資格の概要 | 衛生管理者とは、労働安全衛生法において定められている労働条件、労働環境の衛生的改善と疾病の予防処置等を担当し、事業場の衛生全般の管理をする者です。
労働安全衛生法においては一定規模以上の事業場については、衛生委員会の設置、総括安全衛生管理者、衛生管理者、産業医等の選任を義務付けています。その中で、衛生管理者は、安全で健康的な職場環境をつくる専門家として、企業から必要とされている人材で、事業所では、労働条件、労働環境の衛生的改善と疾病の予防処置等を担当し、事業場の衛生全般の管理をします。
衛生管理者免許には、衛生工学衛生管理者、第一種衛生管理者、第二種衛生管理者の3種類があります。
試験は、全国7か所の安全衛生技術センターで定期的に実施されます。第一種は第二種の上位免許に当たりますが、受験申請は最初から直接第一種を受けることもできます。尚、合格後の免許申請は東京労働局に対して行うことになります。
※「衛生管理者」は、常時50人以上の労働者を使用する一定の事業場において、労働環境の衛生的改善や従業員の疾病予防等を担当するものとして選任が義務付けられている国家資格です。コンプライアンスや従業員の労働環境が重視されている昨今、注目度が年々高まってる資格になっています。
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事業場での業務は
(1)作業環境の把握・環境の整備
(2)有害物を最大限に減らす為の対策を講じ、また必要なものを装備する。
(3)従業員の健康管理・安全衛生などがあり、「管理する能力」が強く問われる立場です。そのため、事業には欠かせない人材であると同時に、責任もそれだけ重大な立場であると言えます。
※第一種免許はすべての業種に対応できますが、第二種免許では、対応できない業種があります。
第二種は危険有害業務との関連が比較的薄い業種を対象としています。
・第一種 全業種に就くことができる。
・第二種 下記の業種を除く全業種に就くことができる。
農林畜水産業、鉱業、建設業、製造業(加工業を含む)、電気業、ガス業、水道業、熱供給業、運送業、自動車整備業、機械修理業、 医療業、清掃業
※総括安全衛生管理者とは、安全管理者、衛生管理者又は救護に関する技術的事項を管理する者を指揮し、安全衛生に関する業務の統括管理を行う者とされています。衛生管理者とは異なり、免許や経験はなくてもよいとされています。 |
資格難易度 | ●難易度
一種 「C-上」 やや易の上位
【資格の難易度レベル】
衛生管理者資格には第一種と第二種がありますので、受検する場合は業種を限定されない第一種を受験する方が良いでしょう。第一種は第二種よりは難易度は高いですが、市販の参考書と問題集を使って独学でも十分に合格できます。勉強時間は、第二種で1~3ヵ月、第一種なら3~4ヵ月みておけばいいでしょう。勉強方法は過去問中心が効果的です。できれば5年分を正答率8割以上まで上げられれば合格できます。過去問中心にきちんと十分に勉強すれば誰でも一発合格できる試験です。ただ、注意点は過去の合格率が高いからといって気を許してはいけません。この一種試験の受験者は、中小企業の経営者、企業の幹部クラスなど知識と経験のある人が比較的多いので、それが合格率を高くしている可能性があります。
受験対策の中心になる試験科目は労働基準法や労働安全衛生法です。広く浅く覚えることが効果的な勉強になる試験です。レベルアップを狙う方は「労働衛生コンサルタント」を目標にするといいでしょう。
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●合格率
令和3年度衛生管理者試験結果
・第一種衛生管理者
受験者数68,210名 合格者数29,113名 合格率42.7%
・第二種衛生管理者
受験者数36,057名 合格者数17,922名 合格率49.7%
※参考データ
・令和元年度衛生管理者試験結果
・第一種衛生管理者
受験者数68,498名 合格者数32,026名 合格率46.8%
・第二種衛生管理者
受験者数33,559名 合格者数18,511名 合格率55.2%
・平成30年度衛生管理者試験結果
・第一種衛生管理者
受験者数67,080名 合格者数29,631名 合格率44.2%
・第二種衛生管理者
受験者数32,985名 合格者数17,271名 合格率52.4%
平成28年度衛生管理者試験結果
・第一種衛生管理者
受験者数61,500名 合格者数28,003名 合格率45.5%
・第二種衛生管理者
受験者数29,186名 合格者数16,189名 合格率55.5%
平成27年度衛生管理者試験結果
・第一種衛生管理者
受験者数55,129名 合格者数30,587名 合格率55.5%
・第二種衛生管理者
受験者数25,716名 合格者数16,983名 合格率66.0%
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受験対策・資格の将来性 | 第一種衛生管理者試験だけでも、全国で年間4万人以上受験している人気の国家資格の一つです。合格率が他の国家資格と比較すると非常に高いのが特徴です。
近年、衛生管理者の受験者が急増し、人気になっている理由は、試験の合格率が高く、比較的に難易度も低めであること、キャリアアップにとても有望なこと、中高年の資格の保有者が数多く活躍していることなどが原因しているようです。
衛生管理者の試験内容は大きく3つにわかれています。一つは、関係法令(労働基準法、労働安全衛生法)に関するもので、主に労働安全衛生法、労働基準法、作業管理測定法などを中心に出題されますので、労働衛生に関連する法令全般に学習しておく必要があります
二つ目は、労働衛生に関して。主に作業環境面での環境管理や健康保持などに関する知識が必要です。特に作業管理、健康管理、健康教育、健康管理体制などについて。
三つ目は、労働生理に関することです。作業環境、または特定の化学物質などが人体に与える影響や、労働による疲労や過労、ストレスが人体機能に及ぼす影響などが関係します。人体 に悪影響を及ぼす危険がある化学物質や薬品、環境条件などについて学習し、さらに人体機能の許容や限界、その仕組み、その他、人間のメンタ ル面のことも知識が求められます。
このように、出題内容のほとんどは法律に基づいた専門的な内容です。法律では、労働安全衛生法、労働基準法、作業管理測定法、じん肺法など。他には、衛生管理体制や職業性疾病、環境条件による人体機能の変化などについての勉強が必要になります。
試験の合格ラインは各科目4割以上、全体で6割以上の正解率で合格です。各科目4割以上という基準があるため、苦手科目を作ることは厳禁です。試験も頻繁に行われていますので計画的に受験すれば早期に取得できます。特に、転職や独立を考えている方なら、受験して取得しておきたい資格です。この試験では、過去に例がないような新しい問題が出題されることが非常に少ない(労働衛生に関連した法改正などがあった場合は別)ため、基本的なところを押さえればそれほど難しくありません。独学でも合格することは十分可能ですが、資格試験の経験がない方などは、過去の試験問題やサポートの充実している通信教育の講座が合格の近道かも知れません。各都道府県の労働基準協会などが、衛生管理者資格試験対策の講習会を実施しているので、積極的に参加するといいでしょう。独学でも通信講座で勉強する場合にも、過去問をくり返し解き、間違えたところをテキストや参考書で、その都度確認して理解しながら進めましょう。数年分の問題をこなせば、合格は間違いないはずです。
企業にとって一番大事なのは人、すなわち従業員です。従って、その従業員の健康や安全を管理する「衛生管理者」は大切な存在であり、従業員50人以上の事業場に配置義務がある衛生管理者は、今後需要が増えていくことが予想される資格の一つです。最近の工場などでは必ず1人はこの資格を持った人が常駐しているので、定年後に再就職できる可能性もあります。
また、衛生管理者免許試験は定員制ではなく、基準点以上取れば、順位に関わらず誰でも合格できます。試験対策も参考書を見ながら独学でできるので、お勧めです。
労働災害の発生を未然に防ぐために、健康診断・衛生管理教育・健康相談などを実施することで、社員の健康や職場の安全を維持するために不可欠な資格ですがまだまだ、絶対数が不足しているといわれています。50人以上の社員がいる企業ではニーズが常に発生するため、景気にも左右されない、取得しておいて絶対に損のない資格といえます。また、厚生労働省のが認定する国家資格であるにもかかわらず、難易度が低いのも魅力の1つです。 |