資格名

理学療法士

資格の種類

国家資格

主催者

地方厚生支局 厚生省医政局医事課試験免許室

資格の概要

理学療法士は、ケガや病気、加齢などによって身体に障害を抱える方々が、再び自分らしい生活を送れるよう支援する医療専門職です。厚生労働大臣の免許を持つ「コ・メディカル」の一員として、医師の指示のもと、座る・立つ・歩くといった基本的な動作能力の回復や維持、障害の悪化予防を目指します。温熱や電気といった物理的な手段、そして個別の運動療法を組み合わせることで、対象者の自立を力強くサポートします。

作業療法士が「作業」を通してリハビリテーションを行うのに対し、理学療法士は主に身体の基本動作と物理療法に特化します。この国家資格を取得するには、「理学療法士及び作業療法士法」に基づき、厚生労働大臣から免許が授与されます。

理学療法士になるための第一歩は、国が指定する養成校で3年以上学び、専門的な知識と技術を習得することです。養成校には4年制大学、3年制短期大学、3年制または4年制の専門学校、そして視覚障害者を対象とした特別支援学校があります。より深い専門性を追求したい方や研究職を目指す方は、大学院(修士課程・博士課程)への進学も可能です。また、すでに作業療法士の資格をお持ちの方は、養成校で2年以上学ぶことで理学療法士の国家試験受験資格が得られます。

養成校のカリキュラムは、一般教養科目、専門基礎科目、専門科目、そして臨床実習の4つの柱で構成されています。特に専門科目では、実技やグループワークを通じて実践的なスキルを磨く機会が豊富に用意されています。




試験の合格率・難易度

難易度 
  「C」  やや易

【資格の難易度レベル】
理学療法士は近年、その資格取得者数が飛躍的に増加しており、2024年には約20万人を超え、2010年の約6万6000人から比べると、この10年あまりで3倍近くに増えています。毎年約1万人が新たに誕生しており、この傾向は今後も続くと見られています。一方で、理学療法士の就業率は90%以上と高く、雇用状況は安定していると言えるでしょう。しかし、有資格者数の増加は競争の激化を招き、希望する施設への就職が難しくなる可能性も指摘されています。

国家試験自体の難易度は、養成校で提供されるカリキュラムを真面目にこなし、しっかりと受験勉強に取り組めば、新規卒業者であれば十分合格を目指せるレベルであると言われています。しかし、理学療法士の資格取得で本当に難しいのは、国家試験に合格することよりも、むしろ養成校での厳しい実習を乗り越え、卒業して受験資格を得ることだと言われることも少なくありません。

そして、資格取得はゴールではなく、理学療法士としてのキャリアはそこからが本番です。医療現場での日々は、常に学びと努力が求められます。患者さん一人ひとりに向き合い、その回復をサポートするためには、継続的な学習と自己研鑽が不可欠であり、これが理学療法士として活躍し続ける上での本当の難しさと言えるでしょう。

--------------------------------------------
●合格率   
  第57回理学療法士国家試験結果 
  合格率 79.6% 受験者数 12,685人 合格者数 10,096人 
一般問題を1問1点(158点満点)、実地問題を1問3点(114点満点)とし、総得点164点以上/272点 実地問題40点以上/114点を満たした者が合格。
・第56回理学療法士国家試験結果 
  合格率 79.0% 受験者数 11,946人 合格者数 9,434人
・第55回理学療法士国家試験結果 
  合格率 86.4% 受験者数 12,283人 合格者数 10,608人 
・第54回理学療法士国家試験結果 
  合格率 85.8% 受験者数 12,605人 合格者数 10,809人 
・第53回理学療法士国家試験結果 
  合格率 81.4% 受験者数 12,148人 合格者数 9,885人
・第52回理学療法士国家試験結果 
  合格率 90.3% 受験者数 10,721人 合格者数 10,319人 
・第50回理学療法士国家試験結果 
  合格率 82.7% 受験者数 12,035人 合格者数 9,952人 

試験の内容・勉強法

日本の総人口に占める65歳以上の高齢者の割合は28%を超え、過去最高を更新しています。この高齢化社会の進展に伴い、医療や介護を必要とする人々が増加しており、理学療法士の需要は今後も高まることが確実視されています。理学療法士の活躍の場は広がり続けており、将来性のある魅力的な資格と言えるでしょう。現在のところ、求人数は多く、いわゆる「売り手市場」であり、就職や転職のチャンスに恵まれています。

しかし、養成学校の増加に伴い理学療法士の数が増えすぎると、就職状況が厳しくなったり、国家試験の難易度が上昇したりする可能性も考えられます。理学療法士の活躍の場は多岐にわたります。具体的には、病院や診療所といった医療機関はもちろん、介護保険サービス(通所リハビリテーション、訪問リハビリテーション、住宅改修・福祉用具のアドバイス)保健サービス(機能訓練事業、介護予防)、福祉サービス(障害者福祉センター、障害児(者)通所・入園施設)などがあります。理学療法士は医療チームの一員として医師や看護師と協力し、仕事を分担するため、独立開業はできません。

理学療法士と比較されることが多いのが「作業療法士」です。両者ともリハビリテーションの専門職ですが、その役割には明確な違いがあります。

【養成校で習得する内容】 どちらの専門職もリハビリテーションの基礎となる医療科目を共通して学びます。主に1〜2年次では「解剖学」「生理学」「運動学」など7科目が共通です。しかし、2年次以降は学ぶ内容が分かれ、理学療法士は「物理療法」「運動療法」などを深く学び、作業療法士は「発達障害治療」「精神障害治療」などに特化します。どちらの養成校でも、定められたカリキュラムを全て修得し、最低810時間以上の臨床実習を完了することが必須です。

【試験に関する違い】 国家試験に関して、両者の間に大きな違いはありません。試験日程、試験地、受験料は全て共通です。受験資格は、理学療法士養成施設か作業療法士養成施設かの違いがあるのみで、試験科目も「理学療法」か「作業療法」かの違いを除けば、他は全て共通科目です。

【仕事に関する違い】 理学療法士は、寝返る、起き上がる、座る、立つ、歩くといった身体の基本的な動作機能の回復を専門とします。主な活躍の場は、一般病院・総合病院、リハビリテーション病院、スポーツ関連施設など、医療・福祉分野から健康推進、スポーツ医学、スポーツトレーナーといった幅広い分野に及びます。比較的、体全体の大きな動きのリハビリテーションを担当するため、高齢化社会においてはますます必要とされる職業と言えるでしょう。

一方、作業療法士は、食事、洗顔、書字といった日常生活に必要な細かい手の動きや指先の巧緻性、そして社会適応能力の回復を支援するプロフェッショナルです。生活に生きがいを感じ、健康的に過ごせるよう、身体動作と精神面の両方からアプローチします。活躍できる職場は理学療法士と重なる部分も多いですが、一般病院・総合病院、リハビリテーション病院、精神科病院、老人保健施設、障害者福祉施設、児童養護施設など、精神科領域や発達障害領域にも強みがあります。

【資格取得者の状況】 2024年3月末時点での有資格者数は、理学療法士が約200,000人作業療法士が約100,000人とされています。毎年、理学療法士は約10,000人、作業療法士は約5,000人が新たに誕生していますが、超高齢社会を迎える日本では、現状ではまだ両資格とも需要が供給を上回っている状況が続いています。これは、リハビリテーション専門職を目指す方々にとって、今後も活躍の場が広がる可能性を示唆しています。

試験日程

・試験実施:
(筆記試験)例年2月中旬 
(口述試験及び実技試験)2月下旬 ※重度視力障碍者のみ(詳細は官報で公示)
・申込期間:12月中旬~翌年1月中旬
・合格発表:例年3月下旬 

  令和7年実施 第60回理学療法士国家試験日程 
       試験は終了しました。

受験資格

文部科学大臣が指定した学校又は厚生労働大臣が指定した理学療法士養成施設において、3年以上理学療法士として必要な知識及び技能を修得したものなど。
(1)学校教育法第90条第1項の規定により大学に入学することができる者で、文部科学省令・厚生労働省令で定める基準に適合するものとして、文部科学大臣が指定した学校又は厚生労働大臣が指定した理学療法士養成施設において、3年以上理学療法士として必要な知識及び技能を修得したもの。
(2)外国の理学療法に関する学校若しくは養成施設を卒業し、又は外国で理学療法士の免許に相当する免許を得た者で、厚生労働大臣が(1)に掲げる者と同等以上の知識及び技能を有すると認定したもの 。

試験会場

・筆記試験
 北海道、宮城県、東京都、愛知県、大阪府、香川県、福岡県及び沖縄県
・口述試験及び実技試験
 東京都

受験費用

10,100円  
※収入印紙を受験願書にはることにより納付すること。

試験方式

●筆記試験 (一般問題及び実地問題)
  筆記問題は5肢択一式 出題数200問
※点字試験受験者に対しては、実地問題は行われません。また、視覚障害者に対しては、弱視用試験又は点字試験による受験が認められ、点字試験受験者に対しては、試験問題の読み上げの併用による受験が認められます。 
●口述試験及び実技試験 
視力障害者に対して、実地問題に代えて5科目について行われる。
●合格基準
 以下全ての基準を満たした者が、合格となります。
 ・総得点のおおよそ60%以上の得点率
 ・実地問題のおおよそ35%以上の得点率

試験科目

●筆記試験 :一般問題及び実地問題に区分して次の科目について行います。
(1)一般問題 
解剖学、生理学、運動学、病理学概論、臨床心理学、リハビリテーション医学(リハビリテーション概論を含む)、臨床医学大要(人間発達学を含む)及び理学療法
(2)実地問題 
運動学、臨床心理学、リハビリテーション医学、臨床医学大要(人間発達学を含む)及び理学療法
●口述試験及び実技試験 
点字試験受験者に対して、実地問題に代えて次の5科目について行われます。
運動学、臨床心理学、リハビリテーション医学、臨床医学大要(人間発達学を含む)及び理学療法

※重度視力障害者に対しては、筆記試験の実地問題については行われません。また、視覚障害者に対しては、弱視用試験又は点字試験による受験を認め、点字試験受験者に対しては、試験問題の読み上げの併用による受験が認められます。

試験関連情報

【資格の難易度情報】
資格の難易度とランキング
ジャンル別資格の難易度ランキング

●試験関連情報
 人気のある医療・福祉系資格のレベル解説|資格の難易度

●関連資格
 作業療法士
 認知症ケア専門士
 福祉住環境コーディネーター

問い合わせ先

各受験地の地方厚生局又は地方厚生支局 厚生省医政局医事課試験免許室
〒100-8916 東京都千代田区霞が関 1-2-2
TEL 03-5253-1111

【以下の各項には一部広告が含まれています。】

教材(テキスト・参考書)

【理学療法士試験 おすすめ教材】
理学療法士・作業療法士国家試験必修ポイント 専門基礎分野 臨床医学2025オンラインテス付
クエスチョン・バンク 理学療法士・作業療法士国家試験問題解説 2021
ポケットマスター理学療法士・作業療法士国家試験必修ポイント 基礎医学 2020

理学療法士試験対策教材(問題集)一覧

教材(過去問・問題集)

理学療法士の過去問題集
第56-60回 理学療法士・作業療法士国家試験問題 解答と解説 2026

講座・スクール

-