試験方式 | 試験方式は、測量士試験、測量士補試験とも筆記試験です。
●測量士試験:試験時間(択一式:2時間30分 記述式:2時間30分 )
【午前】択一式 28問(1問あたり25点)/配点700点
【午後】記述式/配点700点
必須問題1題(300点)
選択問題4題中2題選択(1題200点)
(基準点測量/地形・写真測量/地図編集/応用測量)
※合格基準 択一式:350点以上且つ、択一式と記述式合計910点以上
●測量士補試験:試験時間:3時間
出題 択一式28問(1問あたり25点)/配点700点
※合格基準 450点以上
※測量士試験では計算問題を解くために国土地理院が用意した電卓に限り使用を認めていますが、測量士補試験では電卓の使用はできません。
◆合格基準
以下の両方の基準を満たす者が合格となります。
測量士
・午前の択一式の点数が700点満点中400点以上
・午前の点数と午後の点数の合計が1400点満点中910点以上
測量士補
・700点満点中400点以上 |
受験料 | ●測量士 4,250円(収入印紙で納付の場合) ・4,200円(電子納付の場合)
●測量士補 2,850円(収入印紙で納付の場合) ・2,800円(電子納付の場合) |
資格難易度 | ●難易度
測量士 「B」 普通
測量士補 「C」 やや易しい
【資格の難易度レベル】
試験は難しく、合格率は測量士は約8%の難関。合格基準点は令和3年度試験の場合、午前は1問25点で700満点。午後は必須1題300点。選択1問200点×2問=400点の合計700点。午前の点数が400点(16問正答)以上で、午前と午後の点数の合計が910点以上で合格です。
測量士試験の合格率が低い理由は、測量に関する計算問題は理数系出身者に比べ、文系出身者にはかなり難しいはずです。基礎学力や経験があれば4ヶ月強程度の勉強で受かると思いますが、特殊な数式や公式などが多く、丸暗記ではとても対処できない試験です。そういうこともあって、実際に試験を受ける人の多くが実務経験者となっていて、独学でゼロから試験を受けるという人は少ないようです。
測量士補については、理系出身者ならそれほど難しい試験ではありません。2か月ほど受験対策をやれば合格は可能です。理系でない人でも、測量士補試験対策は過去問を中心に、自信がつくまでやり通しておけば合格できます。測量士補を取得できれば、測量士事務所で経験を積み(またはその逆)、測量士にステップアップするのが確実な道でしょう。
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●合格率
令和3年測量士・測量士補試験結果
測量士 17.9%(受験者数2,773名 合格者数497名)
測量士(補) 34.8%(受験者数12,905名 合格者数4,490名)
※参考データ
・令和2年測量士・測量士補試験結果
測量士 7.7%(受験者数2,276名 合格者数176名)
測量士(補) 30.3%(受験者数10,361名 合格者数3,138名)
・令和元年測量士・測量士補試験結果
測量士 8.3%(受験者数3,232名 合格者数479名)
測量士(補) 35.8%(受験者数13,764名 合格者数4,924名)
・平成30年測量士・測量士補試験結果
測量士 14.8%(受験者数3,345名 合格者数278名)
測量士(補) 33.6%(受験者数13,569名 合格者数4,555名)
・平成29年測量士・測量士補試験結果
測量士 11.7%(受験者数2,989名 合格者数351名)
測量士(補) 47.3%(受験者数14,042名 合格者数6,639名)
・平成28年測量士・測量士補試験結果
測量士 10.4%(受験者数2,924名 合格者数304名)
測量士(補) 35.9%(受験者数13,278名 合格者数4,767名)
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受験対策・資格の将来性 | 測量士の試験は、受験資格に制限はなく、誰でも受検することだできます。ただ、合格率は低く、試験の難易度は比較的高めですが、測量士は本当に「難関資格」なのでしょうか?
測量士や測量士補の資格取得については2パターンあります。1つは国家試験を受験し合格して取得する方法ですが、測量士の合格率が大体10%前後。測量士補が20~25%程度なので、これは難易度が高いですが、もう1つの方法は、所定の学歴を取得し、学歴に応じた実務経験を満たせば申請のみで測量士・測量士補の資格が取得できるのです。これが試験を受けずに測量士の資格を取得する方法です。大学や専門学校などで特定の単位を取り、それに対応する実務経験を積むことで資格が取得できます。具体的には、
(1)大学、短大、専門学校などで、測量に関する科目を修了し、測量に関する実務経験を積む
(2)所定の施設で測量士補の資格を習得したのち、測量に関する2年以上の実務経験を積む
(1)、(2)のいづれかの要件を満たせば、測量士資格は取得できます。
こういう抜け道的な方法があるため、測量士がそれほど難関資格に数えられない理由なのかもしれません。
従って、ほとんどの取得者がこの後者の方法です。大学・短大・専門学校で測量に関する科目を修得した者で一定の実務経験のある者、指定養成施設で1年以上専門知識と技能を修得した者は申請のみで取得可能なので、国家試験以外は測量士補の資格は比較的容易に取得できると言えます。また、土地家屋調査士を受験する人の90%は測量士補の資格を取得しています。測量士と土地家屋調査士の業務のフィールドが似ていることから、ダブル取得すると仕事や就職・転職に役立ちます。
受験対策では試験科目が7科目と広く、独学の場合は、かなり綿密な計画を立てて学習する必要があります。ただ、比較的、試験に関する書籍が少なく、その年の出題傾向を把握しづらいことからも独学は結構難しいと考えた方がいいでしょう。学習期間は半年から1年くらいを考えておく必要があります。試験問題は、基礎的な知識を問う問題や基礎的な文章問題、計算問題が多く、文系出身者には不利な面もあるようです。ただ、出題のパターンが決まっているため、過去問を中心に計画的に勉強することで合格する力は十分につけられます。試験対策としては、模試などで応用の難しい問題にチャレンジするよりも、なるべく過去問に多く時間をかけた方がいいでしょう。過去5年分の試験問題と回答一覧が国土地理院のホームページから入手できます。また、問題集や合格ガイドなどもありますので、独学で測量士試験の合格が不可能というわけではありません。
測量作業のコンピュータ化が進み、肉体的な負担も軽く最近では女性の有資格者も増えています。試験はマークシート方式で、国家資格の中でも比較的合格率の高い資格です。土地家屋調査士の午後の部試験が免除になるメリットもあります。
測量士の仕事は、都市計画から街全体をイメージして創り上げるという、とてもクリエイティブな仕事です。従って、測量士資格が役に立つ仕事は建設会社や公務員などです。それ以外では測量会社や測量事務所に勤める場合もあります。それは、環境や暮らしといった人の道を担う重要な仕事であるがゆえに、資格をとるためには、実務経験も必要であったり、合格率の低い難関の国家試験をクリアしなければならないなど、誰もが簡単に取得できないようになっています。 |