資格名

航空整備士

資格の種類

国家資格(名称独占資格)

主催者

国土交通省管轄

資格試験の概要

航空機を安全に運航するためには、毎日の運航前後及び定期的な点検や整備、修理等を欠かすことはできません。「航空整備士」は、航空機の安全運航を支える整備・点検・修理のスペシャリストで、航空整備士資格は国土交通省が発行している国家資格です。
この航空整備士の受験資格を得るためには二つの方法があります。
一つは、高校卒業後に国土交通大臣指定航空従事者養成施設(航空専門学校)に入学し、実地免除で資格を取得する方法です。もう一つは実務経験を積んで受験資格を得て航空整備士資格を取得する方法があります。航空整備士の国家資格は複数あり、取得した資格によって仕事をできる業務の範囲が違ってきます。国家資格取得を目指す最短ルートになる航空従事者指定養成施設(航空専門学校)に入学するコースでは、在学中に「二等航空整備士」や「二等航空運航整備士」の資格を取得することができます。

航空整備士の主な仕事には、ライン整備・ドック整備・ショップ整備と呼ばれる3つの仕事があります。空港内の駐機場に駐機された航空機の整備・点検をライン整備と言い、空港内の航空機の格納庫内で定期的に行われる保守整備・点検をドック整備、航空機内部のコンピューターやエンジンの整備や点検をショップ整備と言います。

航空整備士の国家資格は、航空機や業務の範囲によって主に4種類あります。
「一等航空整備士」「一等航空運航整備士」「二等航空整備士」「二等航空運航整備士」




合格率・資格難易度

難易度 
 一等航空整備士    「A」 難関 
 二等航空整備士    「A」 難関
 一等航空運航整備士  「B-上」 普通の上位
 二等航空運航整備士  「B-上」 普通の上位 

【資格の難易度レベル】
指定養成校に入学して技術を学んでから試験に挑戦すれば、試験の要点をある程度抑えて試験に臨むことが可能になり、難易度もそれほど高くは感じないと思います。ただ、試験自体は簡単な試験ではなく、試験問題は難解で航空技術に関する高度な専門知識が問われます。そのため幅広い専門的な知識や技術を体系的に勉強しておく必要があります。指定養成校ではない学校では学科試験しか取れませんので、指定養成校出身者に比べると試験の難易度は高くなるでしょう。
学科試験にパスしても、技能審査対策では審査機体の整備マニュアルほか、莫大な資料内容をすべて頭に入れ、それらを理解しなければなりません。試験前はみんな命がけのような気持ちで,朝早くから毎日休みなく夜中まで一日中の勉強が当たり前になります。航空整備士は失敗は許されない厳しい仕事ですから尚更のように思います。学科試験は過去問対策が役立ちますので、きちっと細かく押さえていかねばなりません。実地試験は国の試験官がきて試験を行いますが、技能審査よりは難易度が高くなります。試験は学科試験と実地試験があり、指定専門学校生は実地試験が免除されます。
試験の難易度が一番高いのは一等航空整備士ですが、ほとんど同程度の難易度で二等航空整備士、その次に一等航空運航整備士、二等航空運航整備士の順になります。

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合格率
データは非公開ですが、学科試験の全国平均合格率は約20%と言われています。
最終合格率は平均80%程度とされていますが、すべての受験者が2年以上の航空整備経験者なので、皆が豊富な知識や技術を持っていると考えられますが、その中でも5人中1人が不合格と考えると決して簡単な試験ではないことはわかります。

受験対策・学習法ほか

最短で確実に航空整備士になるためには、国土交通大臣指定の航空従事者養成施設学校に入り、二等航空整備士、または二等航空運航整備士等の資格を取得し、整備会社に入社することです。
航空従事者養成施設指定校の場合は、在学中に実地試験免除で航空整備士資格を取得できますが、養成施設に指定されていない学校の場合は、在学中に資格を取得できません。航空整備士資格がないと採用試験を受けられない企業があるので、在学中に取得した方が就職には絶対に有利です。それは、どこの航空整備会社も二等航空整備士の有資格者を中心に雇用するからです。難易度の一番高い一等航空整備士の資格は、大手航空会社への入社を前提にして指定養成学校に入学し、整備士コースへ進学・修了するのが一番ハードルの低い方法です。それができない場合は、航空会社に就職後に勉強して取得するかどちらかです。

航空整備士は旅客機の機種毎に資格を取得する必要があります。また、検査の種類ごとにも資格を取得しなければなりませんので、いつも勉強を欠かすことはできません。専門的な勉強は入学後にできますが、航空業界で働くためには、それ以外に外国語(英語)が絶対に必要になりますので、できるだけ早いうちから英語の勉強はしておくのがベストです。
仕事上で必携の航空機整備のマニュアルも英語で書かれていますので、少なくても英検なら2級、TOEICなら450点以上を目指して勉強することをお勧めします。入社した新人が一人前になるのに最短で5、6年、長ければ10年程度かかるのがこの世界と考えて、学習目標を定めて日々努力する姿勢を持つことが大切です。

◆航空整備士に求められる能力
・高い専門知識と正確な技術だけでなく、強い責任感と集中力で、わずかな異常も見逃さないよう細心の注意を払いながら業務に当たれる精神力と能力が必要。
・航空整備士は一人ではなくチームで業務に携わります。決まった時間内で正確な情報を提供できる能力が求められ、同時に協調性やコミュニケーション能力も必要となります。
・航空機の整備マニュアルは英語で書かれているため英語読解力は必須です。また外国から来る航空機の整備・点検・修理を行うこともあるため、ある程度の英会話力も必要になります。
・航空整備士の仕事は昼夜問わずシフト制での業務が基本になりますので、不規則な勤務時間に柔軟に対応できなければなりません。そのため、いかなる状況でも同じパフォーマンスを維持できる精神力や体力も求められます。

受験資格

航空整備士の試験は、航空従事者技能証明の一つでもあるため、資格ごとに受験資格も異なります。各受験資格は以下の通りです。
・一等航空整備士(飛行機):
 20歳以上・飛行機Cまたは飛行機Tで6ヵ月以上の経験を含む整備実務経験4年以上
・一等航空整備士(回転翼航空機):
 20歳以上・回転翼航空機TAまたは回転翼航空機TBで6ヵ月以上の経験を含む4年以上の整備経験
・二等航空整備士(飛行機):
 19歳以上・飛行機で6ヵ月以上の経験を含む3年以上の整備実務経験を有する者
・二等航空整備士(回転翼航空機):
 19歳以上・回転翼航空機で6ヵ月以上の経験を含む3年以上の整備実務経験を有する者

※国土交通大臣指定航空従事者養成施設では、二等航空運航整備士、二等航空整備士、一等航空運航整備士の資格取得を在学中に目指すことができます。
また航空機整備訓練課程を設けている学校では、教育を修了すると資格要件のひとつである整備経験の一部が認められます。

試験方式

実地試験は学科試験に合格した者のみが受験できます。学科試験合格者に対して2年以内に受験者の受験希望日等を考慮して試験が実施されます。
試験は、学科試験+実地試験の2段階で構成されています。

■一等航空整備士(飛行機)・一等航空整備士(回転翼航空機)
 ・学科:四肢・五肢択一式
 1.航空法規 20問:40分
 2.機体 25問:1時間30分
 3.タービン発動機 25問:1時間30分
 4.電子装備品等 25問:1時間30分
  ・実地:受験者の技量をみて試験を行われます。
 1.整備基本技術
 2.整備・検査知識
 3.整備技術
 4.点検作業
 5.動力装置操作

■二等航空整備士(飛行機)・二等航空整備士(回転翼航空機)
 ・学科:四肢・五肢択一式
 1.航空法規 20問:40分
 2.機体 20問:1時間
 3.タービン発動機 20問:1時間
 4.電子装備品等 20問:1時間
  ・実地:受験者の技量をみて試験を行われます。
 1.整備基本技術
 2.整備・検査知識
 3.整備技術
 4.点検作業
 5.動力装置操作

●合格基準
 科目ごとに100点満点中70点以上です。学科試験に合格すると実地試験に進むことができます。

【学科試験(マークシート方式)】
学科試験は「科目合格制度」を採用しており、一度にすべての科目に合格する必要はありません。
試験が年3回実施されており、最初の学科試験で一部の科目が不合格でも、次に受験する場合は、すでに合格している科目については免除され、残りの全科目を1年以内に合格できればよいことになっています。
【実地試験】
学科試験に合格すれば、次は実地試験です。学科試験の合格後の2年以内に必要書類等を提出して実地試験を受けます。最初の実地試験に不合格でも学科試験の合格後の2年以内ならば、再受験することができます。実地試験に合格できれば、技能証明書の交付通知書が送付され、地方航空局または航空局保安部運航安全課に必要書類を提出することで整備士の航空従事者技能証明書が交付されます。尚、指定航空従事者養成施設にて学ぶことで、実地試験は免除することも可能です。

試験科目

●一等/二等航空整備士
【試験科目】
学科試験
 ・空力
 ・機体
 ・航空法規
 ・発動機
 ・電子装備品等
 ・航空通信
 ・空中法
 ・航空気象
 ・空中操作 など
合格基準:科目ごとに70点以上(100点満点中)

実地試験
 ・整備基本技術
 ・整備、検査知識
 ・整備技術
 ・点検作業
 ・動力装置操作

スケジュール

・試験実施:7月、11月、翌年3月(詳細は官報で公示)
・申込方法:技能証明書や受験申込書など必要者類をそろえて以下に提出する。
    ➡東京航空局保安部運用課検査乗員係(千歳、岩沼、又は仙台、東京を受験地とする者)
    ➡大阪航空局保安部運用課検査乗員係(名古屋、大阪、福岡、宮崎、那覇が受験地の者)

令和5年航空従事者技能証明等学科試験(3月期)

試験会場

東京、岩沼、又は大阪、千歳、名古屋、福岡、宮崎、那覇(試験日によって異なる)
(注)試験会場・日程等は国土交通省の公式サイトで必ず確認が必要です。

受験料

・一等航空整備士
  (学科)5,600円 
  (実地)50,100円 
  (登録免許税)9,000円
・二等航空整備士
  (学科)5,600円 
  (実地)45,000円 
  (登録免許税)6,000円

問い合わせ先

国土交通省航空局技術部乗員課検定係
〒100-8918東京都千代田区霞ヶ関2-1-3 第3合同庁舎7階
TEL : 03-5253-8111 内線50316

【東京都(千歳市、岩沼市(または仙台市))で受験する場合】
Tel 03-5275-9321 東京航空局保安部運用課検査乗員係
【大阪府(名古屋市、福岡市、宮崎市、那覇市)で受験する場合】
Tel 06-6949-6229 大阪航空局保安部運用課検査乗員係

【以下の各項には一部広告が含まれています。】

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教材(過去問集)

下記教材参照。

教材(テキスト・参考書)

航空整備士試験対策教材一覧


【航空整備士・航空運航整備士 おすすめ教材】
航空整備士になる本
2019年版 航空整備士学科試験問題集(問題編)
2010年版 航空整備士学科試験問題集(解答編)

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