理技士は大きな評価を得られる資格になっています。ただ、試験はかなりレベルが高いため、一般には2級を取得してから1級を目指す人が多くなります。有資格者の活躍の場は広く、自ら建設業を開業することもできます。
・2級管工事施工管理技士
2級の資格取得者は、建設業法による一般建設業の営業所に設置が義務付けられている専任技術者や、工事現場における主任技術者となることができます。
(受験資格の取得制度)
・1級管工事施工管理技士の取得者は「建築設備士試験」の受験資格が得られます。
・1級、2級ともに資格の保有者は「社会保険労務士」の受験資格が得られます。
(学科試験免除制度)
下記のいずれかの項目に該当する方は、学科試験が免除となります。
(1)前年度学科試験のみに合格し、実地試験が不合格または欠席の者は、翌年度に限り学科試験が免除され、実地試験を受験できます。
(2)技術士試験合格者
技術士法による第二次試験のうち、技術部門を機械部門(選択科目を「流体機械」又は「暖冷房及び冷凍機械」及び「流体工学」又は「熱工学」とするものに限る。)、水道部門及び上下水道部門、衛生工学部門又は総合技術監理部門(選択科目を「流体機械」、「暖冷房及び冷凍機械」、「流体工学」、「熱工学」又は水道部門及び上下水道部門若しくは衛生工学部門に係わるものとするものに限る。)とするものに合格した者で、1級管工事施工管理技術検定学科試験の受験資格を有する者。
◆ 施工管理技術検定試験に関するニュース
・国土交通省は、若年者等の受験機会を増やすため、一部の種目で先行的に実施している2級学科試験の年2回化について、来年度より全6種目に拡大することが決定しました。
(平成29年10月24日)⇒詳細
・建設業法に基づく技術検定は、土木、建築、管工事、電気工事、建設機械、造園の6種目それぞれに1級、2級があり、学科試験と実地試験で構成されており、1級施工管理技士の資格者は監理技術者になれます。しかし、電気通信工事は監理技術者になれる国家資格「施工管理技士」を取得する技術検定が設定されていない業種で、今後、監理技術者の不足が懸念されているため、国土交通省は、電気通信工事に関する新たな国家資格の創設に向け検討を始めることになりました。
(平成28年10月21日)⇒詳細 |
試験方式 | 【2級】
●学科試験
出題:4肢択一式で52問出題され、40問を解答します。
科目によって選択問題と必須問題に分かれています。特に選択問題は、指定解答数以上解答すると減点になるため注意が必要です。
●実地試験
出題:「経験記述」1問(必須)と「記述式問題」5問、計6問が出題されます。
すべて記述式問題で解答は簡単明瞭にまとめねばなりません。「経験記述」は施工計画、安全管理、品質管理、工程管理の4つから、どれか1つが指定され、それについて自分の経験した工事をテーマに記述します。また、施工全般は、空調、給排水全般、風道、配管の施工および施工計画、工程表、試運転調整、安全管理および管理体制、建設業法等から出題されます。
【1級】
●学科試験
出題:4肢択一式で73問出題され、60問を解答します。
科目によって選択問題と必須問題に分かれています。特に選択問題は、指定解答数以上解答すると減点になるため注意が必要です。
●実地試験
出題:すべて記述式問題です。解答は簡単明瞭にまとめねばなりません。
(1)施工全般:空調調和設備、給排水・衛生設備、施工共通の3つの範囲から3問出題されます。その中から1問は必須、残りの2問のうち1問選択で計2問を解答します。
(2)工程管理・法規:工程管理ではネットワークの作成、計算、フォローアップなどから1問、法規からは建設業法、労働安全衛生法等から各1問、計2問が出題されます。そのうち1問を選択解答します。
(3)経験記述:施工計画、安全管理、品質管理、工程管理の4つの中からどれかについて出題され、自分の経験した工事をテーマに記述します。解答は必須になっています。
※合格基準: 学科試験/実地試験 どちらも得点が60%以上の者を合格としていますが、試験の実施状況等により変更される可能性があります。
※1級、2級学科試験の分野別科目と(2級出題数/解答・1級出題数/解答)
・一般基礎 (環境/液体力学/熱力学)
4問/4問(必須)・10問/10問(必須)
・電気・建築 (電気動力一般/建築一般)
2問/2問(必須)・4問/4問(必須)
・空気設備・衛生設備 (空調・冷暖房・換気・排煙/上下水道・浄化槽・給水・給湯/衛生器具・排水・通気)
17問/9問(選択)・23問/12問(選択)
・建設設備一般 (配管・風道・消火設備/ガス設備・保温・機材/設計図書)
5問/5問(必須)・16問/16問(必須)
・施工管理 (施工計画・工程管理/品質管理・安全管理・施工)
14問/12問(必須)・8問/8問(必須)
・法規 (建築基準法・建設業法/労働基準法・下水道法/水道法・消防法/労働安全衛生法・その他)
10問/8問(選択)・12問/10問(選択) |
資格難易度 | ●難易度
1級 「B」 普通
2級 「C」 やや易
【資格の難易度レベル】
管工事施工管理技術検定は1級でも学科試験は独学でクリアできるレベルですが、試験では必須問題として電気や建築に関する問題も出題されますので要注意です。実地試験は施工管理技術検定試験を受験する誰もが苦手とする「施工経験記述」のハードルが高いので、実地は講習会を受講することで苦手科目を克服することをお勧めします。
一般的に、施工管理技士は日本の建設業において特定業種の技術を認定した国家資格で、施工規模により一級と二級がありますが、資格の難易度を比較すれば、一級舗装施工管理技士と一級建築施工管理技士の難易度レベルが一番高く、次いで一級管工事施工管理技士、その次に一級電気工事施工管理技士でしょう。一級では土木施工管理技士と造園施工管理技士が難易度が低いと思われます。また、一級土木施工管理技士は、試験問題で得意分野を選択することができるため、比較的取得しやすいと考えられていたのですが、技術者数が多くなったため、今後は合格者数を抑制する可能性がありそうです。
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●合格率
・令和元年度 2級管工事施工管理技術検定試験結果
学科試験 合格率65.2% (受験者数13,950名 合格者数9,091名)
実地試験 合格率44.1% (受験者数13,064名 合格者数5,760名)
※学科のみ試験の受検者数および合格者数含む。
・令和元年度 1級管工事施工管理技術検定試験結果
学科試験 合格率 52.1%(受験者数16,838名 合格者数8,769名)
実地試験 合格率 52.7%(受験者数10,431名 合格者数5,492名)
※参考データ
・平成30年度 1級管工事施工管理技術検定試験結果
学科試験 合格率 33.2%(受験者数16,473名 合格者数5,471名)
・平成29年度2級 管工事施工管理技術検定試験結果(学科のみ)
学科 合格率 55.6%(受験者数825名 合格者数459名)
・平成29年度 2級管工事施工管理技術検定試験結果
学科試験 合格率59.3% (受験者数12,157名 合格者数7,211名)
実地試験 合格率40.9% (受験者数14,449名 合格者数5,903名)
・平成29年度 1級管工事施工管理技術検定試験結果
学科試験 合格率 44.2%(受験者数17,132名 合格者数7,579名)
実地試験 合格率 63.2%(受験者数10,158名 合格者数6,421名)
・平成28年度 管工事施工管理技術検定結果
1級学科 合格率 49.0% (受験者数16,578名 合格者数8,130名)
1級実地 合格率 61.0% (受験者数11,570名 合格者数7,054名)
2級学科 合格率 66.2% (受験者数12,886名 合格者数8,528名)
2級実地 合格率 44.5% (受験者数13,775名 合格者数6,136名)
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受験対策・資格の将来性 | 一般的に、施工管理技士の試験は、出題がほとんどが過去問の類似なので、対策は過去問を繰り返しやるのが効果的です。ただ、実技の記述は、どのような問題がで出るかわかりません。実務に直接関係しない内容の出題もありますが、出題頻度の高い内容のものをよく勉強して、暗記できるくらいまで何度も書いて覚え、さらに民間の講習会を受講しておくのが良いでしょう
(民間の受験対策の講習会は、必ずしも簡単に資格を得られないようなレベルの講習会もありますので注意が必要です)
施工管理技士の一級取得者は「監理技術者」になれ、二級取得者は「主任技術者」になれます。
工事現場で建設工事の技術上の管理をする技術者のことを主任技術者と言いますが、 公共工事の数だけ有資格者が必要になります。
一方、監理技術者は特定建設業者が発注総額で3,000万円以上(建築一式工事では4,500万円以上)を下請けさせる場合に、主任技術者に代わり配置が義務付けられているものです。 一般的には小さな建物などでない限り、監理技術者が必要になります。特に国や地方自治体の仕事の場合は必須です。公共入札に参加する要件の一つに建設業の点数があります。これには経営規模や経営状況なども審査対象になりますが、それ以外に「技術力」も審査されます。総合点数が低いと公共入札に入れる規模が小さくなるため業者としては点数が高くなくてはなりません。この技術力が有資格者数になります。一級・二級の施工管理技士も点数としてカウントされ、当然、一級の方がカウントは高くなります。これが経営審査事項と言われるものです。
※点数 一級資格:5点、二級資格:2点、技術士:5点 |