資格の概要 | 「医療情報技師」は、日本医療情報学会が資格付与する民間資格です。その資格の定義は「保健医療福祉専門職」の一員として、医療の特質をふまえ、最適な情報処理技術にもとづき、医療情報を安全かつ有効に活用・提供することができる知識・技術および資質を有する者」とされています。一言でいえば、医療システムの開発および運用・保守のできる保健医療福祉専門職という意味になります。従って、医療情報技師は病院情報システムの開発から運営、保守が主な業務になるため、情報処理技術だけでなく医療分野の医療情報システムの知識も必要になります。
試験では情報処理技術系と医学医療系、医療情報システム系の試験項目が課せられます。
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また、科目合格制度があり、一部の科目が基準以上の成績を得た場合、翌々年の試験(2年間)まで合格科目の受験が免除されます。但し、最終的に3科目の試験すべてに合格しなければ、「医療情報技師」として認定されません。
※この認定試験は2003年に開始されました。2007年からは上級医療情報技師の資格試験が開始され、2009年からは医療情報基礎知識検定試験が開始されました。
※日本医療情報学会は厚生労働省に国家資格への認定を働きかけていますが実現には至っていません。
(参考)
「医療情報基礎知識検定」は、現在または将来に業務として保健医療福祉情報を取り扱う人、その業務に従事することを目指す学生等向けに作られた、 医療情報技師育成部会が実施する基礎検定試験です。医療情報技師検定試験を受験する前に、医療情報に関する基礎的な知識が身に付いているかどうかを試すには最適な試験といえます。
また、「上級医療情報技師検定試験」は、医療情報技師のより上級の資格試験の位置づけになっています。
(求められる知識・技能)
・医学・医療 :医療専門職の一員として、医学に関する一般教養的な知識、保健医療福祉制度、および医療サービス業務に関する基本的知識を有している。
・情報処理技術 :医療情報技師として、単独で医療情報システム運営管理現場の日常的実務を担当するために必要な情報処理に関する知識と技術力を備えている。
・医療情報システム:保健医療福祉の現場で稼働する情報システムの企画開発・運用保守を担当する技術者や管理者として、医療情報システムに関する実務的な基礎知識、基礎技術力を身につけ、適切な対応ができる。 |
資格難易度 | ●難易度
「C」 やや易しい
【資格の難易度レベル】
医療情報技師検定試験が厄介なところは、試験科目が「医学・医療」、「情報処理技術」、「医療情報システム」の3科目の分かれていて、それぞれの分野が全く異なるということです。さらに、この3科目が全て合格基準を満たさなければ合格とならない、というところです。従って、医療に従事する人には医学・医療系の問題は難しくないと思いますが、情報処理技術の問題はそうはいきません。反対に、システムの実務についている人には、医療情報システムについては簡単でしょうが医学・医療系の知識は足りないでしょう。
科目単独で難易度を考えた場合は、それほど難しい科目試験はありません。例えば情報処理技術でいえば試験の難易度レベルはITパスポートより低いです。どの科目も「C やや易」で、きちんと過去問解きまくって勉強すれば簡単で、約1ヶ月で合格できるのです。しかし、3科目合わせると「C-中位」あたりに難易度が上がります。
資格は一般的に、その人の経験や個人の背景によって難易度が異なってきます。法律関連の仕事をしている人には法律系の資格は分かりやすく思え、IT関連の仕事をしている人にIT系の資格は易しく感じられるからです。
ただ、医療情報技師の試験は「医学・医療」「情報処理技術」「医療情報システム」の3つの科目を同時に合格しなければならないのではありません。一度合格した科目を2年繰越すことができるので、年度を分けて科目に合格することができれば資格を取得することができます。
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●合格率
2019年度第17回医療情報技師能力検定試験結果
合格率 33.5% (受験者数4,210名 合格者数1,410名)
※参考データ
・2018年度第16回医療情報技師能力検定試験結果
合格率 34.4% (受験者数4,365名 合格者数1,502名)
・2017年度第15回医療情報技師能力検定試験結果
合格率 33.5% (受験者数4,536名 合格者数1,521名)
※科目別の合格者数
情報処理技術系1,885名
医療情報システム系1,829名
医学・医療系1,796名
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受験対策・資格の将来性 | 今、医療業界で必要とされているのが、医療機関のIT化を支える医療情報技術者と言われています。そのこともあって、この検定試験の合格者には病院関係者(医師、薬剤師、臨床検査技師、医事など)がかなり含まれています。試験は、「医学・医療」、「情報処理技術」、「医療情報システム」の3分野がありますが、この中で「医療情報システム」分野は、学校で体系的に学ぶ機会が少ないため、一番の難関になりますが、レベル的にはITパスポート試験よりも難易度は低いです。必要なのは情報処理の基礎知識なので、まじめに勉強すればそれほど難しくはありませんが、医療関係のエンジニアには必須の資格です。
試験対策は、日本医療情報学会から分野ごとの公式テキストが出ていますので、それを活用するのが一番です。この試験の中心になるのは医療情報システムなので、この科目の試験対策には基本情報技術者やTパスポート試験のテキストなど、自分が見て使いやすいものを選びましょう。
医学・医療分野では、医療制度や病院管理、それと医学の基礎知識、一番覚えることが多い分野です。
試験問題は、「新版医療情報-医学・医療編」、「新版医療情報-情報処理技術編」、「新版医療情報-医療情報システム編」の第2版に準じて出題されることになっていますが、制度改正や、そのほか医療情報技師として知っておくべき事柄については、テキストに記載がなくとも常識の範囲内で出題されることがありますので注意が必要です。
医者や看護師など患者と直接接する方々より、病院のシステムを扱う電算部門の方が持っているような気がします。
あとは医療系システム(電子カルテとか)に関わっているシステム会社 認定者年齢分布の20代後半~30代前半がほとんどを占めている |