毒物劇物取扱責任者

毒物劇物取扱責任者

毒物劇物取扱責任者とは、薬事法の適用を受けない塗料や染料、農薬などの毒性の強い化学薬品（毒物・劇物）、これらを取り扱う製造業やメッキ工場、販売業、輸入業などでの保管、取り扱い業務を担当する人のことをいいます。これらの業界では毒物劇物取扱責任者を置くことが法律で定められています。

「毒物劇物取扱責任者」になれる人は、毒物劇物取締法8条第1項に該当する次の者に限られています。
1.薬剤師
2.厚生労働省令で定める学校で、応用化学に関する学課を修了した者
3.都道府県知事が行う毒物劇物取扱者試験に合格した者
上記1、2に該当しない場合は、各都道府県で実施する毒物劇物取扱者試験を受験してください。
毒物劇物取扱者試験は住所地に関係なくどちらの都道府県でも受験できます。また、合格した際は、全国どちらの都道府県でも毒物劇物取扱責任者になることができます。

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資格試験は、扱える毒物劇物によって
（1）すべての毒物劇物が扱える「一般」、
（2）農業上必要な毒物劇物が扱える「農業用品目」、
（3）特定品目の毒物劇物が扱える「特定品目」の3つに区分されています。
18歳以上であれば基本的に誰でも受験できますが、心身の障害により毒物劇物取扱責任者の業務を適正に行うことができない者、精神病者または麻薬、大麻、あへん、もしくは覚醒剤の中毒者は、毒物劇物取扱責任者にはなれません。また、薬剤師や工業高等学校又はこれと同等以上の学校で応用化学に関する学課を修了した者（ただし、化学に関する科目を所定の単位数以上修得している者に限る。）は、毒物劇物取扱責任者の資格があるため、受験する必要はありません。

※毒物劇物取扱者試験に合格した者には、免許（ライセンス）ではなく合格証書が発行されます。
※試験日程、試験方法などは都道府県によって異なるが、年に1回実施されています。

●難易度　
　　「C」　  やや易

【資格の難易度レベル】
毒物劇物取扱者資格は入門レベルの化学系資格です。試験では始めから終わりまで毒物・劇物に関する問題が出題されます。危険物甲種試験などと同様、「こんなにたくさんの特徴や性質覚えられるか」と思うほど、試験にはほとんど出ないような物質まで勉強しなければなりませんので、それなりの暗記力が要求されます。化学の基礎知識も覚えねばならないので、暗記の苦手な人にはかなりの勉強量と時間が必要になります。ただ、試験では難しい問題はほとんど出題されませんので、合格するだけならそれほど難しい試験ではありません。合格だけ狙うのなら過去問を理解しながら解きまくることができればOKだと思います。それでも化学が不得手な人は基礎化学と、毒物・劇物の性状、用途などの知識はある程度勉強が必要でしょう。大体どこも６割以上の正答率で合格で、各科目ごとに最低何割か正解しないと不合格という足切りを設けているところもありますので注意が必要です。
この資格と難易度をよく比較されるのが「危険物取扱者」ですが、難易度レベルは、危険物取扱者甲種＞毒物劇物取扱責任者＞危険物取扱者乙種　と考えるのが順当でしょう。

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●合格率 　 　
 令和4年度(2022年度)毒物劇物取扱者試験結果（東京都） 
（一般）
　  受験者数816名 合格者数466名 合格率57.1%
（農業品目）
　  受験者数86名 合格者数32名 合格率37.2%
（特定品目）
　  受験者数10名 合格者数5名 合格率50.0%

※参考データ
・令和3年度(2021年度)毒物劇物取扱者試験結果（東京都） 
（一般）
　  受験者数641名 合格者数348名 合格率54.3%
（農業品目）
　  受験者数95名 合格者数29名 合格率30.5%
（特定品目）
　  受験者数3名 合格者数2名 合格率66.7%
・令和2年度(2020年度)毒物劇物取扱者試験結果（東京都） 
（一般）
　申込者数376名 受験者数347名 合格者数121名 合格率34.9%
（農業品目）
　申込者数49名 受験者数45名 合格者数12名 合格率26.7%
（特定品目）
　申込者数1名 受験者数1名 合格者数1名 合格率100.0%

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試験の出題傾向に関して、筆記試験の「毒物及び劇物に関する法規」では、基本法である「毒物及び劇物取締法」やその関連法令を中心とした問題が出題されます。「基礎化学」では高校卒業程度の化学一般の問題。
また「毒物・劇物の性質」では、主に毒物・劇物の性質や貯蔵・廃棄法などに関する問題が多く出題されています。
また、合格率だけを見ると、それほど難解な資格試験ではないのですが、やはり毒物、劇物を取り扱う職種になりますので、しっかりと知識を身につける必要があります。ただ、都道府県の違いや年度の違いで、試験の難易度がまったく違って来る傾向がありますので、この点は注意が必要です。
一方、受験者数では農業用品目と特定品目の受験者数は、 一般の受験者数に比べ、それぞれ約5%、約1%程度で、圧倒的に「一般」の受験者が多い試験です。また、「内燃機関メタノールのみの取扱いに係る特定品目」という種類がありますが、実際に試験を実施している都道府県は少ないようです。

毒物劇物取扱者の仕事は、保健衛生上の危険を防止する立場からも、人命を保護するという立場からも重要な仕事といえます。また、業種によっては必要不可欠な資格とされているため、取得しておくことで就職・転職、給料面でも有利になると思われます。
資格取得者が活躍できる職場としては、毒物劇物製造業やメッキ工場、毒物劇物販売業、輸入業、薬品会社などです。また他にも特殊技術者として優遇され、活躍できる場も多いようです。

●試験実施：都道府県により異なります。
●申込期間：都道府県により異なります。
●合格発表：都道府県により異なります。
※実施先までお問い合わせ下さい。

●受験手続：日本ガス機器検査協会宛てに行う。
実施日については、各都道府県で違いますので、受験を希望される各都道府県庁の薬事関係主管課にそれぞれお問い合わせください。

●試験日程は都道府県により異なります。　
　令和5度毒物劇物取扱者試験日程（東京都）　　
※毒物劇物取扱者試験は、東京都では年1回の実施となっています。
（他道府県の試験日程については、各道府県の薬務主管課へ問合せください）

●制限なし。誰でも受験できます。
但し、次に掲げる者は、合格しても、以下欠格事項が消滅するまでは毒物劇物取扱責任者となることはできません。
1.18歳未満の者
2.心身の障害により毒物劇物取扱者の業務を適正に行うことができない者として厚生労働省令で定めるもの
3.麻薬、大麻、あへん又は覚せい剤の中毒者
4.毒物若しくは劇物又は薬事に関する罪を犯し、罰金以上の刑に処せられ、その執行を終り、又は執行を受けることがなくなった日から起算して3年を経過していない者
※欠格事項の該当者であっても受験は可能ですが、合格しても欠格事項が消滅するまでは毒物劇物取扱責任者となることは出来ません。

各都道府県

・10,500円～11,610円程度　都道府県により異なります。
※東京都の場合
　　12,900円(非課税)

【筆記試験】
・試験時間：2時間
・出題数：75問 （筆記50問、実地25問）
※東京都の場合
　筆記50問は5問択一、実地25問は4問択一のマークシート方式です。
【実地試験】
・実地を想定した「筆記試験」(毒物の取り扱い方法など)

●合格基準
　(1)筆記試験 6割以上の正解率
   (2)実地試験 科目ごとの合計がそれぞれ5割以上の正解率
※都道府県により異なりますが、上記の(1)、又は(1)、(2)両方の条件を満たせば合格です。

【試験区分】
(1)一般毒物劇物取扱者試験：すべての毒物劇物を対象とする試験
(2)農業用品目：対象品目を農業用品目に限定した試験
(3)特定品目：対象品目を特定品目に限定した試験
(4)内燃機関用メタノールのみを対象とした特定品目毒物劇物取扱者試験

●筆記試験
・毒物及び劇物に関する法規
・基礎化学
・毒物・劇物の性質及び、貯蔵その他取り扱い方法
●実地試験
・毒物・劇物の識別及び取り扱い方法
※実地試験は「実地を想定した」筆記試験として実施する都道府県が多いようですが、試験は実技とペーパー試験の2種類が有り、各都道府県により異なります。

【資格の難易度情報】
・資格の難易度とランキング
・ジャンル別資格の難易度ランキング

●試験関連情報
　-

●関連資格
　・火薬類製造保安責任者
　・危険物取扱者
　・液化石油ガス設備士

（東京都の場合）　　　　　　　　　
東京都福祉保健局〒163-8001　　　
東京都新宿区西新宿二丁目8番1号電話：03-5320-4032
健康安全部 薬務課 薬事免許係　　
電話番号：03-5320-4503
http://www.fukushihoken.metro.tokyo.jp/index.html
※他道府県の試験については、各道府県庁の薬事関係主管課にお問い合わせください。

毒物劇物取扱者試験対策教材一覧

【毒物劇物取扱者試験 おすすめ教材】
・改訂新版 毒物劇物取扱者 合格教本
 ・一発合格! 毒物劇物取扱者試験テキスト&問題集 第2版
・TAC出版の毒物劇物取扱者試験対策教材

・毒物劇物取扱者 過去問題集
・毒物劇物取扱者試験の過去の試験問題（大阪府）

JTEXの「毒物劇物取扱責任者」通信講座