資格名

介護福祉士

資格の種類

国家資格(名称独占) 

主催者

(財)社会福祉振興・試験センター

資格試験の概要

介護福祉士は、日常生活が困難な人に対して、入浴や食事などの介護を行ったり、その人やその家族の介護者に介護に関する相談や指導を行う介護従事者のための国家資格であり、資格が持つ価値は非常に大きいです。
この資格はこれまでは、介護福祉士養成施設を卒業すれば、国家試験を受験せずに介護福祉士資格を取得することができました。しかし、2022年度以降については介護福祉士養成施設を卒業した人についても、国家試験に合格しなければ介護福祉士資格を取得できないようになりました。

「現在の介護福祉士の資格取得ルート図」にあるように、平成28年度からは取得方法が変更されました。普通高校卒業後に養成機関に通っても試験に合格する必要があり、実務経験3年以上であっても「実務者研修」が修了していなければ試験を受けることができなくなります。

「実務者研修」について
実務者研修は、介護福祉士国家試験を受験するためには、必ず受講しなければならない講座です。これは試験を受験するためだけではなく、より質の高い介護サービスを提供するために、実践的な知識と技術の習得も目的としています。
これまでは実務者研修を修了するのに6ヵ月の期間が必要でしたが、「社会福祉士及び介護福祉士法施行規則等の一部を改正する省令」が施行され、2016年4月よりホームヘルパー2級や初任者研修修了者の方など、介護資格を所有してる方については1ヶ月以上で実務者研修が修了できるようになりました。
受講期間が短縮された実務者研修の修了者についても、通常の実務者研修の修了者と同じように、介護福祉士試験の実技試験が免除されます。尚、介護の資格を所有していない無資格者が実務者研修を受講する場合は、これまで通り6ヶ月の在籍期間が必要になります。

介護福祉士は、社会福祉士や精神保健福祉士と並ぶ三福祉士の一つで、介護福祉法による国家資格で、名称独占資格です。人口の高齢化が進む中で、核家族化や扶養意識の変化等に伴い家庭での介護能力は確実に低下しています。こうした状況から、在宅や施設における介護の充実強化を図り、国民の福祉向上を目的に設けられた資格です。ニーズは高く、専門的知識と技能を発揮できる仕事の一つです。




合格率・資格難易度

難易度 
  「C」 やや易 

【資格の難易度レベル】
介護福祉士の試験で注意しなければならないのは「合格基準」です。合格基準が2つ決められています。 1つは、120点満点で72点以上を取らねばならないことです。そしてもう1つが、10科目群の出題範囲のうち、どの科目でも少なくとも1問は正解をしなければならない、というものです。10科目群のどの科目でも最低1問は正解を出さないといけないということは、言い方を変えると全体的にみて極端に苦手な科目を作らない勉強をしておく必要がある、ということです。
科目別にみると、全13科目の中で①と②はどちらも出題数が2問なので、最低どちらか1問は正解しないと試験が不合格になります。また一方で難易度の比較的高い科目は③と⑧と⑬ぐらいと思われるため、これらの科目だけは注意しておく必要があります。
難易度レベルで比較する限りでは、介護系資格の中では社会福祉士やケアマネージャーよりも介護福祉士の試験の難易度は低いと思っていいでしょう。

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●合格率  
  令和4年度 第34回介護福祉士国家試験結果
    合格率 72.3% 受験者数 83,082名 合格者数 60,099名 

※参考データ
・令和3年度 第33回介護福祉士国家試験結果
    合格率 71.0% 受験者数 84,483名 合格者数 59,975名
・令和2年度 第32回介護福祉士国家試験結果
    合格率 69.9% 受験者数 84,032名 合格者数 58,745名 
・令和元年度 第31回介護福祉士国家試験結果
    合格率 73.7% 受験者数 94,610名 合格者数69,736名
・平成30年度 第31回介護福祉士国家試験結果
    合格率 73.7% 受験者数 94,610名 合格者数69,736名
・平成29年度 第30回介護福祉士国家試験結果
  合格率 70.8% 受験者数 92,654名 合格者数65,574名 
・平成28年度 第29回介護福祉士国家試験
  合格率72.1% (受験者数 76,323名 合格者数 55,031名)
・平成27年度 第28回介護福祉士国家試験結果  
  合格率 57.9%(受験者数 152,573名  合格者数 88,300名) 

受験対策・学習法ほか

学校に入っている場合なら、しっかりと勉強すればさほど難しい試験ではなく、国家資格の中では、比較的、合格しやすい部類に入る試験です。合格率は毎年概ね60%と高く、しっかり勉強しておけば落ちることはないはずの試験です。ただ、問題は介護福祉系の仕事は時間も不規則な事が多いため如何に勉強の時間を作るかが一番の問題と思います。
合格者の内訳では、男女別に見ると、女性の合格者が全体の8割以上を占め、また受験資格別では、老人福祉施設や社会福祉施設の介護職員やホームヘルパーなどの訪問介護員が全体の7割以上を占めます。

試験対策は、筆記試験が全問選択形式 であるため、気が楽な一面もあり、やる気さえあればテキストと参考書使っての独学でも、通信教育だけでも十分合格ラインに届くことは可能です。試験内容に関して、社会福祉事業の定義は毎年必ず出題されます、また法改正があった場合は、その改正内容が出題されることが非常に多いので、必ずチェックが必要です。筆記試験では社会福祉概論が一番難しいので要注意です。筆記試験の勉強方法は過去問題を繰り返し解くことです。
一方、実技試験では、応用的(実践的)な内容が問われます。課題が試験会場で出され、モデルを使って実際の介護をしますが、時間内(5分以内)に与えられたテーマ(仕事)を完了しなければいけないため、結構ハードルが高いようです。実際、介護福祉士の試験では、基礎学力さえあれば、問題は実技試験にあると言っても過言ではありません。

仕事面で言えば、介護福祉士はこれからの高齢化と有資格者の人材不足により、今後もニーズは拡大の見込みで、病院、在宅介護支援センター、福祉施設、老人ホーム、ホームヘルパーなど、幅広く活躍の場があります。また、専門知識と技術があれば、質の高い介護が行えるプロとして信頼が高まります。職場での給料アップや昇進などにも有利になるでしょう。非常勤職員をまとめたり、介護に当たる人を指導するなど、さらなる活躍も期待できる有望な資格と言えますが、この仕事の最大のネックは、収入の低さと雇用条件の厳しさでしょう。雇用形態もアルバイトやパート契約が多く、経験が5年あっても平均年収300万円程度です。労働条件の改善は、今後の国の政策次第になります。介護福祉士の資格取得者に関しては就職状況はかなり良い状況が続いています。介護福祉士を取得していれば就職はできるでしょう。ただ、仕事は大変で奉仕の精神にあふれた方でないとなかなか勤まらないことも事実です。介護系全般に言えることですが女性の割合が高い職場で、体力仕事が多いこともあり男性の力が必要になるとのことから採用率は女性に比べると男性は高いようです。介護の現場は慢性的な人不足で、介護福祉士は今後、さらに需要がアップすると思われます。

(参考)
公益財団法人 社会福祉振興・試験センターの行った介護福祉士資格を持つ約98万人を対象にした調査結果から、過去に介護の仕事をしていたが、介護以外の仕事に転職、もしくは無職になった人は計約1万9500人。介護職場を辞めた理由は「結婚、出産・育児」が19.5%と最も多かった事が分かりました。介護職員の離職率の高さは業界全体の人材不足の一因で、高齢化が進む中で人材確保は大きな課題になっています。

受験資格

介護福祉士の資格を取得するには介護福祉士国家試験に合格しなければなりません。そのための受験資格は以下を参照ください。
受験資格を取得するには、大きく分けて2つのルートがあります。
①「実務経験」による受験と、②「福祉系高等学校卒業」による受験のルートです。

●実務経験による受験 
このルートでは「3年以上の実務経験」が必要になります。
具体的には、3年以上(1,095日以上、実働日数540日以上)介護等の業務に従事した方で、実務者研修を修了している必要があります。但し、この3年以上の実務経験は受験年度の3月31日までに満3年を満たしている必要があります。(受験申込日までに3年に達していなくても、期間・日数が到達見込みの場合には「実務経験見込み者」として受験できます)
また、受験には学歴・年齢・性別などは不問で、勤務の実態は正社員でなくパートや嘱託でも、条件を満たしていれば受験できます。
※3年以上の実務経験と450時間の「実務者研修」の受講が必須となっていますが、「介護職員基礎研修」を修了していればこのうち400時間が免除になります。 ➡ 介護職員基礎研修
※受験申込時には、受験資格に応じて実務経験証明書、実務者研修修了証明書、卒業証明書などが必要になります。
 ➡実務経験による受験(3年以上介護等の業務に従事した方)
 ➡実務経験の範囲(第35回試験の実務経験の範囲)

●福祉系高等学校卒業による受験
福祉系高等学校卒業による受験の場合は、次のいずれかを満たす方が対象となります。
①高等学校又は中等教育学校(専攻科を含む)において、福祉に関する所定の教科目、及び単位を修めて卒業した方。
②特例高等学校(専攻科を含む)において、福祉に関する所定の教科目及び単位を修めて卒業した後、介護等の業務に従事(在職期間:9ヵ月以上、実働日数:135日以上)した方。
このルートで大事なことは、自分の職種が実務経験に該当するかを確認する必要があることです。
【該当する職種例】
 ・特別養護老人ホームや介護老人保健施設の介護職員など、主たる業務が介護等の業務である方
 ・介護保険の指定訪問介護事業所の訪問介護員(ホームヘルパー)などで、介護等の業務に従事した方

(注意)以下の職種は介護福祉士の受験資格には該当しませんので注意ください。
■社会福祉施設
(1) 生活支援員
・生活指導員、生活相談員などの相談援助業務を担当者
(障害福祉サービス事業・知的障害者福祉法関係の施設・事業において介護等の業務を行う者は除く)
(2)児童指導員
(保育士として入所者の保護に直接従事した後児童指導員となり、その後も引き続き同じ内容の業務に従事している者は除く)
(3)心理指導担当職員、作業、職業指導員
■病院・診療所等
(1)医師、看護師、准看護師
(2)理学療法士、作業療法士などの機能訓練担当職員(当該業務を補助する者を含む。)
(3)介護支援専門員
(4)調理員、事務員
■証明権限を有する代表者
(1)社会福祉施設等の施設長、所長、管理者など

試験方式

●試験は、筆記試験及び実技試験にて行われます。
・出題基準は「筆記試験の出題形式は五肢択一を基本とする多肢選択形式とし、問題に図表等を用いることがある」とされています。

【筆記試験】
・マークシート形式で五枝択一方式
・出題数は125問/220分間(前後半各1時間50分に分かれ、休憩1時間が間に入る)。
・合格基準は総得点の約60%以上の得点、かつすべての科目で得点していること。
【実技試験】
(実技試験は、筆記合格者のみ受験できます)受験者の試験時間は5分間以内。

●合格基準
 ・筆記試験:次の2つの条件を満たした者が合格者となります。
 ア 問題の総得点の60%程度を基準として、問題の難易度で補正した点数以上の得点の者。
 イ アを満たした者のうち、以下の試験科目10科目群すべてにおいて得点があった者。
[1] 人間の尊厳と自立、
[2] 人間関係とコミュニケーション
[3] 社会の理解
[4] 介護の基本
[5] コミュニケーション技術
[6] 生活支援技術
[7] 介護過程
[8] 発達と老化の理解
[9] 認知症の理解
[10] 障害の理解
[11] こころとからだのしくみ
[12] 医療的ケア
[13] 総合問題
※配点は、1問1点の120点満点です。
 ・実技試験:
 課題の総得点の60%程度を基準として、課題の難易度で補正した点数以上の得点の者が合格者となります。

試験科目

■出題基準
(筆記試験)領域:人間と社会・介護・こころとからだのしくみ・総合問題 ⇒詳細
(実技試験)介護の原則・健康状況の把握・環境整備・身体介護    ⇒詳細

●筆記試験の科目(10科目)
■人間と社会
 ①人間の尊厳と自立(2問) 
 ②人間関係とコミュニケーション(2問) 
 ③社会の理解 (12問)
■介護
 ④介護の基本(10問)
 ⑤コミュニケーション技術(8問)
 ⑥生活支援技術(26問) 
 ⑦介護過程(8問) 
■こころとからだのしくみ
 ⑧発達と老化の理解(8問)
 ⑨認知症の理解(10問)
 ⑩障害の理解(10問) 
 ⑪こころとからだのしくみ(12問)
■医療的ケア
 ⑫医療的ケア(5問) 
■総合問題
 ⑬総合問題(12問):4領域の知識及び技術を横断的に問う問題を、事例形式で出題。

●実技試験(介護等に関する専門的技能について問われます)
・介護の原則
・健康状況の把握
・環境整備
・身体介護

【実技試験の免除】
・介護技術講習会修了者は実技試験は3回まで免除されますが、但し「特例高校(専攻科を含む)を卒業し、9ヶ月以上介護等の業務に従事した者」、「福祉系高校(専攻科を含む)を卒業した者(平成20年以前の入学者)」、「EPA(経済連携協定)介護福祉士候補者として来日した者」に限ります。
・文部科学大臣および厚生労働大臣の指定した学校、または都道府県知事の指定した養成施設において、介護福祉士として必要な知識と技能を修めて卒業した者は、実技試験が免除されます。

スケジュール

●試験実施
  (筆記試験) 毎年1月下旬   
  (実技試験) 毎年3月上旬
●申込期間:8月中旬~9月中旬  
●合格発表:3月下旬

 令和5年度第36回介護福祉士国家試験受験案内     

試験会場

・筆記試験(34試験地)
北海道、青森県、岩手県、宮城県、秋田県、福島県、群馬県、埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、新潟県、石川県、岐阜県、静岡県、愛知県、京都府、大阪府、兵庫県、和歌山県、鳥取県、島根県、岡山県、広島県、香川県、愛媛県、高知県、福岡県、長崎県、熊本県、大分県、宮崎県、鹿児島県、沖縄県
・実地試験(2試験地)
東京都、大阪府
※詳細は社会福祉振興・試験センターが発行する受験の手引きに掲載されています。
※受験申込み時に、試験地・会場を選択する方式になっています。

受験料

・18,380円 

問い合わせ先

(公財)社会福祉振興・試験センター http://www.sssc.or.jp/shien/
〒150-0002東京都渋谷区渋谷1-5-6   TEL03(3486)7559試験案内専用

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