資格の概要 | 「看護師」は、看護学校などで養成教育を受けた後、卒業し国家試験に合格した者を言います。国家試験に合格し、厚生労働大臣から免許を受ければ、原則として更新することなく一生、看護師として働くことが可能となっています(生涯免許)。2002年3月以前までは法律上、女性を「看護婦」、男性を「看護士」として区別していました。
看護師は病院だけでなく、それ以外にさまざまな就業場所があり、その就業場所によって仕事内容は異なります。病院で働く場合は基本的に医師の診断・治療のための補助的役割や、患者とその家族への対応が中心の仕事になります。
一方、看護師になるためには、高校卒業後、法律で定められた養成施設で3年以上勉強して、国家試験受験資格を取得、国家試験に合格して看護師になるのが一般的です。准看護師から看護師に進むこともできますが、この場合には進学コースで昼間なら2年間、定時制なら3年間の勉強を経て、国家試験受験資格を得ることになります。また、中学卒業後、高等学校衛生看護科に進学し、准看護師免許を取得後、そこから進学コース(昼間2年)に進む方法をとると2年で看護師になることができる、一番早い方法です。看護学校等の3年間(大学は4年間)では「看護基礎教育」(基礎分野・専門基礎分野・専門分野)として、下記の掲載試験科目11科目について学びます。
医師の指示のもとに医療補助を行う仕事が主になる看護師ですが、最近では高齢化に伴い、社会福祉施設等において利用者の健康管理、訪問介護などの分野でも活躍することも多くなっています。現在の職場分布は、病院が約65%、診療所20%程度、福祉関係施設に約7%ですが、高齢化社会の到来とともに、社会福祉関係に従事する割合が高まっていることは事実です。いずれにしても高度な専門知識と自律的な判断力、過酷な労働条件に耐えられる精神力が求められる仕事であることに変わりはありません。
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●認定看護師
必要な教育課程を修了し、特定の看護分野において、熟練した看護知識と技術を用い看護ケアを実践できる看護師として日本看護協会から認定を受けた看護師を言います。
※専門看護師
日本看護協会が行う専門看護師認定試験に合格し、ある特定の専門看護分野において卓越した看護実践能力を有することが認められた看護師を言います。平成8年に初めて専門看護師が認定され、平成23年8月現在、全国にわずか612人しか認定されていません。
「准看護師」は、都道府県知事の免許を受けて、医師、歯科医師、または看護師の指示を受けて、傷病者等に対する療養上の世話や、診療の補助をする者のことです。看護師が国家資格免許なのに対し、准看護師は「都道府県知事免許」となっています。
●保健師助産師看護師法
1.看護師:厚生大臣の免許を受けて、傷病者若しくは、褥婦に対する療養上の世話又は診療の補助をなすことを業とする者をいいます。(第5条)
2.准看護師:都道府県知事の免許を受けて、医師、歯科医師又は看護師の指示を受けて、傷病者若しくは、褥婦に対する療養上の世話又は診療の補助をなすことを業とする者をいいます。(第6条)
※准看護師に関する情報
厚生労働省は、准看護師が看護師を目指して通う通信制学校(2年課程)の入学要件について、「10年以上の実務経験」という現行の規制を「5年程度」に大幅に緩和し、早ければ2017年度の入学者から適用するように年末までに省令を改正する方向を決定しました。
現在は、准看護師が看護師になるためには、2年間全日制の看護師学校などに通うか、医療現場での10年以上の実務経験を経て通信制を2年間受講し、国家試験に合格する必要があるため、働きながら看護師学校に通うのは無理でで、看護師を目指すには通信制が現実的になっています。看護師を目指し通信制に入学する准看護師は年約3000人いるため、今回の規制緩和は働きながらキャリアアップを目指す准看護師を支援する狙いがあります。
※看護系の学部・学科を設置する大学が全国的に増えています。
看護師国家試験の受験資格が得られる学部や学科を持つ大学は1991年度には11校でしたが、95年以降は毎年10校のペースで増え、20年で7倍以上になりました。
(参考)第105回看護師国家試験 学校別合格者一覧表 |
試験の合格率・難易度 | ●難易度
「C」 やや易
【資格の難易度レベル】
統計や社会保障・医療保険制度、保健師助産師看護師法などは、頭から丸暗記するつもりで、問題を解くより、まず暗記カードなどを作って覚えなければなりません。また、この試験の傾向として、基礎分野重視がみられますので、基礎看護、解剖生理、病態生理などの基礎となる分野を重点的に固めておくことが大切です。試験そのもののレベルは、看護学校などで真面目に勉強していれば、それほど難易度の高い試験ではありません。試験の合格率も90%以上なので、普通に勉強していればかなり高い確率で合格できる試験といえます。
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●合格率
第110回看護師国家試験結果
(全体)出願者数66,778名
受験者数66,124名 合格者数59,769名 合格率90.4%
(うち新卒者)出願者数59,936名
受験者数59,593名 合格者数56,868名 合格率95.4%
(合格基準)
必修問題及び一般問題を1問1点、状況設定問題を1問2点とし次の(1)~(2)の全てを満たす者
(1)必修問題 40点以上/50点 (2)一般問題及び状況設定問題 159点以上/250点
※参考データ
・第108回看護師国家試験結果
(全体)出願者数64,153名
受験者数63,603名 合格者数56,767名 合格率89.3%
(うち新卒者)出願者数58,622名
受験者数58,308名 合格者数55,216名 合格率94.7%
・第107回看護師国家試験結果
(全体)出願者数65,070名
受験者数64,488名 合格者数58,682名 合格率91.0%
(うち新卒者)出願者数58,288名
受験者数57,929名 合格者数55,764名 合格率96.3%
・第106回看護師国家試験結果
(全体)出願者数63,043名
受験者数62,534名 合格者数55,367名 合格率88.5%
(うち新卒者)出願者数56,706名
受験者数56,381名 合格者数53,177名 合格率94.3% |
試験の内容・勉強法 | 試験の「必修問題」は、 看護師として特に重要な基本事項を問う問題で、評価には絶対基準(一定の点数が取れているかによって合否が判定される)が採用されており、原則として80%の正答率が必要とされています。これは過去5年間変わっていません。 「必修問題」に関しては、出題数が第99回から50問へ増えました。
「一般問題」では、午前中の試験で必修問題と組み合わせ、午後では状況設定問題と組み合わせて出題されています。「状況設定問題」は問題文が長く、総合的な知識を駆使して状況判断を行い解答していく形式になり、試験問題の配点が一番高くなっています。これは、現場シーンを想定した、より実践的な問題をケーススタディ形式で出題する問題になっているからのようです。
もっと詳しい試験対策が知りたいという方に、絶対のおすすめ教材を紹介しておきます。
一つは、「系統別看護師国家試験問題 解答と解説 」。主な試験勉強はこれ1冊でいけます。過去6年分の全問題と、オリジナル模擬問題が載っています。系統別+テーマごとに問題を分類・配列してありますので出題傾向をつかむことができます。
もう一つが、「看護師・看護学生のためのレビューブック 」。過去10年分の国家試験出題内容が1冊にまとめてあります。わからない時はこれを見れば一発で解決します。
さらに、この本「デルカン 2013―看護師国家試験直前対策ブック ここがよく出る看護師国家試験ポイント (-) 」 この本は、直前対策書です。毎年、ここからかなり試験に出ています。最低これだけは覚えなければならないことが分かりやすくまとめてあります。どの本も高い本ばかりなので、どれか1冊は選んで活用することをお薦めします。どれも買って後悔はしないと思います。
全体を通しての出題傾向として、実際の現場に立ったとき、いつも患者さんのために、何をどうしたら良いのかを考える臨床現場重視の医療に携わる者としての常識を問う問題がこれからも増えることが予想されます。
最近は、看護師試験の最後の追い込みに最適なスマホのアプリが人気のようです。過去6年分の看護師国家試験の過去問題(約1200問)が収録されており、「分野別」・「解説付き」で解くことができ、間違えた問題は自動的に「苦手問題」に登録される機能がついているので、移動時間などを活用しながら効率的に間違えた問題だけ復習できる、そんな便利なアプリもあるようです。
看護師の就業先は病院だけでなく、最近では看護師を必要としている分野はとても幅広くなっています。 診療所や、検診車(企業などに出向き検診業務を行う)、献血ルーム(献血車)、保健所、看護施設(老人福祉施設・介護保険施設・訪問看護ステーションなど)福祉施設、身体障害者施設等があげられます。しかし、一方で看護師は全国的に人員不足状態であり、それに加えて介護福祉などのニーズが増えています。一度看護師として病院などで働いていた人が、結婚などによって退職し、そのまま職場から離れていくという人が多くいます。この「休眠看護師」と呼ばれる看護師資格保持者たちの職場復帰が推進されようとしているのが、現在の日本の看護師事情です。こういったことから、これからも看護師は多くの需要があり続けるでしょう。さらに、「保健師」や「助産師」の国家資格を取得すればさらに活躍できる分野は幅広くなるでしょう。
ただ、仕事は高度な専門知識と判断力、その上、常に過酷な労働条件に耐えられる精神力を求められることを覚悟しなければなりませんが、超高齢化社会が到来する10年後、最も食いっぱぐれのない資格は医療系で、なかでも看護師は注目です。米国にナースプラクティショナー(NP)という制度があるのと同様に、日本でも「特定看護師」の法制化が検討されています。10年後には導入される公算が大きいと思われます。
また高齢化の進行によっても看護師の需要が急増しています。看護師になるためには、高校卒業後に専門学校などの看護師養成所で3年以上勉強し、国家試験に合格しなければなりません。さらに女性の仕事というイメージが強いため転職を考える男性は少ないのですが、実は意外に狙い目なのです。学費は年間100万円近くかかり、かなり厳しいですが、卒業して資格さえ取ってしまえば、年齢や性別を問わずに一生続けられる仕事です。景気にも左右されないので、見方を変えればむしろ男性にオススメの職業だと言われています。2017年の統計資料では、男性の看護職は全体の7%強で、中には看護師長や看護部長といった管理職もいます。また厚生労働省の調査によれば、2025年で約27万人の看護師が不足すると言われています。そしてその待遇は、勤続10年の看護師(非管理職)で、手当を含めて月給約32万円。さて男性の皆さん、3年間勉強してリスタートは「看護師で」というのはいかがでしょうか。
2020年(令和元年度卒業生)に行われた看護師国家試験の合格状況
看護師、保健師、薬剤師ほか、医療系国家試験の合格状況が確認できます⇒合格状況一覧 |