資格の概要 | マンションの管理の適正化の推進に関する法律制定に伴い、マンションの委託契約に関する重要事項や管理事務の報告を行うことなど、マンションの良好な居住環境を確保することを目的に、平成13年8月1日に施行された国家資格です。また、不動産業の分類(開発分譲・流通・賃貸・管理)の中で、「管理」は管理業務主任者のみがおこなえる独占業務です。また、管理会社は国土交通省へ業登録の際において、専任の管理業務主任者を選任し届け出なければならないこととされています。(必置資格)また、それぞれの事務所に、国土交通省が指定する人数の管理業務主任者の配置が義務づけられています。
「管理業務主任者」となるには、管理業務主任者試験に合格し、管理業務主任者として登録し、管理業務主任者証の交付を受けることが必要です。 ⇒管理業務主任者になるまでの手続き
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管理業務主任者試験の合格者が、国土交通大臣の登録を受けるためには、登録申請時までに実務経験が2年以上必要となりますが、実務経験が2年に満たない方は、国土交通大臣の登録を受けた者が行う登録実務講習を受講し、修了試験に合格することにより、2年以上の実務経験を有するものと同等以上の能力を有するものと認められます。
この管理業務主任者登録実務講習は、マンションの管理の適正化の推進に関する法律に基づき、協会が国土交通大臣の登録を受けて実施する講習です。
(注1)業務に従事しない方は、必ずしも登録する必要はありません。講習を受けるかどうかは任意です。
(注2)実務経験のない人は管理業務主任者の登録をすることはできません。2年以上の実務経験を積むか、あるいは協会が主催する登録実務講習を受講し修了試験に合格すれば、実務経験については充足されるため登録できます。
<実務講習について>
登録実務講習は、札幌、仙台、東京、名古屋、大阪、広島、福岡、那覇の8都市で毎年2月~3月に各都市1~4回、計18回程度開催されます。
受講申込は1月下旬頃より開始され、連続した2日間が1コースとなっていますので、コース単位で受講します。
講習内容は9項目の講義と修了試験があり、2日間の日程で講習は概ね15時間です。 修了試験の合格基準は6割以上です。もし不合格だった場合でも、管理業務主任者試験に合格した履歴は消えることはなく、次回以降の登録実務講習の受講が可能になっています。
※「管理業務主任者」と「マンション管理士」の相違について
「管理業務主任者」は、マンション管理業者がマンション管理業を営む際に必要な委託契約など、管理業務の専門家ですが、「マンション管理士」は、マンションの管理組合等の相談に応じ助言、指導その他援助を行うことを業務とします。それぞれ性質が異なる資格です。 |
資格難易度 | ●難易度
「B」 普通
【資格の難易度レベル】
管理業務主任者は受験資格は特になく、難易度は「B」(普通)で誰でも簡単に試験を受けられますが、もし貴方に不動産や法律関係の経験や知識がない場合には、かなり難しい資格試験と考えていいでしょう。「宅建」や「簿記」の資格がある人は、かなり有利になります。普通は、テキストをきちっと理解しながら精読し、過去問を十分に繰り返し演習しておけば、不合格にはまずならないはずですが、基礎知識ゼロからの場合には、かなり勉強しなければ、簡単には取れる資格ではありません。試験は応用力よりも、どちらか言えば基礎知識が幅広く問われる試験なので、基礎的な問題を取りこぼさないようにすれば合格はそれほど難しくないと思います。難易度「B」の資格の中で比較すると、宅建や測量士よりは難易度は低い試験ですが、法律の知識がない人は勉強の期間が6~7ヶ月は最低必要です。宅建合格者や法律知識のある人は3~4か月の学習で突破は可能です。
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●合格率
令和3年度管理業務主任者試験結果
合格率 19.4%
受験者数16,538名 合格者数3,203名
※合格基準点は50問中35問以上の正解
※参考データ
・令和2年度管理業務主任者試験結果
合格率 23.9%
受験者数15,667名 合格者数3,739名
・令和元年度管理業務主任者試験結果
合格率 23.2%
受験者数15,591名 合格者数3,617名
・平成30年度管理業務主任者試験結果
合格率 21.7%
(受験申込者数19,177名 受験者数16,249名 合格者数3,531名)
・平成29年度管理業務主任者試験結果
合格率 21.7%
(受験申込者数20,098名 受験者数16,950名 合格者数3,679名)
・平成28年度管理業務主任者試験結果
合格率 22.5%
(受験申込者数20,255名 受験者数 16,952名 合格者数 3816名)
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受験対策・資格の将来性 | 管理業務主任者試験は平成13年度から始まった試験で、民法・借地借家法・宅建業法・区分所有法などの試験範囲が宅建士と重複しているため、宅建士や、宅建士受験者には合格しやすい資格と言われています。そのため、宅建士受験者及 び宅建士合格者の受験者が多い試験です。また、試験範囲がほぼ同じで管理業務主任者試験より難易度が高いマンション管理士とのダブル取得を目指す受験生も増加していることなどもあり、数年後には現在よ りも難易度が高くなるだろうと言われています。いづれにしても、宅建士、マンション管理士、管理業務主任者は、このように試験科目の重複が多いことや同じ不動産系資格であることから相性がよく、同一年度に並行して取得を目指すと、非常に効率的な学習が可能になります。マンション管理者や宅建士と難易度的にみれば、管理業務主任者は比較的簡単に取れる資格です。
※難易度順に並べるとすれば、マンション管理士>宅建>管理業務主任者でしょう。
合格基準点は大体33~35点の間で変動しており、合格には35点以上を目安に全体の8割弱程度の得点が要求されると考えていいでしょう。 また社労士のように科目ごとの足切り点は存在せず、総合得点で採点されます。個々の試験問題では、法律分野の民法・区分所有法・マンション管理法(施行規則と適正化指針を含む)・建築基準法等と、実務分野の管理組合の会計・建物の維持及び修繕が重要科目です。試験は覚えねばならない細かい法律が多いため、3ヶ月~半年程度はしっかりと勉強が必要です。標準勉強時間は約300時間。特にマンション管理士とは出題分野の重なる部分も多いので、効率よく学習することで、両方合格を目指すことも十分可能です。
※マンション管理士の受験後に勉強を開始した場合、最短では1ヶ月程度の勉強で合格を狙うことも可能です。そのため、管理業務主任者を受験する人のほとんどは、マンション管理士も受験しています。
尚、管理業務主任者の合格者はマンション管理士試験の一部(マンション管理適正化法の5問)が免除されます。また、管理業務主任者試験に合格した人は、マンション管理士試験の一部が免除になります。(免除の問題数は5問で、時間が10分短くなります)
マンション管理士は、マンション管理組合の運営について助言指導をするコンサルタントなので、 管理業務主任者とは立場が全く逆になります。従って、これから就職や転職を考えている人の中で、会社勤めを希望する人は管理業務主任者が、また、現在行政書士、司法書士、建築士などとして独立している人、又は今後独立したいと考えている人にはマンション管理士がお勧めの資格と言えます。ただ、このような国家資格を取得するだけで生活をして行けるかと言うと、それほど簡単なものではありませんが、不動産業界で仕事するなら、当然宅建士資格は絶対取得しておくべきであり、また、管理業務主任者も、事務所ごとに省令で定める人数の資格所有者を設置しなくてはいけないので、持っていて損はありません。
老朽化したマンションや新しいマンションが年々増え続けている現状では、マンションはこれからも需要があり、管理の質の良しあしで建物の評価も変わりますので、マンション管理のプロである管理業務主任者や、マンション管理士の役割はと ても重要で、その活躍は社会的にも大きく期待されています。将来性は高く、企業内スペシャリストとして活躍することができるでしょう。 |