資格の概要 | アマチュア無線技士の資格は、個人の趣味として人気が高い無線操作を行える資格です。政令「電波法施行令」で1級から4級の4種類が規定され、級によって扱える周波数、空中線電力、電波の種類が異なります。
資格の取得方法は、日本無線協会が実施する国家試験により取得しますが、3級と4級は、養成課程講習会を修了することで取得する方法もあります。
平成22年4月からアマチュア無線技士の無線従事者免許証は、記載内容が英語で併記されるようになり、海外で本人確認書類として利用できる可能性のある政府発行の数少ない免許証となっています。
スポンサーリンク
アマチュア無線には「無線従事者」の資格が必要です。アマチュア無線従事者の資格には、次の4つのクラスがあります。
●第4級アマチュア無線技士
(操作できる範囲)
アマチュア無線局の無線設備で次に掲げるものの操作(モールス符号による通信を除く)
1.空中線電力10W以下の無線設備で21メガヘルツから30メガヘルツまで又は、8メガヘルツ以下の周波数の電波を使用するもの
2.空中線電力20W以下の無線設備で30メガヘルツを超える周波数の電波を使用するもの
(資格の取得方法)
・日本無線協会が開催する第4級アマチュア無線技士国家試験を受験し合格する。
・日本アマチュア無線振興協会(JARD)が主催する養成課程講習会(第4級標準コース)を受講して、修了試験に合格する。
●第3級アマチュア無線技士
(操作できる範囲)
アマチュア無線局の空中線電力50W以下の無線設備で18メガヘルツ以上又は、8メガヘルツ以下の周波数の電波を使用するものの操作
(資格の取得方法)
・日本無線協会が開催する第3級アマチュア無線技士国家試験を受験し合格する。
・現在、第4級アマチュア無線技士の資格を所持している方は、日本アマチュア無線振興協会(JARD)が主催する養成課程講習会第3級短縮コースを受講して修了試験に合格する。
●第2級アマチュア無線技士
(操作できる範囲)
アマチュア無線局の空中線電力200W以下の無線設備の操作
(資格の取得方法)
・日本無線協会が主催し、開催している第2級アマチュア無線技士国家試験を受験し合格する。 |
試験の合格率・難易度 | ●難易度
・1級・2級 「C」 やや易
・3級・4級 「D」 易しい
【資格の難易度レベル】
学科試験では計算問題や知識・応用力を問う問題で多少難易度に差はありますが、内容が統一され、1級と2級との難易度の差はほとんどなくなったと言えます。1級と2級の電気通信術(モールス信号の受信)も無くなり、法規の問題になりますので、同じ勉強するなら、直接2級、3級でも良いと思います。直接1級でも良いかも知れません。この資格試験の2級以下の勉強法は、ひたすらに過去問を解くことです。過去問を繰り返しやりましょう。過去問を繰り返しておけば、多分、本試験では見たような問題ばかりになるのではないかと思います。例えば、「4級アマチュア無線技士」の難易度は小学校入学前の子供が試験に合格した経緯もあり、現在も試験場には小学生~中学生程度の若年層受験者が多く見られることでも分かります。「4級アマチュア無線技士」は、「第2級陸上特殊無線技士」と同程度の難易度ですが、両資格の主な違いは業務用の資格と趣味用の資格である点です。
ただ1級に関しては、同じ勉強法でも問題ないとは思いますが、合格さえ出来ればよいという考えでなく、理論的にも十分理解し、計算方法なども丸覚えでなく理解を定着させる勉強方法で合格しておくことが後々、生きてくることにつながります。
--------------------------------------------
●合格率
・2020年(令和2年)アマチュア無線技士試験結果
第一級 受験者数1,073名 合格者数300名 合格率28.0%
第二級 受験者数570名 合格者数306名 合格率53.7%
第三級 受験者数1,305名 合格者数1,061名 合格率81.3%
第四級 受験者数1,697名 合格者数1,392名 合格率82.0%
・2019年アマチュア無線技士試験結果
第一級 受験者数1,481名 合格者数523名 合格率35.3%
第二級 受験者数734名 合格者数351名 合格率47.8%
第三級 受験者数1,996名 合格者数1,600名 合格率80.2%
第四級 受験者数2,814名 合格者数2,214名 合格率78.7%
・2018年アマチュア無線技士試験結果
第一級 受験者数1,585名 合格者数670名 合格率42.3%
第二級 受験者数824名 合格者数395名 合格率47.9%
第三級 受験者数1,950名 合格者数1,536名 合格率78.8%
第四級 受験者数2,599名 合格者数2,047名 合格率78.8%
・2017年アマチュア無線技士試験結果
第一級 受験者数1,728名 合格者数534名 合格率30.9%
第二級 受験者数828名 合格者数393名 合格率47.5%
第三級 受験者数1,969名 合格者数1,554名 合格率78.9%
第四級 受験者数2,876名 合格者数2,184名 合格率75.9% |
試験の内容・勉強法 | 受験者は多いですが、趣味で無線通信を楽しむための資格です。資格者の数は年々増加し、根強い人気はまだまだ揺るいでいません。アマチュア無線技士の資格を取得するためには(財)日本無線協会が行っている国家試験に合格するか、(財)日本アマチュア無線振興協会が実施する「養成課程講習会」を受講して修了試験に合格する方法があります。
目的が資格を取得することの場合は、時間や費用の面から考えると国家試験受験コースがお勧めです。じっくりアマチュア無線について詳しく学びたい人は、講習会を受けても損はないでしょう。(第一級、第二級は国家試験のみです)
アマチュア無線4級と3級の違いはモールス信号が出題範囲に入っているか否かです。そのため、4級の勉強をした人がしなければならない3級対策はモールス信号を覚えることくらいです。モールス信号はアルファベットと数字を覚えます。適当な数字、アルファベットの組み合わせ問題だけでなく、QRA、QSLなどの信号名も出題されることがありますので、どういう意味を持つ信号であるかを覚えることも必要になります。試験対策では、一つの分野だけがよくできる、というのではなくまんべんなく全体を理解していることが大事です。法規が11問以上、無線工学が9問以上で合格ですが、法規9問、無線工学11問では不合格だということです。
この資格だけではアマチュア無線以外の無線設備の通信操作や技術操作はできません。また、特に電気通信系の業種では、 履歴書等に記載する場合に、”あくまで趣味の一つに過ぎない(実務には役立たない)”と解釈されますので注意が必要です。また、その一方でアマチュアといえども無線従事者である限り、電波関連法令に違反した場合、資格を持たない一般人より厳しい罰則が適用されることは間違いありませんので、このことにも注意が必要です。
またアマチュア無線をするには二つの免許が必要になります。一つは、機材に付く「無線局免許状」と、もう一つが人に付く「無線従事者免許証」です。
◆更新(再免許)の手続きの概要
・免許の有効期限を最大5年間延長する手続きとなります。
・手続き期間は、免許の有効期限満了の1年前から1ヶ月前までとなっています。
・免許の記載内容に変更がある場合は合わせて変更申請(届)の提出が必要です。
・手続き期間を過ぎてしまった場合は、開局(免許)の手続きになります。
【手続き方法】
(提出書類)
1) 無線局再免許申請書
申請手数料:収入印紙3,050円(電子申請の場合 1,950円)
2) 返信用封筒(送付に必要な郵便切手を貼った封筒に、送り先を記入したもの)
提出先:近畿総合通信局 アマチュア無線担当 |
試験科目 | ●1級
法規
・電波法及びこれに基づく命令の概要
・国際電気通信連合憲章、国際電気通信連合条約及び「国際電気通信連合憲章に規定する無線通信規則」の概要
無線工学
・無線設備の理論、構造及び機能の概要
・空中線系等の理論、構造及び機能の概要
・無線設備及び空中線系等のための測定機器の理論、構造及び機能の概要
・無線設備及び空中線系並びに無線設備及び空中線系等のための測定機器の保守及び運用の概要
●2級
法規
・1級と同じ
無線工学
・無線設備の理論、構造及び機能の基礎
・空中線系等の理論、構造及び機能の基礎
・無線設備及び空中線系等のための測定機器の理論、構造及び機能の基礎
・無線設備及び空中線系並びに無線設備及び空中線系等のための測定機器の保守及び運用の基礎
●3級
法規
・電波法 及びこれに基づく命令の簡略な概要
・国際電気通信連合憲章、国際電気通信連合条約及び国際電気通信連合憲章に規定する無線通信規則の簡略な概要
無線工学
・無線設備の理論、構造及び機能の初歩
・空中線系等の理論、構造及び機能の初歩
・無線設備及び空中線系等のための測定機器の理論、構造及び機能の初歩
・無線設備及び空中線系並びに無線設備及び空中線系等のための測定機器の保守及び運用の初歩
●4級
法規
・電波法及びこれに基づく命令の簡略な概要
無線工学
・無線設備の理論、構造及び機能の初歩
・空中線系等の理論、構造及び機能の初歩
・無線設備及び空中線系の保守及び運用の初歩
※欧米の主要国においてアマチュア無線資格についてモールス電信に関する実技試験が廃止されていることなどの現状から、第一級及び第二級アマチュア無線技士の国家試験の試験科目から、モールス電信の試験を廃止し、試験科目の「法規」においてモールス符号の理解度を確認することとして、科目の改定が行われた。 |