資格の概要 | 「産業カウンセラー」とは、一般社団法人日本産業カウンセラー協会が認定する心理職の民間資格です。また、その資格を保持している人たちのことを指します。
働く人たちが抱えるさまざまな問題に対しての相談に、心理学的手法を用いて応じ、助言を与え、メンタルケアを行い自らの力で解決できるよう援助する心理職資格が産業カウンセラーの主な仕事となります。産業カウンセラーの活動領域は、「メンタルヘルス対策」「キャリア開発」「職場における人間関係開発」の3つで、心理学的な手法を用いて産業や労働の現場でカウンセリングや研修などを行うことで、働く人自らが問題を解決できるよう援助するとともに、健康で生産性の高い組織作りを支援します。
産業カウンセラーは、多数存在する民間の心理士資格の中で知名度が一番高いカウンセラー資格です。試験に合格し、かつ産業カウンセラー協会に資格登録を行うことで、「産業カウンセラー」を呼称して活動を行うことができます。登録会員になるためには、登録料7,000円、年会費1万円が必要です。
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産業カウンセラー資格の取得をするためには、養成講座を修了するか、大学院などの指定の専攻を修了し指定科目を取得して受験資格を得ることが必要です。その後、試験に合格し、日本産業カウンセラー協会の会員になることで、「資格登録会員」として産業カウンセラーの活動が可能となります。なお、資格制度の改正により、2017年度試験から「学士」の受験資格が廃止されたため、一定条件を満たした「修士」以上の学位保持者のみが該当者となります。なお、「修士」での受験は申請が必要になります。
※会員の登録期間は入会年から起算して5年間とされています。登録期間中に1日6時間の「資格登録更新研修」を受講することにより資格登録を更新することができます。
●新産業カウンセラー試験に関する情報
新シニア産業カウンセラー試験は2017年に初めて実施された試験です。2017年までは「シニア産業カウンセラー試験」が実施されていました。2018年度には新・旧両方の試験が実施されましたが、 2019年以降は「新シニア産業カウンセラー試験」のみ実施されます。
新シニア産業カウンセラー試験を受けるためには、産業カウンセラー試験の合格が必須になっています。また、新シニア産業カウンセラー試験では筆記試験はなく、面談にて合否が決定します。 |
資格難易度 | ●難易度
「C」 やや易しい
【資格の難易度レベル】
心理系の資格として「臨床心理士」の資格がありますが、臨床心理士の資格と比較すると、産業カウンセラーの方が難易度は低いです。協会主催の講座を受講し、しっかりと勉強すれば働きながらでも資格を取得できます。ただ、2017年から「新産業カウンセラー」に変わって、試験要綱が変わり、少し難易度が上がりました。新産業カウンセラーは合格率は公開されていませんが、この試験を受けるためには、産業カウンセラー試験の合格が必須になっていますので、十分な受験対策学習時間と実技習得が必要になります。
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●合格率
2019年度(令和元年)産業カウンセラー試験結果
総合合格率 62.3% 総受験者数3,023名/総合合格者数1,884名
・学科試験:受験者数2,788名 合格者数1,936名 合格率69.4%
・実技試験:受験者数1,122名 合格者数746名 合格率66.5%
※参考データ
・2018年度(平成30年)産業カウンセラー試験結果
総合合格率 64.2% 総受験者数3,583名
・学科試験:受験者数3,289名 合格者数2,368名 合格率72.0%
・実技試験:受験者数1,342名 合格者数905名 合格率67.4%
・2016年度(平成28年)産業カウンセラー試験結果
総合合格率 67.1% 総受験者数4,180名
学科試験・実技試験ともに合格した総合合格者数2,803名
・2015年度(平成27年)産業カウンセラー試験結果
総合合格率 69.5% 総受験者数4,794名
学科試験・実技試験ともに合格した総合合格者数3,330名 |
受験対策・資格の将来性 | 企業や公共機関などの職場で、心理学的な手法を用いてカウンセリングを行う人のこを産業カウンセラーといいます。日本ではカウンセラーの資格は民間の認定資格が多数あるが、その中でも「産業カウンセラー」は知名度が高い資格。働く人たちが抱える問題を、自らの力で解決できるよう援助する専門家を認定します。
この資格は、産業カウンセラー資格(旧初級産業カウンセラー)とシニア産業カウンセラー(旧中級産業カウンセラー)に2004 年度に変更され、現在に至ってい ます。これを見ても分かる通り、産業カウンセラーはシニア産業カウンセラーより難易度は当然低く、カウンセラーの基礎の位置づけであるため、試験は基本問題について、テキストを繰り返し読んで理解を深めておくと良いでしょう。あまりひねった問題は出題されませんが、対話分析だけは比較的難解です。
筆記試験対策は、過去問集とテキスト重視で良いでしょう。また、実技試験では、受験者はペアを組み、面接官の前で一人がカウンセラー役、もう一人がクライエント役になり5分間ずつカウンセリングを行います。
カウンセラーとしては、臨床心理士が準国家資格のような存在になりつつあり、産業カウンセラーはその価値が相対的が下がっており、カウンセラーとして地位は臨床心理士の方が高い。
そのため、カウンセラーの募集要項には臨床心理士の資格を要求されることが多く、純粋にカウンセラーとして活躍したいなら、臨床心理士の取得を目指した方が近道になる。資格取得者の職種として多いのは医療職と事務職です。
※産業カウンセラー養成講座
日本産業カウンセラー協会が行う、産業カウンセリングの為の知識・技能を修得するための講座です。通学制、通信制から自分の都合にあったものを選んで受講できます。理論学習の受講方法や、受講料、受講期間は異なりますが、学習内容や面接実習時間数、得られる受験資格はすべて同じです。
毎年4月から10月の7ヶ月間、主に土曜・日曜に合計約20回開講されています。
【通学制講座】
①理論講座(講義)36時間
②面接実習(カウンセリング演習)104時間
③在宅研修40時間相当
④自主学習 DVD視聴9時間程度
・受講期間:約7ヶ月 ・申込受付開始: 1月頃 ・受講料(税込):248,400円
【通信制講座】
①理論学習(在宅での学習) テキストを読み、添削問題を解いて提出
②面接実習(カウンセリング演習)スクーリング104時間と課題レポートを3つ提出
③自主学習 DVD視聴9時間程度
・受講期間: 12ヶ月 ・申込受付開始: 8月頃 ・受講料(税込): 226,800円
学科試験では 「カウンセリングに関する基礎的な知識」に関しては、カウンセリングや心理学、及びその関連分野に関する広範かつ総合的な知識が求められ、「カウンセリングの基本的な事例への対応能力、及び傾聴の技法の対話分析能力」に関しては、逐語記録からカウンセラー及びクライエントの状態を正確に把握し、傾聴の基本になる受容・共感の態度をもって適切な対応が行えるかどうか、カウンセリングの現場に即した実践的な知識・技能の理解が求められます。また、実技試験の内容は20分程度の受験者相互によるロールプレイ(ミニカウンセリング)及び口述試験です。 |