資格名

冷凍機械責任者(高圧ガス製造保安責任者試験の中の1試験)
※冷凍機械責任者の各資格区分は、冷凍一種、冷凍二種、冷凍三種や一冷、二冷、三冷と略されることもあります。

資格の種類

国家資格

主催者

認定 経済産業省

資格試験の概要

冷凍機械責任者とは、冷凍設備の保安業務を行う、ビルや産業を支える国家資格の1つです。高圧ガス保安法に規定される高圧ガス製造保安責任者の資格区分の一つで、主に冷凍に関わる高圧ガスを製造する施設において保安の業務を行う資格ですが、この資格は「高圧ガス製造保安責任者」という資格区分の一つであり、単に冷凍機械を管理するだけに留まらないのが特徴です。

冷凍機械責任者の資格は、第一種、第二種、第三種の区分が設けられており、それぞれに職務の範囲が定められています。第一種では全ての製造施設、第二種では1日の冷凍能力が300t未満、第三種では1日の冷凍能力が100t未満の製造施設で保安業務が行なえます。冷凍機械にかかわる保安業務や、統括的な管理業務を行うという点では3種類とも同じです。

【第一種、第二種、第三種の区分と職務の範囲】
高圧ガス製造保安責任者(冷凍)の種類と要件
・第1種冷凍機械(1日の冷凍能力が300トン以上の製造施設)
 1日の冷凍能力が100トン以上の製造施設を使用している高圧ガスの製造に関する
 1年以上の実経験
・第2種冷凍機械(1日の冷凍能力が300トン未満の製造施設)
1日の冷凍能力が20トン以上の製造施設を使用している高圧ガスの製造に関する
 1年以上の実務経験
・第3種冷凍機械(1日の冷凍能力が100トン未満の製造施設)
 1日の冷凍能力が3トン以上の製造施設を使用している高圧ガスの製造に関する
 1年以上の実務経験

どの試験でも、知識や実務経験がゼロの状態から受験することはできますが、実際に責任者として業務に当たる場合には、表の要件に挙げた実務経験を積んでいることが条件になります。
※各資格に必要な知識レベルは、以下の通りとされています。
 第1種:大学の工学部を修了
 第2種:高等専門学校を修了
 第3種:工業高校を修了




●冷凍機械責任者の資格取得(冷凍機械責任者の資格を取る方法は2通りあります)
①全科目を国家試験の会場で受験する方法
1つ目の方法は、資格取得に必要な全科目を国家試験の会場で受験する方法です。
この方法では、1日の受験で合格でき、費用も抑えられますが、国家試験は毎年1回、11月第2日曜日しか開催されません。また1科目でも不合格になると1年後にすべての科目を受験し直さなければなりません。
②2つ目の方法は指定の講習を受講し検定試験を受け、法令のみ国家試験で受ける方法です。
高圧ガス保安協会が実施する「高圧ガス製造保安責任者講習(冷凍)」を受講(3日間)し、後日実施される検定試験に合格して講習修了証を受け取ります。この方法では、あと国家試験で法令だけの受験で資格を取得できます。
発行された講習修了証に有効期限はないため、国家試験はいつ受験しても科目免除が受けられます。
※日程や講習場所は、地区ごとに異なりますので高圧ガス保安協会のHPで確認をしてださい。

合格率・資格難易度

●難易度  
  第二種・三種  「C」  やや易しい

【資格の難易度レベル】
第一種~第三種で多少合格率は異なりますが、
・冷凍一種の場合、普通に全科目受験をした場合の合格率は30~35%程度になっています。試験の内容は、冷凍一種に必要な知識レベルの目安は大学工学部卒業程度なので、難易度が高く、勉強方法は書籍以外の教材も考慮して自分に合った方法を考える必要があります。
・冷凍二種のレベルは工業高校卒業程度なので、冷凍三種は冷凍二種と比べると出題される問題の難易度には大きな差はないようですが、幾分やさしいので、合格するのは第二種の方が難しいことは間違いありません。合格率も法令がない分、試験科目も少なくなり高くなってるようです。試験科目の中では、特に「保安管理技術と学識」の難易度が高いようですので、基礎からしっかりと勉強しておく必要があります。
設備系の難易度ランキングは、消防設備士甲種 ➡第三種冷凍機械責任者➡ 危険物甲種 ➡ 消防設備士乙種 ➡ 危険物乙種 ➡ 2級ボイラー技士 と考えていいでしょう。
尚、よく似た名称の「冷凍空調技士」がありますが、この資格は民間資格ですが第一種冷凍空調技士は第二種冷凍機械責任者より難易度は高いです。

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・合格率 
 令和3年度冷凍機械責任者試験結果
 (一種)受験者数734名 合格者数244名 合格率33.2%
 (二種)受験者数2,351名 合格者数863名 合格率36.7%
 (三種)受験者数9,858名 合格者数3,996名 合格率40.5%

※参考情報
・令和2年度冷凍機械責任者試験結果
 (一種)受験者数756名 合格者数151名 合格率20.0%
 (二種)受験者数2,051名 合格者数551名 合格率26.9%
 (三種)受験者数7,541名 合格者数1,383名 合格率18.3%
・令和元年度冷凍機械責任者試験結果
 (一種)受験者数706名 合格者数202名 合格率28.6%
 (二種)受験者数2,512名 合格者数785名 合格率31.3%
 (三種)受験者数7,908名 合格者数2,565名 合格率32.4%
・平成30年度冷凍機械責任者試験結果
 (二種)受験者数2,749名 合格者数907名 合格率33.0%
 (三種)受験者数7,768名 合格者数3,090名 合格率39.8%
・平成29年度冷凍機械責任者試験結果
 (二種)受験者数2,823名 合格者数846名 合格率30.0%
 (三種)受験者数8,120名 合格者数3,007名 合格率37.0%

●冷凍機械責任者の試験は、講習会による検定試験と国家試験で合格率に差があります。講習会の検定試験合格者(科目免除、法令だけを受験)は、冷凍一種から冷凍三種まで平均80%以上の合格率ですが、全科目国家試験受験組は、下記のように平均30%前後の合格率となっており、国家試験の難易度がかなり高くなっています。

※国家試験受験の場合の種別の平均合格率(令和元年~3年)
 一種:(全科目受験) 27.3% (法令のみ受験) 85.8%
 二種:(全科目受験) 31.6% (法令のみ受験) 83.4%
 三種:(全科目受験) 30.4% (法令のみ受験) 81.4%

受験対策・学習法ほか

冷凍機械責任者試験では、冷凍機の種類や原理、計算問題などが出題されますが、機械の動作も単純で種類も多くなく、覚えなければならない内容も簡単なので、難しそうに見えますが試験はそんなに難しい内容の試験ではありません。
受験対策としては、二種、三種とも試験科目を基礎からしっかりとテキストを使って勉強することが大切です。特に、各種の冷凍サイクルや図面・公式の意味などを十分理解しておくことが重要になります。勉強方法としては、公式テキストの内容をしっかり押さえて、過去問を十分にこなして問題に慣れるということに尽きます。もちろん、その中には出題されそうな計算式なども繰り返し解いて勉強しておくことも含まれます。
注意点は、第二種では引っ掛け問題があるので、過去問で十分に慣れるための演習をしておく必要があります。第三種のポイントは、毎年類似問題が多く出題されることです。そのため、その対策として、「第3種冷凍機械責任者試験模範解答集」を使って、問題と解説を繰り返し学習しておくことが合格への近道になります。
また、試験対策の教材として学会が販売しているテキスト類を活用することも役立ちます。
 ➡冷凍機械責任者受試験用テキスト・問題集(日本冷凍空調学会)

もう一つの受験対策で「講習会を利用する」という方法があります。講習会の内容は、上欄の「試験概要」の欄に記載している通りですが、端的に言えば2科目の受験免除を受けるために、高い講習費用と3日間連続で1日7時間の講習を受講することをどう考えるかということです。
この試験にどうしても合格しなければならない人や、1人で勉強して合格する自信がない人などは、「少々のコストや労力をかけてでも2科目免除はメリットがある」と思うでしょう。現に、受講すれば合格するのは非常に簡単になります。一方、講習と同じ時間だけ勉強すれば合格できる可能性が高いと思う人は「わざわざ長い時間と高いお金、労力をかけてまで講習に参加するメリットはない」と思うはずです。結局、受験する人によって、その思いは違うはずなので、個人個人で判断するしかないでしょう。




冷凍機械責任者の有資格者には、企業などからの根強いニーズがあります。冷凍機械の保安に関わる業務が必要な業種では、冷凍機械責任者の取得を推奨している企業もあり、資格需要も比較的安定しているといえます。冷凍機械はビル、住居から食品工場、航空インフラ等まで広く活用されており、特に、ビルメンテナンス業界においては重宝される資格です。
また、キャリアアップやスキルの向上を考えている人にも、資格を取得しておくと大きなメリットがあります。企業によっては冷凍機械責任者の有資格者を優遇している所もあり、将来性が見込める資格の一つといえます。上位資格を目指すことのメリットは、活躍できるフィールドが広がる点にあります。冷凍設備には幅広い用途があり、第3種からさらに上位資格を取得できれば、より冷凍能力が大きな機械を扱えるようになり、活躍の場も広がります。冷凍機械責任者はキャリアの選択肢が豊富だという特徴があります。

受験資格

・受験資格に特別な定めはありません。実務経験がない方でも、誰でも受験が可能です。

試験方式

●試験の区分
 ・第一種:経済産業⼤⾂の免状に係る試験(⼤⾂試験)
 ・第二、三種:都道府県知事の免状に係る試験(知事試験)

●試験の種類
「講習会検定試験」と「国家試験」による受験の2種類があります。
どちらも「法令」「保安管理技術」「学識」の3科目が課されます。尚、冷凍三種には応用化学や機械工学の学識科目がありません

【試験方式】
 3科目共に択一式。第一種のみ学識が記述式となっています。
・試験時間/出題数
  法令:1時間/20問(択一)
  保安管理技術:1.5時間/第一,三種15問(択一) 
  学識:2時間/第一種5題中計算問題4題(記述)  第二種5題中計算問題4題(択一)
 ・合格の基準点
  法令・保安管理技術ともに「満点の60%程度以上」で合格。
  ※法令が100点でも保安管理技術が50点だったら不合格です。

【講習の内容と時間】
・第一種、第二種
  受講科目:法令、保安管理技術、学識  
  受講時間:各7時間 (計21時間)
・第三種
  受講科目:法令(7時間) 保安管理技術(14時間) 
  受講時間:計21時間

※講習会の詳しい内容はこちらを参考にしてください。
  → 「令和5年度法廷講習と技術検定(大阪)」   

【講習会検定試験】
・第一種、第二種:「保安管理技術」と「学識」の2科目実施。
※法令は実施されませんが、全ての講習科目を受講しないと、検定試験を受検できません。
・第三種:「保安管理技術」1科目のみ実施。
※法令は実施されませんが、全ての講習科目を受講しないと、検定試験を受検できません。
(受講受験料)
 下欄、受験料の欄を参照ください。

※講習会検定試験について
講習会検定試験は各種資格とも講習が実施され、講習終了後日に法令を除いた2科目に対して「検定試験」が行われます。2科目両方に合格した人のみ国家試験で「保安管理技術」「学識」の免除となり、国家試験で「法令」に合格すれば資格取得となります。

試験科目

【試験科目】
●試験科目として「保安管理技術」・「法令」・「学識」が課されます。
 ※第3種には「学識」はありません
・第一種
 1.高圧ガス保安法に係る法令
 2.冷凍のための高圧ガスの製造に必要な高度の保安管理の技術
 3.冷凍のための高圧ガスの製造に必要な通常の応用化学及び機械工学
・第二種
 1.高圧ガス保安法に係る法令
 2.冷凍のための高圧ガスの製造に必要な通常の保安管理の技術
 3.冷凍のための高圧ガスの製造に必要な基礎的なの応用化学及び機械工学
・第三種
 1.高圧ガス保安法に係る法令
 2.冷凍のための高圧ガスの製造に必要な初歩的な保安管理の技術

【講習科目】
・各種とも国家試験と同じ科目(保安管理技術及び学識)の講義が実施され、法令を除く科目について後日「技術検定」が行われます。
・技術検定に合格すると、修了証(無期限有効)が交付され、国家試験では法令の1科目だけを受験します。
・第一種・第二種については2科目が技術検定の対象となり、その2科目とも所定の成績を収めなければ修了証は交付されません。

スケジュール

【試験】
・試験実施
  毎年11月の第二日曜日(年1回)
・申込み受付期間
  毎年年8月下旬1週間から9月上旬の1週間

 令和5年度冷凍機械責任者試験等 実施日程 
 ・試験日:令和5年11月12日(日) 

【講習】
・講習・検定実施
  第一種:年1回 5月下旬
  第二,三種:年2回(上期、下期)
        上期6月下旬 下期3月初旬
・申込受付
  第一種:3月中旬~
  第二,三種:上期4月上旬~、下期 1月上旬~

 令和5年度冷凍機械責任者試験 講習会日程
 ・講習期間
   第一種:令和5年4月12日(水)~5月10日(水) 
   第二種:令和5年5月25日(木)~6月15日(木) 
   第三種:令和5年5月25日(木)~6月15日(木) 
※  

試験会場

全国47都道府県 (各地の試験会場地図)

受験料

【国家試験受験料】  (非課税)
・第一種冷凍機械責任者試験:17,300円  
・第二種冷凍機械責任者試験:11,100円
・第三種冷凍機械責任者試験: 9,800円

【講習会受講料】
・第一種冷凍機械
 ネット申込 29,000円(税込み)
・第二種冷凍機械
 ネット申込 24,900円(税込み)
・第三種冷凍機械
 ネット申込 19,500円(税込み)

問い合わせ先

高圧ガス保安協会 
(本部) https://www.khk.or.jp/aboutus/head_office.html
〒105-8447
東京都港区虎ノ門4-3-13ヒューリック神谷町ビル
 TEL 03-3436-6100(代表)

(その他各支部の問い合わせ先)
 ➡ https://www.khk.or.jp/aboutus/location.html

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通信講座・eラーニング

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通学スクール・講座

・科目免除講習
  高圧ガス保安協会主催 「高圧ガス製造保安責任者講習(冷凍)」

教材(過去問集)

2021年版 第3種冷凍機械責任者試験 過去問題集
2020年版 第3種冷凍機械責任者試験 過去問題集
2019年版 第3種冷凍機械責任者試験 過去問題集
第3種冷凍機械責任者試験 過去問題集 2018年版

 

教材(テキスト・参考書)

冷凍機械責任者試験教材一覧

【冷凍機械責任者試験 おすすめ教材】
初級冷凍受験テキスト
上級冷凍受験テキスト
第1・2種冷凍機械責任者試験模範解答集 2021年版

関連情報

【資格の難易度情報】
資格の難易度とランキング
ジャンル別資格の難易度ランキング

●試験関連情報
・令和3年10月1日から受講受験料が改定されています。
第一種冷凍機械責任者は社会保険労務士試験の受験資格に該当。

●関連資格
高圧ガス製造保安責任者
液化石油ガス設備士