資格の概要 | 歯科医師国家試験は、国家資格である歯科医師免許を取得するための国家試験です。歯科医師法第2条、第6条の規定により、歯科医師になるためにはこの国家試験に合格し、その後歯科医籍に登録し、厚生労働大臣から免許を受けなければならないと定められています。
歯科医師になるためには、一般的には歯科大学または大学の歯学部に入学して6年間の正規過程を修了し、厚生労働省が行う歯科医師国家試験を受験し、合格する必要があります。
歯科医師の業務とは、虫歯の治療や歯石の除去、歯並びの矯正、歯周病の治療・予防、咀嚼器官の治療など、歯や口腔内の治療を専門としています。
※歯科医師免許を取ると以下の資格が自動的に付与されます。
・食品衛生管理者 ・衛生検査技師 ・衛生管理者
以下の資格の受験資格、または試験の一部免除が受けられます。
・臨床検査技師 ・歯科技工士 ・労働衛生コンサルタント
◆歯科医師国家試験に関連する情報
・厚生労働省は平成30年(2018年)3月に実施される第111回歯科医師国家試験から「平成30年版歯科医師国家試験出題基準」に基づき、出題数や出題構成の見直しなどを行うことを公表しました。発表によると、第111回歯科医師国家試験の出題数は、必修問題80題、一般問題(総論)100題、一般問題(各論)80題、臨床実地問題100題の計360題に見直し、解答時間も見直しが行われます。また、これまで必修問題および一般問題または臨床実地問題と分かれていた出題構成について、各問題冊子に必修問題、一般問題、臨床実地問題を均等に出題するよう見直されます。
また、出題形式については、現在の出題形式に加え、必要に応じて5つの選択肢から3つの正解を選ぶ「X3タイプ」、5つの選択肢から4つの正解を選ぶ形式「X4タイプ」および治療手順などを解答させる非選択形式「順序問題」が使用できるようになる予定。その他、詳細は「平成30年版歯科医師国家試験出題基準」で確認ください
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試験の合格率・難易度 | ●難易度
「A」 難関
【資格の難易度レベル】
歯科医師国家試験の場合も医師国家試験と同様、難しいのは、国家試験よりむしろ歯科医大や大学の歯学部入学試験の方と考えた方がいいでしょう。大学入学には、もちろん予備校へ通学するなどの対策を立てなければなりません。最近数年の合格率は75%前後ですが、今後はさらに下がっていく可能性が非常に高く、2025年までには約50%程度になるだろうと言われています。
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・合格率:
第114回歯科医師国家試験結果 全体合格率64.6%
出願者数3,852名 受験者数3,284名 合格者数2,123名
(内新卒者 合格率80.2% 受験者数2,103名 合格者数1,687名)
※参考データ
・第113回歯科医師国家試験結果 全体合格率65.6%
出願者数3,798名 受験者数3,211名 合格者数2,107名
・第112回歯科医師国家試験結果 全体合格率63.7%
出願者数3,723名 受験者数3,232名 合格者数2,059名
(内新卒者 合格率79.4% 受験者数2,000名 合格者数1,587名)
・第111回歯科医師国家試験結果 全体合格率64.5%
出願者数3,721名 受験者数3,159名 合格者数2,039名
(内新卒者 合格率77.9% 受験者数1,932名 合格者数1,505名)
・第110回歯科医師国家試験結果 全体合格率65.0%
出願者数3,691名 受験者数3,049名 合格者数1,983名
(内新卒者 合格率76.9% 受験者数1,855名 合格者数1,426名) |
試験の内容・勉強法 | 歯科医師国家試験は、現在は国家資格の中では比較的合格率の高い試験になっています。そのため、受験対策としては専門のテキストや過去問などで勉強する人が多いようです。
歯科医師国家試験の方も、以前はほとんどの人が合格しましたが、最近は合格率が下がってきています。これは、歯科医師過剰問題の影響が大きいと思われます。そういうこともあって、今までは、ある程度基準以上の点数を取れば確実に受かった試験でしたが、これからは上位何名までが合格というような試験に変わってくるように思われています。
試験は、重要科目の歯科医学、口腔衛生に関する分野から幅広く出題されます。選択問題に加え、小児歯科の臨床現場を想定にした自由記述問題など、その知識と技能を判定する一般問題と実地問題が出題されます。難易度は高く、新卒者の合格率は70%、全体では80%前後です。
歯科医師は高収入が期待できる職種として人気のある職種の一つですが、最近では、特に大都市圏での歯科医の集中が目立ち、競争も激しく、営業手腕がなければ生き残ることも難しいといった状況に変わりつつあります。また、逆に田舎の過疎地では歯科医不足の慢性化が問題となっており、これから歯科医師を目指す人は、自分自身で明確な営業、経営戦略が立てられなければ生き残れないことを覚悟しておく必要があるでしょう。ただ、 歯科医は70%以上が開業医という業界であるため、勤務医として働いてくれる歯科医を探すのが難しい状況です。従ってその分、すぐに開業するつもりがない場合には職場を探しやすいという利点はあります。
歯科医師の仕事は、一般的な病院に勤務している歯科医師の場合には、患者さんの歯の治療、口腔内疾患の予防などが中心になります。虫歯や歯周病、その他歯や歯茎に関する疾患の治療、親知らずの抜歯、歯石の除去、入れ歯や義歯の作成など、それ以外には、口の中や舌に関する病気全般や、あごの病気も歯医者のカバーする領域です。歯列矯正に力を入れている歯科医院や、審美歯科を専門にしている歯医者、インプラントに技術のある医院など、特徴を出した歯科医などが人気を集めているようです。
歯科医師として歯科医院や総合病院で働く以外で勤務先としては、以下のような道があります。
・大学や研究所での研究医 ・総合病院での口腔病理専門医 ・歯科麻酔専門医 ・画像診断センター開業及び勤務・厚生労働省医系技官
歯科医院の数は全国で65,000件以上あり、歯科医師は約10万人以上で今後もさらに増えることが予想されており、日本の歯科医師は多すぎると言われています。厚生労働省の試算では、2025年には18,000人が過剰になると考えられています。歯科医師数が増えるということは、その分1歯科医院当たりの患者数が減ることになり、それが過剰診療や不正請求の増加、また治療の質の低下などにつながると考えられています。
そこで歯科医師過剰問題の解決策として、平成18年に厚生労働省と文部科学省の方針として、供給過剰傾向の歯科医師数を減らすために、各大学の歯学部定員数削減と歯科医師国家試験の合格基準引き上げが示されました。その結果、合格率は平成22年には69.5%、平成24年には71.1%まで低下しました。2025年には50%程度になるのではないかと言われています。
また、現在は何回でも歯科医師国家試験を受けることが出来ますが、この受験回数にも制限が設けられるのではないかと言われています。現に、新しい司法試験では受験回数の制限がすでに導入されています。また、現在の歯科医師免許は更新がなく生涯免許ですが、将来的には定年制を導入することが検討されています。すでにドイツなど一部の国では、歯科医師定年制が導入されています。 |