資格の概要 | 基本情報技術者試験は、春と秋の年2回実施され、合計で毎年約14万人が応募する非常に人気の高いIT試験です。
新試験制度のスキルレベル2に相当し、2009年春期試験から開始された新しい試験です。(以前の試験名は第二種情報処理技術者でした) 主に、システム開発を行う上で必要となる基礎知識を 問われる試験で、情報技術の背景として知るべき原理や基礎となる技能について、幅広い知識を総合的に評価する試験になっています。そういう意味では、ITエンジニアが最低限身に付けておくべき知識を一通り学べることから、学生や新入社員が多く受験しています。まさにプロとしての第一歩を記す資格といえるでしょう。
試験は午前と午後に分かれ、午前は主に知識問題、午後はプログラミングや知識の応用問題が出題される。
平成21年度春期の新試験から初級システムアドミニストレータ試験の一部を吸収した形で、出題範囲や出題形式に変更が 加えられました。基本情報技術者試験は、数あるコンピュータ関連の資格試験の中で最も受験者数が多い経済産業省が認定する国家資格です。試験では情報技術全般の基礎を学び、基本的なプログラミング言語、設計の知識などが試されます。
採用の際、全くの未経験者を一から育てるのは企業にとっても負担が大きいため、基本情報技術者の資格を提示することで、最低限の情報システムの知識を持つ証明になります。
IT系企業で基礎力を示せるほか、一般企業でも認知度が高いため、「情報システムへの理解」をアピールできる資格といえます。
※仕事の役割としては上位者の指導の下、情報技術を活用した戦略立案への参加や、システムの設計・開発や製品の最適化、システム構築や運用サービスなどを担う。
【ITSSとの関係】
経済産業省が定めた「ITSS(IT Skill Standard)」ITスキル標準という基準があります。これは、個人のIT関連能力を7段階のレベルに分類したものです。それによると、基本情報技術者試験はレベル2(基本的な知識と技能を有する)に分類されています。
【試験要綱・シラバス】
・「基本情報技術者試験(レベル2)」シラバス(Ver 3.0) (平成25年4月更新)
◆基本情報技術者試験関連の情報
・2020年春、IPA(情報処理推進機構)が運営する国家試験「基本情報技術者試験」で選択できるプログラミング言語からCOBOLが消え、Pythonが新たに採用されます。
・令和2年度から、情報セキュリティマネジメント試験、基本情報技術者試験は、CBT(Computer Based Testing)方式により試験が実施されています。
・IPA(独立行政法人情報処理推進機構)は2019年1月24日、「基本情報技術者試験」について、AI人材育成のニーズ等を踏まえ、出題の見直しをすることを発表しました。
今回の見直しでは、2019年の秋期試験をもってCOBOLが廃止され、2020年の春期試験からPythonが追加されることが決まりました。また、今後のAI時代を見据え、午後試験の出題構成、午前試験の出題比率の見直しも行われます。
⇒詳しい変更箇所、変更内容はこちらで確認ください。
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資格難易度 | ●難易度
「B-上」 普通の上位
【資格の難易度レベル】
ある程度の情報処理の基礎知識は必要ですが、初~中級向けの試験と考えてよいでしょう。実務経験はなくても基礎知識をある程度持っている(情報系の大学卒)人なら、独学で1ヵ月間集中して勉強すれば合格できるレベルです。特に情報系大学で講義を受けた人なら午後試験は特に準備をしなくてもOKでしょう。午前問題は、過去問からの出題が比較的多いため過去問や模擬試験問題を徹底して解く練習をしておくことが大事です。午後問題は、模擬試験で苦手分野を見つけ出し対策すれば、あとは知識問題などで理解を深めておけば、午前問題が解ければ何とかなると思います。ただ、時間的にギリギリになることが多いので時間配分に注意が必要です。
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●合格率
令和元年度秋期基本情報技術者試験結果
応募者総数 91,700名 受験者数66,870名 合格者数19,069名 合格率28.5%
※参考データ
・平成30年度秋期基本情報技術者試験結果
応募者総数 82,347名 受験者数60,004名 合格者数13,723名 合格率22.9%
・平成30年度春期基本情報技術者試験結果
応募者総数 73,581名 受験者数51,377名 合格者数14,829名 合格率28.9%
・平成29年度秋期基本情報技術者試験結果
応募者総数 76,717名 受験者数56,377名 合格者数12,313名 合格率21.8%
・平成29年度春期基本情報技術者試験結果
応募者総数 67,784名 受験者数48,875名 合格者数10,975名 合格率22.5% |
受験対策・資格の将来性 | IT関連の職に就いた新人が一番に会社から取らされるのがこの資格。特にシステム開発会社ではこの試験に合格することが技術者の必要最低限の資格として重要視されることがあり、入社3年程度以内に取得することを推奨されることが多い。情報処理系では最も人気があり、応用情報技術者試験など、上位の試験合格を目指すキャリアパスになっていることもあり、IT関連の仕事をするなら絶対に取得しておきたい資格の一つです。
レベル1のITパスポート試験とは、プログラミングに関する知識が求められる点が異なります。
試験では、ハードウエアやソフトウエア、データベース、セキュリティーなどITに関する基礎知識からプログラミングに関する内容まで幅広い範囲から出題されるため、情報技術全般に関する基本的な用語、知識、プログラミングに必要な倫理的思考能力、 プログラム作成など、ソフト開発エンジニアに必要な知識、技能を必要とします。試験の内容は、特に午後試験は実務経験がある人にとって有利な内容になっています。情報処理システムの開発、運用、利用に関する幅広い知識が問われ、論理的思考能力が必要なことから、試験の難易度も高いが、問題は情報処理に関する基本的な知識が主なので、きちんとした勉強と受験対策を怠らなければ、高校在学時でも十分に合格できる試験で、独学でも早ければ4ヵ月程度で合格は可能だと思います。ただ、初心者の場合や理数系が苦手な人の場合でも、最低限、高校1~2年レベルの代数・関数の知識は必要不可欠です。式と変数、ベクトル、行列、数列などの専門用語は、さらにまだその先にあることを知っておくことが必要です。
受験対策では、午前試験はひたすら暗記なので、テキスト学習と過去問演習でどれだけ知識を詰め込めるかが勝負の分かれ目となってくるでしょう。午後試験は午前試験とは違って用語を暗記したり、計算問題の練習をしただけではなかなか合格点は取れません。午後試験は覚えるより理解することが大切で、またそれが大変なので午後の方が難しいというのが一般的です。
受験者の年齢層は10代半ばから50歳代と幅広いが、学生や経験年数の浅い(4年未満)エンジニアの受験者が多く、他の情報処理技術者試験に比べて2~3歳ほど若いようだ。また、層別では情報系の大学生、専門学校生のいる19~21歳と、主にシステム開発会社の新入社員のいる22~25歳が多いようです。
尚、情報処理技術者試験全体では、入試優遇制度を利用している学校が258校、単位認定制度を採用している学校が77校あります。
今後の試験対策は、今後も過去問題からの出題は続き、出題傾向は大きく変わることはないので、最新の過去問題を数回分解き、間違えたところを確実に補強していくことが大前提になります。その上で、新傾向問題への対策を考えましょう。まず、新用語対策としては、雑誌やWebのニュースをチェックし、気になる用語はメモして覚えるという地道なやり方で臨むことが大切です。それと、重要なことは用語や公式の丸暗記ではなく、その事柄で一番大切な本質を理解するようにすることです。そうすれば、それがそのまま試験対策になります。
応用情報技術者試験も同様ですが、この試験はふるい落としをかける試験ではありませんので、意地の悪い問題や引っ掛け問題などは出題されません。それより過去問や類似した問題がそのまま出題されますので、大事なのは最後までテキストをしっかりやっておくことです。
【受験対策ひと口ガイド】
(午前問題)
絶対に「過去問」が大事ですが、過去問だけでなく公開模試や毎日の隙間時間などを通して、できるだけ多くの問題を解いておくことが対策として重要。
(午後問題)
特に午後問題は、試験時間の配分に注意が必要。アルゴリズムが苦手な場合は、解答する順番を変えてアルゴリズムを一番最後に回した時間配分を考える。表計算から解答して情報セキュリティから順番に解くなどでアルゴリズムを時間をかけて解くことができます。それと、過去問を解くときには実際に時間を測ってやっておくと役立ちます。 |