資格の概要 | 「コンクリート技士」、「コンクリート主任技士」は、社団法人日本コンクリート工学協会が実施する試験に合格し、合格者の申請により登録された者に与えられる称号です。
この資格は主としてコンクリートの製造あるいは施工に関わる技術者を対象とし昭和45年に創設された資格で、コンクリートの製造、施工、検査、管理などに携わる技術者としての必要な知識・能力を証明し、認定するものです。また、コンクリート技術者を対象とした資格の中でもっとも基本的なレベルに位置づけられる資格ですが、もっとも長い歴史に支えられた資格制度でもあります。コンクリート技術者を志す者が最初に取得すべき資格です。
コンクリート技士/主任技士は、類似資格の「コンクリート診断士」との違いについてよく質問されますが、「コンクリート技士/主任技士」は、コンクリート構造物の建設に関わる立場の資格で、主にレディーミクストコンクリートなどの製造、コンクリート構造物の施工に従事する技術者を対象とする資格です。それに比べ「コンクリート診断士」は、コンクリート構造物の診断や維持管理に関わる立場の資格です。試験の難易度にも相当違いがあり、「コンクリート技士」は難易度「B」の資格、「コンクリート主任技士」や「コンクリート診断士」は、難易度「A」の難関資格です。
コンクリート技士の上位資格にコンクリート主任技士が位置します。コンクリート技士はコンクリートの製造、施工、検査および管理など、日常の技術的業務に直接携わり、コンクリート主任技士はコンクリートの製造、工事および研究における計画、施工、管理、指導などを実施、製造や研究に関わる計画・管理などの業務に携わります。主任技士の試験では技士よりも高度な技術力を問われます。民間資格ですが、建設業界においては評価されている資格の一つといえます。コンクリート技士・主任技士の登録者数は2019年度で約57,400名です。
尚、コンクリート技士・主任技士の登録有効期間は4年間です。登録を更新するためには、有効期間の最終年度または、その前年度の4月(主任技士は11月)に行われる登録更新のための研修(受講料:8,800円)を受講する必要があります。
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試験の合格率・難易度 | ●難易度
コンクリート技士 「B」 普通
コンクリート主任技士 「A」 難関
【資格の難易度レベル】
コンクリート技士の難易度は、建築・土木系資格の中では1級建築施工管理技士とそれほど差はなく、1級土木施工管理技士よりは難易度が高い試験と考えていいでしょう。2級建築士と比べれば勉強量は半分程度でいけるレベルです。技士の試験は基礎知識を習得することが目的の試験であるため、試験問題自体は決して難しい知識が必要な試験ではありません。出題も毎年同じような問題が出されていますが、覚えるべき学習範囲がかなり広いことと、本試験では1問当たり2分程度で解答していかなければならないことなどが別の意味でハードルを上げているような試験になっています。総合的にみると、コンクリート技士はそれほど難しい資格試験ではありませんが、コンクリート主任技士はコンクリート技士とは全くレベルが違う難易度Aの難関資格です。技士試験の基礎知識が頭に整理されて正確に残っている状態ならば、主任技士試験の過去問を徹底的に分析し、多く出題されている項目から効率的に学習できれば試験突破は可能でしょう。
従って、コンクリート技士を先に取得し、コンクリート主任技士にチャレンジし、最後にコンクリート診断士を取得する手順で計画することがベストです。
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●合格率
・2022年度コンクリート技士試験結果
合格率(全国平均)31.9% 受験者数8,672名 合格者数2,764名
・2022年度コンクリート主任技士試験結果
合格率(全国平均)13.7% 受験者数2,946名 合格者数402名
※参考データ
・2021年度コンクリート技士試験結果
合格率(全国平均)30.6% 受験者数9,037名 合格者数2,762名
・2021年度コンクリート主任技士試験結果
合格率(全国平均)13.8% 受験者数3,018名 合格者数415名
・2020年度コンクリート技士試験結果
合格率(全国平均)30.7% 受験者数8,149名 合格者数2,501名
・2020年度コンクリート主任技士試験結果
合格率(全国平均)13.7% 受験者数2,612名 合格者数358名
・2019年度コンクリート技士試験結果
合格率(全国平均)29.5% 受験者数8,758名 合格者数2,583名
・2019年度コンクリート主任技士試験結果
合格率(全国平均)12.9% 受験者数3,159名 合格者数406名
・2018年度コンクリート技士試験結果
合格率(全国平均)29.6% 受験者数8,946名 合格者数2,644名
・2018年度コンクリート主任技士試験結果
合格率(全国平均)13.2% 受験者数3,165名 合格者数418名
・2017年度コンクリート技士試験結果
合格率(全国平均)28.5% 受験者数9,056名 合格者数2,584名
・2017年度コンクリート主任技士試験結果
合格率(全国平均)13.0% 受験者数3,372名 合格者数438名
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試験の内容・勉強法 | コンクリート技士試験の出題分野は毎年多少の出題傾向があり、材料や硬化コンクリート、各種コンクリートという材料についての出題が6割以上で最も多く出題されています。また、出題範囲は幅広く、多くの項目から出題されていますが、その中でもほぼ毎年出題されているのは、寒中コンクリート、暑中コンクリート、マスコンクリート、水中コンクリート、高流動コンクリート、工場製品の6項目で、それぞれの留意点や対策などを十分に理解しておくことがコンクリート技士試験合格のポイントになるでしょう。その他には、過去の本試験問題を基にした類似問題がある程度出題されますので、過去問題の理解も必須条件となります。
この試験には特定のテキストがありませんので、適当なテキストを入手しなければなりませんが、このテキストと過去問集がこの試験の対策の教材になります。試験は、特別難関というわけではありませんが、コンクリートに関する全般的な知識を身につけていることが必要です。
コンクリート技士資格取得者が 活躍できる分野としては、セメントやレディーミクストコンクリート、工場製品などの製造会社コントラクター、コンサルタント、コンクリート構造物の調査・診断会社などがあります。
一方、コンクリート主任技士試験の出題範囲は技士同様に非常に広い範囲になっています。
出題範囲が広い試験の勉強法は資格の種類に関係なく、「過去問」による克服が王道です。数年分の過去問を解いていくわけですが、大事なことは分からなかったところや、解答を間違ったところは必ずテキストや参考書で見直して、理解しながら進めていくことが大切です。
記述式問題については、実務との関連性で書かねばならないことは分かっているため、事前に自分の業務についてはどういうことをどのように表現するかを決めて準備しておかねばなりません。
技士試験も主任技士試験もどちらも効率的に学習できれば独学での試験突破は可能です。
尚、コンクリート技士・コンクリート主任技士の資格取得者は、コンクリート診断士試験受験の際には、コンクリートの基礎知識に関する試験が免除されます |
受験資格 | 【コンクリート技士】
●取得資格による受験資格(以下の資格を有し登録してる者)
1.コンクリート診断士
2.一級建築士
3.技術士(建設部門)
4.技術士(農業部門‐農業土木)
5.(特別上級・上級・1級)土木技術者(土木学会)
6.RCCM(構造及びコンクリート)(建設コンサルタンツ協会)
7.コンクリート構造診断士(プレストレストコンクリート工学会
8.1級土木施工管理技士または、1級建築施工管理技士
●学歴による受験資格
1.コンクリートの技術関係業務実務経験3年以上の者(学歴・年齢関係なし)
2.大学
3.高等専門学校(専攻科)
4.短期大学
5.高等専門学校
6.高等学校
※2~6の学歴でコンクリート技術に関する科目を履修した卒業者で、かつ2年以上の実務経験者
【コンクリート主任技士】
●取得資格による受験資格(以下の資格を有し登録してる者)
1.コンクリート診断士
2.一級建築士
3.技術士(建設部門)
4.技術士(農業部門‐農業土木)
5.(特別上級・上級・1級)土木技術者(土木学会)
6.RCCM(構造及びコンクリート)(建設コンサルタンツ協会)
7.コンクリート構造診断士(プレストレストコンクリート工学会
8.1級土木施工管理技士または、1級建築施工管理技士
●学歴による受験資格
1.大学
2.高等専門学校(専攻科)
3.短期大学
4.高等専門学校
5.高等学校
6.上記以外:7年以上、またはコンクリート技士合格後2年以上の実務経験
※1~4の学歴でコンクリート技術に関する科目を履修した卒業者で、かつ4年以上の実務経験者
※5の学歴でコンクリート技術に関する科目を履修した卒業者で、かつ5年以上の実務経験者
(注)
・「コンクリート技術に関する科目」とは、コンクリート工学、土木材料学、建築材料学、セメント化学、無機材料工学など |