資格名

介護福祉士

資格の種類

国家資格(名称独占) 

主催者

(財)社会福祉振興・試験センター

資格の概要

【資格の概要】
◆どんな資格?
介護福祉士は、日常生活が困難な人に対して、入浴や食事などの介護を行ったり、その人やその家族の介護者に介護に関する相談や指導を行う介護従事者のための唯一の国家資格で、介護を必要とする人々に対して身体的な援助や日常生活のサポートを提供する専門職です。この資格はこれまでは、介護福祉士養成施設を卒業すれば、国家試験を受験せずに介護福祉士資格を取得することができました。しかし、2022年度以降については介護福祉士養成施設を卒業した人についても、国家試験に合格しなければ介護福祉士資格を取得できないようになりました。

◆資格を取得するためには。
介護福祉士資格を取得するためには、誰でもが必ず介護福祉士国家試験に合格しなければなりません。そして、その介護福祉士国家試験の受験資格を得るために、以下の4つのコースがあります。
(1)養成施設ルート:卒業する養成施設によってルートが異なります。
(2)実務経験ルート:養成施設や福祉士系高校を経由せず、実務経験の条件を満たすことで受験資格を得られます。
(3)福祉系高校ルート:福祉系高校への入学時期によって受験資格を得る方法が異なります。
(4)経済連携協定(EPA)ルート:外国人を対象としたルートで、日本人は対象外です。
 (1)~(4)の各コースの詳しい内容は以下のリンク先を参照ください。
   ➡養成施設ルート(区分1) 
   ➡実務経験ルート(区分2)  ➡実務経験ルート(区分3)
   ➡福祉系高校ルート(区分4) ➡福祉系高校ルート(区分5) ➡福祉系高校ルート(区分6)
   ➡経済連携協定(EPA)ルート(区分7)

◆資格の将来性は。
日本の高齢化社会において、介護福祉士の需要はますます高まっています。平均寿命が80歳代であるのに対し、健康寿命は70歳代と、平均して10年程度の期間、介護や支援を必要とする状態が続いているためです。少子高齢化が進む中、多くの高齢者が、日常生活を送る上で何らかの介護や支援を必要としており、介護福祉士のニーズは高く、専門的知識と技能を発揮できる仕事の一つで、安定した職業として将来性があります。

◆この資格を取得するメリットとは。
介護福祉士の資格を取得することで得られるメリットは、例えば、就職・転職に有利になることや、キャリアアップによる自己の成長、収入の向上などたくさんありますが、介護福祉士の資格は、単なる就職・就労のための資格だけにとどまらず、自己成長や社会貢献につながる、非常に魅力的な資格です。高齢化社会がますます進む中で、介護福祉士の役割はますます重要になっていくと思われます。

試験の合格率・難易度

【合格率】
◆介護福祉士の合格ラインは?
介護福祉士国家試験の出題形式は5肢択一式、問題数は計125問で、配点は1問1点の125点満点です。
合格基準点は正答率60%の75点。合格には75点以上の得点が必要になります。(合格基準は60%、75点を基準に、年度により補正がかかります) また、総得点が合格基準を満たした上で、11科目全てにおいて得点する必要があります。
2022年の第34回試験では、合格基準点(筆記試験)が78点/125点(正答率62.4%)
2023年の第35回試験では、75点/125点(正答率60.0%)でした。

◆合格率の推移
令和4年度 第34回介護福祉士国家試験結果
  合格率 72.3% 受験者数 83,082名 合格者数 60,099名
令和3年度 第33回介護福祉士国家試験結果
  合格率 71.0% 受験者数 84,483名 合格者数 59,975名
令和2年度 第32回介護福祉士国家試験結果
  合格率 69.9% 受験者数 84,032名 合格者数 58,745名 
令和元年度 第31回介護福祉士国家試験結果
  合格率 73.7% 受験者数 94,610名 合格者数69,736名
平成30年度 第31回介護福祉士国家試験結果
  合格率 73.7% 受験者数 94,610名 合格者数69,736名
平成29年度 第30回介護福祉士国家試験結果
  合格率 70.8% 受験者数 92,654名 合格者数65,574名 

【難易度】
◆試験の難易度レベルは?
  「C」  やや易しい
  介護福祉士の難易度ランキング

◆試験はどこが難しいか。
まず、介護福祉士の試験で注意しなければならないのは「合格基準」です。合格基準が2つ決められています。
1つは、125点満点で75点以上を取らねばならないことです。そしてもう1つが、11科目群の出題範囲のうち、どの科目でも少なくとも1問は正解をしなければならない、というものです。結局、極端に苦手な科目を作らない勉強をしておかねばならない、ということです。
また、試験の難易度という面では、学校にいる場合なら、しっかりと勉強すればさほど難しい試験ではなく、国家資格の中では、合格率は毎年概ね60%と高く、しっかり勉強しておけば落ちることはないはずの試験で、比較的、合格しやすい部類に入る試験ですが、ただ、問題は介護福祉系の仕事は時間も不規則な事が多いため、如何に受験勉強の時間を作るかが一番難しい問題と思います。

◆関連資格の難易度比較
 介護職員初任者研修>介護福祉士>介護支援専門員(ケアマネージャ)社会福祉士

試験の内容・勉強法

【試験の内容】
◆試験ではどんな問題が出題されますか。
介護福祉士国家試験では、午前に「人間と社会」、「介護」の領域から、午後に「こころとからだのしくみ」、「医療的ケア」、「総合問題」の領域から出題されます。試験では、1科目でも0点の科目があると合格点に達していても不合格になりますので、科目毎に勉強の優先度をつける必要はありますが、特定の科目だけを勉強するのではなく、自分の苦手科目を重点的に学習し、すべての科目の対策をしておかねばなりません。また法改正があった場合は、その改正内容が出題されることが非常に多いので、必ずチェックが必要です。

◆初任者研修や実務者研修は、教育訓練給付制度の対象になりますか。
教育訓練給付制度には以下の3種類があります。
①専門実践教育訓練給付制度 ②特定一般教育訓練給付制度 ③一般教育訓練給付制度
介護資格の初任者研修や実務者研修も教育訓練給付制度の対象講座に含まれますが、給付制度の種類によって支給条件や支給金額が異りますので、詳しくは、研修を受ける専門学校やハローワークでお問い合わせください。

【勉強方法】
◆効率的な勉強法は。
試験対策は、筆記試験が全問選択形式 であるため、気が楽な一面もあり、やる気さえあればテキストと参考書使っての独学でも、通信教育だけでも十分合格ラインに届くことは可能です。筆記試験の勉強方法は過去問題を繰り返し解くことです。
一方、実技試験では、応用的(実践的)な内容が問われます。課題が試験会場で出され、モデルを使って実際の介護をしますが、時間内(5分以内)に与えられたテーマ(仕事)を完了しなければいけないため、結構ハードルが高いようです。実際、介護福祉士の試験では、基礎学力さえあれば、問題は実技試験にあると言っても過言ではありません。

【労働環境】
◆仕事内容と収入は?
仕事の面から言えば、介護福祉士はこれからの高齢化と有資格者の人材不足により、今後もニーズは拡大の見込みで、病院、在宅介護支援センター、福祉施設、老人ホーム、ホームヘルパーなど、幅広く活躍の場があります。
また、専門知識と技術があれば、質の高い介護が行えるプロとして信頼が高まります。職場での給料アップや昇進などにも有利になるでしょう。非常勤職員をまとめたり、介護に当たる人を指導するなど、さらなる活躍も期待できる有望な資格と言えますが、この仕事の最大のネックは、収入の低さと雇用条件の厳しさでしょう。雇用形態もアルバイトやパート契約が多く、経験が5年あっても平均年収約400万円程度です。さらなる労働条件の改善は、今後の国の政策次第になります。

◆雇用・求人状況?
国家試験合格者の内訳では、男女別に見ると、女性の合格者が全体の8割以上を占め、また受験資格別では、老人福祉施設や社会福祉施設の介護職員やホームヘルパーなどの訪問介護員が全体の7割以上を占めています。
介護福祉士の資格取得者に関しては就職状況はかなり良い状況が続いており、介護福祉士を取得していれば就職はできるでしょう。ただ、仕事は大変で奉仕の精神にあふれた方でないとなかなか勤まらないことも事実です。介護系全般に言えることですが女性の割合が高い職場で、体力仕事が多いこともあり男性の力が必要になるとのことから採用率は女性に比べると男性は高いようです。
公益財団法人 社会福祉振興・試験センターの行った介護福祉士資格を持つ約195万人を対象にした調査結果から、過去に介護の仕事をしていたが、介護以外の仕事に転職、または無職になった人などの介護職場を辞めた理由は「結婚、出産・育児」が約20%と最も多かった事が分かりました。介護職員の離職率の高さは業界全体の人材不足の一因で、高齢化が進む中で人材確保は大きな課題になっています。介護の現場は慢性的な人不足で、介護福祉士は今後、さらに需要がアップすると思われます。

試験日程

【試験の実施計画】
・試験実施
  (筆記試験) 毎年1月下旬   
  (実技試験) 毎年3月上旬
・申込期間:8月上旬~9月上旬  
・合格発表:3月下旬

 令和6年度第37回介護福祉士国家試験受験案内     

受験資格

介護福祉士の資格を取得するには介護福祉士国家試験に合格しなければなりません。そのための受験資格は以下の通りとなります。

受験資格を取得するには、大きく分けて4つのルートがあります。
①「養成施設」ルート ②「実務経験」ルート ③福祉系高校ルート ④経済連携協定(EPA)ルート

●「養成施設」ルート
介護福祉士養成施設(専門学校や短期大学等)に通って、厚生労働省の指定するカリキュラムを履修して専門的な知識・技術を学び、卒業と同時に受験資格を得るルート
●「実務経験」ルート
介護の実務経験3年と実務者研修の修了で、受験資格要件を満たすルート
●福祉系高校ルート
  高校進学時に福祉系高校を選択した方が対象
・平成20年度以前の入学者 福祉系高校卒業と同時に受験資格を得ることができます。
・介護福祉士の筆記試験・実技試験のいずれも合格すれば国家資格を取得することができます。
・平成21年度以降の入学者 福祉系高校卒業と同時に受験資格を得ることができます。
・介護福祉士の筆記試験に合格すれば国家資格を取得することができます。※
・特例高校等 卒業後に実務経験を9か月以上を積めば受験資格を得ることができます。
・介護福祉士の筆記試験、実技試験に合格すれば国家資格を取得することができます。
 (介護技術講習会の修了者は、実技試験が免除になります)
●経済連携協定(EPA)ルート(日本人は対象外)
経済連携協定に基づき、介護福祉士資格を取得するために日本で就労および研修を受けているインドネシア人、フィリピン人等(EPA介護福祉士候補者)が、資格取得を目指すルート

※福祉系高校ルートおよびEPAルート以外の受験資格により受験した方は実技試験が免除されます。

試験会場

介護福祉士国家試験の試験会場は筆記試験は34都道府県で、実技試験は東京都と大阪府のみで実施されます。
・筆記試験(34試験地)
北海道、青森県、岩手県、宮城県、秋田県、福島県、群馬県、埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、新潟県、石川県、岐阜県、静岡県、愛知県、京都府、大阪府、兵庫県、和歌山県、鳥取県、島根県、岡山県、広島県、香川県、愛媛県、高知県、福岡県、長崎県、熊本県、大分県、宮崎県、鹿児島県、沖縄県
・実地試験(2試験地)
東京都、大阪府
※詳細は社会福祉振興・試験センターが発行する受験の手引きに掲載されています。
※受験申込み時に、試験地・会場を選択する方式になっています。

受験費用

・18,380円 

試験方式

●筆記試験
・マークシート形式で五枝択一方式
・試験時間は、午前と午後合わせて3時間40分(午前、午後共1時間50分)
・出題数は、4領域12科目と総合問題を合わせた13科目の範囲から全125問が出題されます。
  午前:「人間と社会」「介護」の2領域7科目68問が出題、
  午後:「こころからだのしくみ」「医療的ケア」「総合問題」の2領域6科目57問が出題されます。
・合格基準:1問1点の合計125点で、総得点の60%程度に、問題の難易度により加減した得点が基準になります。
●実技試験
・実技試験では、「介護等に関する専門的技能」について問われます。
・合格基準は、総得点の60%程度に、問題の難易度により加減した得点が基準になります。
・筆記合格者のみ受験できます。
・介護される方の情報や希望などが書かれた紙を渡され、それにもとづいて実技をします。

試験科目

●筆記試験の科目(10科目)
領域:人間と社会
 ①人間の尊厳と自立(2問) 
 ②人間関係とコミュニケーション(2問) 
 ③社会の理解 (12問)
領域:介護
 ④介護の基本(10問)
 ⑤コミュニケーション技術(8問)
 ⑥生活支援技術(26問) 
 ⑦介護過程(8問) 
領域:こころとからだのしくみ
 ⑧発達と老化の理解(8問)
 ⑨認知症の理解(10問)
 ⑩障害の理解(10問) 
 ⑪こころとからだのしくみ(12問)
領域:医療的ケア
 ⑫医療的ケア(5問) 
総合問題
 ⑬総合問題(12問):4領域の知識及び技術を横断的に問う問題を、事例形式で出題。

●実技試験の科目
 「介護等に関する専門的技能」について問われます。
試験では、介護される方の情報や希望などが書かれた紙を渡され、それにもとづいて実技をします。

実技試験の免除
・介護技術講習会修了者は実技試験は3回まで免除されますが、但し「特例高校(専攻科を含む)を卒業し、9ヶ月以上介護等の業務に従事した者」、「福祉系高校(専攻科を含む)を卒業した者(平成20年以前の入学者)」、「EPA(経済連携協定)介護福祉士候補者として来日した者」に限ります。
・文部科学大臣および厚生労働大臣の指定した学校、または都道府県知事の指定した養成施設において、介護福祉士として必要な知識と技能を修めて卒業した者は、実技試験が免除されます。

試験関連情報

●試験関連情報
・時間がない人に・効率的に勉強したい人に、介護福祉士国家試験の頻出項目がピックアップされている受験対策書「介護福祉士国家試験 よくでる問題 総まとめ 2025」が中央法規出版より発売された。

人気のある医療・福祉系資格のレベル解説|資格の難易度

●関連資格
 ケアマネージャ
 認知症ケア専門士
 介護事務管理士 

問い合わせ先

(公財)社会福祉振興・試験センター http://www.sssc.or.jp/shien/
〒150-0002東京都渋谷区渋谷1-5-6 SEMPOS(センポス)ビル  
TEL 03-3486-7521 試験案内専用

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