資格名

農業機械整備技能士
※試験名:農業機械整備技能検定

資格の種類

国家検定(名称独占資格)

主催者

都道府県職業能力開発協会(問題作成等は中央職業能力開発協会)

資格の概要

「農業機械整備技能士」とは、トラクター等の農業機械の整備と保守に関する技能を認定する国家資格(名称独占資格)。資格取得には、中央職業能力開発協会が実施している農業機械整備技能検定に合格する必要があります。技能検定に合格すると等級に応じて技能士の称号が付与されます。名刺などへの資格の表記名は「1級農業機械整備技能士」、「2級農業機械整備技能士」で、等級を明示する必要があります。農業機械整備技能士の等級も1級と2級があり、それぞれ上級技能者、中級技能者が通常有すべき技能の程度と位置づけられています。➡技能検定制度について

試験も1級と2級が設定され、それぞれ学科試験と実技試験があります。
学科試験は農業機械の種類や構造、整備法などに関する知識の試験で、実技試験はトラクターの整備や電気回路の不良個所などの判定を行う作業試験と、トラクタ等の予防及び保守整備、工数見積もり等を問うペーパーテストが行われます。

特級、1級及び単一等級合格者には、厚生労働大臣名の合格証書。2級及び3級合格者には、都道府県知事名の合格証書の合格証書が交付され、「技能士」と称することが出来ます。

JAVADA(中央職業能力開発協会)の公式サイトでは、農業機械整備技能士1級・2級の作業内容(農業機械整備作業)を以下のように記載しています。
●作業内容(1級・2級)
 【農業機械整備(農業機械整備作業)】
農業機械は、トラクタやコンバインなどの酪農業などに用いられる内燃機関、電動機などを動力とする機械のことです。「農業機械整備職種」「農業機械整備作業」は、農業機械の整備に必要な技能・知識を対象としています。内容は、農業機械整備用機械・器工具・計測器による点検・調整、故障発見、点検・分解・組立て・調整、試運転・機構試験、工数見積りなどの整備作業に関する技能・知識と、併せて、農業機械一般、農業機械整備法、材料、機械要素、製図、農業一般、燃料・電気等の関連基礎知識、関係法規、安全衛生などに関する知識も含まれています。
1級は、工数見積りを含んだレベルとしており、2級は工数見積りが含まれていないレベルです。

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試験の合格率・難易度

●難易度  
    1級 「B-下」    普通の下位

【資格の難易度レベル】
技能検定は職種によって難易度の違いは大きいですが、農業機械整備技能検定の過去の合格率をみた場合、1級・2級どちらも60%前後になっていますので、合格率や、その他の要素から判断できる難易度は「普通のやや下位程度」のレベルになります。この難易度は、ほかの多くの職種の技能検定1級・2級とも並ぶ難易度レベルです。受験対策ではテキストの内容を理解するだけでは不十分で、それ以外に日頃の実務の理解が大切です。テキストや過去問とあわせて業務や業務の専門書から知識と技能を習得しておくことが必要です。一般的に、技能検定は学科も実技も普段の業務の中では出会わない材料や、得られない知識も出てくるので講習会に参加したり、過去問をこなすことで身につけていくようにしなければなりません。
学科試験は独学でも合格できますが、実技試験は受験者に機械整備の実経験があるかどうかでしょう。ただ実経験と言っても正しい整備の実技手順を身につけていなければなりません。どこかの工場か施設などでの実務経験があれば、独学で突破も十分可能です。特に技能検定を受験する場合は、今までどういったところで働いて、どういった実務経験があるかで勉強方法や範囲、レベルなどが変わってくることになります。

農業機械整備技能検定とよく似た資格に、農業機械士があります。この資格は農業大学校が実施する養成研修を受講し、検定に合格すれば都道府県知事から認定される資格ですが、難易度は農業機械整備技能検定の方が農業機械士より高いです。

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・合格率 
   令和3年農業機械整備技能検定 試験結果
(1級+2級)受験申請者数 1,418名  合格者名 915名 合格率(対申請者) 64.5%

※参考データ
 令和2年農業機械整備技能検定 試験結果
(1級+2級)受験申請者数 1,290名  合格者名 826名 合格率(対申請者) 59.4%
 令和元年農業機械整備技能検定 試験結果
(1級+2級)受験申請者数 1,477名  合格者名 877名 合格率(対申請者) 59.4%
 平成30年農業機械整備技能検定 試験結果
(1級+2級)受験申請者数 1,650名 合格者名 1,031名 合格率(対申請者) 62.5%
 平成29年農業機械整備技能検定 試験結果
 1級受験申請者数 758名 合格者名 480名 合格率(対申請者) 63.3%
 2級受験申請者数 1,011名 合格者名 603名 合格率(対申請者) 59.6%
 平成28年農業機械整備技能検定 試験結果
 1級受験申請者数 800名 合格者名 537名 合格率(対申請者) 67.1%
 2級受験申請者数 892名 合格者名 518名 合格率(対申請者) 58.1%

試験の内容・勉強法

農業機械整備技能検定の学科試験では、専門の農業機械以外に、材料・機械要素・製図・農業一般・関連基礎知識・安全衛生など、関連する深く幅広い知識が求められます。一方、実技試験は、作業試験では農用トラクタの点検整備、電気系統・油圧系統の点検など、実作業についての試験があり、ペーパーテストは電気溶接など実技試験の実施が困難なものについて行われます。
この試験合格のためには、実技試験と学科試験を無理に一度で全部を受検しなくても、年次を分けてそれぞれを順次に受検することも出来ますので、計画的に受験勉強からチャレンジができるようするのがいいと思います。また、農業機械整備技能検定には、受験対策のための講座が開講されている都道府県はあまりありませんので、知識と技能習得のために農業機械士の養成研修講座を受講するのもいいと思います。この研修は各地の農業大学校が主催して定期的に開催していますので、希望者は問い合わせるといいでしょう。

農業機械整備技能士の資格保有者はその職種の専門家として、各種の現場で活躍していくことになりますが、現場で培った知識以外の知識や技術も身につけることで、正しい情報を顧客に伝えることが可能になり、一定の技術水準があることを印象付けることになり、それが信頼につながります。農機具メーカーに勤務されている技術者に、この技能検定を受験することを推奨している企業もあることは、そういう期待もあるからではないでしょうか。

近年、農業機械の分野は、大型化とともに自動制御化がますます進んでおり、それに対応して農業機械の安全性の確保と効率的利用のため、より高度な整備修理技能が求められてきています。そういう状況のもと、整備修理のプロとしての農機整備技能士が果たすべき役割はますます大きくなっています。農業機械整備技能士は、トラクターやコンバインなどの農業機械の整備能力を国が認定している国家資格ということで、現代の農業界でも重要視されている資格です。

意欲ある若者や学生に人気が高い青年海外協力隊は、その隊員募集で農業機械整備の職種は派遣要請の重要度が高い場合が多く見受けられます。そのため、隊員希望者が技能習得の目標としているのが農業機械整備技能士の受検です。協力隊隊員募集試験のときも、また実際に派遣国での協力実務においても、農機整備技能士の資格は高く評価されているといわれます。また開発途上国で非政府組織(NGO)や非営利組織(NPO)によってボランティア活動を行う農業関係者においても、農機整備技能士は高く評価され、歓迎されています。

試験日程

●試験の実施日程
 年2回、前期と後期に分けて実施。日程はその年によって違います。
 ・申込受付:(前期)4月上旬~中旬 (後期)10月上旬~中旬
 ・試験実施:
  実技試験(前期)6月上旬~9月上旬 (後期)12月上旬~2月中旬
  学科試験(前期)7月上旬~9月上旬 (後期)1月下旬~2月上旬
 ・合格発表:
    (前期)8月下旬(3級) 9月下旬 (後期)3月上旬

※前期6~9月と後期11月~2月に開催されますが、都道府県によっては実施していない場合や日程等も異なることもあり、確認が必要です。各都道府県職業能力開発協会に問い合わせ下さい。

・問い合わせ・受検申込み・試験実施日程等
 各都道府県職業能力開発協会
 中央職業能力開発協会では、受検申請受付・試験実施・合格発表等は行っていません。
      (参考)令和3年度(前期)実施職種一覧・実技試験概要

    令和5年度 技能検定実施日程

受験資格

●受検に必要な実務経験年数が大幅に短縮されました。農業機械整備技能検定は、どの等級からでも受験をすることができますが、職業訓練歴、学歴、実務経験などで違いがあります。

【技能試験の受験資格要件】
・1級技能検定
 受検に必要な実務経験年数が12年から7年に短縮されました(実務経験のみの場合)。
 専門高校等の在学中に2級合格の場合、卒業後2年の実務経験を経て3年目に受検できます。
・2級技能検定
 受検に必要な実務経験年数が3年から2年に短縮されました(実務経験のみの場合)。
 専門高校等の在校生は、3級に合格していると在学中に受検できるようになりました。
・3級技能検定
 受検に必要な実務経験年数が1年から6か月に短縮されました(実務経験のみの場合)。
 専門高校等の全ての在学生(1年生を含む。)が受検できるようになりました。

受験資格要件の詳しい内容はこちらを参照ください 

※農業機械整備技能検定の合格者には、以下の優遇措置があります。
  ・職業訓練指導員試験の一部・全部受験免除
  ・労働安全コンサルタント試験の受験資格
  ・作業環境測定士試験の受験資格

試験会場

●試験会場
   各都道府県の指定された試験会場で行われます。
      令和5年度(前期)各都道府県実施公示状況
      都道府県職業能力開発協会
※試験会場・日程については選択(指定)できません。 詳細は受検票で確認ください。

受験費用

●受検手数料
 検定職種ごとに各都道府県において定められています。
 (標準金額は、令和元年度より実技試験18,200円(税込)、学科試験3,100円(税込)です)
都道府県職業能力開発協会指定の方法と期日までに、指定された受検手数料(実技手数料+学科手数料)を納めてください。

試験方式

農業機械整備技能検定は、学科試験と実技試験によって行われます。
※実技試験または学科試験のいずれか一方に合格した場合、次回以降の受検で免除を受けることができます。

●実技試験は、下記の「試験科目」の欄参照ください。
 ・製作等作業試験
   1級試験時間:60分
   2級試験時間:65分
 ・ 計画立案等作業試験
   1級/2級作業時間:60分
 ・合格基準:100点を満点として、学科試験は65点以上。
●学科試験(1級・2級共通)
 ・試験方式: 真偽法及び四肢択一法
 ・出題数: 50問(真偽法25問 四肢択一法25問)
 ・試験時間: 1時間40分
 ・合格基準:100点を満点として、実技試験は60点以上。

試験科目

【1級】(1級農業機械整備技能検定)
●実技試験
 ・製作等作業試験
   電気回路の不良箇所の判定、
   トラクタの不良箇所の整備、
   電気回路の配線、
   傾斜検出センサによる出力電圧の測定、
   トラクターのバッテリ電圧・充電電圧の測定、
   トラクターの点検 
 ・計画立案等作業試験 ペーパテスト
トラクタ、コンバイン、乾燥機等に関し、予防・保守整備、工数見積り及び溶接等の基礎技能。
乾燥機及びコンバインに関し、故障箇所の発見、故障箇所の整備、点検・調整及び機能の確認。
●学科試験
 農業機械一般
 農業機械整備法
 材料/機械要素
 製図
 農業一般
 関連基礎知識
 関係法規
 安全衛生科目

【2級】(2級農業機械整備技能検定)
●実技試験
 ・製作等作業試験
   電気回路の不良箇所の判定、
   電磁バルブの整備、
   電気回路の配線、
   インジェクションノズルの噴射圧力の調整、
   可変抵抗器による抵抗測定・回転角度の測定、
   導線の導通テスト及び抵抗測定、
   トラクタの点検
 ・計画立案等作業試験 ペーパテスト
トラクタ、コンバイン、乾燥機等に関し、予防・保守整備、及び溶接等の基礎技能。
乾燥機及びコンバインに関し、故障箇所の発見、故障箇所の整備、点検・調整及び機能の確認。
●学科試験
 農業機械一般
 農業機械整備法
 材料
 機械要素
 製図
 農業一般
 関連基礎知識
 関係法規
 安全衛生科目

(参考)令和3年度(後期)実施職種一覧・実技試験概要

試験関連情報

【資格の難易度情報】
資格の難易度とランキング
ジャンル別資格の難易度ランキング

●試験関連情報
養成研修は各都道府県ごとに実施され、年に複数回実施されています。

●関連資格 
 建設機械整備技能士
 自動車整備士

問い合わせ先

・技能検定試験の受検申請受付け・合格発表
 各都道府県ごとに行っていますので、各都道府県職業能力開発協会へ問合わせください。

・技能検定全般に関する問合せ
 中央職業能力開発協会 技能検定部 企画管理課
      03-6758-2861、または2858

【以下の各項には一部広告が含まれています。】

教材(テキスト・参考書)

・農業機械整備技能検定の受検者のための受験の手引き
※販売は事前予約販売制をとっています。購入希望者は予約期間内に予約ください。
 9月初旬~ 手引・例題集 予約受付開始(問い合わせフォーム)
 上記の「学科試験例題集」とセットで活用できるようになっています。
農業機械士技能検定試験テキスト 第5版

教材(過去問・問題集)

・学科試験例題集(下記問い合わせフォームから注文できます)
※過去5年の試験問題を掲載、約1,500問の例題を掲載。
平成20・21・22年度 1・2級 技能検定 試験問題集10 農業機械整備

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