資格の概要 | 基本情報技術者には、IT化が進む現代社会において情報技術に関する基本的な知識や技能を保有し、システム設計・開発能力を身に付けた技術者で、情報技術を活用したニーズに関して、基本的な内容を理解して担当業務を遂行できる能力や、情報戦略において予測分析や評価を行ない、提案することができる技術力、またシステムの開発設計において自らソフトウェアを組み立てることのできる技術力などが求められます。そのため基本情報技術者試験は、情報技術全般に関する基本的な知識と技能を持つ人、つまり情報システム開発プロジェクトでプログラム設計書を作成し、プログラム開発を行い、単体テストまでの一連のプロセスを担当する人のための試験になっています。
基本情報技術者試験は新試験制度のスキルレベル2に相当し、2009年春期試験から開始された試験で、数あるコンピュータ関連の資格試験の中で最も受験者数が多い経済産業省が認定する国家資格です。ITエンジニアが最低限身に付けておくべき知識をひと通り学べることから、学生や新入社員が多く受験しています。まさにプロとしての第一歩を記す資格といえるでしょう。
採用の際、全くの未経験者を一から育てるのは企業にとっても負担が大きいため、基本情報技術者の資格を提示することで、最低限の情報システムの知識を持つ証明になります。IT系企業で基礎力を示せるほか、一般企業でも認知度が高いため、「情報システムへの理解」をアピールできる資格となります。
【ITSSとの関係】
経済産業省が定めた「ITSS(IT Skill Standard)」ITスキル標準という基準があります。これは、個人のIT関連能力を7段階のレベルに分類したものです。それによると、基本情報技術者試験はレベル2(基本的な知識と技能を有する)に分類されています。
【基本情報技術者試験が2023年から変わります】
試験の主な変更点は以下の5点ですが、変更によって受験対策等が変わるところなどもありますので注意が必要です。
このページでは、ページの記載内容を変更後の新試験の内容に変えて掲載しております。
◆基本情報技術者試験の変更点◆
①春期・秋期試験から「通年試験」に変更
②採点方式が素点方式から「IRT方式」に変更
③午前試験・午後試験が「科目A試験・科目B試験」に変更
④「試験時間」・「出題形式」・「問題数の変更」
⑤「出題範囲」の変更
※以後のページでは、基本情報技術者試験にチャレンジを考えている方のために、2023年から基本情報技術者試験がどのように変わるかを解説しています。
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◆基本情報技術者試験関連の情報
・2023年4月から通年試験(CBT)となります。それに伴い、試験内容、試験時間も以下のように変更になります。
・2020年から情報セキュリティマネジメント試験、基本情報技術者試験は、試験方式がCBT(Computer Based Testing)方式に変わりました。
・2020年春、IPA(情報処理推進機構)は運営する国家試験「基本情報技術者試験」で選択できるプログラミング言語からCOBOLをなくして、Pythonを新たに採用しました。
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試験方式 | 【2023年4月以降】
●試験方式
試験は「科目A」として①が、「科目B」として②がそれぞれCBT試験方式で行われます。
①「科目A」:多肢選択式(四肢択一) 60問出題。試験時間90分。(出題60問→回答60問)
②「科目B」:多肢選択式 20問出題。試験時間100分。(出題 大問20問→回答20問必須)
※旧午前試験は試験時間が150分で80問出題でしたが、科目A試験では90分、60問出題になりますので時間当たりに解かねばならない問題数が増えるため、今まで以上に早く回答しなければならないことになります。一方、旧午後試験では試験時間150分で11題の大問のうち5題を選択して回答する形式だったのに対して、科目B試験は時間100分で小問20問出題で、全ての問題に回答することになりますので、選択問題がなくなり、時間配分も変わることで要注意です。
●合格基準
科目A (配点)1000点満点 (基準点)科目評価点:600点/1000点満点
科目B (配点)1000点満点 (基準点)科目評価点:600点/1000点満点
※科目A、科目Bの両方とも1,000点満点中600点以上を得点することで合格となります。
採点はIRT(項目応答理論)方式で行われますので、1問何点という配点は公開されていません。
IRT(項目応答理論)方式は、問題の難易度や他の周りの回答者と比較することで問題ごとに点数調整が行われる採点方法です。主に採点の公平性を保つことを目的に使われます。
●免除制度
・IPAの認定を受けた講座を受講すると1年間午前試験が免除になる「午前試験免除制度」は、「科目A試験免除制度」として継続されます。
従来は年間の試験回数が2回だったため、指定講座を受講した後の1年間で2回の午前免除の機会がありましたが、2023年4月に通年試験となった後は、受講後1年間の中で行う受験において何回でも午前免除の申請ができることになります。 |
資格難易度 | ●難易度
「B-上」 普通の上位
【資格の難易度レベル】
◆【2023年4月以降】試験対策について
「科目A」試験は、旧午前試験対策と出題範囲は変わりませんので、従来の勉強で得た知識はそのまま活用できます。「科目B」試験も旧試験の「情報セキュリティ」と「データ構造およびアルゴリズム」に関する知識はそのまま使えます。全体的に見れば新試験に変わって、試験自体の難易度は変わらず、試験が受けやすくなったことはメリットだと思って、変更点やポイントだけはしっかりと押さえて2023年からの基本情報技術者試験対策をはじめましょう。
◆【2022年旧試験対策として掲載している試験情報】
受験にはある程度の情報処理の基礎知識は必要ですが、試験としては初~中級向けの試験と考えてよいでしょう。実務経験はなくても基礎知識をある程度持っている(情報系の大学卒)人なら、独学で1ヵ月間集中して勉強すれば合格できるレベルです。特に情報系大学で講義を受けた人なら午後試験は特に準備をしなくても良いでしょう。午前問題は、過去問からの出題が比較的多いため過去問や模擬試験問題を徹底して解く練習をしておくことが大事です。午後問題は、模擬試験で苦手分野を見つけ出し対策すれば、あとは知識問題などで理解を深めておけば、午前問題が解ければ何とかなると思います。ただ、時間的にギリギリになることが多いので時間配分に注意が必要です。
出題に関してはプログラミングにおけるアルゴリズムやソフトウェアに関する知識が基本情報技術者試験の合否を分けるカギになります。
(参考) 「情報処理技術者試験の難易度」を参照ください。
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●合格率
令和3年度秋期基本情報技術者試験結果
受験者数52,879名 合格者数21,190名 合格率40.1%
令和3年度春期基本情報技術者試験結果
応募者総数 37,048名 受験者数32,549名 合格者数13,544名 合格率41.6%
令和3年度1月(CBT受験)基本情報技術者試験結果
応募者総数 8,988名 受験者数8,519名 合格者数4,934名 合格率57.9%
令和3年度2月(CBT受験)基本情報技術者試験結果
応募者総数 16,005名 受験者数14,568名 合格者数7,356名 合格率50.5%
※参考データ
・令和2年度秋期基本情報技術者試験結果
受験者数52,993名 合格者数25,499名 合格率48.1%
・令和元年度秋期基本情報技術者試験結果
応募者総数 91,700名 受験者数66,870名 合格者数19,069名 合格率28.5%
・平成30年度秋期基本情報技術者試験結果
応募者総数 82,347名 受験者数60,004名 合格者数13,723名 合格率22.9%
・平成30年度春期基本情報技術者試験結果
応募者総数 73,581名 受験者数51,377名 合格者数14,829名 合格率28.9%
・平成29年度秋期基本情報技術者試験結果
応募者総数 76,717名 受験者数56,377名 合格者数12,313名 合格率21.8%
・平成29年度春期基本情報技術者試験結果
応募者総数 67,784名 受験者数48,875名 合格者数10,975名 合格率22.5% |
受験対策・資格の将来性 | ◆【2023年4月以降】試験対策について
・「科目A」試験
旧午前試験対策と出題範囲は変わりませんので、従来の勉強で得た知識はそのまま活用することができます。
・「科目B」試験
「科目B」試験では、旧午後試験で必須問題であった「情報セキュリティ」と「データ構造およびアルゴリズム」の科目内容になるため、これらについて勉強したことはそのまま活用できますが、「情報セキュリティ」と「データ構造およびアルゴリズム」以外の旧午後試験対策として勉強した知識については、この試験で活用できる可能性はほとんどなくなるでしょう。身に付いた知識が無駄になることはありませんが、「科目B」試験対策として考えた場合には、新たに「情報セキュリティ」と「データ構造およびアルゴリズム」を中心に勉強を進める方がと良いと思います。
・教材関係
出題範囲に大きく変更があるため、2023年からの試験対策では、2022年までに出版されたテキストには使えるものと使えないものがあります。当然のことながら、2022年以前のテキストの中でも午前試験対策の内容や、午後試験の「情報セキュリティ」と「データ構造およびアルゴリズム」に関する部分は、2023年からの試験対策にもそのまま使えます。ただ、午後試験のアルゴリズムに関しては、個別の言語の知識ではなく、基本的なプログラミング的思考に関する部分は勉強に役立てられます。
◆【2022年旧試験対策として掲載している試験情報】
IT関連の職に就いた新人が一番に会社から取得させられるのがこの資格。特にシステム開発会社ではこの試験に合格することが技術者の必要最低限の資格として重要視されることがあり、入社3年程度以内に取得することを推奨されることが多いです。情報処理系では最も人気があり、応用情報技術者試験など、上位の試験合格を目指すキャリアパスになっていることもあり、IT関連の仕事をするなら絶対に取得しておきたい資格の一つです。 基本情報技術者試験ではプログラミングに関する知識が求められる点が、レベル1のITパスポート試験と異なる点です。
試験では、ハードウエアやソフトウエア、データベース、セキュリティーなどITに関する基礎知識からプログラミングに関する内容まで幅広い範囲から出題されるため、情報技術全般に関する基本的な用語、知識、プログラミングに必要な倫理的思考能力、 プログラム作成など、ソフト開発エンジニアに必要な知識、技能を必要とします。試験の内容は、特に午後試験は実務経験がある人にとって有利な内容になっています。情報処理システムの開発、運用、利用に関する幅広い知識が問われ、論理的思考能力が必要なことから、試験の難易度も高いですが、問題は情報処理に関する基本的な知識が主なので、きちんとした勉強と受験対策を怠らなければ、高校在学時でも十分に合格できる試験です。独学でも早ければ4ヵ月程度で合格は可能だと思います。ただ、初心者の場合や理数系が苦手な人の場合でも、最低限、高校1~2年レベルの代数・関数の知識は必要不可欠です。式と変数、ベクトル、行列、数列などの専門用語は、さらにまだその先にあることを知っておくことが必要です。
受験対策では、午前試験はひたすら暗記なので、テキスト学習と過去問演習でどれだけ知識を詰め込めるかが勝負の分かれ目となってくるでしょう。午後試験は午前試験とは違って用語を暗記したり、計算問題の練習をしただけではなかなか合格点は取れません。午後試験は覚えるより理解することが大切で、またそれが大変なので午後の方が難しいというのが一般的です。
受験者の年齢層は10代半ばから50歳代と幅広いですが、学生や経験年数の浅い(4年未満)エンジニアの受験者が多く、他の情報処理技術者試験に比べて年齢が2~3歳ほど若いようです。また、層別では情報系の大学生、専門学校生のいる19~21歳と、主にシステム開発会社の新入社員のいる22~25歳が多いようです。尚、情報処理技術者試験全体では、入試優遇制度を利用している学校が258校、単位認定制度を採用している学校が77校あります。
今後の試験対策では、今後も過去問題からの出題は続き、出題傾向は大きく変わることはないので、最新の過去問題を数回分解き、間違えたところを確実に補強していくことが大前提になります。その上で、新傾向問題への対策を考えましょう。まず、新用語対策としては、雑誌やWebのニュースをチェックし、気になる用語はメモして覚えるという地道なやり方で臨むことが大切です。それと、重要なことは用語や公式の丸暗記ではなく、その事柄で一番大切な本質を理解するようにすることです。そうすれば、それがそのまま試験対策になります。
応用情報技術者試験も同様ですが、この試験はふるい落としをかける試験ではありませんので、意地の悪い問題や引っ掛け問題などは出題されません。それより過去問や類似した問題がそのまま出題されますので、大事なのは最後までテキストをしっかりやっておくことです。
午前問題の受験対策では絶対に「過去問」が大事ですが、過去問だけでなく公開模試や毎日の隙間時間などを通して、できるだけ多くの問題を解いておくことが対策として重要です。
また午後問題では、試験時間の配分に注意が必要です。アルゴリズムが苦手な場合は、解答する順番を変えてアルゴリズムを一番最後に回した時間配分を考えることです。表計算から解答して情報セキュリティから順番に解くなどでアルゴリズムを時間をかけて解くことができます。それと、過去問を解くときには実際に時間を測ってやっておくと役立ちます。 |