資格の概要 | 「道路運送法」において、「自動車運送事業者(貨物軽自動車運送事業者を除く)は、一定の数以上の事業用自動車を有している営業所ごとに、一定の人数以上の運行管理者を選任しなくてはならない」とされている。
また、運行管理者として選任されるためには、運行管理者試験に合格し自動車運送事業の種別に応じた種類の運行管理者資格者証(一般乗合旅客、一般貸切旅客、一般乗用旅客、特定旅客、旅 客、貨物)を取得しなければなりません。尚、選任された運行管理者は「道路運送法」、「貨物自動車運送事業法」に基づき、事業用自動車の運転者の乗務割の作成や、休憩・睡眠施設の保守管理、 運転者の指導監督、点呼による運転者の疲労・健康状態等の把握、安全運行の指示など、事業用自動車の運行の安全を確保するための業務を行います。
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運行管理者制度が改正され、「合格させる資格試験」から「厳選させる資格」へと移行したと言えます。行政処分の基準や、車両台数5台未満についての義務化によって、運管者の存在価値はますます重要になってきています。そして、運管者の価値が高まるに連れて、試験は独学での合格は難しくなりそうです。また、運行管理者の高齢化も進んでおり、これからは、運送事業者の運行管理者の確保が課題となることは間違いなさそうです。→運行管理制度
※運行管理者試験に関する情報
運行管理者試験センターは、正式に「CBT方式による試験」の実施を公表いたしました。
・令和2年度の運行管理者試験については、「CBT方式による試験」の導入により、運行管理者試験の試験日は全国統一の筆記試験とは別の日に、筆記試験日の前後1週間にわたり、「CBT方式による試験」の試験日が設定されます。
・令和3年度の試験からは「CBT方式による試験」に一本化されることが予想されます。 |
受験資格 | 次のいずれかに該当する必要があります。
イ.事業用自動車(事業の種別は問わず)の運行の管理に関し1年以上の実務経験を有する者。
ロ.実務の経験に代わる講習(基礎講習)を修了した者。
※実務の経験に代わる講習として、自動車事故対策機構が行う基礎講習が認定されている。
ハ.基礎講習の修了予定者
※上記イ、ロ、ハについてそれぞれの詳細な内容については「各受験資格の内容」で確認ください。
【受験資格に関するお知らせ】
・平成27年度第1回試験から、受験資格の審査を適正、且つ確実に実施するため、受験資格の証明の取扱いについては以下の通りになりました。
①運行管理者資格者証(写)は、受験資格証明となりません。
②受験通知書または試験結果通知書は、受験資格証明となりません。
③受験資格の確認には、「運行の管理に関し、1年以上の実務経験の証明書」、「平成7年4月1日以降の試験区分に応じた基礎講習修了証書(写)または運行管理者講習手帳(写)」のいずれか一つを提出しなければなりません。
◆無試験での資格取得
運行管理者資格者証の種類ごとに、それぞれに応じた種別の自動車運送事業で事業用自動車の運行管理に関し5年以上の実務経験を有し、その間に運行管理に関する講習を5回以上受講していれば無試験で運行管理者の資格を取得することができます。
但し、運行の管理に関して大臣認定講習機関が行う基礎講習および一般講習の受講5回以上のうち、少なくとも1回は基礎講習を受講している必要があります。ただ、基礎講習を受講した年は、一般講習を受講してもカウントされませんので注意が必要です。
※運行管理者資格者証の種類:一般乗合旅客、一般貸切旅客、一般乗用旅客、特定旅客、貨物があります。
※国土交通大臣が認定する講習実施機関 |
資格難易度 | ●難易度
「C」 やや易
【資格の難易度レベル】
過去の合格率の推移をみると、当初の運行管理者試験は合格率50%前後の比較的易しい試験でしたが、自動車運行上の重大事故が続発している状況もあり、運行管理業務の重要性は非常に高まってきています。その影響は資格試験にも表れており、近年の試験では合格率も30%を割り込むほど難易度が上昇した年もありましたが、今は30%前後で推移しています。
国家試験で合格率30%と聞くと、レベルが高い試験と思われがちですが、運行管理者の場合は資格試験を受験する上での受験資格要件を満たすことは難しいですが、試験そのものはそれほど難しくありません。試験対策もテキストを中心に独学で対応できることは変わりません。この試験は過去問からの出題が非常に多い試験なので、受験対策は「過去問を解く」、これに尽きます。過去問付きの参考書で繰り返し勉強すれば、直前1ヶ月くらい前からの勉強でも合格は可能です。
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●合格率
令和元年第1回 運行管理者試験結果
貨物 受験者数36,530人 合格者数 11,584人 合格率31.7%
旅客 受験者数8,263人 合格者数 2,624人 合格率31.8%
※参考データ
・平成29年第2回 運行管理者試験結果
貨物 受験者数29,063人 合格者数 9,605人 合格率33.0%
旅客 受験者数8,588人 合格者数 2,928人 合格率34.1%
・平成29年第1回 運行管理者試験結果
貨物 受験者数37,774人 合格者数 13,238人 合格率35.0%
旅客 受験者数10,462人 合格者数 3,694人 合格率35.3%
・平成28年第1回 運行管理者試験結果
貨物 受験者数36,028人 合格者数 10,868人 合格率30.2%
旅客 受験者数 8,169人 合格者数 2,876人 合格率35.2% |
受験対策・資格の将来性 | 資格を持っているだけで、運行管理者として就職・転職するのならば何も持っていないよりは少しは有利になる可能性はありますが、運行管理者の場合は他の資格と併せ持つことで、かなり有利な立場に立てることがあります。それには例えば、大型二種やフォークリフトなどの特殊免許がお勧めです。他には危険物取扱者(乙4)や毒物劇物取扱責任者があるのも仕事によっては大変役立つので良いでしょう。勤め先が運送会社の場合は、国内旅行業務取扱管理者資格があればベストです。これらの資格はどれも国家資格ですが、それほど難易度が高い資格はありませんので、チャレンジして取得する価値は十分あります。
運行管理者の試験には、「旅客」と「貨物」の二種類があります。根拠となる法令は貨物は貨物自動車運送事業法で、旅客は道路運送法です。法令が違うので試験の内容も違いますし、出題内容も、難易度も違います。道路運送車両法、道路交通法、労働基準法、その他の知識及び能力などは共通項目ですが、内容は全く異なります。
旅客は乗合バス・貸切バス・タクシーの3種類がありますが、貨物はトラックのみです。試験は旅客の方が覚えなければならない項目が多い分、ハードルが高いかもしれません。ただ、どちらの試験でも、一つ注意すべき点は「法改正」です。運行管理者試験では、「法令等の改正があった場合、法令等の改正施行後6ヵ月は改正部分を問う問題は出題しない」とされていますので、そのことも考慮しながら、法改正部分も含め、ある程度の時間をかけてしっかり学習すれば問題ないと思います。ちなみに、関連する最近の法改正では、
①「貨物自動車運送事業輸送安全規則の解釈及び運用について」の一部改正ついて(H28.7.1)
②ナンバープレートの表示義務の明確化について(H28.4.1)などがあります。
運行管理者は運送事業には必ずいなければならない存在です。それがゆえに運行管理者の求人も常時あります。運行管理者を急募している会社もあります。現状から判断する限り、今後も役立つ資格の一つであるのは間違いないようです。 |