資格名

建設業経理士
建設業経理事務士
※試験名:建設業経理検定(1,2級)、建設業経理事務検定(3,4級)

資格の種類

民間資格

主催者

財団法人建設業振興基金

資格の概要

この資格試験制度は、主に建設業の企業内で経理部門に従事する方を対象に、建設業経理に関する知識及び処理能力の向上を図ることを目的としてつくられた試験制度で、昭和56年度より実施されています。(試験名:建設業経理検定試験) 試験級は1級から4級まで、1級と2級は国土交通大臣登録経理試験に指定され、公共工事の入札に係わる経営事項審査の評価対象となっています。
資格取得者は、建設業界における経理のスペシャリストと言える存在で、平成23年3月末日現在の登録者数は、約3400名、 内訳は1級登録建設業経理士約1,560名、2級登録建設業経理士約1,780名。

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※平成18年4月より、1級・2級検定は「建設業経理士検定試験」となりました。合格者の称号は「1級建設業経理士」「2級建設業経理士」。3級・4級は、従来通り「建設業経理事務士検定試験」として実施され、合格者の称号については「3級建設業経理事務士」「4級建設業経理事務士」となります
※各級の基準
・1級:建設業に係る簿記・会計学・原価計算を習得している。会社法のほか、企業会計に関する法規を理解し、経営分析ができる。
・2級:実践的な建設業に係る簿記・原価計算に関する知識を有し、建設業に係る決算の実務処理ができる。
・3級:基礎的な建設業に係る必要な簿記に関する知識を有しており、かつ簡易な実務処理ができる。
・4級:初歩的な建設業に係る簿記の初歩的な実務処理ができる。
※1級各科目の合格は、合格通知書の交付日から5年間有効です。

◆特別研修
昭和59年より建設業会計に関する知識と処理能力の向上を図り、建設会社の経営基盤強化を目的に「建設業経理事務士特別研修(3級・4級)」が実施されています。
この「特別研修」は、講習と検定試験とが組み合わせて実施されるもので、研修最終日に行われる検定試験に合格すると、3級または4級建設業経理事務士の資格が得られます。
 ・特別研修の受講資格 
  4級:誰でも申込みできます。 3級:建設業経理事務士4級の有資格者
※建設業経理事務士4級の有資格者でない方でも、同一年度で4級・3級の同時申込みが出来ます。
・研修概要
 4級:2日間 (簿記とは何か、という段階から、複式簿記の仕組みを理解する)
 3級:3日間 (建設工事の施工工程で発生する取引や、一般的な商取引に係る記帳処理上の問題点、建設業の決算の他、建設業の原価計算の基礎などを理解する)
・受講料 (テキスト代、検定代、消費税込)
 4級 20,600円  3級 30,900円  4級・3級 51,500円

試験の合格率・難易度

難易度 
  1級(建設業経理士)    「B-上」 普通の上位  
  2級(建設業経理士)    「C-上」 やや易の上位
  3級(建設業経理事務士)  「C」 やや易

【資格の難易度レベル】
・3級・4級(建設業経理事務士)
難易度は高くありませんが、建設業経理事務士3級、4級は取得してもあまり役には立たないと思ってください。2級受験の腕試しをするには良いかもしれませんが、受験資格の制限はありませんので直接2級から挑戦してもいいと思います。
・2級 (建設業経理士)
難易度はそれほど高くありません。他の簿記資格や、建設業経理事務士3級を所持している方など、簿記を一度でも学習したことのある方であれば、独学でも十分合格できます。
どの試験も学習内容が比較的似ている箇所が多くありますので、学習手順は日商簿記3級か2級の勉強をしてから、建設業経理士の2級や1級に挑戦するのが効率的であるように思いますが、日商簿記検定2級程度の実力がある人なら、2級は飛ばして直接1級に挑戦しても問題ありません。
・1級(建設業経理士)
難易度は2級と1級とでは大きく変わります。2級までの難易度はそれほど高くなく、簿記の勉強したことのある人ならそれほど苦労すること無く合格できます。しかし、1級になると難易度はぐっと上がります。1級はかなり難しい試験と思っていいでしょう。1級の試験科目は、建設業原価計算、財務諸表論、財務分析の3科目で、3科目別の合格判定になります。
科目別の難易度は、財務諸表論>財務分析>建設業原価計算で、中でも財務諸表論は学習範囲が広いだけでなく、難易度が高く、合格率も低いため独学ではかなり難しい試験です。このレベルになると、ストレートで合格する人は非常に少ないと思われます。1級を目指す場合は、テキストと過去問題使っての独学でも合格できないことはありませんが、独学は避けて講座を受講していくのが無難です。1級の難易度レベルは日商簿記1級と2級の間くらいと思っていいでしょう。1級は3科目制度のため、平均的には6ヶ月あれば3科目一括合格は可能でしょう。合格のカギを握るのは、受験生がみんな苦手とする記述式問題の攻略です。試験合格者の就職先は建設業界です。すでに建設会社で働いておられる方も、キャリアアップ目的と併せて、将来的なことを見越してぜひ取得しておきたい資格の一つです。

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●合格率  
・令和5年第32回上期建設業経理検定1・2級
  1級(財務諸表)/(財務分析)/(原価計算)
 受験者数1,596名 合格者数348名 合格率21.8%
 受験者数1,125名 合格者数249名 合格率22.1%
 受験者数1,719名 合格者数373名 合格率21.7%
 2級(建設業経理士)
 受験者数9,636名 合格者数3,411名 合格率35.4%
・令和5年第41回建設業経理検定3級
 3級(建設業経理事務士)
  受験者数1,845名 合格者数1,229名 合格率66.6% 

※参考データ
・令和3年第28回上期建設業経理検定1・2級
  1級(財務諸表)/(財務分析)/(原価計算)
 受験者数1,860名 合格者数408名 合格率21.9%
 受験者数1,523名 合格者数317名 合格率20.8%
 受験者数2,022名 合格者数226名 合格率11.2%
 2級(建設業経理士)
 受験者数8,766名 合格者数3,600名 合格率41.1%
・令和3年第39回建設業経理検定3級
 3級(建設業経理事務士)
  受験者数2,277名 合格者数1,604名 合格率70.4% 
・令和元年第26回上期建設業経理検定1・2級
  1級(財務諸表)/(財務分析)/(原価計算)
 受験者数1,517名 合格者数311名 合格率20.5%
 受験者数1,276名 合格者数387名 合格率30.3%
 受験者数1,580名 合格者数253名 合格率16.0%
 2級(建設業経理士)
 受験者数8,635名 合格者数3,578名 合格率41.4%
・平成31年第38回建設業経理検定3級
 3級(建設業経理事務士)
  受験者数1,896名 合格者数1,219名 合格率64.3%
・平成30年第24回上期建設業経理検定1・2級
  1級(財務諸表)/(財務分析)/(原価計算)
 受験者数1,555名 合格者数434名 合格率27.9%
 受験者数1,243名 合格者数352名 合格率28.3%
 受験者数1,692名 合格者数503名 合格率29.7%
 2級(建設業経理士)
 受験者数7,884名 合格者数2,655名 合格率33.7%
・平成30年第37回建設業経理検定3級
 3級(建設業経理事務士)
  受験者数2,065名 合格者数1,315名 合格率63.7%

試験の内容・勉強法

建設業経理士試験は、建設業の経理に関する知識が問われる試験で、建設業特有のルールがあるものの、他の簿記検定と共通する部分も多いので、簿記の勉強や受験経験があると学習しやすいと思います。尚、2級以上の合格者は公共工事の入札にかかる審査の評価に加点されるため、実用性の高い試験でもあります。
※公共工事の入札にかかる審査の評価とは、例えば、建設業完工高1億未満の建設業者の場合、建設業経理士2級以上の資格者が1人いた場合、総合評点Pが15点位アップします。

試験の内容は、建設業特有の勘定科目や考え方を通常の簿記に取り入れた内容になります。また会社の事務処理の大半をコンピューターが行うようになり、人の仕事は問題点の分析や原因追究といったことが多くなり、建設業経理士も経理事務士の資格も、単に問題が解けるというより、実務的には出てきた数字からどのような問題点があるのかを見抜く力というものが必要になります。従って、建設業界でこれから先もずっと働いていく予定を立てておられる方にはこの資格はお薦めですが、建設業界は考えていないという方には日商簿記検定の方が良いでしょう。 

受験対策に関しては難易度欄に記載している通り、建設業経理士1級以外の建設業経理士2級,経理事務士3級、4級はテキストと過去問使っての独学で問題ありません。建設業経理士2級も過去問集を繰り返し解けば合格できるレベルです。ただ、簿記の知識が全くない方に場合は、簿記の基礎の勉強から始めた方が良いと思います。簿記の基礎知識習得には日商簿記3級~2級の勉強が役立ちます。この場合、建設業経理士2級の資格取得までには約9か月程度の期間が必要でしょう。



※定年後の再就職対策について。
年金の支給開始年齢は基本的には65歳からですが、今後、支給開始年齢が67~70歳に引き上げられる可能性があります。そうなると定年が65歳になっても数年間の収入空白期間ができるため、退職者は厳しい生活を強いられることになります。そこで、その収入空白期間を埋めるために奨められているのが、定年までに積み上げた経験の上に、さらに「資格」を取得することで、一定水準の収入を得られる仕事に就くことです。それではその場合、どんな資格が有利に働くのでしょうか。
特に、建設系の企業での経験がある人は、「建設業計理士」は有望です。
建設工事の受注入札には、会社は参加資格として定められた資格保有者を一定以上所属させていなければ、入札に参加することができません。その定められた資格の一つが「建設業計理士」です。従って、建設業計理士を取得できれば、建設会社としてはノドから手が出るほど欲しい人材になるわけです。経理の経験があれば試験もそれほど難しい試験ではなく、取得も比較的簡単です。他には「施行管理技士」資格も「建設業計理士」と同じく入札制度の参加条件に含まれる資格なので有望です。

試験日程

・試験実施:(1級・2級)年2回 ①9月中旬 ②3月中旬
      (3級・4級)年1回  3月中旬
・受験申込:(1級・2級)年2回 ①11月中旬~12月中旬 ②5月中旬~6月中旬
      (3級・4級)年1回  3月中旬
・合格発表: ① 11月中旬 ②5月中旬


 令和5年度上期建設業経理士検定 試験日程 

     【第33回建設業経理士1級・2級】

受験資格

年齢、性別、学歴等に関係なく誰でも受験できます。

試験会場

・上期:全国47主要都市
・下期:全国51主要都市

受験費用

・1級 (1科目)   8,120円(いずれも税込)  
 1級 (2科目) 11,420円    
 1級 (3科目) 14,720円
・2級 7,120円  
・3級 5,820円  
・4級 4,720円
・2級・3級(同日受験)12,620円
・3級・4級(同日受験)10,220円

試験方式

試験は選択式と記述式で構成されています。

●1級:多肢選択式、記述式
 ・財務諸表 5題/90分
 ・財務分析 5題/90分
 ・原価計算 5題/90分
●2級:多肢選択式
   5題/120分
 ・建設業の簿記
 ・原価計算
 ・会社会計
●3級:多肢選択式
   5題/120分
 ・建設業の簿記
 ・原価計算
●4級:多肢選択式
   4題/90分
 ・簿記のしくみ

◆合格基準
  各級・各科目とも満点中正答率70%以上で合格です。

試験科目

●1級(建設業経理士)
 科目:(1)財務諸表 (2)財務分析 (3)原価計算
上級の建設業簿記、建設業原価計算及び会計学を修得し、商法その他会計に関する法規を理解しており、建設業の財務諸表の作成及びそれに基づく経営分析が行えること。
●2級 (建設業経理士)
 科目:(1)建設業の簿記 (2)原価計算 (3)会社会計
実践的な建設業簿記、基礎的な建設業原価計算を修得し、決算等に関する実務を行えること。
●3級(建設業経理事務士)
 科目:(1)建設業の簿記 (2)原価計算
基礎的な建設業簿記の原理及び記帳並びに初歩的な建設業原価計算を理解しており、決算等に関する初歩的な実務を行えること。
●4級(建設業経理事務士)
 科目:(1)簿記の仕組み
初歩的な建設業簿記を理解していること。

【免除科目】
・1級
 合格通知書の交付日を基準日として、それ以後5年の間に行われる試験において、各科目の合格者は該当科目が免除されます。
※5年以内に全ての科目に合格すれば1級合格(1級建設業経理士合格)となります。

試験関連情報

【資格の難易度情報】
資格の難易度とランキング
ジャンル別資格の難易度ランキング

●試験関連情報
 1級・2級は建設業経理士検定試験で合格者の称号は「建設業経理士」。
 3級・4級は、建設業経理事務士検定試験で合格者の称号は「建設業経理事務士」となります。

●関連資格
 簿記検定
 BATIC(国際会計)検定

問い合わせ先

財団法人 建設業振興基金 経理研究・試験部      
 http://www.kensetsu-kikin.or.jp/gyom2/
〒105-0001 東京都港区虎ノ門4-2-12 TEL:03-5473-4581

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教材(テキスト・参考書)

建設業経理検定試験対策教材一覧

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教材(過去問・問題集)

建設業経理検定試験 過去問

講座・スクール

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