資格名

放射線取扱主任者

資格の種類

国家資格

主催者

財団法人原子力安全技術センター

資格試験の概要

「放射線取扱主任者免状」は、第1種と第2種、第3種の3種類があります。
このうち、第1種及び第2種放射線取扱主任者免状は、文部科学大臣又は登録試験機関の行う放射線取扱主任者試験に合格し、かつ、文部科学大臣又は登録資格講習機関の行う講習を修了した者に対し、文部科学大臣より交付されます。また、第3種放射線取扱主任者免状は、主任者試験が不要で、文部科学大臣又は登録資格講習機関の行う第3種放射線取扱主任者講習を修了した者に対し、文部科学大臣より交付されます。但し、 18歳未満の者は主任者試験に合格出来るが資格講習を受講出来ません。
放射線関連の技術を身に付け、精密機器メーカーや病院などの放射線設備を支えるのが放射線取扱主任者です。業務は主に、法律に基づき、放射性同位元素あるいは放射線発生装置を取り扱う場合に、放射線障害の防止について監督を行います。その他、日常のメンテナンスや修理、新製品の開発などをすることになります。
放射性同位元素や発生装置を利用する事業所では、最低でも1名の選任が義務付けられています。




◆放射線取扱主任者免状を必要とする業種
・1種
放射線発生装置、非密封の放射性同位元素、施設・定期検査対象の大量の密封放射性同位元素を扱う許可使用者又は許可廃棄業者。
・2種
施設・定期検査対象外の密封放射性同位元素のみを扱う許可使用者。
・3種
文部科学大臣が定める下限数量の1000倍までの量の密封放射性同位元素を扱う届出使用者、届出販売業者又は届出賃貸業者。

放射性同位元素あるいは放射線発生装置の使用者、販売業者、賃貸業者及び廃棄業者は、放射性同位元素等による放射線障害の防止に関する法律に基づき、放射線障害の防止について監督を行わせるため、主任者を事業所につき1名以上選任し届出なければならない、と定められています。また、この放射線取扱主任者は、第1種、第2種及び第3種放射線取扱主任者免状を有する者のうちから、法令で定められた区分に従い選任しなければならないとされています。

合格率・資格難易度

難易度 
  1種  「B-上 」普通の上位 
  2種  「B」普通

【資格の難易度レベル】
第1種試験は、筆記試験がかなり難関です。実践的な問題が多く、管理技術や測定、化学のレベルが高いようです。受験者層は原子力や放射線関係に関わる人と、医学・医療系の専門課程で学んだ学生が多いのですが、その中で合格率が20%前後ということから難易度の高さがわかります。また、科目合格制がないため、1回の試験で全ての科目に合格し総得点もクリアしなければならない試験方式も合格のハードルを高くしている要因になっています。第2種は、主に管理の技術や、放射線障害防止法などに重点が置かれている試験です。準備期間が十分ある場合には、独学で過去問をひたすら解く受験対策でも対応可能のように思います。放射線取扱主任者試験の合格に必要な勉強時間数、期間は、1種で勉強時間数300〜400時間(勉強期間半年〜1年)、2種で200~300時間(3〜4ヶ月)、3種で100〜200時間(2~3ヵ月)くらいと考えたらいいでしょう。
放射線や原子力関連の主要な資格には、「放射線取扱主任者」以外に、「原子炉主任技術者」や「核燃料取扱主任者」などがありますが、難易度ランクは原子炉主任技術者>核燃料取扱主任者>第1種放射線取扱主任者の順でしょう。原子炉主任技術者、核燃料取扱主任者は難易度「A」の難関資格です。

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●合格率  
令和3年度放射線取扱主任者試験結果 
 (第66回)第1種 受験者数2,546名 合格者数840名 合格率33.0% 
 (第63回)第2種 受験者数1,298名 合格者数321名 合格率24.7% 

※参考データ
・令和2年度放射線取扱主任者試験結果 
 (第65回)第1種 受験者数2,157名 合格者数904名 合格率41.9% 
 (第62回)第2種 受験者数1,018名 合格者数331名 合格率32.5%
・令和元年度放射線取扱主任者試験結果 
 (第64回)第1種 受験者数3,357名 合格者数788名 合格率23.5% 
 (第61回)第2種 受験者数1,971名 合格者数293名 合格率14.9%
・平成30年度放射線取扱主任者試験結果 
 (第63回)第1種 受験者数3,558名 合格者数843名 合格率23.7% 
 (第60回)第2種 受験者数2,238名 合格者数528名 合格率23.6% 
・平成29年度放射線取扱主任者試験結果 
 (第62回)第1種 受験者3,767名  合格者数819名  合格率21.7%
 (第59回)第2種 受験者2,485名  合格者数503名  合格率20.2%
・平成28年度放射線取扱主任者試験結果 
 (第61回)第1種 受験者3,678名  合格者数788名  合格率21.4%
 (第58回)第2種 受験者2,623名  合格者数801名  合格率30.5%

受験対策・学習法ほか

放射線取扱主任者資格の取得方法として、特に1種は難関でもあるため、勉強時間のある学生のうちに筆記試験を合格しておき、実技は社会人になってから受講するというのが効率的な方法かも知れません。放射線に関して何も知識がない人の場合なら、半年以上の勉強時間は必要になります。ある程度の知識を有する学生ならば、夏休みにでも集中して1.5~2ヶ月勉強すれば取得できると思います。ただ、放射線の法律はよく変わりますので、法律に関しては過去問はあまり通用しないと考えた方がいいでしょう。
・第1種
試験は平均的に筆記試験の、中でも物理、化学が難関です。もちろん、その人の知識レベルや習熟度にもよりますが。準備期間が十分であれば、難しさはクリアできる試験です。試験はマークシート方式ですが、平均点は47〜48点程度で、合格ラインは全科目で6割以上の得点が必要です。これはマークシート方式の試験としては、かなり高い難易度といえます。
・第2種
第2種の主任者は、原子力発電所や関連会社、研究所、工場等で計器の校正などに使用される密封された放射線同位元素を取扱うための資格ですが、次のステップである第1種放射線取扱主任者などの基礎となる資格と考えたら良いでしょう。

試験対策は、試験対策講習会として財団法人や日本保安用協会などが開講してる講習会を利用します。また、関連する講習会を日本原子力研究所、日本アイソトープ協会等でも行っています。通商産業研究社等から参考図書も出版されていますが、素養があれば独学でも問題ないでしょう。放射線取扱主任者は、大学や研究所などの研究機関にはなくてはならない国家資格です。また、多くの企業でも放射線施設を持っていて、癌の治療、医療用具の滅菌、工業製品の透過検査、材料の加工、計測機器への応用などに取り組んでいますので、多くの分野でこの資格は必要とされています。このため、高度な専門性を生かした就職活動にもたいへん有利に働きます。
資格保有者は、放射線同位元素や放射線発生装置を扱う事業所、販売所、廃棄事業所、病院や研究機関、製造業などで活躍できます。
※放射線取扱主任者に付与される資格
・エックス線作業主任者  ・ガンマ線透過写真撮影作業主任者  ・作業環境測定士



【資格講習について】
資格講習の課目
【1種】
・放射線の基本的な安全管理に関する課目
・放射性同位元素及び放射性同位元素によって汚染された物並びに放射線発生装置の取扱いの実務に関する課目
・使用施設等及び廃棄物詰替施設等の安全管理の実務に関する課目
・放射線の量及び放射性同位元素による汚染の状況の測定の実務に関する課目
【2種】
・放射線の基本的な安全管理に関する課目
・放射性同位元素(密封されたものに限る)の取扱いの実務に関する課目
・使用施設等(密封された放射性同位元素を取り扱うものに限る)の安全管理の実務に関する課目
・放射線の量の測定の実務に関する課目
【3種】
・放射線障害防止法令に関する課目
・放射線及び放射性同位元素の概論
・放射線の人体に与える影響に関する課目
・放射線の基本的な安全管理に関する課目
・放射線の量の測定及びその実務に関する課目

●第1種主任者講習  (場所)東京 茨城
※筆記試験に合格後、5日間の実技講習を受講します。
(1)放射線の基本的な安全管理に関する課目(7時間)
(2)放射性同位元素及び放射性同位元素によって汚染された物並びに放射線発生装置の取扱いの実務に関する課目(8時間)
(3)使用施設等及び廃棄物詰替施設の安全管理の実務に関する課目(3時間)
(4)放射線の量及び放射性同位元素による汚染の状況の測定の実務に関する課目(12時間)
(5)修了試験(1時間)
※実技講習は過去に筆記試験に合格している人はいつでも受講することができます。
※実技講習は講義が3割、残り7割が実習です。2人一組、もしくは4人一組で実習は行われ、実際に放射線源を取り扱います。各実習毎にレポートの提出が義務付けられており、それを提出して尚且つ修了試験に合格すれば免状取得となります。
●第2種主任者講習   (場所) 東京、大阪、京都 
※筆記試験に合格後、3日間の講習を受講します。
・第1日目
  放射線測定(150分)、放射線測定実習(240分)
・第2日目
  放射線安全管理の基本(180分)、
  密封放射性同位元素の取扱いの安全管理(150分)、
  密封放射性同位元素の取扱いの実習
・第3日目
  事故・危険時の措置と対策(120分)
  放射線施設の安全管理1(60分)
  放射線施設の安全管理2(60分)
  実習レポート講評(60分)、修了試験(60分) 
※3日間の講習後の修了試験の実施が義務付けられています。すべての課目と法定時間を受講しなければ修了試験を受けることができませんまた、修了試験が合格点に達しない場合、1回だけ補講を受講し、追試験を受けることができます。追試験の結果、不合格であれば、再度、所定の受講料を払えば講習を受られます。
※試験合格後から主任者講習までの受講期限は定められていません。
●第3種主任者講習  (場所) 青森、東京、大阪、名古屋、福岡、茨城
※2日間の講習のみで取得できます。
・第1日目
 放射線及び放射性同位元素の概論(90分)
 放射線安全管理の基本(60分)
 放射線の人体に与える影響に関する影響(90分)
 放射線障害の防止に関する法令(120分)
・第2日目
 放射線測定の理論及びその実務(60分)、放射線測定実習(120分)
 事故及び危険時の対策と措置(60分)、レポート講評(60分)
 修了試験(60分) 
※試験はなく、2日間の資格講習を受け、修了試験に合格すると、文部科学大臣から放射線取扱主任者免状が交付されます。但し、すべての課目と法定時間を受講しなければ修了試験を受けることはできません 
●講習の受講料
 第1種受講料: 170,205円
 第2種受講料: 112,500円
 第3種受講料: 110,600円
※この講習を受講するには相当な体力が必要になります。
講習後の修了試験に関しては、普通にまじめに受講していれば合格します。試験は全15問で択一問題。試験問題の大半は、講義や実習の際に出てくる問題のようです。また、試験に不合格の場合、再テストを受けることも可能なようです。

受験資格

・特に制限はありません。、誰でも受験できます。

試験方式

●筆記試験
 全課目択一式問題・マークシート方式

1種試験  6科目を2日間かけて受験します。
 1日目3科目/2日目3科目 試験時間105分/75分/75分
2種試験  3科目を1日で受験します。 試験時間105分/75分/75分
※同時に第1種及び第2種の試験を受けることもできます。
●合格基準
・試験課目毎の得点が5割以上で、かつ、全試験課目の得点が6割以上が必要。
・科目ごとの合格はありません。

試験科目

第1種試験、第2種試験ともに、法令、管理技術、測定技術、物理学、化学、生物学の分野で課目が構成されています。
●1種
(1日目)
・物理学、化学及び生物学のうち放射線に関する課目(多肢択一式 6問)
・物理学のうち放射線に関する課目(五肢択一式 30問)
・化学のうち放射線に関する課目(五肢択一式 30問)
(2日目)
・放射性同位元素及び放射線発生装置による放射線障害の防止に関する管理技術並びに放射線の測定技術に関する課目(多肢択一式 6問)
・生物学のうち放射線に関する課目(五肢択一式 30問)
・放射性同位元素等による放射線障害の防止に関する法律に関する課目(五肢択一式 30問)
●2種
・放射性同位元素による放射線障害の防止に関する管理技術Ⅰ(多肢択一式 5問)
・放射性同位元素による放射線障害の防止に関する管理技術Ⅱ(五肢択一式 30問)
・放射性同位元素等による放射線障害の防止に関する法律に関する課目(五肢択一式 30問)

スケジュール

●試験実施
  【第1種】8月下旬の2日間
  【第2種】8月下旬の1日間(第1種試験の翌日)
●申込期間
  5月中旬~6月中旬(5月上旬の官報で公示されます)
●合格発表
  10月下旬

 令和5年度放射線取扱主任者試験日程(1種・2種)     

試験会場

札幌市、仙台市、東京都、名古屋市、大阪市、福岡市の6箇所。

受験料

第1種試験:14,300円   
第2種試験:10,200円

問い合わせ先

(財)原子力安全技術センター   放射線安全事業部安全業務部主任者試験グループ
〒112-8604 東京都文京区白山5-1-3-101 東京富山会館ビル4階
TEL:03-3814-7480    http://www.nustec.or.jp/

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通信講座・eラーニング

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通学スクール・講座

原子力センター主催「放射線取扱主任者講座」   
原子力センターの放射線技術者養成コース

教材(過去問集)

過去の試験問題・合格基準及び正答

放射線取扱主任者試験問題集(第1種)
放射線取扱主任者試験問題集(第2種)

教材(テキスト・参考書)

放射線取扱主任者受験対策教材

【放射線取扱主任者試験 おすすめ教材】
一発合格!よくわかる 第1種 放射線取扱主任者試験 テキスト&問題集
わかりやすい 第2種放射線取扱主任者 合格テキスト (国家・資格シリーズ 338)

関連情報

エックス線作業主任者  
ガンマ線透過写真撮影作業主任者  
作業環境測定士