資格名

ITサービスマネジャー
Information Technology Service Manager Examination

資格の種類

国家資格

主催者

独立行政法人情報処理推進機構

資格の概要

経済産業大臣認定の国家資格。新試験制度のスキルレベル4に相当する試験。情報システム全体について、安定稼働を確保し、障害発生時においては被害の最小化を図るとともに、継続的な改善、品質管理など、安全性と信頼性の高いサービスの提供を行う能力を持つことを評価する試験、と定義されている。
旧テクニカルエンジニア(システム管理)試験を拡大・補完した新たな試験区分として2009年にスタートした試験。高度IT人材として確立した専門分野をもち、情報システム全体について安定稼働を確保し、障害発生時は被害の最小化を図りながら継続的な改善、品質管理など、安全性と信頼性の高いサービスを提供できるスペシャリストを認定するもので、システムエンジニアの中でも主に業務システムの運用管理責任者を対象とした試験である。

試験の合格率・難易度

難易度 
  「A」  難関   

【資格の難易度レベル】
ある程度試験分野の知識はあっても、実務経験による知識がないと難しい初・中級者向け試験と考えていいでしょう。レベル的には、実務経験3年程度で知識があれば、独学で最低1~2ヵ月間の学習で合格できるレベル。この資格取得には非常に幅広い知識が必要で、ハードウェアやソフトウェア、ネットワーク、データベースを熟知していなければ合格することは非常に難しいと思います。
試験問題のレベルは、旧テクニカルエンジニア(システム管理)試験とほぼ同じと考えてよいでしょう。

(参考) 情報処理技術者試験の難易度

--------------------------------------------  
・合格率  
令和3年度秋期ITサービスマネジャー試験結果
 合格率 15.0% 応募者総数 3,060名 受験者数2,018名  合格者数303名

※参考データ
 ・令和元年度秋期ITサービスマネジャー試験結果
 合格率 14.7% 応募者総数 5,121名 受験者数3,388名  合格者数497名
 ・平成30年度秋期ITサービスマネジャー試験結果
 合格率 14.3% 応募者総数 5,605名 受験者数3,715名  合格者数530名
 ・平成29年度秋期ITサービスマネジャー試験結果
 合格率 13.6% 応募者総数 5,779名 受験者数3,932名  合格者数535名
 ・平成28年度秋期ITサービスマネジャー試験結果
 合格率 14.1% 応募者総数 5279名 受験者数3,555名 合格者数502名



試験の内容・勉強法

試験は、旧試験のテクニカルエンジニア(システム管理)試験の出題範囲をJIS Q 20000、ITIL に沿って再編し、マネジメント面をより重視した出題内容となっています。試験の大きな特徴は、テクニカル系の試験で唯一、論文による出題があることです。
ITサービスマネージャの業務と役割を円滑に遂行するための知識・実践能力が要求され、テクノロジやマネジメント、ストラテジなどの基本知識のほか、サービスサポートやサービスデリバリ、システムの運用管理、ITサービスの改善やマネジメント、情報セキュリティの運用・管理、カスタマーサービスなどの専門的な経験や知識が必要になります。

・午前ⅡではITサービスマネージャの専門に特化した、応用的知識レベルまたは高度知識レベルの問題が出題されます。過去問と同じ問題が半分程度は出題されてるようなので、しっかりと過去問を行っておくことが重要です。勉強方法は過去問中心で最低3年分は消化して丸暗記するくらいの勉強が必要です。論文記述は時間との戦いになりますので、よく言われることですが、論文作成の練習と、出題パターンに合わせた回答案ネタをあらかじめ作成し、実際に文章に起こす練習をしておくと良いと思います。時間を計測してやると尚良いでしょう。
・午後Ⅰではシステム管理と運用において、システムが抱える問題を分析、解決する事例を中心とした出題が多く、問題選択が大事ですが対策は過去問中心で、できるだけ解いておくことが必要です。過去問がほとんど解けるよであれば問題ないと思いますが、ITILが加わってるので、ITIL周辺の知識は身につけておく方がいいでしょう。独学の方には、ITILを意識したTACのテキストがオススメです。
・午前Ⅰでは、テクノロジ系、マネジメント系、ストラテジ系の各分野から幅広く、出題され、試験問題のレベルは、知識項目を応用できるかどうかを問う応用的知識レベルになりますので、応用情報処理技術者試験の過去問を一通りやっておくといいでしょう。
・午後Ⅱ試験は小論文です。実際に論文を書く練習を必ずやっておくことが大切です。午後Ⅰの問題は論文作成に参考になります。論述が得意な方やシステム運用に長く携わっている方には有利な試験と言えそうです。

ITサービスマネージャ試験は、最新技術よりも昔からの基盤技術に精通しているベテランのエンジニア向けの資格とも言えるかもしれません。また、リスク管理やコスト管理といった領域も出題範囲に含まれているため、経営のビジネススキルの分野の知識も必要とされ、総合的な性格を持っている試験でもあります。ただ、試験ではプロジェクトマネージャ試験やシステムアナリストと同様、午後1の事例解析、午後2の小論文の出来が合格の明暗を分けます。
ITサービスマネージャ試験は主に運用面を問う試験です。他のスペシャリスト系試験とはこの点が異なります。この資格を取得することにより、システム運用技術の幅広い知識を高度に有していることを証明できます。 ソフトウェア開発に関わる資格は、非常にたくさんありますが、システムの管理・運用技術に特化した高度資格はこのITサービスマネージャが最高峰と言えます。したがって、その市場価値も非常に高いことは間違いありません。

IT関連の業務経験が全くない方の場合は、基本情報技術者、ソフト開発技術者などの資格から取得していくことがいいでしょう。知識レベルの目安としては、午前試験をパーフェクトに解答できるくらいの知識を身につけることが、最低ラインと考えてよいでしょう。また、論文が初心者の場合は、合格するための論文の書き方、をどうしても身につけなければ突破は困難です。論文対策には、スクールの論文対策講座や論文添削を一度は受ける必要があると思います。学習方法は、独学でマスターし合格する人もいるし、スクールに通う人もたくさんいます。どちらが良いかは、学習者の基礎能力や環境次第といえます。 また学習期間も基礎能力の違いなどで異なりますが、最低1年以上は考えておいた方が良いでしょう。実務経験で2~3年程度必要なレベルと言われています。ITサービスマネージャについて少し学習したとか、興味があるとかいうレベルでは絶対に合格できない試験であることは認識しておかねばなりません。

資格取得後は、情報システム系・ネットワーク系関連企業などが中心となります。この分野では、有資格者の優遇は確実です。システム利用者に対して技術的な助言・援助・支援を行うなどITサービスをマネジメントする業務において中心的役割を果たすことになります。

試験日程

・試験日:秋期(10月第3日曜日)のみ、年1回実施されています。
・申込期間:7月中旬から約1ヵ月間
・申込み:インターネットか郵送で申し込む。   

令和5年度情報処理技術者試験日程
  (ITサービスマネージャ) 春期4月

受験資格

なし。 誰でも受験できます。

試験会場

各都道府県に1箇所以上設けられている。受験を希望する試験地を出願時に記入、受験者の郵便番号から試験会場(大学等)が割り振られる。⇒試験地一覧

受験費用

7,500円(税込み)
※受験料が値上げされました。

試験方式

試験はペーパー方式で、午前試験Ⅰ・Ⅱ、午後試験Ⅰ・Ⅱの計4つに分かれています。
●午前試験
出題形式  多肢選択式(四肢択一)
・午前試験Ⅰ
試験時間/出題数 50分/30問(全問必須)
※基準点は60点。基準点に達しない場合、午前Ⅱ・午後Ⅰ・午後Ⅱ試験の採点は行われず、不合格となります。
※科目免除制度があり、以下の1~3のいずれかの条件を満たしていれば、その後2年間、午前試験Ⅰの受験が免除されます。
1.応用情報技術者試験に合格する
2.いずれかの高度試験に合格する
3.いずれかの高度試験の午前I試験で基準点以上の成績を取っている場合
・午前試験Ⅱ
試験時間/出題数 40分/25問(全問必須)
※午前試験Ⅰと同様、基準点は60点。基準点に達しない場合、午前Ⅱ・午後Ⅰ・午後Ⅱ試験の採点は行われず、不合格となります。
●午後試験
出題形式   記述式/論述式
・午後試験Ⅰ
試験時間/出題数 90分/4問中2問回答
大問4問のうち2問を選択し解答します。大問1つにつき50点の合計100点満点。
大問1つにつき数問の設問が出題され、それぞれ20字~50字程度で解答します。
※基準点の60点に満たない場合は、午後試験Ⅱの採点は行われず、不合格となります。
・午後試験Ⅱ
試験時間/出題数 120分/2問中1問回答
大問3問のうち1問を選択し解答します。大問1つにつき数問の設問が出題され、それぞれ600字~1600字程度で解答します。
●評価方法/合否基準: 評価ランクがA~Dまであり、Aを取得すれば合格になります。
設問で要求された項目の充足度、論述の具体性、内容の妥当性、論理の一貫性、見識に基づく主張、洞察力・行動力、独創性・先見性、表現力・文章作成能力などを評価の視点として、論述の内容が評価されます。 
また、問題冊子で示す「解答に当たっての指示」に従わない場合は、論述の内容にかかわらず、その程度によって評価を下げることがあります。



試験科目

午前試験は「知識」を問う試験で、午前試験Ⅰ・Ⅱの2種類があります。
●午前試験Ⅰ
 午前試験Ⅰは各高度試験の共通問題であり、各高度資格に必要な共通知識が問われます。
※試験は、以下の3分野から出題されます。
1.テクノロジ系(基礎理論、コンピュータシステム、技術要素、開発技術)
2.マネジメント系(プロジェクトマネジメント、サービスマネジメント
3.ストラテジ系(システム戦略、経営戦略、企業と法務)
科目は、1.コンピュータ構成要素 2.システム構成要素 3.データベース 4.ネットワーク 5.セキュリティ 6.プロジェクトマネジメント 7.サービスマネジメント 8.システム監査 9.法務午前1は高度共通
※技術レベルは応用情報技術者試験の午前試験と同程度とされています。

●午前試験Ⅱ 
午前試験Ⅱは、ITサービスマネージャに必要な専門知識が問われます。
※試験の出題範囲は以下の通り。
1.コンピュータ構成要素:テクノロジ系のコンピュータシステム
2.システム構成要素:テクノロジ系のコンピュータシステム
3.データベース:テクノロジ系の技術要素
4.ネットワーク:テクノロジ系の技術要素
5.セキュリティ:テクノロジ系の技術要素
6.プロジェクトマネジメント:マネジメント系
7.サービスマネジメント:マネジメント系
8.サービスマネジメント:マネジメント系 
特に、プロジェクトマネジメントと、サービスマネジメントは重点分野とされています。
午後試験は「技能」試験で、出題範囲はⅠ・Ⅱ試験共通で、2分野に分かれています。
※試験の出題範囲はⅠ・Ⅱ試験共通で、下記の5分野から出題されます。
1.サービスサポートおよびサービスデリバリに関すること
2.システムの運用管理に関すること
3.ITサービスの継続的改善とITサービスマネジメントの報告に関すること
4.情報セキュリティの運用・管理に関すること
5.カスタマサービスに関すること

試験関連情報

問い合わせ先

独立行政法人 情報処理推進機構 IT人材育成本部 情報処理技術者試験センター  http://www.ipa.go.jp/index.html

【以下の各項には一部広告が含まれています。】

教材(テキスト・参考書)

ITサービスマネージャ資格関連教材一覧

教材(過去問・問題集)

-

講座・スクール

【資料請求】
・通信講座を探す⇒情報処理技術者試験対策通信講座 
・通学講座を探す⇒情報処理技術者試験対策通学講座