資格名

国税専門官     
※国税調査官、国税徴収官、国税査察官の3種類からなる。

資格の種類

国家公務員

主催者

国税庁

資格の概要

「国税専門官」とは、税務署、国税局及び国税庁において、税務行政を執行する国家公務員のうち、大学卒業程度採用に当たる職員を指します。国税庁や税務署に所属し、税金のスペシャリストとして、税金に関する調査や指導を行うのが主な仕事です。
国税専門官は、確定申告書などに基づき、申告、納税が適正に行われたかを調査する「国税調査官」と、納付期限までに納付されていない税金の催促や滞納処分を行う「国税徴収官」。そして裁判所からの令状に基づき強制的に調査を行い告発する不正が発見され次第、検察官に脱税犯として告発する「国税査察官」の3種類からなります。

国税専門官資格の取得方法は、まず、年1回の国税専門官採用試験に合格しなければなりません。
国税専門官に採用された後、税務大学校和光校舎で採用された者全員が約3カ月間、専門官基礎研修を受講します。基礎研修では税法、会計学等、税務職員として必要な知識、教養及び技能等を学習します。基礎研修修了後、採用された国税局管内の税務署に配属され、1年間、調査及び滞納処分等の実務を経験します。その後、税務大学校地方研修所で約1カ月間の専攻税法研修を受講します。ここで国税調査官・国税徴収官・国税査察官としてより専門性の高い知識やスキルを学びます。専攻税法研修修了後、再び約2年間の実務経験を税務署で積みます。その後、税務大学校和光校舎で約7カ月間の税法及び会計学を受講して、税務署勤務に戻ります。採用後3年10ヵ月を経て国税調査官・徴収官等の肩書きが与えられることになります。
尚、勤務地は、本人の希望が考慮されますが、合格者の希望が特定の国税局に集中した場合、希望通りの勤務地にならないこともあります。




試験の合格率・難易度

難易度 
  「A」  難関

【資格の難易度レベル】
国税専門官採用試験の難易度は、倍率や合格率の推移だけをみると、それほど高くないように思われますが、国家公務員一般職(大卒程度)や地方公務員上級試験と同程度で、決して簡単な試験ではありません。しっかりと受験対策の学習プランを練り、年単位で取り組まなければ合格は相当厳しい試験になります。試験では特に一次試験の税法、経済学、会計学などの専門知識に加えて、判断力や応用力を問われる問題も含まれるため、難易度も相当高くなります。試験の準備にも十分な時間が必要で、合格に必要な勉強時間は、国家公務員一般職(大卒程度)などと同程度で、最低1000時間以上で1500時間程度は必要と考えていいでしょう。公務員試験の難易度は、単なる申込者数や倍率から推し量ることはできません。

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合格率

年度 受検者数(人) 合格者数(人) 倍率
2024(R6) 8,555 3,251 2.5
2023(R5) 9,818 3,274 3.0
2022(R4) 11,098 4,106 2.7
2021(R3) 9,733 4,193 2.3
2020(R2) 9,052 3,903 2.3
2019(R1) 10,490 3,514 3.0
2018(H30) 11,678 3,479 3.4
2017(H29) 11,504 3,341 3.4
2016(H28) 12,180 3,032 4.0
2015(H27) 8,762 3,291 2.7

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試験の内容・勉強法

国税専門官採用試験の試験対策は、独学合格が比較的難しい試験であることから、専門学校等に通って勉強するケースが多くなりますが、その中で国税専門官採用試験の勉強のポイントは様々考えられますが、全体を通して見た場合に大切なことは、次の3つに絞られます。
 (1)  特に「面接が重視される試験」であるため、必ず面接対策も行っておく。
 (2) 「法律や経済の専門的な知識と理解が必須」であるため、専門試験を優先的に取り組む。
 (3) 「きちんと勉強時間を確保し、しっかりと勉強」をできなければ合格は難しくなる

国税専門Aの試験では、「商法」「会計学」の出題数は16題と多く配点割合も高いため、これらの科目を入念に対策するのがポイントになります。特に、会計学が最重要科目になります。
国税専門Bの専門試験(記述式)は、情報、理学、工学などに関連する時事問題や社会情勢についての知識が問われるため、科学技術に関する知識だけでなく、論理的思考力や文章表現力も必要です。また、併せて自分の意見を言語化する訓練を積んでおくのも大切です。それ以外にも、憲法、経済学、情報工学等、幅広い分野について勉強しなければなりませんので、苦手科目を作らないバランスのよい試験対策が必要です。




独学に関しては、この試験の独学合格は、以下の理由から難しいと予想できます。
(1) 効率的な勉強方法が分かりにくい
(2) 国税調査官試験向けの学習教材が少ない(専門Bでは過去問もまだ出ていない)
(3) 面接の対策ができない
国税専門官採用試験では、出題される試験範囲は非常に幅広く、どの範囲を重点的に勉強したらよいのか分からないというのが独学者の一番の悩みになっているようです。さらに近年は人物試験(個人面接)が重視されつつあることから、特に面接が苦手な人は、独学で対策することが無理なことから、専門の公務員関係のスクールの個別指導を受けるなど、徹底的に実力を養っておく方が無難になります。

人物面においては、人物試験の成績を得点に換算し、筆記試験の成績と合計することで合格者を決定する方式になっており、この人物試験の配点比率は2025年度から3/10で、ペーパーテストは教養・専門合わせて7/10になり、かなり比率的に高くなっていますので、傾向と対策をつかんでおかねばなりません。また専門記述については、字数は概ね800字~1200字程度で、時間は1時間20分です。時間的に考えて、3題を2時間で記述する東京都公務員採用試験より、1題で1時間20分の国税専門官の方が少しレベルの高い記述が求められているようです。そして専門記述に求められるのは「知識」が全てと言っていいでしょう。課題に対して十分な字数があり、適正な構成で解答が正確に記述されていれば合格です。中途半端な知識では合格レベルの解答は書けませんので、1次では教養論文以上に受験生間で点数差が付きます。



国税専門官は、公務員の職種の中ではあまり注目しされませんが、専門性が高く年収や安定性を考慮するとかなりよい職種と言えます。公務員を職業に考えている方や、正義感の強い方、また数字に強い方などにはお薦めの資格と言えます。また、公務員になった後も、公務員が万が一肌に合わなかったとしても、専門性の高さから民間転職がしやすいというメリットがあります。
多い転職先には、①税理士法人 ②事業会社の経理 ③財務コンサルタント などがあります。

試験日程

・試験日
  1次試験 5月下旬  
  2次試験 6月下旬~7月上旬の指定された日
・願書受付期間
  インターネット申込み:2月下旬~3月下旬頃までの約2週間
・合格発表  
  1次試験:6月中旬頃  2次試験:8月中旬頃

   2025年度国税専門官採用試験日程
   申込受付期間:2月20日(木)9:00~3月24日(月)ネット申込
   1次試験:5月25日(日) 2次試験:6月23日(月)~7月4日(金)※土日除く

受験資格

(1)受験をする年の4月1日における年齢が、21歳以上29歳未満の者。
(2)受験をする年の4月1日における年齢が21歳未満の者で、次に掲げる者。
 (ア)大学を卒業した者及び受験をする翌年3月までに大学を卒業する見込みの者。
 (イ)人事院が(ア)に掲げる者と同等の資格があると認める者。
上記の年齢制限と国籍要件(日本国籍を有していること)をクリアしていれば、学歴に関係なく受験できます。

試験会場

・第1次 試験地
札幌市、仙台市、秋田市、高崎市、さいたま市、東京都、新潟市、松本市、名古屋 市、金沢市、京都市、大阪市、松江市、岡山市、広島市、高松市、松山市、福岡市、熊本市、鹿児島市、那覇市
・第2次 試験地
札幌市、仙台市、さいたま市、東京都、名古屋市、金沢市、大阪市、広島 市、高松市、福岡市、熊本市、那覇市

受験費用

無料

試験方式

●2025年度【国税専門A】(事務系の受験者向け試験) 

試験 試験種目 内容 配点
1次試験 基礎能力試験
(多肢選択)
出題:30題
1時間50分
一般知能 24題(文章理解,判断推理,数的推理,資料解釈)
一般知識6題(自然,人文,社会(時事を含む)
2/10
専門試験
(多肢選択)
出題:40題
2時間20分
出題数58題から40題解答
・必須問題:4題
(民法・商法,会計学)
・選択必須:30題/5科目から24題/4科目選択
(民法・商法,会計学,憲法・行政法,経済学,英語)
・選択問題:24題/4科目+選択しなかった1科目6題
計30題の中から12題選択
(財政学,経営学,政治学・社会学・社会事情,商業英語)
3/10
専門記述
(記述式)
出題:1題
1時間20分
次の5科目(各1題)のうち1科目選択 (憲法,民法,経済学,会計学,社会学) 2/10
2次試験 人物試験 人柄、対人的能力などについての個別面接 3/10
身体検査 主として一般内科系検査 合否のみ

※「専門記述」は、第1次試験合格者を対象に評定した上、最終合格者決定に当たり、他の試験種目の成績と総合する。

●2025年度【国税専門B】(理工・デジタル系の受験者向け試験)

試験 試験種目 内容 配点
1次試験 基礎能力試験
(多肢選択)
出題:30題
1時間50分
一般知能 24題(文章理解,判断推理,数的推理,資料解釈)
一般知識6題(自然,人文,社会(時事を含む)
2/10
専門試験
(多肢選択)
出題:40題
2時間20分
出題数58題から40題解答
・必須問題16題
(基礎数学,民法・商法,会計学)
・選択問題 次の42題から任意の24題を選択
(情報数学・情報工学,統計学,物理,化学,経済学,英語)
3/10
専門記述
(記述式)
出題:1題
1時間20分
必須 1題
科学技術に関連する領域
2/10
2次試験 人物試験 人柄、対人的能力などについての個別面接 3/10
身体検査 主として一般内科系検査 合否のみ

試験科目

●2025年度【国税専門A】(事務系の受験者向け試験)  
第1次試験
・基礎能力試験
 公務員として必要な一般的な知識及び知能についての筆記試験 出題数は30題
(知能分野)24題(文章理解10、判断推理7、数的推理4、資料解釈3)
(知識分野)6題  (自然、人文、社会(時事を含む) 6)
・専門試験
 出題数は58題 解答40題
(必須)4題 ( 民法・商法2、会計学(簿記を含む)2
(選択必須)次の5科目(30題)から4科目(24題)選択
 民法・商法6、会計学6(簿記含む)、憲法・行政法6、経済学6、英語6
・専門試験(記述式)
 次の5科目(各1題)のうち1科目選択
 憲法、民法、経済学、会計学、社会学
第2次試験
・人物試験 人柄、対人的能力などについての個別面接
・身体検査 主として胸部疾患(胸部エックス線撮影を含む)、尿、その他一般内科系検査

●2025年度【国税専門B】(理工・デジタル系の受験者向け試験)
第1次試験
・基礎能力試験
  【国税専門A】と同じ
・専門試験
 出題数は58題 解答40題
(必須問題)16題 ( 基礎数学12、民法・商法2、会計学(簿記含む)2 )
(選択問題)次の42題から任意の24題を選択
      (情報数学・情報工学10、統計学6、物理8、化学6、経済学6、英語6)
・専門試験(記述式)
  必須1題 (科学技術に関連する領域) 
第2次試験
  【国税専門A】と同じ

試験関連情報

関連情報
・令和7(2025)年度から国税専門官採用試験が変わります。
   ➡詳細は、人事院ホームページをご覧ください。

関連資格
  財務専門官  
  公認会計士  
  税理士

問い合わせ先

人事院・国税庁
〒100-8978 東京都千代田区霞が関3-1-1
TEL 03-3581-4161(代)

各国税局人事第二課(沖縄国税事務所は人事課)国税庁長官官房人事課試験係   
 ※国税庁 http://www.nta.go.jp/

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教材(テキスト・参考書)

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